SaaS企業に不可欠 新しい営業職「インサイドセールス」「カスタマーサクセス」とは?「doda」調査/前編
データ活用の「インサイドセールス」
この二つの職種は、営業職の分業によって生まれた新しい職種です。「インサイドセールス」は電話やメール、ビデオ会議システム等を用いて顧客とコミュニケーションを取り、見込み顧客の獲得から商談設定・受注までを行う職種です。また「カスタマーサクセス」は、購入・契約後のフォローを通じて、自社サービスの価値を最大限に引き出せるよう継続的に顧客を支援する職種です。
ただ、「インサイドセールス」は企業によって使われ方が異なるのが現状です。類似した言葉に、購買動機の核心やツボ(インサイト)を見抜き、マッチした自社商品やサービスを提案する「インサイトセールス」という営業スタイルもあります。混同されるケースもあるので注意が必要です。
「doda」編集長の喜多恭子さんは、この「インサイトセールス」と「インサイドセールス」の違いを「データ活用の有無」だと話します。
「インサイトセールスは、購買動機が上がるまでメールやセミナーなどの仕掛けをして、リードを営業側に渡します。つまり、ウェブサイト訪問やイベント開催などを通じ、データを使って顧客を育てながら、潜在顧客から既存顧客へと引き上げるナーチャリング活動をし、セグメントしながら最適なタイミングで最適な商材のリードを取っていきます」
「一方のインサイドセールスは、従来の営業の工程のうち、顧客のニーズを確認して商談までつなげる動きを電話やビデオ会議などを通じて行います。混在して使われている場面もありますが、将来はゆるやかに統合していくと思います。インサイドセールスから営業をスタートして、ゆくゆくはデータを活用したより効率的なリード獲得の手法を採用するのがよくある動きです」
カスタマーサクセスは顧客の成功体験を作る
一方の「カスタマーサクセス」とは、わかりやすく言うとサブスクリプション型や継続課金型の営業です。自社商材を使った成功体験を創造し続ける仕事だといいます。
「自社商材によって顧客のビジネスを成功に導くことがミッションで、自社商材のLTV(顧客生涯価値)の最大化が目的になります。自社商材を活用してもらい、価値が出るまで支援を続け、効果がなければ別の方法を提案します」
「たとえば勉強会の設定をしたり、効果的な取り組みを共有したりと、今までの提案とは違うやり方を顧客と一緒に考えて検討します。自社商品を熟知し、顧客の収益構造なども十分に理解した上で活用方法を提案するという、非常に幅広い業務を遂行しなければいけません」(喜多さん)
混同されがちなサービスに「カスタマーサポート」がありますが、こちらはお客様の不明点や不安をスムーズに解消し、商品やサービスへの信頼度を高める職種です。 対応満足度で測られるカスタマーサポートとは異なり、「カスタマーサクセス」は顧客のリピート率が指標となるので、別の仕事です。
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