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RPA導入で失敗を避けるポイントとは? 書籍「中小企業経営者のためのRPA入門」の著者に聞く

最終更新日:(記事の情報は現在から1205日前のものです)
労働者を補完する代替手段として、注目を浴びるロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)。導入のハードルは高いのでしょうか。「中小企業経営者のためのRPA入門」の著者で、RPAの開発導入に取り組む株式会社ASAHI Accounting Robot研究所(山形市)の田牧大祐CEOに、基礎知識と導入のポイントを聞きました。

少子高齢化で生産年齢人口が減少の一途をたどる中、労働者を補完する代替手段として注目を浴びるのが、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)です。国内ではすでに金融や士業、自治体といった幅広い業界の業務推進に活用されています。それでも知名度とは裏腹に、理解している人は少ないのではないでしょうか。

今回、著書「中小企業経営者のためのRPA入門」(幻冬舎)の著者で、RPAの開発導入に取り組む株式会社ASAHI Accounting Robot研究所(山形市)の田牧大祐CEOに、基礎知識と導入のポイントを聞きました。

同社提供

RPAはロボット労働者

小村:まず、RPAとはなんでしょうか。

田牧:RPAは、ソフトウェアロボットが、決まったルールに基づいて動作し、ホワイトカラー業務を効率化していく技術の総称を指します。別称でデジタルレイバーとも言われます。

よく人工知能(AI)と比較されますが、 AIは経営判断やマーケティングなどの分析業務を行い、判断に関わるようないくつかのパターンに分類するツールなのに対し、RPAはハンドワークと呼ばれる単調な作業や定型業務を効率化します。

その他の疑問として、RPAを業務に導入して情報が漏えいしませんかと言われますが、その可能性も低いです。なぜなら、RPAは決められたルールどおりにしか動かないためです。RPAが事務所内の情報を自動的に発信するといったトラブルも当然起きません。

構造解析型と画像認識型がある

小村:どんな種類のRPAがあるのでしょうか。

田牧:RPAは世の中にたくさん存在しますが、基本的な区分で考えると、構造解析型と画像認識型に大別されます。

同社提供

画像認識型は、操作対象アプリケーションのボタンや入力エリアなどを画像データとして取り込んで記録する方式です。

ただ、動作が遅い上にエラーが多いというデメリットがあります。ちょっと背景色が違ったり、画面解像度が違ったりすると、止まってしまうのです。

さらに、事前に画像データを記録する作業も非常に手間がかかります。モニター画面を一回一回止めて該当のファイル画面を探し、作業を進める必要があります。動作のみならず、作業全体の効率性も低いと言えるでしょう。

会計事務所がRPAコンサルを始めた理由

小村:田牧さんはもともと会計事務所にお勤めですが、RPAに着目した背景について教えてください。

田牧:RPAに着目したのは、2018年5月にグループ会社の会計事務所(あさひ会計)にWinAutomationと呼ばれるRPAを導入し、効果を得たのがきっかけです。

WinAutomationは、ギリシャのSoftomotive社が開発したRPAです。国内ではあまり使われていなかったのですが、弊社の取締役CTOで、あさひ会計のITエンジニアだった佐々木伸明がWinAutomationの魅力に惹かれて話を持ってきました。

その後、あさひ会計での実績を受け、社内でロボットを作るチームを2018年10月に結成し、開発していたところ、お客様から自社にも導入したいという話が舞い込んできました。

2019年1月には、RPAを導入支援する会社として、株式会社ASAHI Accounting Robot研究所を設立。5か月後の2019年6月に、Softomotive社とパートナー契約を締結し、WinAutomationを国内向けに販売していくことにしました。

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そうした中、2020年5月にSoftomotive社がMicrosoftとM&Aをしまして、WinAutomationは、Microsoftのサービスとなりました。Microsoftの自動化ツールであるPower Automateに組み込まれた形になります。

Power Automate Desktop は2020年、日本語版が出ました。このため、現在はPower Automateの導入支援のほか、国内向けにライセンス販売業務を展開しています。

会計業界では革新的だったRPA

小村:使い始めた2018年ごろはRPAは普及していましたか。

田牧:会計業界では革新的だったかもしれません。2018年6月に導入した弊社の「モリテック初号機」は、国税庁のe-taxメッセージを開き、メッセージを電子ペーパー化した後、データを当該顧客の担当職員の電子トレイに送信するRPAです。会計業界では珍しい効率化で当時話題を呼びました。

モリテック初号機を導入した当初は、業務効率化ではなく、とりあえず面倒なことをロボットにさせようといった気持ちでスタートしました。今もその気持ちは変わりません。

失敗しないRPAの導入の鉄則とは?

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