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ジョブ理論とは | クリステンセン教授が提唱するビジネス用語解説・イノベーションとの関係

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ジョブ理論とは何か?「イノベーションのジレンマ」で一躍有名となったクレイトン・M・クリステンセンの著書「ジョブ理論」のエッセンスを解説。基本となる顧客の「ジョブ」に関する説明や、有名な「ミルクシェイクのジレンマ」の事例などを紹介しつつ、イノベーションとの関係についても解説します。

「イノベーションのジレンマ」で有名なクレイトン・M・クリステンセン教授が発表したジョブ理論が、今、多くのビジネスパーソンに注目されています。

この記事では、ジョブ理論の基本的な考え方から、ビジネスにおける活用方法について事例を交えて詳しく解説します。

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ジョブ理論とは何か?ビジネス用語を解説

ジョブ理論とは、イノベーション理論の権威であるクレイトン・M・クリステンセン教授が発表した理論です。

消費者の「ニーズ」を的確に捉えるための新しい方法論を提示したものとして、前著「イノベーションのジレンマ」につづいて、ビジネス界で非常に有名になった書籍です。

クリステンセンはハーバード・ビジネス・スクール教授で、これまでもっとも影響力のある経営思想家トップ50にも選ばれた人物です。マッキンゼー賞を5回受賞するほどの名教授であり、イノベーションに特化した経営コンサルタント会社を含む4つの会社の共同創業者としても活躍しています。

このように理論・実践ともに優れた経営思想家であるため、多くの起業家・経営者がジョブ理論の考え方を実際の経営に取り入れています。

クリステンセンと「イノベーションのジレンマ」

ジョブ理論の前身ともいえるクリステンセンの著書「イノベーションのジレンマ」では、企業における「破壊的技術の出現(イノベーション)」をいかにして自社の経営的勝利に結びつけるのかが語られました。

大企業の抱えるジレンマとは?

同氏はこれまで多くの企業の内部分析を行ってきた結果、業界のトップとなるまでに成長した大企業の抱えるジレンマを発見するに至りました。

業界のトップ企業にとっては、顧客の意見に耳を傾けながら、さらに高品質の製品・サービスの提供を試みることが、逆にイノベーションの立ち遅れとなり失敗を招いてしまうことを指摘したのです。

イノベーションとも呼ばれる破壊的な技術は、その市場の製品の性能を一時的に低下させてしまう傾向があります。そのため、既存技術をベースに成功している大手企業のほとんどは、そういった破壊的な技術に関心が低く、積極的に投資をするインセンティブが起こりません。

また、イノベーションのけん引者となりやすい新規参入企業と比較して、大企業は破壊的技術が用いられる低価格で利益率が低い分野に魅力を感じず、適切な参入タイミングを逃してしまいがちです。

成功している企業がイノベーションのジレンマ(失敗)に陥る理由

そうした背景から、クリステンセンは革新的技術や新しいビジネスモデルでこれまでの企業を打ち破ってきた企業が、成長して大企業になると、急にその革新性を失ってしまう傾向があることを指摘しました。

たとえ最先端の技術開発をしても、結局は成功に結びつかない企業が多いことから、そのような状態をイノベーションのジレンマと呼んだわけです。

このように著書「イノベーションのジレンマ」は、主に大企業の失敗要因にフォーカスしたものであり、そういった企業が破壊的イノベーションを活用して成功するためのポイントについて解説したものでした。

クリステンセンが提唱する「ジョブ理論」とは

それでは、クリステンセン教授の最新作「ジョブ理論」では、何が語られているのでしょうか。

顧客が商品・サービスを買うメカニズムを説明

端的に言えば、ジョブ理論は「人が商品・サービスを買う行為の背後にあるメカニズム」を詳細に説明したものであるといえます。

顧客が欲しがるモノやサービスを知るための方法論が解説されており、企業が自社の商品やサービスの差別化を図るための有益なヒントを提示してくれる本です。

「イノベーションのジレンマ」では、企業がイノベーションとなる技術をいかに取り入れるべきかを説明したものでしたが、同著はイノベーションそのものをいかにして引き起こすかという点にフォーカスが当てられているわけです。

企業側から積極的にイノベーションを起こすための理論

これまでの理論では、既存市場における新しい機会や、新市場の発見の仕方をうまく説明できるものがなかったために、自社の事業分野においてイノベーションが起こるかどうかは、ほとんど運任せといった状態でした。

しかしそういった不確定要素に任せるのではなく、企業側から積極的にイノベーションを起こすことを可能にする考え方が「ジョブ理論」であり、顧客の購買メカニズムを詳細に分析することにより、新しい市場機会や市場そのものを生み出すための実践的な考え方を提示してくれます。

以下では、ジョブ理論の具体的な内容について、できるだけわかりやすく紹介していきます。

ジョブ理論におけるジョブとは何か?

