予算管理システムとは?機能や導入するメリット、選び方のコツを紹介
予算管理システムは、Excel感覚で使えるものや高度な分析機能をもつものなど、さまざまなタイプがあるのが特徴です。そのため、ニーズに合うものを見極めて選ぶことが大切です。
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- 予算管理システムとは
- 予算管理とは
- 予算管理の問題点
- 予算管理システムの種類
- Excelに似た操作性をもつシステム
- 分析や経営のサポートを重視したシステム
- 情報の一元管理や業務効率化に優れたシステム
- 予算管理システムの主な機能
- 予算計画の策定
- 実績集計
- シミュレーション・予測
- フィードバック・差異分析
- 予算管理システムの導入メリット
- 迅速で的確な経営判断ができる
- 予算策定の効率化につながる
- KPIと進捗を可視化できる
- 精度の高い予算策定ができる
- セキュリティを強化できる
- 業務の属人化を防げる
- 予算管理システムの導入デメリット
- 運用にはコストが発生する
- 別途運用のためのマニュアルや教育が必要
- システム導入による業務の複雑化
- 予算管理システムの費用・価格相場
- 予算管理システムを導入するための3ステップ
- 1.システム選定
- 2.導入計画の立案と実行
- 3.トレーニングとサポート体制の整備
- 予算管理システムの選び方
- Excel運用からの移行はスムーズにできるか
- 会計基準に対応しているか
- 課題に合った機能が備わっているか
- コストパフォーマンスは適切か
- 他システムと連携できるか
- 外貨・言語に対応しているか
- サポート体制は十分か
- シミュレーションの精度やパターンはどれくらいか
- 操作性に優れているか
- おすすめの予算管理システム
- 予算管理システムの導入で経営判断をより的確に
予算管理システムとは
予算管理システムとは、企業や組織が予算の計画や実績比較、目標に向けた進捗管理を効率的に行うためのシステムです。企業は継続的に利益を出すため、売上や原価、経費などの予算を適切に配分・管理する必要があります。
予算管理システムはこの予算編成にかかる業務を自動化することで、効率的かつ適切に管理できるようになります。
予算管理とは
予算管理は、経営目標や戦略にもとづいて、各部門やプロジェクトの収支や資金の流れを計画します。そして、実際の経営状況と比較して、効果的な経営判断や改善策を導出するためのものです。
予算管理は経営管理の重要な要素であり、企業の成長や競争力の向上に寄与します。
予算管理の問題点
これまで予算の管理は、主にExcelやGoogle スプレッドシートなどが利用されており、各部署やチームでファイルの配布や回収を行っていました。しかし、このようなアナログなやり方では次のような問題点が発生しがちです。
- データの収集や分析に時間がかかる
- ヒューマンエラーが発生しやすく、数字の信頼性が低い
- 情報共有がしにくくデータを活用できない
- 作業が属人化しやすい
しかし、予算管理システムはひとつのツールに情報を集約して自動で転記や集計、分析してくれるため、問題点の解決が期待できるでしょう。
予算管理システムの種類
予算システムは、主に次のような3つのタイプに分けられます。
- Excelに似た操作性をもつシステム
- 分析や経営のサポートを重視したシステム
- 情報の一元管理や業務効率化に優れたシステム
それぞれの特徴を解説します。
Excelに似た操作性をもつシステム
Excelファイルを取り込んで利用できたり、Excelのような画面かつ似た感覚で操作できたりするシステムです。
新しくシステムの操作や活用方法を理解する手間が大きく省けるため、現場に浸透しやすく教育コストも削減できます。
Excelのデータを活用したい企業や、システムをスムーズに導入したい企業におすすめです。
分析や経営のサポートを重視したシステム
分析機能が充実しており、経営判断がスムーズにできる機能が備わったシステムです。幅広い視点で課題の洗い出しができる多軸分析機能や、大量のデータをスピーディーに分析できる機能が備わっています。
また、レポート機能・ダッシュボード機能のカスタマイズ性が高いシステムもあります。自由にレポートやダッシュボードがカスタマイズできれば、欲しい情報を一目で把握できるようになるため、経営判断しやすいでしょう。
データの分析精度を高めたい企業や、経営判断も支援してもらいたい企業におすすめです。
