SPIとは?結果から判断できること・導入ポイント

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BOXIL Magazine編集部

適性検査のサービス一覧

SPI試験とは、人材採用の際に行われる適性検査のための試験です。応募者の性格や能力を確認する方法としてよく知られています。SPI試験を実施することで本当に理想の人材を選定できるのか、メリットもあわせて解説します。現在、SPIの導入を検討している企業の方はぜひお読みください。

適性検査には多くの種類があり「どれを選べばいいか」迷いますよね。後から知ったサービスの方が適していることもよくあります。導入の失敗を避けるためにも、まずは各サービスの資料をBOXILでまとめて用意しましょう。
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適性検査「SPI」とは何なのか

SPIとは「Synthetic Personality Inventory(総合適性検査)」の略で、その名のとおり適性検査のひとつです。

40年以上にわたりサービスが提供されており、新卒採用・中途採用問わず、中小企業から大企業まで多くの企業に取り入れられてきました。

SPIには高卒採用対象テスト「SPI3-H」や、大卒採用対象テスト「SPI3-U」など、さまざまな種類があり、企業のニーズに応じて実施されています。

そもそも適性検査とは?
適性検査とは、受検者の人柄と仕事への適性、組織へのなじみやすさなどを測定するための試験です。就職みらい研究所が2024年卒の採用・就職活動を調査した結果によれば、企業が入社試験で「適性検査・筆記試験」を実施した割合は87.2%であり、ほぼ9割の企業が導入しています。

※出典1:リクルート「就職みらい研究所『就職白書2024』」(2025年7月24日閲覧)

SPIを人材採用に導入する目的

SPIを実施する意味や目的としては、面接やエントリーシートでは見えにくい応募者との相性が確認できることや、面接官の主観に依存しない客観的な基準が得られることなどが挙げられます。

企業と受検者との相性を診断できる

SPIには性格検査があり、これを利用することで企業と受検者との相性を診断できます。性格検査は、面接だけではわからない応募者の性格や人となりを理解できるのが魅力です。

もちろん面接でも人柄は把握できますが、どのような応募者でもわずか数十分程度の面接では当たり障りのない回答をする傾向があり、印象をよくするための雰囲気づくりに努める傾向があります。

しかし、SPIを受ければうわべの要素が排除され、内面の部分にも踏み込んで、ある程度「本質」を理解できるようになります。

これにより、自社の社風との相性が判断できるため採用のミスマッチを防止し、自社で長く活躍してくれる人材を安定的に採用しやすくなるでしょう。

採用現場でありがちな、即戦力として採用するも周囲となじめず、すぐに辞めてしまうといったリスクを軽減できます。

客観的な基準で評価ができる

SPIのメリットは、採用企業側の思い込みを排除し、できるだけ客観的な観点から評価できる点にあります。

面接の実施のみでは、どうしても面接者の主観が入ってしまい、採用に偏りが生じる危険性もあります。

しかし、SPIは非対面であり、運営が定めた基準に則って評価されるため、たとえ採用担当が変更されても、応募者を同じ基準で平等に評価できます。

そのため、採用側と応募者の双方が納得できる採用を実現できるでしょう。

ポテンシャルの発見ができる

受検者の知的能力と性格を大まかに把握すれば、どのような強みや弱みをもっているのか、仕事への適性はどうかといった、採用にとって極めて重要なポテンシャルを客観的に判断できます。

応募者にたとえ弱点があったとしても、それを補うほどの強みをもっている場合、それが自社の理想とする人材にマッチしているならば採用したいと考える人事担当者は多いはずです。

そういった適性を把握できることにより、採用後のフォローや、配置場所の参考にできます

またSPIの結果を配属先の上司に渡すことで、配属前に人となりを理解し、最適な人材育成に取り組めるでしょう。

面接に備えて人物像を理解する

応募者にSPI試験を受けてもらい、結果を把握することで、面接の前に大まかな人物像を理解できるのも魅力です。SPIは基本的に面接を行う前の早い段階で実施されるため、これらの結果を面接にも反映できます。