まずは、ジョブ理論の概要について解説しておきましょう。

片付けるべき「ジョブ」とは?

そもそも「ジョブ理論」が提唱している「ジョブ」とは何を意味するのでしょうか?

日本語では「仕事」や「用事」と訳されることが多い言葉ですが、クリステンセンは、同著で「ジョブ(Job)」とは「(顧客が)片付けるべきジョブ」であると明言しています。

顧客自身が片づけたい用事が「ジョブ」であり、それを実際に片付け、解決するための手段として、顧客は特定の製品やサービスを購入して消費することになります。

つまり、この「ジョブ」こそが、顧客が商品・サービスを購入するかどうかの決定要因であり、それぞれの顧客が置かれた状況が、何を消費したいかを左右する根本的な要因なのです。

ジョブ理論とイノベーション

そういった顧客の抱える「ジョブ」について理解し、それを解決するための方法を提示する視点こそが、イノベーションの源泉となるというのがジョブ理論の肝の部分です。

同著でも以下のように語られています。

「この理論が目指すのは、顧客が進歩を求めて苦労している点は何かを理解し、彼らの抱えるジョブ(求める進歩)を片付ける解決策とそれに付随する体験を構築することにある」(前掲書,18頁)

イノベーションと聞くと、なんとなく曖昧な要素が多く、どこか掴みどころのないものだと思われがちでしょう。

しかし顧客の抱える「ジョブ」を把握し、彼らのニーズと消費行動との因果関係を理解することによって、実際にイノベーションにつながる要因は何かを論理的に導き出すことが可能になります。

それによって企業側から積極的にイノベーションを引き起こすことができるようになるわけです。

ジョブ理論とミルクシェイクのジレンマ

ジョブ理論では、顧客の抱える「片付けるべきジョブ」を理解するための事例として「ミルクシェイクのジレンマ」というエピソードが紹介されています。

どうすればミルクシェイクがもっと売れるか?

あるファーストフード・チェーンでは「どうすれば、もっとミルクシェイクを売ることができるか」という課題を抱えていました。

その答えを得るために、同チェーン店では数か月をかけて来店客を調査し、実際にミルクシェイクを買う典型的な客のプロファイルに合致する人々に対して質問を行いました。

たとえば「どんな点を改善すれば、ミルクシェイクをもっと買いたくなりますか?」といった内容です。

そこから「値段を安くする」「量を多くする」「味を濃くする」といったフィードバックを得ることができ、そのなかでもっとも数の多かったイノベーションを何度か試してみることにしました。

しかし残念ながら、その後何か月経っても、ミルクシェイクの売上にはまったく変化が見られませんでした。

来店者の生活に起きた「ジョブ」はなにか?

そこでクリステンセン率いる調査チームは、これまでと全く異なる視点から、このミルクシェイク問題に取り組みました。

上述の「顧客が片付けるべきジョブ」に注目し、来店客の生活に起こったどのような「ジョブ」が、彼らを店に向かわせ、ミルクシェイクを購入させたのかという切り口から分析を試みたのです。

特定の商品やサービスを購入するという行為の原因は、どんな人にでも毎日起こっていることです。

この観点から、調査チームは店頭で10時間以上もの間ミルクシェイクの購入客を観察することにしました。それによって、午前9時前の来店客のほとんどがミルクシェイクだけを購入していたことが明らかになりました。

同じ顧客でも「ジョブ」によって購入理由が変わる

このアプローチから見えてきたのは、朝の早い時間に来店する客のほとんどが、朝の車での通勤時間中に気を紛らわせ、昼食までの間に感じる空腹をかわすためにミルクシェイクを注文していたという事実でした。

