マーケティングリサーチとは?市場調査との違い・調査手法と手順 - おすすめサービス
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マーケティングリサーチとは
マーケティングリサーチとは、商品やサービスのマーケティングを行うために、市場全体のトレンドや顧客のニーズを調べることです。
企業のマーケティング活動では、どんな人をターゲットとするべきなのか・商品やサービスは利用者に満足されているのか・実施したキャンペーンの効果はあったのかなど、さまざまなマーケティング課題が発生します。
マーケティングリサーチを実施するとこうした課題に対する解決の糸口がつかめるようになり、顧客の嗜好を把握し、ニーズ合った商品やサービスを提供できるようになります。
マーケティングリサーチのメリット
マーケティングリサーチを行うメリットについて具体的に確認しておきましょう。
- 顧客ニーズにマッチした商品やサービスが提供できる
- 既存商品の改善点を明らかにできる
- 「売れない」リスクを軽減できる
- 市場全体の動向を把握できる
- 競合の状況について把握できる
顧客ニーズにマッチした商品やサービスが提供できる
適切なリサーチを実施することにより、自社の顧客ニーズやウォンツにマッチした商品・サービスの提供が可能になります。
ニーズとは、顧客が日常生活において何かを必要としている状態のことであり、ウォンツとは特定のモノが欲しいと感じる欲求そのものをいいます。
たとえば、人間の「睡眠時間を快適にしたい」状態はニーズであり、そのために「高級な羽毛布団が欲しい」欲求はウォンツとなります。言い換えれば、ニーズとは目的であり、ウォンツは手段なわけです。
こういった顧客のニーズ・ウォンツをリサーチによって把握することで、適切なプロモーションで商品やサービスを提供可能になります。
既存商品の改善点を明らかにできる
マーケティングリサーチによって、既存の商品・サービスの改善点や問題点を明らかにできます。
これによって、企業側はより売れる商品の開発につなげられ、顧客の方も、より良い商品を手に入れられるため、双方ともにメリットがあります。場合によっては、そこから新しい顧客ニーズが誕生することもあります。
「売れない」リスクを軽減できる
せっかく高いコストを払って新商品を開発しても、それが顧客に受け入れられなければ大きな損失となるでしょう。
事前にしっかりとマーケティングリサーチすることで、本当は売れない商品を盲目的にリリースしてしまうリスクを軽減できます。
当然、市場は常に移り変わっているので、念密なリサーチを重ねていたとしても、必ず商品やサービスが売れるとは限りません。しかし事前にしっかりとリサーチをした場合とそうでない場合とでは、その「打率」に大きな違いが出てきます。
市場全体の動向を把握できる
特定の商品やサービスの市場が伸びているか、あるいは減少しているのかなど、市場全体の動向を把握できることもマーケティングリサーチの大きなメリットです。
ただし、規模の大きな調査になると、自社ですべて調査するのはコスト的に難しいこともあります。
そういう場合は、市場調査の専門会社などに依頼することで、当該商品の市場が伸びているのか、あるいは衰退期に入っているのかなどを把握でき、商品開発やマーケティングの参考にできます。
競合の状況について把握できる
競合他社の状況について把握できる点もマーケティングリサーチのメリットです。
たとえば、これから新商品をリリースするにあたって、同じような商品がどういう市場でどれぐらい売れているのか、その理由などについて知ることで、差別化のポイントなどを抽出できます。また競合が失敗した要因を探ることにより、同じ轍を踏まないように工夫できるようになります。
マーケティングリサーチと似た用語の違い
マーケティングとの違い
マーケティングとは、商品・サービスを購入してもらうための一連のプロセスのことです。具体的には、情報の提供からプロモーション、顧客からの問い合わせ回答といった、顧客に商品を販売するまでの施策までのすべてを指します。
一方でマーケティングリサーチは、マーケティングを正しく実践するために必要となる顧客の嗜好やニーズ、業界全体の動向などを調査することなので、マーケティングの前段階で行われる調査です。
