ラインオブビジネス(LoB)とは?ERPとの違い・導入のメリット
目次を閉じる
LoBとは
LoBは抽象的な概念で、理解に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。ERPと意味も近いことからもしがちです。
そこで、LoBの定義やERPとの違いを紹介していきます。LoBのメリットやなども解説していくので、より詳しく知りたい方もぜひご覧になってください。
LoBシステムとは
LoBとは「Line of Business」の略で、もともとの意味は企業業務に直結するライン部門です。多角経営企業でいうところの、「事業部」にも相当します。
しかし、昨今は拡大解釈されて、「企業が業務をするうえで主要な、基幹アプリケーション」として認知されています。現在ではこちらのほうがLoBの意味としては主流となっています。
また、これらを対象としたソフトウェアによるコンピュータ運用を、総称してLoBシステムとも呼んでいます。
LoBシステムの特徴
LoBは、こうした多くの基幹業務アプリケーションを一つのシステムに統合したものが一般的です。
そして複数の従業員が、共同作業を行うことが前提となっています。
かつては、基幹業務を行う特別な端末が存在していました。
ところが、昨今は情報化が劇的に進んで情報系システムが普及し、パソコンで情報共有しつつ、基幹業務の仕事も行うスタイルが一般的となっています。
国内IT市場におけるLoB支出の現状
IT専門調査会社 IDC Japanが、IT支出について興味深いデータを発表しています。
2017年の国内IT市場においては、IT部門による支出が67.9%(7兆9562億円)に対して、LoB部門による支出が32.1%(3兆7697億円)となる見込みです。
割合的に見ると、LoB部門支出はIT部門支出の半分にも満たないですが、年間成長率においては、IT部門支出の1.3%に対して、LoB部門は3.1%と高い伸び率と予測されています。
LoB支出の割合が高い産業として、製造、小売、情報サービス、建設・土木分野などが挙げられています。
いずれもシステムや解決手段の導入については、事業部が決定権を持っていることが大きく影響したと分析しています。
LoBシステムに該当するアプリケーション
LoBに該当する基幹業務アプリケーションは多岐にわたります。その中から主なものを簡単に紹介します。
企業会計
企業における経営活動を、カネの側面から計算、報告する業務です。企業内部の利害関係者に報告する管理会計と、外部の利害関係者に報告する財務会計に大別されます。
在庫管理
在庫にも、原材料、仕掛品、製品などの区別があります。それら製品の状況や数量を管理していく業務が在庫管理です。
在庫を抱えすぎれば、当然のことながらコスト増加につながります。
しかし、逆に在庫不足になれば、サービスレベルが低下するため、バランスを取る必要があります。
これらを統合的に管理し、適正在庫などを導き出すシステムが在庫管理システムです。
在庫管理システムの具体的なものは下の記事で紹介しています。よりイメージを膨らませたい方におすすめです。
受発注管理
販売活動の一連の流れを管理する業務を販売管理と呼びますが、なかでも重要なものが受注管理と発注管理です。
受注はその名のとおり、お客さまとの正式な取引の始まりであり、販売管理業務の基本となります。
また仕入れ販売モデルの場合は、商品を販売するために原材料などを仕入れなければなりません。
受注してから仕入れる場合はシンプルですが、そうでない場合は、上述した在庫の問題が発生するためしっかり考えなければなりません。
受注管理については下の記事を参考にしてください。より詳しく説明しています。
サプライ・チェーン・マネジメント(SCM)
Supply Chain Managementの頭文字をとって、SCMで表現されることが多いです。
企業における、仕入れから販売までの各プロセスを、一つのチェーン(鎖)として捉え、全体で最適化を図るの取組みです。
原材料の供給者から、最終消費者までに至る一つひとつのプロセスにおいて、無駄のない合理的な生産を目指すことを目的としています。供給過剰や在庫過剰を防ぐことにつながるため、高収益をもたらす戦略的な経営管理手法といえます。
LoBシステム導入のメリット
LoBシステムの導入で得られるメリットについて、具体的に説明します。
経営情報の可視化
まず大きなメリットとして、情報の一元管理があげられます。
バラバラにシステムが導入されている場合は、担当者がそれぞれのシステムからデータを抜き出し、Excelなどで加工するという無駄な作業が発生します。
他方、LoBシステム導入時はこの面倒な工数を削減できます。
たとえば、ダッシュボード機能があれば、欲しいときに欲しい情報を可視化できます。リアルタイムの経営情報を手にすることで、経営者の意思決定は劇的に迅速化されて、スピード経営を実践できます。
業務の効率化・標準化
システム導入前は、手動で行っていた業務プロセスを自動化できるため、人為的ミスが大幅に減ります。
また、バラバラのシステム環境では、二重三重のデータ入力を強いられますが、LoBシステム環境では、最初に入力されたデータを最終的なシステムまで紐付けられます。
このように無駄を省くことで、業務の効率化が図れます。昨今、AI技術の進化などで、会計業務の半自動化なども実現しているため、業務における属人化を防ぐことも考えられます。