情報の一元管理や業務効率化に優れたシステム
予算管理に関連した情報の集計や連携機能に優れ、誰でも簡単に使えるのが特徴のシステムです。予算管理の作成や編成、分析といった標準機能もそろっています。
現在のやり方を変える手間はかかるものの、導入すれば関連する業務を大幅に効率化できるでしょう。必要な情報が分散している企業や、予算管理に多くの時間が割かれている企業におすすめです。
予算管理システムの主な機能
予算管理システムには、主に次のような機能が備わっています。
予算計画の策定
予算計画の策定とは、経営目標や戦略にもとづいて、各部門やプロジェクトの収支や資金の流れを計画する機能です。予算計画の策定では、次のことを実施できます。
- 経営目標や戦略を設定し、予算計画の基準や方針を決める
- 各部門やプロジェクトの予算計画作成、承認、調整
- 予算計画の内容を詳細に分析し、予算実績との比較や差異分析
- 予算計画の内容をレポートやダッシュボードで可視化
実績集計
実績集計とは、実際に発生した収支や資金の流れを集計する機能です。
実績集計では、実績データの自動集計や前年度と比較した予算実績や成長率など指標を算出できます。
シミュレーション・予測
実績集計にもとづいて、将来の収支や資金の流れを予測する機能です。
たとえば、実績集計のデータをもとにした予算計画の調整や追加、市場動向の変化に応じた予算計画の比較など、予測データを分析し、経営判断や改善策を提案できます。
フィードバック・差異分析
予算を設定した期間が終了したときに、目標の達成度合いを評価する機能です。
予算計画と実績の差異を可視化したり、未達の場合の原因を分析できたりします。そのため、PDCAを回せるほか、ノウハウも蓄積できます。
予算管理システムの導入メリット
予算管理システムを導入することで、次のようなメリットが得られます。
- 迅速で的確な経営判断ができる
- 予算策定の効率化につながる
- KPIと進捗を可視化できる
- 精度の高い予算策定ができる
- セキュリティを強化できる
- 業務の属人化を防げる
迅速で的確な経営判断ができる
予算管理システムを導入することで、経営層はリアルタイムで財務データを把握でき、的確かつ迅速に意思決定できます。
収益・費用・キャッシュフローなどの重要な情報はダッシュボードに集約され、投資の優先順位付けやコスト削減の判断がスムーズに進みます。
また、データ分析機能を活用することで経営戦略の検討材料も増え、組織全体のパフォーマンス向上に貢献するでしょう。
予算策定の効率化につながる
予算管理システムを導入すれば、データの集約や計算を自動化でき、工数を大幅に削減できます。
さらに、過去データをもとに予算を自動生成し、四半期や月次の予算策定もスムーズに進むため、より柔軟な経営体制を築けるでしょう。
これにより、組織は変化の激しい市場環境にも迅速に対応できるようになります。
KPIと進捗を可視化できる
予算管理システムを導入すると、売上や利益率などのKPIを簡単に設定・管理できます。そのため、目標に対する進捗状況をリアルタイムで可視化できる点もメリットです。
各部門の予算消化や成果が明確になるため、組織全体の透明性が高まります。
また、従業員は自分の業務が目標達成にどのように貢献しているかを理解でき、モチベーションの向上にもつながるでしょう。
精度の高い予算策定ができる
過去の実績データや市場動向をもとに、より現実的で精度の高い予算を策定できるのも大きなメリットです。
精度の高い予算は計画の信頼性を高め、不確実性を減らす効果があります。結果として、予期せぬコスト超過を防ぎ、安定した財務基盤を築けます。
精度の向上は経営層の自信や組織全体のモチベーションにも直結するでしょう。
セキュリティを強化できる
財務データは企業にとって重要な機密情報のひとつです。予算管理システムには、アクセス権限管理や暗号化などのセキュリティ機能が搭載されています。そのため、不正アクセスや情報漏えいのリスクを大幅に軽減できる点もメリットです。
情報を必要とする担当者だけがアクセスできる仕組みを整えることで、人為的なミスや不正の防止にもつながります。
業務の属人化を防げる
予算管理システムを導入することで、プロセスやルールを統一し、組織全体で一貫性のある予算管理が可能です。さらに、データを一元管理できるため、分析やレポート作成もスムーズに進められます。
これにより、属人化を防ぎつつ、組織全体で効果的な資源配分と戦略的な意思決定が実現します。
予算管理システムの導入デメリット
一方、予算管理システムの導入には次のようなデメリットも存在します。