人によってはマーケティングとマーケティングリサーチを同じ意味で使っているケースもありますが、厳密にはこういった違いがあります。
市場調査との違い
マーケティングリサーチと市場調査の違いは、統計学的に検証するか言葉で把握するかです。
市場や顧客の動向を調査するのは同じですが、過去の消費者行動をリサーチして、現在のトレンドや見込み顧客(リード)の行動を数値的に把握することが「市場調査」です。
一方、将来的に消費者がどういう嗜好やニーズを持つのかを言葉として知ることが「マーケティングリサーチ」となります。
マーケティングリサーチの市場規模
マーケティングリサーチの市場規模は、年々拡大傾向にあります。
「一般社団法人 日本マーケティング・リサーチ協会」が調査している「第47回(2021年度) 経営業務実態調査」によると、マーケティングリサーチの市場規模は2,357億円にものぼり、過去の調査データと比較しても最高となっています。
後述するマーケティングリサーチの方法の一つ、アドホック調査の中でも特にインターネット調査の伸びが顕著です。
マーケティングリサーチの2つの分類
マーケティングリサーチには、パネル調査とアドホック調査と2つの調査方法があり、その中でもアドホック分析はさらに定量調査と定性調査の2つに分けられます。
パネル調査
パネル調査とは、一定期間にわたって同じ調査対象者(パネル)に対して継続してアンケートなどを実施する調査方法をいいます。
その都度、対象者を募って実施するアドホック調査と比較して、対象者の状況や心境の変化など、時系列ごとの回答推移を分析可能です。対象商品に対する意識や評価の変化、ニーズの移り変わりなどを調べるのに向いています。
アドホック調査
アドホック調査とは、マーケティングで抱えている課題に応じてその都度調査の設計をし、必要なデータを収集する調査方法をいいます。「アドホック」はラテン語(ad hoc)由来の言葉で、”限定目的のための”を意味します。
同じ人や店舗を対象とするパネル調査と比較すると、ヒアリングできる調査内容にバリエーションを持たせられることや、潜在的なニーズを捉えられる点が優れています。
データを収集する種類によって分かれている定量調査と定性調査は、その目的は違いますが、両者をうまく組み合わせることによって、より詳細な顧客ニーズや顧客の実際を把握できるとされています。調査目的によってうまく使い分ける必要があるのです。
定量調査
定量調査とは、広く消費者から意見を収集し、それを数値的(定量的)に分析して全体の傾向をつかむ調査方法です。
たとえば、アンケート調査票を作成し、複数の消費者に回答してもらうことで、商品やサービスに対する評価の傾向を数値化し、平均値を出します。
これによって、見込み顧客や既存客の商品やサービスに対する大まかな評価や意見などを数値的に分析可能になり、グラフとしてプロットしやすくなります。
こちらの記事では、定量調査に役立つWebアンケート作成の方法について詳しく解説しています。
定性調査
定性調査とは、顧客の個人的な意見や感想、購入に至った経緯などを詳細に分析する手法であり、主に調査対象者が口頭で答える形式のものをいいます。
商品・サービスに対するイメージや、それを利用しているときの気持ちなど、数値としてデータ化が難しい人間の感性に関わる調査をします。質問に対して回答する際の態度や行動を調査項目に加えるなど、対象者の心理状況なども観察されることが多いです。
マーケティングリサーチの代表的手法12選
一口にマーケティングリサーチといっても、さまざまな種類や手法があり、その目的や収集したいデータに応じて適切な方法を選択する必要があります。
企業のマーケティングリサーチとして頻繁に用いられる代表的な手法を紹介していきます。
アンケート調査・ネットリサーチ
最もよく知られている調査方法がアンケートを用いた調査でしょう。アンケート用紙や専用のWebページを使って回答者を募り、一問一答形式の質問に答えてもらうやり方が一般的です。
特にWebを用いたアンケート調査は、専用の用紙を使った方法よりも低コストで実施でき、素早く集計を行えるのがメリットです。サンプル数が多い調査にも対応可能で、地域を限定せずに全国規模で実施できます。
