市場調査とは?種類やポイント - マーケティングリサーチとの違い
企業がマーケティング活動をする前に、まず必要とされるのが市場調査です。
ただ、一口に調査といっても、実際に何をどういう方法で調べればよいのかわかっていなかったり、市場調査という言葉自体は知っていても、そのプロセスがイメージできない人は少なくないようです。
そこで、まず市場調査の概要について説明するとともに、具体的な調査方法やポイントについて基本的な部分を解説していきます。
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- 市場調査とは
- 市場調査の歴史
- 市場調査とマーケッティングリサーチとの違い
- 市場調査のメリット
- 市場調査の代表的手法7選
- アンケート調査
- 対面調査
- グループ調査
- 郵送・FAX調査
- 電話調査
- ホームユーステスト
- 覆面調査
- 市場調査で注意するべき4つのポイント
- 目的を明確にする
- 仮説を立てて検証する
- 各調査手法のメリットとデメリットを把握する
- コストと所要時間を把握する
- 市場調査に活用できるデータサービス8選
- Fastask
- 総務省統計局
- 調査のチカラ
- 経済産業省(統計データ)
- 政府統計の総合窓口
- 矢野経済研究所
- 日本生産性本部
- 生活定点
- 市場調査で適切なマーケティング施策を実行しよう
- BOXILとは
市場調査とは
市場調査とは、企業がアンケートやインタビューなどから市場の動向・トレンド・顧客満足度を調べることを指します。
顧客の動向や購買行動をリサーチし、全体的なトレンドや顧客ニーズの変化を数値的に把握することで、最終的にマーケティング施策を成功させることを狙いとして実施されます。
市場調査の歴史
市場調査は、もともとアメリカのフォード社が自社の大量生産車のニーズを把握するために行った調査がはじまりといわれています。
商品やサービスを市場に投入する前に、顧客がどういう評価をするのかを数値的に把握することで、状況に応じた適切なマーケティング施策をとれるようにしたわけです。
特に自社にとって未知の領域に新商品やサービスを投入する際には、一定のデータとしての裏づけが必要となり、そのうえでマーケティングを行わなければなりません。
フォード社は事前に綿密な市場調査を行ったうえで、満を持して商品を投入したことにより成功を収めたのです。
市場調査とマーケッティングリサーチとの違い
市場調査は、いわゆるマーケティングリサーチとほぼ同じ意味で使われることが多いですが、厳密には次のような違いがあるといわれています。
市場調査
顧客のこれまでの行動や嗜好を数値的(統計学的)に把握するための調査のこと。いわば顧客の過去と現在の行動をリサーチすること。
マーケティングリサーチ
顧客の意見や評価、気持ちなどを言語的(国語的)に知ること。いわば未来に対する顧客の気持ちをリサーチすること。
簡単にいえば、これまでの顧客の動向を調査して市場を統計的に検証するか、将来の顧客行動の予測を言語的に把握するかの違いです。
以下の記事では、マーケティングリサーチについてより詳しく解説しています。
市場調査のメリット
市場調査のメリットとして次の3つが挙げられます。
- 市場の動向をマクロ的に把握でき、その推移を把握できる
- 市場を構成する各プレイヤーのシェア状況を知れる
- 市場に投入する商品のニーズを把握できる
膨大なコストをかけて商品を開発しても、それが顧客に受け入れられなければ大きな損失となります。
そこで市場調査によって企業と顧客との間の溝を埋め、顧客が本当に必要としている商品やサービスを提供することで、自社が負うリスクを軽減できるわけです。
市場調査の代表的手法7選
次に、市場調査の代表的な方法について解説します。以下は企業が頻繁に用いる調査方法であり、業種や分野を問わず広く用いられている手法です。
アンケート調査
アンケート調査はもっともスタンダードで、よく知られている調査方法です。広く知られているだけに受け入れてもらいやすく、適切な設問を設定できれば、非常に質の高い回答結果が得られます。
ただし質問内容が不適切ならば、こちらの目的に沿った回答が得られない可能性もあり、回答する側が正直に質問に回答してくれるとは限らないなど、相応のデメリットもあります。
そのあたりを理解し、目的のデータを収集できるように工夫を重ねる必要があります。
以下の記事では、アンケート作成のポイントについて詳しく解説しています。
