SPIとは?結果から判断できること・導入ポイントと事例
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- 適性検査「SPI」とは何なのか
- 適性検査「玉手箱」との違い
- SPIを人材採用に導入する目的
- 企業と受検者との相性を診断できる
- 客観的な基準で評価ができる
- ポテンシャルの発見ができる
- 面接に備えて人物像を理解する
- SPIの内容
- 性格検査
- 能力検査
- SPIにおける能力検査の内容
- 言語分野
- 非言語分野
- 英語能力検査
- 構造的把握能力検査
- SPIの受験形式
- テストセンター
- Webテスト
- ペーパーテスト
- インハウスCBT
- SPIを人事採用に導入している企業
- フジワラテクノアート
- オートビジネスサービス
- 武蔵商事
- ワシントンホテル
- 塩浜工業
- 黒崎産業
- 沖縄ワタベウェディング
- 海外企業が行う人事採用の仕方
- 海外企業が見る採用のポイント
- 日本企業が見る採用のポイント
- 海外企業と日本企業の差異
- 欲しい人材の確保のために
- BOXILとは
適性検査「SPI」とは何なのか
SPIとは「Synthetic Personality Inventory(総合適性検査)」の略で、名前のとおり適性検査の1つです。40年以上にわたりサービスが提供されており、新卒採用・中途採用問わず、中小企業から大企業まで多くの企業に取り入れられてきました。
SPIには高卒採用対象テスト「SPI3-H」や、大卒採用対象テスト「SPI3-U」などの種類があり、ニーズに合わせて実施されています。
適性検査「玉手箱」との違い
「玉手箱」もSPIと同じく就職活動で利用されている適性試験ですが、テストの難易度や出題される問題数に大きな違いがあります。SPIで出題されるのは、基本的に中学や高校レベル程度の問題ですが、玉手箱はSPIよりも高難易度であるのが特徴です。
また玉手箱は15分で32問、9分で50問のようにSPIより出題数が多いうえに制限時間も短いため、短時間で問題を解く能力が求められます。
SPIを人材採用に導入する目的
SPIを実施する意味や目的としては、面接やエントリーシートでは見えにくい応募者との相性が確認できることや、面接官の主観に依存しない客観的な基準が得られることなどが挙げられます。
企業と受検者との相性を診断できる
SPIには性格検査があり、これを利用することで企業と受検者との相性を診断できます。性格検査は、面接だけではわからない応募者の性格や人となりを理解できるのが魅力です。
もちろん面接でも人柄は把握できますが、どのような応募者でもたった数十分程度の面接では当たり障りのない回答をする傾向があり、印象をよくするための雰囲気づくりを心がけます。しかしSPIを受ければうわべの要素が排除され、内面の部分にも踏み込んで、ある程度「本質」を理解できるようになります。
これにより、自社の社風との相性が判断できるため採用のミスマッチを防止し、自社で長く働いていてくれる人材を安定的に採用しやすくなるでしょう。採用現場でありがちな、即戦力として採用するも周囲となじめずすぐに辞めてしまうといったリスクを軽減できます。
客観的な基準で評価ができる
SPIには採用企業側の思い込みを排除し、できるだけ客観的な観点から評価できるのがメリットです。面接の実施のみでは、どうしても面接者の主観が入ってしまい、採用に偏りが生じる危険性もあります。
しかしSPIは非対面であり、運営が定めた基準に則って評価されるため、たとえ採用担当が変更されても、応募者を同じ基準で平等に評価できます。そのためSPIを導入すれば、採用側と応募者の双方が納得できる採用を実現できるでしょう。
ポテンシャルの発見ができる
受検者の知的能力と性格を大まかに把握すれば、どのような強みや弱みをもっているのか、仕事への適正はどうかといった、採用にとって極めて重要なポテンシャルを客観的に判断できます。
応募者にたとえ弱点があったとしても、それを補うほどの強みをもっている場合、それが自社の理想とする人材にマッチしているならば採用したいと考える人事担当者は多いはずです。そういった適性を把握できることにより、採用後のフォローや、配置場所の参考にできます。
またSPIの結果を配属先の上司に渡すことで、配属前に人となりを理解し、最適な人材育成に取り組めるでしょう。
面接に備えて人物像を理解する
応募者にSPI試験を受けてもらい、結果を把握することで、面接の前に大まかな人物像を理解できるのも魅力です。SPIは基本的に面接を行う前の早い段階で実施されるため、これらの結果を面接にも反映できます。