座談会・グループインタビュー
グループインタビューは、複数の調査対象者を集め、司会者が質問をしていくマーケティングリサーチ手法です。
いわゆる座談会形式で進められることも多く、質問に自由に回答するなかで広く意見や感想、商品に対する評価や要望を収集可能です。
複数人でインタビューに答えるため、回答者も答えやすく、新商品に関する新しいアイデアを提案されるケースこともあります。
会場調査
会場調査とは、アンケートモニターなどに登録している対象者に対して、指定した会場に来てもらって詳しいアンケートやインタビューを受けてもらうマーケティングリサーチの調査方法のことをいいます。
あらかじめ募集した人に来てもらう場合だけでなく、会場付近の通行人にお願いする場合もあります。調査条件を均一にしやすいため、詳細な比較データを収集する際に有効な方法として知られています。
郵送調査
郵送調査は、調査対象者にアンケート用紙を郵送して回答してもらう手法です。
調査したい人々が遠隔地にいる場合には低コストで実施できて有効ですが、アンケート用紙が対象者から返送されないこともあり、一般的に回収率が低い手法でもあります。
そのため、あらかじめモニターとして登録してもらった相手に実施するなど、高い回収率とコストパフォーマンスの兼ね合いを工夫している企業が多いです。
こちらの記事では誰でも簡単に作成できるWebアンケート作成ツールを紹介しています。
訪問調査
訪問調査とは、調査対象者の自宅を直接訪問し、ヒアリングを行う手法です。訪問する地域を決定し、その地域の回答をまとめて聞けるメリットがあります。
一軒ごとに訪問する手間がかかるため、リサーチ会社に依頼して行うことが一般的です。
ホームユーステスト・モニター調査・ユーザーテスト
ホームユーステスト(HUT)とは、サンプルを配布して一定期間実際に製品を利用してもらい、期間後にアンケートで評価してもらう手法です。
モニター調査とも言われるこのマーケティングリサーチの手法は、実際に利用して思ったことを直接ヒアリングできるため、製品の改善に役立ちます。また、ソフトウェア製品やWebサイトに対象を絞る場合はユーザーテストと呼ばれることもあります。
電話調査
電話調査は、名前のとおり電話にてマーケティングリサーチを行う手法のことです。電話調査は訪問調査を含む他の方法よりもコストが安くなる傾向があり、用意するのは電話とリストだけのため時間もかかりません。
ソーシャルリスニング
SNSやECサイトを含むあらゆる口コミなど、発信されている投稿データを収集・分析し、商品の改善やブランディングに活かすマーケティング手法のことです。
近年スマートフォンの爆発的普及にともない、Twitterに代表されるSNSへの投稿も増えています。ユーザーの名前の声を聞けるため、注目が集まっています。
MROC(エムロック)調査
MROC調査とは、製品やブランドに詳しい有識者を集めてディスカッションやアンケートなどを繰り返し行い、顧客の潜在的なニーズを調査していく方法です。インターネット上で実施しているサービスもあります。
覆面調査
覆面調査とは、選ばれた覆面調査員が店舗に行って実際に製品やサービスを調査する手法のことです。専門の覆面調査員だけでなく、一般人からも選ばれることがあります。
統計データ調査
統計データ調査とは、政府や大学といった公的機関が調査した統計データから、マーケティングの課題にあわせて抽出した対象について調べるマーケティングリサーチの方法です。
テスト販売
テスト販売とは、一部の店舗や期間限定で実際に製品を販売し、ユーザーの感想や口コミを集めて商品の改善に利用する手法です。ソーシャルリスニングやアンケート調査と組み合わせて利用すると、より効果を発揮するでしょう。
マーケティングリサーチをする際の流れ
マーケティングリサーチで頻繁に用いられる調査方法について説明したところで、実際にリサーチをする際の手順とポイントについて解説します。
手順1. 課題を抽出する
マーケティングリサーチを行う前に、自社製品にどのような課題があるのかを多角的に抽出しましょう。課題によって適する調査方法も異なってくるため、より具体的で詳細に説明できるようにしておくのがベストです。