事前にSPIの結果を見れば客観的なデータや分析結果で人物像が理解でき、これをもとに質問を行えば人物をさらに掘り下げられます。

面接はわずか数十分のなかで評価を行うため、事前に人物像をあらかじめ把握できていれば、基本的な質問を省略し、より深く応募者を理解できるでしょう。

SPIの導入がおすすめの企業

SPIは、企業と応募者のマッチング精度を高めたい場合に有効なツールです。SPIの導入がとくに効果を発揮しやすい企業の特徴を紹介します。

採用のミスマッチを減らしたい企業

新卒採用で内定辞退が多い企業や、入社後すぐに離職するケースが目立つ企業は、採用時のミスマッチに課題を抱えている可能性があります。

とくに人柄重視で採用しているものの、実際には職場になじめなかったり、業務に適応できなかったりする事例も少なくありません。

SPIの性格検査を活用することで、応募者が持つ価値観や働き方の傾向を可視化できます。企業の風土との相性を客観的に把握できるため、ミスマッチを防ぐ手段として有効です。

応募者のポテンシャルを重視したい企業

実務経験が浅い新卒や第二新卒を対象に採用活動を行っている企業では、過去の実績よりも将来的な成長力を見極めることが求められます。

学歴や面接での印象だけでは、潜在能力を正確に判断するのは難しい場面もあるでしょう。

SPIでは、論理的思考力や言語理解力を測定する能力検査が用意されています。数値で表された結果をもとに、応募者のポテンシャルを客観的に評価できるため、将来性を重視した採用にも適しています。

面接だけでは人物像をつかみにくいと感じている企業

短時間の面接では、応募者の本質的な性格や行動特性まで把握しきれないかもしれません。とくに一部の応募者は面接対策が上手で、表面的な印象だけで評価が左右されやすい課題もあります。

SPIを併用することで、性格面の傾向や仕事への適応力など、面接だけでは得られない情報を補えます。

選考のバランスを整えたい企業にとって、有効なサポートツールとなるでしょう。

SPIの内容

SPIは、大まかに「性格検査」と「能力検査」の2種類に分かれます。それぞれの特徴について紹介します。

性格検査

性格検査は受検者の人となりを確認するための検査です。受検者が日常的にどのような考え方にもとづいて行動しているか、どのような価値観をもっているかなどを、多角的に把握します。

具体的には、さまざまな状況を想定した質問とともに2つの選択肢が提示され、どちらが考えに当てはまるのかを選択します。

これは得点が高ければ高いほどよい、という試験ではありません。高い場合と低い場合でそれぞれに性格的な特徴があり、受検者の性格を判断するための指標です。

能力検査

能力検査は、受検者の基礎的な能力を客観的に測るものです。

問題で問われていることを正しく理解し、適切かつ効率的に回答を導き出せるかを試します。つまり、目の前の問題をどういうプロセスで考えれば効率的に処理できるか、問題解決能力を確認する検査です。

問題は主に「言語分野(国語)」と「非言語分野(数学)」の2種類があります。言語分野では、文章の読解力や文法・言葉の理解力などが求められ、非言語分野では数的処理能力や、理論的思考力を求められるのが特徴です。

企業は、検査の結果が自社の求める水準に達しているかを確認し、選考を行います。ただし求める水準は企業それぞれで、合格のボーダーラインも企業によって大幅に異なります。

SPIにおける能力検査の内容

能力検査ではメインとして「言語分野」と「非言語分野」があり、オプションとして「英語能力検査」や「構造的把握能力検査」の科目をテストすることもあります。それぞれの科目で問題数が何問か、何分かかるかなどを紹介します。

言語分野

言語分野とは、簡単にいえば国語の問題が出題される分野です。言葉の意味や話の趣旨が理解できるかが問われ、「二語の関係(2つの語句と同じ関係にある語句を選ぶ問題)」や、「文章整序(文章の並べ替え問題)」などが出題されます。