データベースの効率的な管理
販売管理やSCMの概念は、情報が分断されていては実現できません。一連の流れによってのみ実現できます。
LoBシステムは、複数から形成されていたとしても、一つのデータベースで管理できるため、効率的な管理を実現します。
また管理面とは別に、情報活用という意味でも大きなメリットをもたらします。
データベースが単一であるため、データ収集や加工に時間を取られることなく、データ分析のフェーズに移れます。
BIとの連携などにとって、高度な分析を行い経営に役立てることが可能です。
下の記事ではBIについて扱っています。BIについて知りたい方はぜひご覧ください。
LoBとERPの違い
ここまで基幹業務やそのアプリケーションとして、LoBを説明してきました。
ところで、LoBには良く似た言葉として、ERP(Enterprise Resources Planning)があります。
これらの違いはどこにあるのでしょうか。
ERPは、「ヒト・モノ・カネ」といった資源を適切に分配し、有効に活用することを意味し、ERPシステムは「統合基幹業務システム」と訳されています。ERPシステムといったときに、在庫管理システムや受発注管理システムなどが含まれるのはそのためです。
LoBもERPも概念的な表現のため、明確に違いを表現することは難しいです。
そのため、ほぼ同じ意味として使われています。
しかし、LoBシステムというように、完全にコンピュータ用語として捉えた場合は、ERPをも含む包括的なシステムを意味することが多いのが実情です。
ERPの定義や主要なシステムはこちらの記事でも紹介しています。こちらも参考にしてください。
注目のERP(基幹システム)、サービス資料まとめ
おすすめERPの資料を厳選。各サービスの料金プランや機能、特徴がまとまった資料を無料で資料請求可能です。資料請求特典の比較表では、価格や細かい機能、連携サービスなど、代表的なERPを含むサービスを徹底比較しています。ぜひERPを比較する際や稟議を作成する際にご利用ください。
企業戦略に活かせるERPパッケージ9選
最期に、代表的なERPパッケージを紹介します。LoBとERPにおいて語義は問題でありません。いずれも基幹業務システムを刷新して、企業戦略に活かすためのアプリケーションです。そのため、以下ではLoBの代わりにERPを紹介していきます。
下のボタンではERPパッケージの資料をまとめてダウンロードできます。導入を検討されているかたには特におすすめです。ご利用してみてはいかがでしょうか。
- 機能モジュール組み合わせでプロジェクト管理実現
- 部分導入可能な高コストパフォーマンス
- 充実した日本語サポートで400社以上の実績
クラウドERP ZACは、オロが提供しているクラウド型の統合型基幹業務システム(ERPパッケージ)です。自社のニーズにあわせて、いろんなモジュールを選択することでできます。モジュールとは、プロジェクト管理や在庫管理といったそれぞれのシステムを指します。
案件・プロジェクト別の収支管理を中心機能とした、企業内における業務処理および情報共有を推進します。国産ソリューションであるため、日本語サポートが充実しており、400社を超える導入実績を持っています。価格体系はモジュール単位です。
- 案件・プロジェクト別の収支を可視化
- 柔軟なライセンス体系で小規模からのスタートが可能
- IT、コンサル業中心に130社以上の実績
Reforma PSA(レフォルマ ピーエスエー)は、オロが提供しているクラウド型統合型基幹業務システム「ZAC」をスタートアップに最適化したシステムです。プロジェクト型ビジネスに特化させたPSA(Professional Services Automation)と呼ばれています。
4つの管理機能(販売管理、購買管理、勤怠・工数管理、経費管理)が統合されており、各種見える化を実現しています。IT系や広告・Web制作業・コンサルティングなどの業界に特化しています。柔軟な価格体系で、130社以上の導入実績を持っています。
- ノンプラグラミングで自由にカスタマイズ
- 誰もが使いやすい機能と洗練されたUI/UX
- 業種に合わせた7つのクラウドサービス
GEN(ジェン)は、バックオフィス業務を効率化する中小向けのクラウドERPです。
AI技術がノンプログラミングでのカスタマイズを可能にし、管理体系の変化や帳票の仕様変更も柔軟に対応できます。管理レベルは高く、運用ハードルは低くなるように複雑な仕様を一掃したことに加え、ECサイトのような親しみやすいUIを採用することで、多くのユーザーが満足する高い定着度を実現しました。現在は7つの業種にフィットするクラウドERPを提供しており、どんな業種でもほぼ思いどおりに利用できます。
キャムマックス
- 販売・購買・在庫・EC・店舗・財務会計を一元管理
- 幅広い業界・業種に導入された豊富な実績
- 初期コスト不要で低額の月額利用料
キャムマックスは、キャムが提供しているクラウド・SaaS型 ERP(基幹業務システム)です。充実した機能に高い操作性が特徴で、カスタマイズも可能です。
クラウド型のため、初期費用は不要で、かつ価格体系もライトプラン、プレミアムプランの2種類が用意されており、小規模から始めることも可能です。もちろん企業の成長に合わせてシステム拡張も柔軟に実現できます。完全自社開発のため、日本独自仕様の機能拡張についても期待が持てます。