ブレインストーミングに代表される考え方で、課題を抽出するのも一つの手です。
手順2. 事前にある程度の仮説を立てておく
必要なデータをすべて収集してから分析する方法も効果的ですが、データの規模が多岐にわたったり、規模が大きかったりする場合、なかなか詳細な分析が難しいこともあります。
そこで、事前にある程度の仮説を立てておき、それを検証するアプローチをとるのが有効なケースがあります。
これを「調査仮説」などといい、あらゆる情報を広く浅く収集するのに対して、ピンポイントに調査を深堀りできるため、効率的な調査が可能となり、その結果もマーケティングに活用しやすくなるメリットがあります。
手順3. 定量調査と定性調査を組み合わせる
すでに説明したように、目的と収集するデータの質によって、定量調査と定性調査を適切に組み合わせて実施するのが効果的です。
たとえば、大規模なアンケート調査を実施して顧客ニーズのトレンドを把握し、個々のモニターを募って詳細なインタビュー調査を行うといった手法は、多くの企業が実施して効果を上げています。
事前にどういうプロセスで、具体的にどんな結果を得たいのかを明確にしつつ、調査手法の選定をする必要があります。
手順4. 対象者を慎重に選別する
調査対象者を慎重に選別することも重要です。いくら対象者が多かったとしても、それがターゲット顧客とかけ離れた属性の人々だったならば、調査する意味がありません。
目的に沿った調査を行うためには、その目的や仮説を検証できる対象者を募ることが重要であり、そのためには対象者となるに相応しい条件は何かを考慮し、どういう方法で募集するのが効率的かをしっかりと考える必要があります。
手順5. 質問を作成して回答を募集
マーケティングリサーチの対象者が決まったら、次は質問を作成します。
質問文はわかりにくくないか、バイアスがかからないか、答えやすい構成になっているかが重要です。せっかく作成した質問なのに、意図が伝わらず想定していた内容と違う回答が集まってしまっては、リサーチを実施する意味がありません。
手順6. 分析する
集まった回答はそのままでは意味を成しません。質問に対してどのような回答が得られたのか、またどのような傾向があるのかどうかを、クロス分析をはじめとする各データ分析手法を用いて分析しましょう。
マーケティングリサーチを支援する代表的なツール
マーケティングリサーチを自社で行うとなると、対象者の選定から質問作成、収集するフォームの選定まで非常に手間がかかってしまいます。
そこで役立つのがマーケティングリサーチ会社です。モニターを多く抱えており、多くの調査対象者に向けてマーケティングリサーチを実施できるでしょう。
- 300万人ものアクティブモニター
- アンケート化・実査・調査に特化
- 日本語の専門家集団が調査票をチェック
Fastaskはセルフ型ネットリサーチを掲げる、マーケティングリサーチ支援ツールです。メルカリやガイアックス、ディップやサムライトなどの企業が導入した実績もあるツールです。
こちらの記事では、記事中で紹介しきれなかったリサーチ会社6選を紹介しています。
リサーチの重要性と有効な手法を知ろう
マーケティングリサーチの基本的な説明から、実際のリサーチの方法やプロセス、そして実施する際に注意すべきポイントについて解説してきました。
適切なリサーチの有無は、マーケティングの成否を大きく左右します。ビジネスに100%はありませんが、リサーチによって成功の確率を大幅に上げられます。また、顧客ニーズにマッチした商品やサービスを提供できることにより、顧客が自社のファンになってくれる可能性が高まります。
リサーチというと難しい印象をもたれる方も多いかもしれませんが、本記事を参考に、ぜひ基本的な調査からでもチャレンジしてみてください。
BOXILとは
BOXIL(ボクシル)は企業のDXを支援する法人向けプラットフォームです。SaaS比較サイト「BOXIL SaaS」、ビジネスメディア「BOXIL Magazine」、YouTubeチャンネル「BOXIL CHANNEL」を通じて、ビジネスに役立つ情報を発信しています。
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