企業において「専用のファイアウォール」が必要な場合とは?
現在、Windows 11などに標準搭載されているファイアウォール機能(Microsoft Defenderなど)は非常に優秀であり、個人の端末レベルであれば標準機能で十分なケースが大半です。
しかし、企業ネットワークや組織のセキュリティを守る上では、OS標準の機能だけでは不十分です。次のような場合は、法人向けのファイアウォール(UTMやクラウド型)の導入が必要です。
企業ネットワーク全体を一元管理・防御したい場合
社員一人ひとりのパソコン設定に依存するのではなく、社内ネットワークの出入り口(ゲートウェイ)で一括して不正アクセスやマルウェアを遮断したい場合。
テレワークやクラウド利用など、複雑な通信を制御したい場合
社外からのVPN接続や、クラウドサービスへのアクセスなど、現在の多様な働き方に合わせて詳細な通信ポリシー(誰が、どの端末で、どこへアクセスしてよいか)を設定したい場合。
高度な標的型攻撃や未知の脅威に対策したい場合
従来のポート制御だけでなく、アプリケーション単位での制御や、振る舞い検知機能(IPS/IDS機能)を統合した「次世代ファイアウォール(NGFW)」や「UTM」が必要な場合。
企業向けファイアウォールの種類
個人のパソコンとは異なり、企業のネットワークセキュリティを守るためには、IPアドレスやポート番号の制御だけで遮断する「従来のファイアウォール」だけでは防ぎきれない攻撃が増えています。
現在、企業で導入されているファイアウォールは、大きく分けて次の3つのタイプが主流です。自社の規模や働き方(出社・テレワーク)に合わせて適切なタイプを選びましょう。
次世代ファイアウォール(NGFW)
次世代ファイアウォール(Next Generation Firewall:NGFW)は、従来のファイアウォール機能に加え、「どのアプリケーションがどんな通信をしているか」までを識別して制御できるセキュリティ機器です。通信の中身やアプリケーション単位で高度に制御したい企業に向いています。
【主な特徴・メリット】
- アプリケーション識別: 「Web閲覧(HTTP)は許可するが、特定のファイル共有ソフトやSNSの利用は制限する」といった詳細な制御が可能。
- ユーザー識別: IPアドレス単位ではなく、「誰がアクセスしているか(ユーザーアカウント)」単位での制御・ログ管理が可能。
- IPS(侵入防止システム)機能の統合: 通信データの中身をスキャンし、パケットに潜む攻撃コードや脆弱性を突く通信を検知・遮断。
こんな企業におすすめ:中規模〜大規模企業、ネットワーク上のトラフィックや社員のアプリ利用状況を細かく管理・制御したい企業。
2. UTM(統合脅威管理)
UTM(Unified Threat Management)は、ファイアウォール機能を中心に、アンチウイルス、Webフィルタリング、アンチスパム、IPS/IDSなど、複数のセキュリティ機能を1台の専用機器(アプライアンス)に集約したソリューションです。セキュリティ運用にかかるコストや手間を抑えたい中小企業に向いています。
【主な特徴・メリット】
- ワンストップでの対策: 複数のセキュリティ製品を個別に導入・管理する必要がなく、初期費用や運用負荷を大幅に削減。
- シンプルな管理: 拠点やオフィスの出入り口(ゲートウェイ)に1台設置するだけで、ネットワーク全体の一次防御が完了。
- ベンダーによる運用サポート: 機器の保守や定義ファイルの自動更新など、運用を丸投げできるマネージドサービス(MPSP)も豊富。
こんな企業におすすめ:専任のIT担当者(情シス)がいない中小企業、手軽にオフィス全体のセキュリティ強度を底上げしたい企業。
3. クラウド型ファイアウォール(FWaaS)
FWaaS(Firewall as a Service)は、社内に物理的な機器を設置するのではなく、クラウド上に構築されたファイアウォール機能を経由して通信を行うサービスです。テレワーク普及やクラウドファーストを進める企業に向いています。
【主な特徴・メリット】
- 場所を選ばない保護: 社内オフィスからだけでなく、自宅や外出先など、どこからインターネットへアクセスしても同一のセキュリティポリシーを適用可能。
- ハードウェア管理が不要: 機器の老朽化による買い替えや、ファームウェアのアップデート対応などのメンテナンス作業が一切不要。
- 柔軟な拡張性: 拠点の追加や社員数の増減(アカウント追加)にも柔軟・スピーディーに対応。
こんな企業におすすめ:在宅勤務・リモートワークを導入している企業、SaaSやクラウドサービスの利用が増えている企業。