事前にSPIの結果を見れば客観的なデータや分析結果で人物像が理解でき、これをもとに質問を行えば人物をさらに掘り下げられます。面接はわずか数十分のなかで評価を行うため、事前に人物をあらかじめ理解できれば、基本的な質問を省略し、より深く応募者を理解できるでしょう。
SPIの内容
SPIは、大まかに「性格検査」と「能力検査」の2種類にわかれます。それぞれの特徴について紹介します。
性格検査
性格検査は受検者の人となりを確認するための検査です。受検者が日常的にどのような考え方にもとづいて行動しているか、どのような価値観をもっているかなどを、多角的に把握するためのものです。
具体的には、さまざまな状況を想定した質問とともに2つの選択肢が提示され、どちらが自分の考えに当てはまるのかを選択します。
これは得点が高ければ高いほどよい、といったたぐいの試験ではありません。高い場合と低い場合でそれぞれに性格的な特徴があり、受検者の性格を判断するための指標です。
能力検査
能力検査は、受検者の基礎的な能力を客観的に測るものです。
問題で問われていることを正しく理解し、適切かつ効率的に回答を導き出せるかを試します。つまり、目の前の問題をどういうプロセスで考えれば効率的に処理できるか、問題解決能力を確認する検査です。
問題は主に「言語分野(国語)」と「非言語分野(数学)」の2種類があります。言語分野では、文章の読解力や文法・言葉の理解力などが求められ、非言語分野では数的処理能力や、理論的思考力を求められるのが特徴です。
企業は、検査の結果が自社の求める水準に達しているかを確認し、選考を行います。ただし求める水準は企業それぞれで、合格のボーダーラインも企業によって大幅に異なります。
SPIにおける能力検査の内容
能力検査ではメインとして「言語分野」と「非言語分野」があり、オプションとして「英語能力検査」や「構造的把握能力検査」の科目をテストすることもあります。それぞれの科目で問題数が何問か、何分かかるかなどを紹介します。
言語分野
言語分野とは、簡単にいえば国語の問題が出題される分野です。言葉の意味や話の趣旨が理解できるかが問われ、「二語の関係(2つの語句と同じ関係にある語句を選ぶ問題)」や、「文章整序(文章の並べ替え問題)」などが出題されます。
どういった形式でテストを受けるかにもよりますが、基本的には40問程度が出題され、これを30分程度で解きます。
非言語分野
非言語分野とは、論理や数学の問題が出題される分野です。数的処理や論理的思考力が問われ、単純な計算問題から、「推論」と呼ばれる図表の情報から正確な順番や内訳を導き出す問題まで、幅広く出題されます。
ただし、非言語分野は基本的に中学生レベルの問題しか出題されないため、難易度はそこまで高くはありません。問題数は30問程度で時間は30分程度ですが、問題を解くのに時間がかかりやすいため、ペース配分には注意が必要です。
英語能力検査
英語能力検査は主に基本的な語彙力や文法の理解力が問われ、同意語・反意語の選択問題や長文読解、和文英訳などが出題されます。外資系企業や総合商社といった、業務で英語を使う機会の多い企業が利用する検査です。
レベルは高卒程度であるため、難易度は高めです。問題数は読解力を多角的に測定するため30問程度あり、これを20分程度で解きます。
構造的把握能力検査
構造的把握能力検査は、ものごとの背後にある共通性や関係性を理解し、構造的に把握する力やものごとの本質をとらえる力が問われる検査です。与えられた情報の構造や全体像を自身の観点からとらえ直し、共通点を見つけて解決策を出すような問題が出題されます。
コンサルティング企業や総合商社、広告代理店といった難関企業で出題されやすく、テストセンターのみで出題されるのも特徴です。テストセンターの詳細については後述します。問題数は20問程度で、これを20分程度で解きます。
SPIの受験形式
SPIは企業のニーズに合わせて、「テストセンター・Webテスト・ペーパーテスト・インハウスCBT」の、4つの形式から選択できます。それぞれの特徴や何分かかるかなどについて、詳しく紹介します。
テストセンター
- 会場:リクルートの運営する専用会場(オンライン会場もあり)
- 受験形式:パソコン
- 回答形式:選択式
- かかる時間:65分(能力検査35分・性格検査30分)
SPIを提供するリクルートマネジメントソリューションズは、SPIを受けるための専用会場を運営しており、ここに備えつけられたパソコンで受験する形式です。最もよく利用される形式であり、企業は検査終了後すぐに結果をダウンロードできます。
企業が指定する受検期間のなかで、受検者の都合がつく日時・会場を選択・予約して、試験日当日会場へ行ってテストを受けます。企業は会場の準備が不要で、面接の前にSPIの結果がしっかり確認可能です。またテストセンターで受験した結果は、1年以内であれば別の企業へ使いまわしもできます。
