IPA「DX白書2021」日米約1000社の比較調査で浮かんだ日本の深刻なDX遅れ
独立行政法人情報処理推進機構が発行した「DX白書2021」。今回の調査からDXに関する戦略・人材・技術についてどんな現状が見えてきたのか、課題はどこにあるのかなどを、リサーチ担当者の古明地正俊さん、今村新さんに解説して頂きました。
前編では、「DX白書2021」発刊の意図、DX戦略の策定と推進などにフォーカスします。
【インタビュー】
独立行政法人情報処理推進機構 社会基盤センター
イノベーション推進部長 古明地 正俊氏
イノベーション推進部 今村 新氏
初の「DX白書」を発行
―まず、IPAとはどのような組織ですか
古明地:経済産業省配下の独立行政法人です。主なミッションは、国内でのさまざまな情報処理技術などの普及を推進することです。
DX関連では、すでに経済産業省のDXレポートが発表されて、国全体でのDX推進が大きな方針となり、DXの推進指標が出されています。それに基づいて、IPAでは企業がきちんと取り組みをしているかどうかを自己診断するお手伝いをしています。ほかに、DXを推進する経済産業省の施策として、DX銘柄企業を選定する支援も行っています。そういった形で、国が大きな方針を立てたDX推進施策のさまざまな支援を具体的に行っています。
―「DX白書2021」を新たに発刊された意図をお聞かせください。
古明地:IPAではこれまで、「AI白書」や「IT人材白書」などを発刊しました。近年はDXの機運が高まり、既存の二つの白書を発展的に統合し「DX白書2021」の発刊に至ったということです。
AIは一つの技術ですし、人材は情報処理を推進する上で一つの重要なパーツであると認識しています。それに対してDXという文脈は、単純に技術や人材をばらばらに取扱うのではなく、経営的視線の中で技術をどう扱っていくべきか、もしくは人材をどういう風に揃えていくべきかというように、経営やビジネスとテクノロジーが密着した形で繰り返されるべきであると考えています。
当然、「DX白書」も新しい形としてどうあるべきなのかと議論してきました。その結果の一つとして、技術や人材をばらばらに取り扱うのではなく、もう少しビジネスや経営の視点に立って、テクノロジーを上手く活用するために情報発信をしようと、戦略・人材・技術という3つの大きな柱に基づいて白書を作ることになりました。
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