ファイアウォールの選び方
ファイアウォールを選ぶ際は、次の流れで確認しましょう。
- ファイアウォールの導入目的
- ファイアウォールの機能
- ファイアウォールを導入する際の注意点
- ファイアウォールの料金・価格相場
ファイアウォールの導入目的
ファイアウォールの導入を検討する際は、まず導入目的を明確にしましょう。主な導入目的は次のとおりです。
| 導入目的 | 詳細 |
|---|---|
| 外部の脅威から社内ネットワーク・データを守りたい(セキュリティを強化したい) | 悪質なランサムウェアや標的型攻撃など、日々高度化するサイバー攻撃から企業の機密情報や顧客データを保護します。不審なアクセスやマルウェアの侵入をゲートウェイ(ネットワークの入り口)で検知・ブロックし、被害を未然に防ぎます。 |
| 社員の不要な通信や危険なアプリ利用を制限したい(トラフィックを制御したい) | 「業務に無関係な動画サイトの閲覧を禁止して帯域幅を確保したい」「会社が許可していないクラウドサービス(シャドーIT)へのアクセスを遮断したい」など、IPアドレスやアプリケーション単位で通信を可視化・制御し、内部からの情報漏えいリスクを減らします。 |
| 多様化する働き方(テレワーク)の安全性を確保したい | オフィス外(自宅や外出先)から社内システムやクラウドサービスへアクセスする際にも、社内と同等のセキュリティレベルを担保します。VPN接続時のアクセス制御や、クラウドベースでの通信監視を実現します。 |
| セキュリティ要件・コンプライアンスを遵守したい | ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)やプライバシーマークの取得、または取引先(サプライチェーン)から求められるセキュリティ基準を満たすための必須要件として、適切なファイアウォールの設置とログ管理を行います。 |
ファイアウォールの機能
ファイアウォールでできること、利用できる機能は次のとおりです。上記の導入目的・課題をどのように解決できるか記載しているため、必要な機能を洗い出しましょう。
【基本的な機能】
| 機能 | 詳細 |
|---|---|
| パケットフィルタリング | ネットワーク上を通過するパケットを監視し、設定されたルールに基づいてフィルタリングする機能です。許可された通信や特定のプロトコルのみを通過させ、不正なアクセスや不要なトラフィックを遮断できます。 |
| アクセス制御 | 特定のIPアドレスやポート、プロトコルに対するアクセスを制限したり、ユーザーの認証やVPN接続を介したセキュアなアクセスを提供したりできます。 |
| NAT(Network Address Translation) | ネットワークアドレス変換を行うことで、プライベートIPアドレスをパブリックIPアドレスに変換します。これにより、内部ネットワークのデバイスがインターネットへの通信を行う際に、セキュリティを向上させると同時に、IPアドレスの節約やネットワークの管理を容易にします。 |
| VPN (Virtual Private Network) サポート | VPNを使用することで、外部ネットワークからの安全なリモートアクセスや、異なる拠点間のセキュアな通信が実現されます。 |
| 脅威検出 | 侵入検知システム(IDS)や侵入防御システム(IPS)などの機能を備えた高度なファイアウォールでは、攻撃の検知や対策を行えます。 |
ファイアウォールを導入する際の注意点
ファイアウォールを導入する際、失敗しないために次の項目も確認しておきましょう。
| 確認事項 | 詳細 |
|---|---|
| ポリシーの適切な設定 | 適切なポリシーを設定し、必要な通信を許可し、不要な通信を遮断するようにする必要があります。しかし、過剰に厳しいポリシーを設定すると、正当な通信が制限される可能性があるため、バランスを考えて設定する必要があります。 |
| 正確なログの監視 | セキュリティインシデントや不正アクセスの検出、トラフィックパターンの分析など、ログは重要な情報源です。 |
| ファームウェアやソフトウェアの定期的なアップデート | ファイアウォールを導入したら定期的なアップデートを行い、ぜい弱性や新たな脅威に対応することが重要です。 |
| レビューと監査の実施 | ファイアウォールの設定やポリシーの適切性を確認するために、定期的なレビューやセキュリティ監査を実施することが重要です。これにより、設定のミスやセキュリティ上のぜい弱性を発見し、修正できます。 |