どういった形式でテストを受けるかにもよりますが、基本的には40問程度が出題され、これを30分程度で解きます。

非言語分野

非言語分野とは、論理や数学の問題が出題される分野です。数的処理や論理的思考力が問われ、単純な計算問題から、「推論」と呼ばれる図表の情報から正確な順番や内訳を導き出す問題まで、幅広く出題されます。

ただし、非言語分野は基本的に中学生レベルの問題しか出題されないため、難易度はそこまで高くはありません。

問題数は30問程度で時間は30分程度ですが、問題を解くのに時間がかかりやすいため、ペース配分には注意が必要です。

英語能力検査

英語能力検査は主に基本的な語彙力や文法の理解力が問われ、同意語・反意語の選択問題や長文読解、和文英訳などが出題されます。外資系企業や総合商社といった、業務で英語を使う機会の多い企業が利用する検査です。

レベルは高卒程度ですが、難易度は高めです。問題数は読解力を多角的に測定するため30問程度あり、これを20分程度で解きます。

構造的把握能力検査

構造的把握能力検査は、物事の背後にある共通性や関係性を理解し、構造的に把握する力や物事の本質をとらえる力が問われる検査です。与えられた情報の構造や全体像を自身の観点から捉え直し、共通点を見つけて解決策を出すような問題が出題されます。

コンサルティング企業や総合商社、広告代理店といった難関企業で出題されやすく、テストセンターのみで出題されるのも特徴です。テストセンターの詳細については後述します。問題数は20問程度で、これを20分程度で解きます。

SPIの受験形式

SPIは企業のニーズに合わせて、テストセンター・Webテスト・ペーパーテスト・インハウスCBTの、4つの形式から選択できます。それぞれの特徴や何分かかるかなどについて、詳しく紹介します。

テストセンター

  • 会場:リクルートマネジメントソリューションズの運営する専用会場(オンライン会場もあり)
  • 受験形式:パソコン
  • 回答形式:選択式
  • かかる時間:65分(能力検査35分・性格検査30分)

SPIを提供するリクルートマネジメントソリューションズは、SPIを受けるための専用会場を運営しており、ここに備えつけられたパソコンで受験する形式です。最もよく利用される形式であり、企業は検査終了後すぐに結果をダウンロードできます。

企業が指定する受検期間のなかで、受検者の都合がつく日時・会場を選択・予約して、試験日当日会場へ行ってテストを受けます。

企業は会場の準備が不要で、面接の前にSPIの結果がしっかり確認可能です。また、テストセンターで受験した結果は、1年以内であれば他の企業にも利用できます。

Webテスト

  • 会場:自宅や学校
  • 受験形式:パソコン
  • 回答形式:記述式
  • かかる時間:65分(能力検査35分・性格検査30分)

Webテストとは、自宅や学校にあるパソコンからオンラインでテストを受ける形式です。

URLをメールで送り、そこから受検者がアクセスして受検期間内にテストを受けます。テストを受ける場所に
制限はありませんが、テストがスムーズに受けられるようインターネット環境には注意しましょう。

またスマートフォンからの受検が認められておらず、テスト中電卓が使えるのも特徴です。企業はテスト完了後すぐに結果をダウンロードできます。

テストセンターと同じく企業の負担が軽減できるうえ、受検者は移動する必要がなく、自由な時間に受検できます。

ペーパーテスト

  • 会場:企業が用意した会場
  • 受験形式:紙
  • 回答形式:マークシート
  • かかる時間:100分(能力検査70分・性格検査30分)