- 低コストを実現するフルオープンソース
- ERPとしての一連の機能実装済み
- グローバル対応済み
iDempiereは、ネオシステムが提供しているERPソフトです。一般的なERPパッケージと異なり、すべてオープンソースのため、比較的低価格での導入・運用が可能です。
購買管理、在庫管理、販売管理、生産管理、会計管理、顧客管理などなどERPとして一通りの機能を網羅しており、必要な機能を選択して利用できます。グローバル対応(多言語対応、多通貨対応)されていることもあって、世界中で利用されています。
Odoo
Odooは、世界で支持されているクラウド型オープンソースERPです。豊富な機能に加えて、操作性、拡張性、保守性の各面でも優れており、圧倒的なコストパフォーマンスを実現します。
オープンソースの中でも、コミュニティ活性度が高く、将来性も見込めます。78の言語、169の通貨に対応していることもあって、50,000社以上の導入実績を持っています。ERPとしてのカバー領域を超えて、CMSやEコマースなど幅広いニーズに応える事ができます。
GRANDIT
- 各社の技術を集結させたコンソーシアム方式ERP
- 優れた操作性を実現する完全Web-ERP
- 10モジュールの組み合わせによる導入
GRANDITは、GRANDITが提供する統合基幹システム(ERPパッケージ)です。日本人の豊かな知性と感性をいかし、日本の企業文化に適合させて生み出されたERPです。
Microsoft.NET Frameworkを採用しており、基幹業務の特性を徹底的に追求した、従来のクライアント・サーバーシステムをはるかに超える操作性と運用性を完全Webで実現しています。経理、債権、債務、販売、調達、在庫、製造、人事、給与、資産管理、経費の計10個から構成されており、多言語、他通貨対応済みです。
OBIC7
- 圧倒的に豊富なERPソリューションラインナップ
- 15年連続累計導入社数No.1の実績
- ワンストップソリューションサービス提供
OBIC7は、オービックが提供している統合業務ソフトウェアです。会計を中心に豊富なラインナップがあり、経営の根幹を担う各システムとの緻密な連携により、迅速かつ正確な情報分析・経営判断をサポートします。
創業以来約50年にわたり、業界問わず19,000社以上の実績と手法を解決方法に活かしており、ERP累計導入社数15年連続No.1を誇ります。自社開発にこだわり、開発、サポートまでを自社一貫で提供するワンストップサービスを提供しています。
Microsoft Dynamics NAV
- Dynamics製品群のERPパッケージ
- Microsoft Officeとの密な連携が可能
- IFRS対応機能で全世界12万社に導入
Microsoft Dynamics NAVは、Microsoft Dynamicsシリーズの一製品で、マイクロソフトが提供しているERPソリューションです。
豊富な機能群、多言語、多通貨、IFRS対応機能を備え複数拠点展開に適している点からもわかるよう、シンプルなデザインでありながらも高い機能性を備えたERPパッケージといえるでしょう。その結果、全世界12万社以上に採用されています。Office製品との親和性が高く、ERP導入による全体最適化と、Office 365の活用による現場レベルでの業務改善を同時に実現します。
また、こちらからはERPの人気ランキングや、各種サービスの評判・口コミをチェックできます。あわせてご覧ください。
自社の業務システムを見直して、LoBシステム導入を検討
LoBが基幹業務やそのアプリケーションを意味すること、その刷新によるメリットがいくつもあることを紹介してきました。刷新の目的は、スピード感のある経営の実現であり、大競争化時代を勝ち抜くことです。
かつては専用端末で操作していた基幹系システムも、クラウド型ERPパッケージの登場などにより大きく様変わりしています。もちろん、システムを導入するだけでは全く効果がありません。
まずは、LoBのプロセスを今一度見直し、どこに問題点があるのかを見出すことが必要です。そのうえで、自社にとって最適なシステム選択をしなければ、業務効率の先にある経営革新は達成できません。
BOXILとは
BOXIL(ボクシル)は企業のDXを支援する法人向けプラットフォームです。SaaS比較サイト「BOXIL SaaS」、ビジネスメディア「BOXIL Magazine」、YouTubeチャンネル「BOXIL CHANNEL」を通じて、ビジネスに役立つ情報を発信しています。
BOXIL会員(無料)になると次の特典が受け取れます。
- BOXIL Magazineの会員限定記事が読み放題!
- 「SaaS業界レポート」や「選び方ガイド」がダウンロードできる!
- 約800種類のビジネステンプレートが自由に使える!
BOXIL SaaSでは、SaaSやクラウドサービスの口コミを募集しています。あなたの体験が、サービス品質向上や、これから導入検討する企業の参考情報として役立ちます。
BOXIL SaaSへ掲載しませんか?
- リード獲得に強い法人向けSaaS比較・検索サイトNo.1※
- リードの従量課金で、安定的に新規顧客との接点を提供
- 累計1,200社以上の掲載実績があり、初めての比較サイト掲載でも安心
※ 日本マーケティングリサーチ機構調べ、調査概要:2021年5月期 ブランドのWEB比較印象調査