対面調査
調査員が一人の調査対象者と向かい合ってインタビューをしていく手法で、パーソナルインタビューとも呼ばれます。
1対1の調査のため時間が掛かりますが、一人ひとりに対し商品やサービスの選択理由、購入動機などを深く掘り下げて調査できます。
アンケートのように、あらかじめ決まった質問に答えてもらう手法に比べると、相手の反応をみて臨機応変に質問内容を変えられるため、総じて質の高い結果を得られます。
調査員と対象者が同じ部屋で向かい合って行われるのが一般的ですが、最近ではWebカメラなどを利用してオンラインで面談する手法も確立されています。
グループ調査
グループ調査(グループインタビュー)は、同時に複数の調査対象者を集めて座談会形式で行われる調査です。対面調査のメリットである、じっくりとヒアリングできる点を活かしつつ、1対1では時間が掛かりすぎる場合に用いられることが多いです。
対象者の方も複数人でインタビューに答えるため、1対1に比べると緊張せずにリラックスした雰囲気で望めるので、答えづらい質問にもスムーズに答えてもらいやすくなります。
郵送・FAX調査
郵便やFAXを利用して、調査対象者にアンケートを送付し、それに答えてもらう調査方法です。対象者が遠隔地にいる場合や、対象範囲が広い場合に用いられます。比較的低コストで実施可能なため昔から用いられている手法で、カタログや商品に同封して送付されることも多いです。
ただし、一般的に返送率が低いため、それをカバーするために調査参加の同意をもらっているモニターに対して実施されるケースもあります。
電話調査
これも古くから利用されている手法で、郵便やFAXの返送率の低さをカバーするために、電話で直接対象者に質問をする方法です。対面調査のメリットを活かしつつ、遠隔地にいる相手からも詳細な情報を得られます。
ただし近年ではスマートフォンなどの台頭により固定電話を所有している世帯が減ってきていることや、営業電話に対する評価が厳しくなっていることもあって、電話調査そのものが実施しづらい環境になりつつあります。
ただし、インターネットを利用しない高齢世帯に対しては、まだまだ有効な調査方法といえます。
ホームユーステスト
ホームユーステストは顧客に商品やサービスを実際に使ってもらい、その感想をアンケートやインタビューで回答してもらう方法です。
ホームユーステストは商品やサービスについての具体的な満足度や改善点を得るのに適した調査方法です。より大きなデータを取りたい場合は、ホームユーステストからグループ調査につなげる方法もあります。
覆面調査
覆面調査は、一般の顧客を装い店舗や施設のサービスや商品を調査する方法です。ミステリーショッパーとも呼ばれます。
調査される側は誰が調査員なのか・調査員がいつ訪れたのかわからない状態なので、ありのままの状態を調べられます。とくに飲食店や店舗スタッフの状況を調査する際に適切な方法といえます。
市場調査で注意するべき4つのポイント
続いて、実際に市場調査を行う際のポイントについて解説します。
目的を明確にする
何のために市場調査を行うのか、明確にしておきましょう。目的があいまいだと、データを取ってもうまく活かせずに終わってしまいます。顧客満足度を調べたいのか、商品の改善点を知りたいのかなど、具体的な目的を心がけましょう。
仮説を立てて検証する
規模の大きな調査をする場合は、事前に結果に対する「仮説」を立てておくのも有効な方法です。
調査データをすべて収集してから分析する場合もありますが、データの規模が大きかったり、複雑なものだったりすると、膨大なデータに分析が追いつかなくなってしまう可能性が出てきます。
前もって「こういった結果になりそうだ」と仮説を立て、それが正しいかどうかを検証するスタンスでデータを収集した方が、効率的で質の高い結果を得られる可能性が高く、マーケティング施策にも活かしやすくなります。
各調査手法のメリットとデメリットを把握する
実際に市場調査をするうえでは、各々の調査手法のメリットとデメリットを理解し、収集するデータの種類や質に応じて適切な方法を選択することが重要となります。
特に定量調査と定性調査は、得られるデータの質はまったく違ったものになるので、収集したいデータの選定や、調査そのものの目的を忘れずに、両者をうまく組み合わせて利用していくのが賢いやり方といえます。
コストと所要時間を把握する
一般的に、長い時間を掛ければ掛けるほど質の高いデータを収集できるようになります。