- 運用にはコストが発生する
- 別途運用のためのマニュアルや教育が必要
- システム導入による業務の複雑化
運用にはコストが発生する
予算管理システムの導入は、初期導入費用だけでなく、継続的な運用コストも発生します。システムのライセンス料、定期的なアップデートやメンテナンス費用、クラウドサービスの利用料金などが含まれます。
とくに、高度な機能があるシステムを選択した場合、これらのコストは予想以上に高くなることもあるでしょう。
予算の厳しいスタートアップや中小企業の場合、予算管理システムの費用対効果を考慮してから導入を検討する必要があります。
別途運用のためのマニュアルや教育が必要
予算管理システムの効果的な運用には、従業員への十分な教育が必要です。新システムの操作方法や、予算管理のプロセスに関する理解を深めるためのトレーニングには工数がかかります。
従業員がシステムを適切に使えるように、操作マニュアルやFAQの準備が求められる点もデメリットといえるでしょう。
システム導入による業務の複雑化
予算管理システムを導入することで、一部の業務プロセスが複雑化する可能性もあります。とくに、システムが既存の業務フローや文化に完全にはマッチしない場合、新たな作業手順に適応する必要があります。
こうした適応のためのプロセスには、業務の遅延やミスの増加が生じることもあるでしょう。
また、従業員間でのコミュニケーションや情報共有の方法が変わることで、一時的に業務効率が低下することも考慮しなくてはいけません。
予算管理システムの費用・価格相場
予算管理システムには、クラウド型・オンプレミス型の2種類があり、それぞれに費用・価格相場も異なります。
クラウド型とは、Web上で予算管理システムを利用するタイプです。システムをインストールする必要もなく、形態としてはレンタルに似ています。
一方、オンプレミス型とは、物理的なサーバーを設置してシステムを構築するタイプです。
クラウド型は初期費用が安く無料のサービスも多々ありますが、代わりに月額費用がかかります。BOXILが実施したアンケート※によれば、月額費用は5,000~1万円程度が相場ですが、上位10%の企業には月額10万円ほどをかけているところもあります。
月額費用はユーザー数や機能によって変動するため、中小企業といった利用人数の少ない企業におすすめです。
オンプレミス型は初期費用が100万~300万円程度と高額で、継続的にかかる保守費用は安く抑えられます。長い目で見れば費用は安く抑えられますが、基本的には大企業向けのタイプといえるでしょう。
※参考記事
予算管理システムを導入するための3ステップ
予算管理システムを導入して成果を得るためには、段階的かつ計画的な進め方が重要です。導入を成功させるための3ステップを紹介します。
1.システム選定
導入にあたって、まずは現状の課題やニーズを明確にします。「予実の可視化がしたい」「部門ごとの予算を一元管理したい」などの目的に応じて、必要な機能を洗い出しましょう。
課題や目的を明確にした後は、市場にある予算管理システムを比較・検討し、候補をリストアップします。機能性だけでなく、操作性やサポート体制、コスト面も含めて評価するのがポイントです。
2.導入計画の立案と実行
システム選定後は、導入を円滑に進めるためのプロジェクトチームを結成し、導入スケジュールを具体的に策定します。各ステップの担当者と期限を明確に設定し、全体の流れを可視化することが重要です。
準備段階では、必要なハードウェアやライセンスの手配、データの整理・整備を実施しましょう。それからシステムの初期設定を済ませ、既存データを移行します。
移行時には、データの正確性や整合性を入念に確認することが欠かせません。
システムのインストール後は、テスト環境で実際の操作や処理速度、不具合の有無をチェックし、本番稼働に備えます。
3.トレーニングとサポート体制の整備
システムを導入しても、現場で使いこなせなければ意味がありません。本格運用前には、従業員へのトレーニングを実施しましょう。
マニュアルの配布だけでなく、実践的な研修を実施することで、操作への不安を取り除けます。
さらに、運用後のトラブルに備えたヘルプデスクの設置や、ベンダーとの連携によるサポート体制も整えておくと安心です。
予算管理システムの選び方
予算管理システムを選ぶ際には、次のようなポイントを押さえて選びましょう。
- Excel運用からの移行はスムーズにできるか
- 会計基準に対応しているか
- 課題に合った機能が備わっているか
- コストパフォーマンスは適切か