Webテスト
- 会場:自宅や学校
- 受験形式:パソコン
- 回答形式:記述式
- かかる時間:65分(能力検査35分・性格検査30分)
Webテストとは、自宅や学校にあるパソコンからオンラインでテストを受ける形式です。URLをメールで送り、そこから受検者がアクセスして受検期間内にテストを受けます。テストを受ける場所に制限はありませんが、テストがスムーズに受けられるようインターネット環境には注意しましょう。
またスマホからの受検が認められておらず、テスト中電卓が使えるのも特徴です。企業はテスト完了後すぐに結果をダウンロードできます。テストセンターと同じく企業の負担が軽減できるうえ、受検者は移動する必要がなく、自由な時間に受検できます。
ペーパーテスト
- 会場:企業が用意した会場
- 受験形式:紙
- 回答形式:マークシート
- かかる時間:100分(能力検査70分・性格検査30分)
ペーパーテストは、応募した企業が用意した会場へ受検者が赴き、マークシート式で紙のテストを受ける形式です。ほかの方法よりも所要時間が長く、能力検査は言語分野が30分・40問、非言語分野は40分・30問であるのが特徴です。
企業は会場を用意する必要はありますが、応募者が受検する様子を監視でき、面接とSPIの受検をまとめられるメリットがあります。ただし、記入したマークシートは採点物流センターに郵送され採点されるため、結果をダウンロードするまでに時間がかかります。
インハウスCBT
- 会場:企業が用意した会場
- 受験形式:パソコン
- 回答形式:マークシート
- かかる時間:65分(能力検査35分・性格検査30分)
インハウスCBTは、企業が会場とパソコンを用意し、マークシート式で受検する形式です。形式はペーパーテストとほぼ変わりませんが、結果がすぐにダウンロードできるのが大きな違いです。これにより、採用面接前にSPIの結果が確認できるため、既存の採用選考フローをほぼ変えることなく、選考を1日にまとめられます。
ただし、現在インハウスCBTを導入している企業は非常に少なく、基本的には上記の3つの形式で受検が行われています。
SPIを人事採用に導入している企業
続いて、実際にSPIを人事採用で使う企業を紹介します。
フジワラテクノアート
SPIを導入した理由
醤油や味噌、清酒など醸造食品の醸造機械や、建築・製造設備のトータルエンジニアリングを手がけるフジワラテクノアートでは、独自のテストで応募者の知識や適正を測っていました。そしかし点数の高さと活躍できる人材の間にギャップがあり、これが課題でした。
導入した結果
そこでSPIを導入した結果、面接の際にSPIの結果を参考にしながら質問できるようになり、一人ひとりの性格的特徴を押さえた採用が可能になりました。とくに採用前の時点で、応募者の強みと弱みを把握できる点が重宝しているとのことです。
オートビジネスサービス
SPIを導入した理由
車両管轄業務のアウトソーシングを行うオートビジネスサービスでは、定期的な中途採用の必要から、効率的かつ的確な合否判断をするため、明確な基準を設けたいといったニーズがありました。
導入した結果
そこでSPIを導入した結果自社で活躍する人材の特徴がわかり、組織との相性もチェックできるようになりました。また採用した人材がある程度育ったあと、もう一度採用時に受けてもらったSPIを見直してもらうことで、このときには見えていなかった特徴がわかるようになったそうです。
武蔵商事
SPIを導入した理由
不動産の開発と賃貸を手がける武蔵商事では、採用の際にこれまでSPI以外の学力テストを実施していましたが、結果が読み取りにくく活用できていませんでした。そのため採用に必要な情報を、網羅的に確認できるテストを必要としていました。
導入した結果
そこでSPIを導入したところ結果から応募者の人柄が把握できるようになり、これを面接官に面接支援報告書として配布し、これをもとに質問できるようになりました。これによってイメージする人物像と本人とのギャップをなくし、安定した人材の確保が可能になりました。
ワシントンホテル
SPIを導入した理由
ワシントンホテルでは、これまで他社の性格テストを採用の参考にしていましたが、結果のバリエーションが少なかったため参考にならず、応募者の人となりを分析できるテストが必要でした。
導入した結果
そこでSPIを採否の参考にしたところ、一人ひとりにフィットする結果が得られ、配置や配属の基準にしたり、入社後のフォローに利用したりできるようになりました。今後は人事施策とSPIをつなげる仕組みづくりがしたいと話しています。
塩浜工業
SPIを導入した理由