ファイアウォールの料金・価格相場
ファイアウォールの料金は、月額料金や利用量に基づく従量課金制の場合が一般的です。
料金は利用するリソースの規模やトラフィック量に応じて変動しますが、数万円から数十万円程度の範囲が一般的です。必要な機能と要件が搭載されているサービスの料金を確認しましょう。
有料のファイアウォールソフト
有料のファイアウォールソフトを7個紹介します。
1. IIJマネージドファイアウォールサービス
IIJマネージドファイアウォールサービスは、経験豊富なセキュリティ専門エンジニアのフルサポートを受けられます。また、独自のアノマリ検知システムによる通信異常の検知してくれます。
2. さくらの専用サーバPHY
さくらの専用サーバPHYは、直感的なセキュリティポリシーの管理が可能です。また、機密性・安全性に優れたセキュアなVPNでの通信を使用しています。
3. BIGLOBE クラウド型脆弱性診断サービス
BIGLOBEの「クラウド型脆弱性診断サービス」は、エージェントのインストール不要で手軽に導入できる、完全自動の脆弱性診断ソリューションです。
実際のハッカーと同じインターネット側からの視点で、ファイアウォールをはじめとするプラットフォーム層と、Webアプリケーション層の弱点を同時に検査します。
4. 三菱電機デジタルイノベーション株式会社 ファイアウォール構築・運用支援サービス
三菱電機デジタルイノベーション株式会社 ファイアウォール構築・運用支援サービスは、お客さまのニーズに合わせたシステム構成、システム運用します。ネットワークセキュリティの確保もしっかりしています。
5. infoSphere ファイアウォール管理サービス
infoSphere ファイアウォール管理サービスは、Webフィルタリング機能やアンチウイルス機能などのオプション提供が可能である。さらに、豊富なレポートを提供してくれます。
6. 日立ソリューションズ Juniper Networks SRX
日立ソリューションズ Juniper Networks SRXは、最新のセキュリティ機能を搭載しています。さらに、1台で総合的なセキュリティ対策が可能です。
7. 大塚商会 FortiGate(フォーティゲート)
大塚商会が提供する「FortiGate」は、ファイアウォールをはじめとする複数のセキュリティ機能を1台に集約したUTM製品です。外部からの脅威や内部からの情報漏えいを強固に防ぎます。
おすすめのネットワークセキュリティツール
ボクシル編集部が厳選した、特におすすめのネットワークセキュリティツールを4サービス紹介します。
攻撃遮断くん
- 名だたる大企業の導入実績
- 圧倒的な低価格
- 専任の担当者は不要
攻撃遮断くん
は、Webサーバー・Webサイトのセキュリティツールです、サイバー攻撃によるサーバダウンを防ぎ、24時間365日の安心稼働が実現します。
ほぼすべてのサーバ・OSに導入可能でレンタルサーバやクラウド環境も対応です。
Symantec Endpoint Security
- 侵入と感染を防止するEPP機能と被害を最小限に抑えるEDR機能
- Windows、Mac、Linux、iOS、AndroidのOSに対応
- データのダミー機能で権限管理の乗っ取りを阻害
Symantec Endpoint Security (SES) は、社内外にある端末の一斉管理ができるセキュリティサービスです。1エージェントで侵入防止から分析、対応まで可能です。
機械学習やふるまい検知などにより、隠れて侵入しようとする脅威を検出してくれます。侵入にそなえ、攻撃を阻害する大量の囮を配置し、侵入後もEDR機能で対応と復旧が可能です。クラウドとオンプレミスのハイブリッド運用も可能です。
secuWAF
- 自動でアップデートされる強力なセキュリティ機能
- WAF以外のセキュリティ対策も搭載
- 一般的なクラウドWAFと比べセキュリティ機能が充実
secuWAF は、強力なセキュリティ機能と自動アップデートにより、常に最新の脅威に対応するクラウドWAFです。
WAF冗長構成やIPブラックリストなど、一般的なクラウドWAFではオプションの機能もデフォルトで利用できます。また、WAF以外のセキュリティ対策も選定プランや機能によっては設定可能なため、Webサイトのセキュリティをより磐石なものにします。
SonicWall ファイアウォール
- 特許技術のRFDPIでデータの中身まで検査
- マルチコアアーキテクチャを採用
- 最新の脅威情報に対応