しかし、調査にも相応の時間やコストが必要となるので、しっかりと計画を立てて、コストと所要時間に見合ったリターンが得られるような調査を心がける必要があります。いくら詳細なデータを収集しても、それを活用するタイミングを逸してしまうと意味がないので、目的と期間を絞り込んで効率的な調査を心がけましょう。
市場調査に活用できるデータサービス8選
ここで実際に市場調査をするうえで役に立つ、代表的なデータサービスをいくつか紹介しておきます。
Fastaskは、低価格でありながら、高速・高品質の調査を実施できるサービスです。初期費用や月額の固定費はなく、必要なときに必要な分だけ課金して利用できます。価格だけでなく、品質も高いです。約300万人のリサーチパネルを対象にできるので、速やかに回答を回収できるほか、途中経過も確認でき、早期終了も可能です。
総務省統計局
総務省統計局は、総務省が実施しているさまざまな国政調査や家計調査、消費者実態調査などのデータを無料で閲覧できるサイトです。雇用形態の変化や失業率といったマクロデータなど、日本国内における各産業の全体的な変化を収集したい場合に役立ちます。分野別・50音順で欲しいデータをすぐに検索できため、多くの企業マーケターにも利用されています。
調査のチカラ
調査のチカラは、インターネット上に公開されているさまざまな統計情報を集約したサイトです。政治や社会、ライフスタイルや家電といったカテゴリがあり、調査会社などが独自に調査して公開している情報をはじめ、行政機関が提供している統計データも見られます。閲覧は原則無料で、ネット上の情報を収集したい場合には、まず確認しておきたいサイトといえます。
経済産業省(統計データ)
経済産業省の統計データには、日本国内の経済活動についてのさまざまなデータが詳細に掲載されています。閲覧は無料で、いわゆる「ビッグデータ」の情報も入手できます。特に最近ではECサイト関連の情報が豊富なので、同分野に関わる情報が欲しい場合は積極的に活用していきましょう。
政府統計の総合窓口
政府統計の総合窓口は、日本政府が調査・収集したデータを一般公開しているサイトです。国土や国民生活、人口変動など、多くのジャンルに関する詳細なデータを入手でき、年次動向を追うことも可能です。民間調査では不可能な大規模なデータを扱っているので、そういったマクロデータを活用したい場合には利用するとよいでしょう。
矢野経済研究所
矢野経済研究所は、さまざまなマーケティングリサーチと収集したデータを活用したソリューションを提供しており、そのサイト上でも独自に行った市場調査の結果が公開されています。調査対象はライフスタイルやファッション、建築、医療など多岐にわたり、企業名から該当資料の検索もできます。競合の状況などを知りたい場合には、こちらのデータベースを活用するとよいでしょう。
日本生産性本部
日本生産性本部には、社会や経済、福祉などのテーマごとに調査されたデータが公開されています。独自に調査したデータを用いてセミナーや研究会なども開催されており、調査結果の一部は無料で閲覧できます。詳細なデータや情報の提供は有料となりますが、それだけ非常に質の高いデータが揃っているため、必要な場合は購入するとよいでしょう。
生活定点
生活定点には、博報堂生活総合研究所が運営している生活情報サイトです。生活全般に関するものや、食、メディア、国際関係の情報など、さまざまな情報が無料で閲覧可能です。1992年から定点調査がされており、消費者の日常生活に関する意識の移り変わりなどを確認できます。Excel形式で必要なデータをダウンロードできます。
市場調査で適切なマーケティング施策を実行しよう
市場調査をする際は、まずその目的とゴールを明らかにして、収集したいデータの種類や質に応じて適切な調査方法を選択する必要があります。適切な調査をすることでマーケティング施策の成功率が大幅にアップし、商品開発や顧客対応のための有益なデータを得られます。
各々の調査方法のメリットとデメリットを理解し、費用対効果の高い調査ができるように心がけましょう。
BOXILとは
BOXIL(ボクシル)は企業のDXを支援する法人向けプラットフォームです。SaaS比較サイト「BOXIL SaaS」、ビジネスメディア「BOXIL Magazine」、YouTubeチャンネル「BOXIL CHANNEL」を通じて、ビジネスに役立つ情報を発信しています。
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