つまり、早朝の来店客にとっての「ジョブ」は「運転時間に気を紛らわせること」「昼食までの空腹から逃れること」だったわけです。

そして午後や夜の時間では、たとえ同じ客だったとしても、まったく違ったジョブのもとでミルクシェイクを購入していることも明らかになりました。一緒に来店した子供たちをなだめ、愛情を示すため購入していたのです。

このように、ミルクシェイク自体の味や値段は問題ではなく、一つひとつの状況における来店客のジョブに目を向けることこそが、当初の目的である売上を伸ばすために必要なアプローチだったわけです。

ジョブ理論と進歩(プログレス)

前述のミルクシェイクの事例のように、たんに顧客のセグメント情報に注目するのではなく、一つひとつの状況下における顧客のジョブ、すなわち「達成したいと望むこと」にフォーカスすることの重要性がジョブ理論では繰り返し語られています。

そのジョブの解決こそがイノベーションに通じていくというわけです。

「ジョブ」を定義する

これは言い換えれば、顧客の目的は製品を購入することではなく、自分自身が何らかの進歩をするためにモノやサービスを購入するということになります。

同著の表現によれば「顧客はある特定の商品を購入するのではなく、進歩するために、それらを生活に引き入れる」ということになるでしょう。

ジョブ理論における「ジョブ」とは、自らの進歩のために顧客が片づけるべきことであり、顧客はジョブを解決するため、いわばプロダクトやサービスを「雇用」することになります。

この概念を理解することができれば、顧客のジョブを発見するという考え方が直観的にわかるようになるとクリステンセンは述べており、ジョブ理論を構成する要素として「進歩」「状況」を挙げています。

進歩

ジョブ理論を理解するポイントのひとつは、顧客のジョブを『ある特定の状況下で人が遂げようとする進歩』と定義すべきとしています。

重要なのは、その顧客がどうしてその選択をしたのかという理由を理解することです。

ジョブは顧客にとっては独立した出来事ではなく、あくまでも何らかの進歩を引き起こすためのプロセスであり、さまざまな形態があるわけです。

状況

ジョブの定義には、もうひとつ「状況」が含まれます。顧客自身のジョブは、それが生じるに至った特定の文脈によってのみ定義することが可能であり、それに対する有効な解決策も特定の文脈でのみもたらしうるものです。

ジョブが発生するとき、顧客が「どこにいるのか」「だれと一緒にいるか」、あるいは「どういった社会的・文化的圧力が発生しているのか」といった事柄に注目し、彼らが成し遂げたい進歩の性質と、それが生じる状況を理解することが重要となります。

「ジョブ」を見極めるポイント

それでは、企業側が顧客の「ジョブ」を見極めるポイントとして、どういった点が挙げられるでしょうか?

顧客のもつストーリーの理解に努める

ジョブは本来複雑なもので、顧客一人ひとりで異なっていることが多いでしょう。

そのため顧客を観察することによって得た情報を分析用のデータに落とし込むことは、けっして簡単なことではありません。

ジョブの多くは顧客にとって一時的なものではなく、一連のストーリーであるためです。

そこでジョブ理論では、顧客の特性、たとえば「男性か女性か」「大企業か中小企業か」「裕福か貧乏か」といった要素をほとんど考慮することはありません。

重要なのは顧客がその状況で「何をするのか」ではなく「なぜ、その行動をとらなければならないのか」を分析することだからです。

顧客のジョブを知るために考えるべきポイント

このことに関して「ジョブ理論」では、特に以下の点を考えてみることが有効だと述べています。

  • その人がなし遂げようとしている進歩は何か
  • 苦心している状況は何か
  • 進歩をなし遂げるのを阻む障害物は何か
  • 不完全な解決策で我慢し、埋め合わせの行動をとっていないか
  • その人にとって、よりよい解決策をもたらす品質の定義は何か、また、その解決策のために引き換え(トレードオフ)にしてもいいと思うものは何か (前掲書,66~68頁)

こういった問いに答えることによって、顧客のジョブをより具体化することができるようになります。

顧客の「ジョブ」はどこにあるか?