SonicWall(ソニックウォール) は、すべてのトラフィックをスキャンし、ハイパフォーマンスネットワークのニーズに合わせて拡張します。
SonicWallの次世代ファイアウォールは、ファイアウォール、VPN、ウイルス対策、スパイウェア対策、侵入検知/防御(IPS)、コンテンツフィルタリング、アプリケーションの可視化とコントロールといった豊富なセキュリティ機能を一台に統合したネットワークセキュリティアプライアンスです。
ファイアウォールで防げる攻撃
ファイアウォールは、意図しないソフトウェアが勝手に通信するのを防ぐために、インターネットとパソコンの間に設置される「壁」として機能するセキュリティ対策です。
具体的には、ソフトウェアが通信するポートを制御することで、インターネット側からの攻撃や不正アクセスといった危険からパソコンを守り、また不正なソフトウェアがパソコン内部から重要な情報を盗み出すような通信を検知し遮断できます。
たとえば、悪意のあるコードを含んだ通信を、ぜい弱性のあるソフトウェアが使用するポートに送りつける攻撃があります。この攻撃によって、ソフトウェアが意図しない動作を引き起こされてしまう可能性があります。
結果として、パソコン内の大事な情報を盗み出されたり、マルウェアに感染させられたり、最悪の場合にはパソコンを乗っ取られてしまいます。
また攻撃者は、実際に攻撃を行う前に「ポートスキャン」と呼ばれる探索行為をします。これはパソコンのポートをノックするようなもので、ポートスキャンによって攻撃者はどのポートが開いているかを知れ、悪用できるパソコンを見つけていきます。
あらかじめファイアウォールでポートを閉じておけば、攻撃の標的になる可能性を大幅に減らせます。
一方、パソコンからインターネットへ送信されるアウトバウンドの通信も制御できます。
たとえば「キーロガー」と呼ばれるマルウェアがユーザーのキー操作を記録し、内容を別のマルウェアが攻撃者へインターネット経由で送信することがあります。キー入力したIDやパスワード、クレジットカード番号などを盗まれてしまう可能性が、ファイアウォールの設定により阻止できます。
ファイアウォールのだけではすべての攻撃は守れない
ファイアウォールによって、ソフトウェアのポートを介した攻撃や不正アクセスを遮断できます。ただし、サイバー攻撃はこれだけではありません。
たとえば、ファイアウォールではウイルスの侵入を検知できません。ファイアウォールはあくまでセキュリティ対策のひとつであり、これだけでパソコンを守れません。
現在の巧妙で複雑な攻撃に対応するには、セキュリティソフトの導入やスパムメール対策、ぜい弱性対策など、複数の対策による多段防御が求められます。
下記の記事ではファイアウォールのフリーソフトのみに留まらず、ネットワークセキュリティも含めたこの分野のサービスを幅広く紹介しています。
BOXILとは
BOXIL(ボクシル)は企業のDXを支援する法人向けプラットフォームです。SaaS比較サイト「 BOXIL SaaS 」、ビジネスメディア「 BOXIL Magazine 」、YouTubeチャンネル「 BOXIL CHANNEL 」を通じて、ビジネスに役立つ情報を発信しています。
BOXIL会員(無料)になると次の特典が受け取れます。
- BOXIL Magazineの会員限定記事が読み放題!
- 「SaaS業界レポート」や「選び方ガイド」がダウンロードできる!
- 約800種類の ビジネステンプレート が自由に使える!
BOXIL SaaSでは、SaaSやクラウドサービスの口コミを募集しています。あなたの体験が、サービス品質向上や、これから導入検討する企業の参考情報として役立ちます。
BOXIL SaaSへ掲載しませんか?
- リード獲得に強い法人向けSaaS比較・検索サイトNo.1※
- リードの従量課金で、安定的に新規顧客との接点を提供
-
累計1,200社以上の掲載実績があり、初めての比較サイト掲載でも安心
※ 日本マーケティングリサーチ機構調べ、調査概要:2021年5月期 ブランドのWEB比較印象調査
ファイアウォールの記事
-
ファイアウォールとは?セキュリティ基礎知識・仕組み・種類を初心者向けに解説
最終更新日 : 2026/03/05
新着記事
-
医療機関向けAI-OCRおすすめ7選 機能・料金比較表と解決できる課題
最終更新日 : 2026/08/13
-
文書保管サービスおすすめ比較!重要・機密文書管理に最適な9選
最終更新日 : 2026/08/13
-
中小企業向けeラーニングシステムおすすめ11選 比較表・導入事例つき
最終更新日 : 2026/08/13