ペーパーテストは、応募した企業が用意した会場へ受検者が赴き、マークシート式の紙のテストを受ける形式です。

ほかの方法よりも所要時間が長く、能力検査は言語分野が30分・40問、非言語分野は40分・30問であるのが特徴です。

企業は会場を用意する必要はありますが、応募者が受検する様子を監視でき、面接とSPIの受検をまとめられるメリットがあります。

ただし、記入したマークシートは採点物流センターに郵送され採点されるため、結果をダウンロードするまでに時間がかかります。

インハウスCBT

  • 会場:企業が用意した会場
  • 受験形式:パソコン
  • 回答形式:マークシート
  • かかる時間:65分(能力検査35分・性格検査30分)

インハウスCBTは、企業が会場とパソコンを用意し、マークシート式で受検する形式です。形式はペーパーテストとほぼ変わりませんが、結果がすぐにダウンロードできる点が大きな違いです。

これにより、採用面接前にSPIの結果が確認できるため、既存の採用選考フローをほぼ変えることなく、選考を1日にまとめられます。

ただし、現在インハウスCBTを導入している企業は非常に少なく、基本的には上記の3つの形式で受検が行われています。

海外企業が行う人事採用の仕方

最後に、海外の企業が一般的に行っている採用方法について紹介します。日本における人材採用のポイントと比較することで、本当にSPIが欲しい人材を手に入れるためのベストな選択かどうか、検討してください。

海外企業が見る採用のポイント

欧米やアジア諸国では主に、必要な仕事に対して適応する人間を、組織の内外から広く受け入れるジョブ型の採用が一般的です。近年では日本でも、ジョブ型採用を取り入れる企業が現れています。

ジョブ型は「この業務には○○のスキルや適性をもつ人材が必要だ」と判断したら、都度募集をかけて採用し、しかるべき給与を与えて働いてもらうのが特徴です。

また与える仕事(ジョブ)を基準として人材を採用し、ポジションの仕事が必要なくなったら、人材を解雇して辞めてもらいます。

解雇される側も、同じスキルや適性を必要としている企業に移ればよいと考えるため、日本における「リストラ」のように、社会問題化することはあまりありません。雇用側も被雇用側もそういった価値観を共有しているからです。

日本企業が見る採用のポイント

一方で日本の企業では、いわゆる年功序列や新卒での一括採用が現在も一般的に行われています。
年功序列は見直しを図っている企業も多くありますが、基本的には大学新卒でスキルのない若者を一括で採用し、職務に必要な教育を行うメンバーシップ型の採用がほとんどです。

メンバーシップ型の対義語は、仕事に必要なスキルや特性をもっているかといったジョブ型の採用です。

ジョブ型の採用ポイントに対して、メンバーシップ型では人材の将来的なポテンシャルが重視され、自社で長く働いてもらうことを基準に採用を行います。

海外企業と日本企業の差異

こういった日本の採用基準に対しては、これまでさまざまな批判がある一方、企業や人材によってはメリットが大きいと擁護する声もあります。

日本が人材の将来的ポテンシャルに注目し、長期にわたって伸びそうな人材を育てるスタンスなのに対し、海外ではすでにスキルがある人材を任意のタイミングで組織に迎える方法が長く続けられています。

どちらのスタンスをとるべきかは、企業のポリシーやビジネス環境によって変わってくるでしょう。

SPIは人材の適性を見極める意味で、どちらの採用スタンスでも活用できるツールです。ただしあくまで「手段」であるため、自社にとって理想的な採用基準、採用プロセスはどういったものかをしっかりと検討してください。

欲しい人材の確保のために

多くの企業が採用プロセスに導入しているSPIについて、実際の導入事例とともに説明しました。

欲しい人材を安定的に確保するためには、自社に合った採用基準や採用プロセスを発見することが最も重要です。すでに説明したように、SPIには多くのメリットがあり、正しく活用すれば理想的な人材採用をサポートしてくれる強力なツールとなるでしょう。

ただし、SPIあくまでも手段でしかないため、まずは自社の採用ポリシーを明確にし、そのために最適な方法は何かを模索してください。そのうえで、本当に必要だと判断したならば、SPIを積極的に使っていくとよいでしょう。

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