シナリオ分析とは?企業の危機を回避する方法とツールをご紹介
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新しい事業やプロジェクトを始めるときに、今後起こりうる事態を想定してあらかじめ対策を考えておくことはとても大切です。過去に起きたさまざまな事例から今後の予測を立てる「シナリオ分析」は多くの組織で行われていますが、実際のところどのような手順で進めればいいのかわからない方もいるでしょう。
シナリオ分析の起源を紹介しながら、有効な分析方法、また、便利なシナリオ分析ツールを紹介します。
シナリオ分析の起源と定義
シナリオ分析とは、既存のものに変化を与えたときにどのような影響が出るのか過去の事例や予測しうる事態を考慮したうえで分析することです。
今でこそさまざまな企業で用いられている分析手段ですが、初期は政治や軍事の世界で使われていました。1970年代に起こったオイルショックから石油スーパーメジャーの一社であるRoyal Dutch Shellがあらゆる事態を想定して石油危機を回避したことで、シナリオ分析は世界中に知られるようになったのです。
シナリオ分析の祖と呼ばれるL.Wilkinsonは「シナリオ分析とは未来に起こりうるシナリオをいくつか考え、そのなかでも自分たちにとって重要になるシナリオを見つけ出すこと」と発言しています。※
ここで大切なことは未来の予測をするだけではなく、複数の予測のなかから取捨選択をしなければならないという点です。L.Wilkinsonは「シナリオ分析の失敗原因の多くはシナリオが多すぎたり、組織に合っていないシナリオを選んだりすることにある」とも発言しています。
※出典:J-stage「シナリオ分析の技法」(2025年9月29日閲覧)
よく使われるシナリオ分析の方法
「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」ということわざがありますが、自分自身を知ることは分析において非常に大切な要素です。特にシナリオ分析では自分たち組織の弱点を明確に把握する必要があります。
まず、現在すでに決まっているもの、変えられないものを把握しましょう。たとえば、現在のトレンドや今後ほぼ確実に起きる事件などです。シナリオは絞り込む必要がありますが、この時点ではできるだけ多くの既定要素を見つけた方がいいでしょう。
次に、目的を達成するためにどうすればいいのか、目標に使って突き進む要因であるドライビング・フォースを考えます。ここまでくるとシナリオがほぼ固まってくるため、それぞれのシナリオに名前を付けるようにしましょう。
誰しも目標を達成したいものなので、シナリオ分析ではついつい楽観的になったり、希望的になったりしますが、想定外のトラブルは起こり得ることです。冷静かつ客観的な視点を忘れずに「起こってほしいこと」ではなく「起こりうること」を考えることが大切です。
シナリオ分析を助けてくれる便利ツール
シナリオ分析自体はコンピューターを使わなくても考えることができますが、数字などのデータはコンピューターに入力してシナリオ分析を行うと非常にスピーディーで効率的です。
最初は少しとっつきにくく感じますが、操作は簡単で慣れるとシナリオ分析に欠かせない存在になってくれるでしょう。いくつかある分析ツールのなかでも人気の高いものを紹介します。
1. Microsoft社のExcel用のテーブル分析ツール
Excelでデータ管理をしている企業はまだまだ多いものですが、予測機能がついていることをご存知でしょうか。あらかじめデータを入力し、分析タブにある予測ボタンを押したのちに予測する列を指定し、取得したい予測の数を指定すると予測レポートが作成されます。
ただし、これだけでは数字の予測のみしかできません。より詳細なシナリオ分析はWhat Ifを使用するといいでしょう。
2. What Ifシナリオ
What Ifシナリオツールでは、既存のツールからパターンを分析した後に特定の列の変化が別の列の値に与えるための影響を評価できるツールです。予測の数はユーザーによって指定ができるため、ある程度予測を絞り込みたいときにも役立ちます。
信頼度の総合評価を下してくれたり、変更する内容を入力すると的確に分析してくれたりするのでシナリオ分析者には使用されることが多いツールです。
3. ゴールシークシナリオ
What Ifシナリオは大変便利なシナリオ分析ツールですが、目的を達成するために変更する必要点を見つけ出せない点がデメリットです。
このデメリットを解消してくれるのがゴールシークシナリオで、What Ifシナリオと一緒に使うと補助的な役割を果たしてくれます。
Excelテーブル上でゴールシークを選択し、目標値を入力し対象を指定すると分析は始まり、わずか数分で結果を報告してくれます。使い方をマスターしてWhat Ifシナリオツールと一緒に使ってみましょう。
シナリオ分析を取り入れて目標設定や戦略立案に役立てよう
シナリオ分析をすることによってこれまで気が付かなかった弱点に気付けたり、明確な目標を設定できたりします。
企業や組織のマーケティング部ではよく行われているので、売上の減少やプロジェクトの変更で悩んでいる人は参考にしてみてはいかがでしょうか。
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