顧客の片付けるべきジョブを他人が特定することは容易なことではありません。

限られた「正しい方法」があるわけではなく、他のマーケティング戦略同様に、分析に分析を重ねて一つひとつの仮説を検証していくしか方法はないでしょう。

ただし、顧客のジョブを分析するにあたっては、これまで自社が集めてきたデータや調査結果を諦める必要はなく、それらを重要な知見を見出すための出発点とすることができます。

クリステンセンが述べているように「問題は道具にあるのではなく、何を探し、観察した結果をどうつなぎ合わせるかのほうにある」のです。

最後に、同著で語られている「ジョブを明らかにするためのポイント」について紹介しておきます。

生活に身近なジョブを探す

ジョブに関する知見を得るための重要な情報源となるのは、自分自身の生活です。多くの人にとって、自身の体験は片付けるべきジョブを掘り起こすためのさまざまなヒントを与えてくれるものです。

たとえば日々の生活のなかで起こった「ひらめき」や、自分がこれまで獲得してきた顧客とのやり取りなどから、多くを学ぶことができるので、そういった些細なところから積極的にジョブに関するヒントを得るようにしましょう。

無消費と競争する

顧客の片付けるべきジョブについて学べるのは、必ずしも自社の商品やサービスを使っている人々からだけではありません。
現在、顧客となっていない人やまったく自社の商品・サービスとは無関係と思われる層の人々からも、多くのことを学ぶことができます。

こういった自らのジョブを満たす解決策を見つけられず、結局何の利用(雇用)もしないことを選ぶことを『ジョブ理論』では「無消費」と呼んでいます。

多くの企業は、他社から市場シェアを奪うことや、既存客との関係ばかりを重視しがちですが、無消費層には目に見えない需要が大量に存在している可能性があることを忘れてはいけません。

むしろ、ジョブについての重要な知見は、自社や競合の製品をまったく購入していない無消費者を調査することで得られるケースが多いとされています。

そういたジョブの掘り起こしこそが、イノベーションにつながりやすいわけです。

間に合わせの対処策に注目する

顧客のなかには、自らのジョブを正当な方法で解決できず、間に合わせの方法でなんとか解説しようとしているケースがあります。

そういった顧客を観察することによって、彼らが高い価値を認めてくれるようなイノベーションの手がかりを得られる可能性が高くなります。

そのジョブが当人にとっては非常に重要であるにもかかわらず、他に方法がないために仕方なく解説策を工夫している場合、それをダイレクトに解決してくれる方法は顧客にとって非常に魅力的に映ることは間違いありません。

たとえば、リアルタイムでレストランのオンライン予約サービスをする「オープンテーブル」は、多くのレストラン客がディナーの予約の手配に難儀していたことから生まれたといわれています。

顧客が実際に製品をどう利用しているか調べる

自社の製品を顧客がどう利用しているのかを詳細に調査することも重要です。

それによって盲目的に顧客調査をするよりも、何倍もジョブについての重要な知見を得ることができるでしょう。
特に顧客がこちらの想定していなかった意外な使い方をしている場合は注目してください。それが顧客の隠れたニーズを発見するための重要なヒントとなります。

このように、自社の製品やサービスをその属性からではなく、顧客の片付けるべきジョブという視点から理解するよう努めれば、その市場の潜在的規模を一気に拡大させることが可能になります。
それまで気づかなかった場所に成長の機会が現れ、それが自社のイノベーションの源泉となるのです。

この視点こそがジョブ理論が語るもっとも重要なトピックといえます。

顧客のジョブを理解し、イノベーションを生み出す

書籍が発売されるやいなや、多くの経営者・起業家・ビジネスパーソンの注目の的となったクリステンセン教授の著書「ジョブ理論」の内容について、特に重要と思われる部分を解説してきました。

多くの人にとって、こういったビジネス書は「よいことが書いてあるけれど、実際のビジネスの現場では使えない」と感じることが多いのではないでしょうか。

しかし「ジョブ理論」は、単に経営やマーケティングのための理論を説明しているだけではなく、実践的な知見とデータに裏打ちされた実用書として捉えることができます。

なぜならば、実際の顧客のニーズと行動の間の因果関係について、実際の研究に基づいた深い分析を加えているからです。クリステンセン自身も「(ジョブ理論のように)因果関係を説明する理論は、ビジネスリーダーのもつツールのなかでもっとも重要かつ実用的なツールである」といっています。

ぜひ、自分の顧客の抱える「ジョブ」について分析・理解し、自社のイノベーションを成功に導く手引書として活用してみてください。

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