脱ハンコで追い風、1,000万円以上の投資も それでも不動産DXを阻むものとは?
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、不動産業界で図るデジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性が増しています。
顧客との対面で行う重要事項説明書や契約業務、建物管理などにSaaSやIoT(モノのインターネット)、電子契約システムなどのデジタルツールを導入し、業務の効率化を図ることを目指します。DXの推進により、業界全体の課題である長時間労働や大量離職といった問題の解決につながるという期待も高まっています。
そんな中、不動産テック7社・1団体が、不動産事業者約220社を対象にDX推進状況調査を行ったところ、全体の9割が「DX推進している」と回答。多額の費用を投資している企業もありました。一方で、DX人材や予算の不足といった課題も浮かんできました。調査結果を詳しく紹介します。
不動産テック7社・1団体による大規模調査
不動産業界のDX推進状況調査は、株式会社UPDATA、イタンジ株式会社、WealthPark株式会社、株式会社サービスシンク、株式会社スペースリー、株式会社ライナフ、リーウェイズ株式会社、一般社団法人不動産テック協会の不動産テック7社・1団体が昨年に続いて実施。インターネットによる調査形式で2021年6月3日〜25日にかけて実施し、219社237人から有効回答を得ました。
回答企業の属性は、従業員1〜5人が20%、5〜25人が21人、25〜50人が10%などとなり、中小企業基本法に基づく従業員300人未満の不動産事業者は全体の約6〜7割を占めました。回答者の管理戸数は、管理物件なしが16%、1〜499戸が30%、500〜999戸が10%などで、中小不動産に分類されるとみられる管理戸数1万戸未満の割合は、全体の83%となりました。
DX推進率は1年間で約1.5倍
調査では、自社で不動産DXに取り組んでいるかという問いに対し、回答者の90%が「DX推進している」と回答。2020年6月に不動産テック6社・1団体が実施した「不動産業界のDX意識調査」では、すでに自社でDXに取り組んでいる不動産会社の割合は62%で、回答率で単純比較すると、DX推進率は1年間で約1.5倍も拡大している結果となりました。
DX推進の目的については、回答者の85.2%が「業務効率化」と回答。次点の「集客力アップ」(40.1%)、「成約率アップ」(32.5%)を突き放し、いまだに紙やファックスを採用するなど、非効率な商慣習が残る不動産業界の課題が浮き彫りになりました。
各社が最も苦労している点は
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