大型建造物からトンネルや道路、商業施設などの設計、施工を手がける塩浜工業では、これまでSPI以外の適性検査を行っていました。しかし結果がタイムリーに得られず、わかりにくいことに不満を感じていました。
導入した結果
そこでSPIを導入したところ、最終面接で役員がSPIの結果を参照しながら質問できるようになり、自社の求める適性にマッチした人材の採用が可能になりました。またSPI導入後は、入社後の評価が高くなる人材も増えたそうです。
黒崎産業
SPIを導入した理由
建装資材販売やアスファルト舗装、デイサービスなど多角的に事業を展開する黒崎産業では、新しく事業を始めるうえで、はじめて新卒採用を実施すると決まりました。そのため、応募者の評価するための、頼れるツールを必要としていました。
導入した結果
そこでSPIを面接時の掘り下げ質問の基準としたところ、履歴書では必ずしも明らかにならない学生の本質が把握できるようになりました。また社員が新卒採用に対する関心をもってもらうためのツールとしても役に立ったそうです。
沖縄ワタベウェディング
SPIを導入した理由
沖縄でリゾートウェディングを手がける沖縄ワタベウェディングでは、面接時の会話のみではわからない、応募者の内面的な部分を把握するための指針を必要としていました。
導入した結果
そこでSPIを導入したところ、面接時の印象とギャップのある応募者に対しても、本質を引き出す質問が可能になりました。また人事から配属先へ情報を引き継ぐ際も、客観的で食い違いのない報告ができるようになったそうです。現在は、新卒採用だけではなく中途採用でもSPIを積極的に活用しています。
海外企業が行う人事採用の仕方
最後に、海外の企業が一般的に行っている採用方法について紹介します。日本における人材採用のポイントと比較することで、本当にSPIが欲しい人材を手に入れるためのベストな選択かどうか、検討してください。
海外企業が見る採用のポイント
欧米やアジア諸国では主に、必要な仕事に対して適応する人間を、組織の内外から広く受け入れるジョブ型の採用が一般的です。近年では日本でも、ジョブ型採用を取り入れる企業が現れています。
ジョブ型は「この業務には○○のスキルや適性をもつ人材が必要だ」と判断したら、その都度募集をかけて採用し、然るべき給与を与えて働いてもらのが特徴です。
また与える仕事(ジョブ)を基準として人材を採用し、そのポジションの仕事が必要なくなったら、その人材を解雇して辞めてもらいます。
解雇される側も、同じスキルや適性を必要としている企業に移ればよいと考えるため、日本における「リストラ」のように、社会問題化することはあまりありません。雇用側も被雇用側もそういった価値観を共有しているからです。
日本企業が見る採用のポイント
一方で日本の企業では、いわゆる年功序列や新卒での一括採用が現在も一般的に行われています。年功序列は見直しを図っている企業も多くありますが、基本的には大学新卒でスキルのない若者を一括で採用し、職務に必要な教育を行うメンバーシップ型の採用がほとんどです。
メンバーシップ型の対義語は、仕事に必要なスキルや特性をもっているかといったジョブ型の採用です。
ジョブ型の採用ポイントに対して、メンバーシップ型では人材の将来的なポテンシャルが重視され、自社で長く働いてもらうことを基準に採用を行います。
海外企業と日本企業の差異
こういった日本の採用基準に対しては、これまでさまざまな批判がある一方、企業や人材によってはメリットが大きいと擁護する声もあります。
日本が人材の将来的ポテンシャルに注目し、長期にわたって伸びそうな人材を育てるスタンスなのに対し、海外ではすでにスキルがある人材を任意のタイミングで組織に迎える方法が長く続けられています。
どちらのスタンスをとるべきかは、企業のポリシーやビジネス環境によって変わってくるでしょう。
SPIは人材の適性を見極める意味で、どちらの採用スタンスでも活用できるツールです。ただしあくまで「手段」であるため、自社にとって理想的な採用基準、採用プロセスはどういったものかをしっかりと検討してください。
欲しい人材の確保のために
多くの企業が採用プロセスに導入しているSPIについて、実際の導入事例とともに説明しました。
欲しい人材を安定的に確保するためには、自社に合った採用基準や採用プロセスを発見することが最も重要です。すでに説明したように、SPIには多くのメリットがあり、正しく活用すれば理想的な人材採用をサポートしてくれる強力なツールとなるでしょう。
ただし、SPIあくまでも手段でしかないため、まずは自社の採用ポリシーを明確にし、そのために最適な方法は何かを模索してください。そのうえで、本当に必要だと判断したならば、SPIを積極的に使っていくとよいでしょう。
BOXILとは
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