- 他システムと連携できるか
- 外貨・言語に対応しているか
- サポート体制は十分か
- シミュレーションの精度やパターンはどれくらいか
- 操作性に優れているか
Excel運用からの移行はスムーズにできるか
予算管理システムを導入する際には、既存のExcel運用からの移行がスムーズにできるかどうかが重要です。
たとえばExcelのファイルのままインポート・エクスポートできることや、Excelの操作感や見た目に近いこと、関数やマクロの互換性があることなどが挙げられます。
会計基準に対応しているか
会計基準とは、決算に必要となる財務諸表を作成するときのルールです。
予算管理システムを選ぶ際には、採用している基準と予算管理システムの会計基準が対応しているかどうかも、確認しておきましょう。
日本では、次の4つの会計基準があります。
- 日本会計基準
- 米国会計基準
- 国際会計基準
- J-IFRS
また、会計基準の変更や更新へ迅速に対応できることも大切なポイントです。もし国際的なビジネスを展開する企業の場合は、状況に合わせ複数の会計基準に対応しているシステムを選択しましょう。
課題に合った機能が備わっているか
予算管理システムを選ぶ際は、課題に合った機能が備わっているものを選びましょう。課題と感じている内容によって、機能の優先順位も変わってきます。
また、課題としている内容に合わせてKPIの設定が可能かどうかも重要な選定ポイントです。
複数のプロジェクトを立ち上げている場合や原価計算が複雑化している場合には、KPI設定が重要です。そのため、項目のカスタマイズや詳細をモニタリングできるかどうかも確認します。
予算管理システムの導入目的を明確にして、改善できる機能があるシステムを選びましょう。
コストパフォーマンスは適切か
予算管理システムのコストパフォーマンスを確認するのも重要です。
一口に予算管理システムといってもさまざまなものがあり、費用にも幅があります。初期費用やランニングコストのほか、データ移行やシステムのカスタマイズがあれば追加費用が必要です。
必要な機能を揃えると合計でいくらになるか確認し、コストに見合うだけの効果が得られるかを長期的な目線から分析します。
企業それぞれで必要な機能や予算も異なるため、最適なバランスを見極めましょう。
他システムと連携できるか
予算管理システムはすでに導入している他システムとの連携をすることで、より業務効率を高められる場合があります。
ERPや会計システム、財務システムなどと連携できるとデータ入力の手間が省け、予算管理の精度も高まります。その他CRM、SFAなどの分析システムや営業システムと連携できるかも、事前に確認しましょう。
外貨・言語に対応しているか
グローバルに事業を展開する企業では、複数の通貨や言語に対応した予算管理システムが必要です。
とくに外貨での取引が多い企業の場合、通貨変換の精度や、多言語対応がシステム選定の重要なポイントとなるでしょう。
サポート体制は十分か
システム導入後のサポート体制も選定の重要なポイントです。万が一のとき、問い合わせに迅速に対応してもらえるか、定期的なアップデートやセキュリティ対策が提供されているかを確認します。
また、サービスによっては導入時のサポートやコンサルティングを提供している場合も存在します。
初めて予算管理システムを導入する場合や、他のシステムで失敗してしまった場合などは、運用ルールや戦略設計も含めて対応してくれるサービスを選ぶのもおすすめです。
シミュレーションの精度やパターンはどれくらいか
予算管理システムに求められるシミュレーション機能の精度や、対応できるシナリオの範囲も確認すべきポイントです。
将来の予算計画を立てる際に、さまざまな条件下でシミュレーションできるかどうかが、経営計画の精度を高めるうえで重要です。
操作性に優れているか
システムの操作性は、日常的な利用のしやすさに直結します。デモ版や無料トライアルを提供するサービスも多いため、実際に確かめてみることをおすすめします。
直感的な操作性のいい予算管理システムを導入すれば、スムーズにシステムが定着するでしょう。
おすすめの予算管理システム
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次の記事では予算管理システムのなかでも、とくに高い評価や人気のシステムを紹介しています。ぜひ予算管理システムを比較検討する際の参考にしましょう。
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