SaaS管理ツールとは?リモートワークの加速で高まる重要性
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SaaS管理ツールとは
SaaS管理ツールとは、「社内で導入した複数のSaaSを一元管理できるツール」のことです。
利用状況やコストの可視化、アカウントの権限管理や発行・棚卸しなどの機能があり、業務効率化やコスト最適化などが可能です。
近年では複数のSaaSを導入する企業が増えており、スムーズな管理を実現できるSaaS管理ツールの必要性が高まっています。
SaaS管理ツールが必要とされる背景
SaaS管理ツールの登場した背景には、近年のSaaS導入の活性化が挙げられます。
社内で利用するSaaSが増えると、管理が困難になります。部門や部署別で個別にSaaSを導入することもあるでしょう。
そのようななかで、IT部門においてもすべてのSaaSの利用状況を把握できていないことも少なくありません。サポートや更新がされていないものや利用されていないアカウントを放置している場合、企業にとって大きなリスクにつながる恐れもあります。
重複したアカウントや、退職者のアカウントがそのままになっているケースもあるでしょう。多数あるSaaS用アカウントのうち、どれが実際に使われているかのを判断することも簡単ではありません。
そこで、SaaS管理ツールや、SaaS管理プラットフォーム(SaaS Management Platform:SMP)と呼ばれる、管理ツールが登場しました。登場の背景にあるSaaS導入の現状と課題を詳しく解説します。
リモートワークでSaaS導入が増加した
テレワーク/在宅勤務では、働く場所が自由になる一方、作業するすべての場所にICT環境を整備しなければなりません。仕事で使うアプリをノートパソコンにインストールして持ち歩くことは可能ですが、アプリのバージョン管理に手間がかかってしまいます。
そのため、場所を問わず同じアプリが利用可能になる、SaaSを導入する事例が増えました。
1社平均93種類のSaaSを利用
クラウド型ユーザー認証サービス(IDaaS)のオクタによると※1、各企業が利用するSaaSの数は増加傾向にあり、2023年時点で1社平均93種類のSaaSを使っていたそうです。
当然、SaaS市場も拡大中です。カナリスの調査レポート※2では、2024年第2四半期における世界クラウドインフラサービス支出額は、782億ドル(約12兆603億円)と、前年同期比19%増でした。
※1 オクタ"Businesses at Work 2024"
※2 カナリス"Global cloud services market Q2 2024"
サービスも多種多様に
SaaSの利便性が理解されて導入が増え、市場も拡大していることから、次々と新しいSaaSが市場投入されています。
この状況は、BOXIL Magazineを運営しているスマートキャンプの「SaaS業界レポート2024(2024年10月発行)」でも確認可能です。同レポートのSaaSカオスマップに掲載されているSaaSの数は2023年以降1,500以上あり、2017年の396種類から右肩上がりで増えてきました。
出典:スマートキャンプ / SaaS業界レポート2024
国内のSaaS市場も好調で、富士キメラ総研は2022年度の市場規模を前年度比114.6%増の1兆2,284億円と予測しました。さらに、2026年度には1兆8,330億円まで増えると予測しています※3。
※3 富士キメラ総研『2023 クラウドコンピューティングの現状と将来展望 市場編/ベンダー編』まとまる(2023/5/22発表 第23057号)
SaaSのアカウント管理が重荷になった
SaaSの利用メリットは大きいものの、利用経験の浅い企業にとっては一筋縄でいかないこともあるようです。設定ミスが大きなリスクになることがあり、管理の担当者不足を訴える企業も存在します。
いまや導入されるSaaSは増える一方であるため、アカウントの管理が負担になることも見過ごせません。
SaaSは“無秩序に”増えている
SaaS関連サービス事業のZluriによる世界各地の企業を対象とした調査※4では、IT責任者クラスは81%がSaaS導入の増加を認識していました。一方で、戦略的にSaaS由来の問題を対策しているとの回答は、17%にとどまります。
無秩序に増えるSaaSに関する問題としては、「セキュリティ」を挙げる声が75%ともっとも多く、「コンプライアンス」(58%)、「コスト」(57%)、「シャドーIT」(57%)などの意見も目立ちます。また、現在利用しているSaaSに対して、動作状況の管理が不十分だと考えている回答者は34%いました。
※4 Zluri"83% of IT leaders don't have a solid strategy in place to manage their SaaS"
日本でも管理が悩み
同様の悩みを訴える声は、日本でも増えています。SaaS関連サービスを提供するメタップスの調査※5によると、社内で利用されているSaaSをすべて把握、管理できている企業は48%と半数を切りました。
出典:メタップス / 「SaaS爆発」時代の裏に潜む課題を徹底調査
さらに、ムダなコストや不正アクセスの発生につながる退職者用アカウントの削除漏れは、32%が「ある」または「わからない」と回答しました。SaaSが十分に管理されていない、危険な状態にある企業は少なくないようです。
※5 メタップス「『SaaS爆発』時代の裏に潜む課題を徹底調査」(2025年4月14日閲覧)
SaaS管理ツールを導入するメリット
SaaS導入が増加している現在、管理の煩雑化による課題が出てきていることを解説しました。SaaS管理ツールを導入することで、運用コストの削減やセキュリティの維持など、ログイン先を統一できることでさまざまなメリットを得られます。
SaaS管理ツールを導入することによって得られる3つの大きなメリットを説明します。
サービスの運用コストを削減できる
営業部門や経理部門など、部署・部門ごとに違ったSaaSを導入・運用しているのは珍しくありません。各所でバラバラに運用しているSaaSを一元管理することで、全体の運用コストを削減できるようになります。
部門ごとに独自の判断でサービスを導入するケースが頻発すると、本来必要のないサービスまで導入してしまう可能性があります。
SaaS管理ツールを導入し、各所が本当に必要としているサービスを厳選して導入・管理できるようにすれば、結果的にかなりのコスト削減になるでしょう。
組織のセキュリティを高められる
各部署で独自にSaaSの運用体制を敷いている場合、操作ミスや設定ミス、アカウントの放置、アップデートのタイミングなどでセキュリティリスクの発生につながる可能性があります。
そこで、SaaS管理ツールによって一か所でSaaSを一元管理するようにすれば、統一した使用ルールのもとで厳格に運用できるようになるでしょう。結果的に、組織全体のセキュリティレベルを向上させられます。
アカウント管理やアクセス制限管理を徹底すれば、情報漏えいのリスクを低減できます。
アカウント管理の効率化
SaaS管理ツールを導入すれば、複数製品のアカウント情報を可視化・一元化し、管理を効率化できます。
SaaSはサービスごとにアカウント管理が必要となるほか、社員の異動や入退社などのタイミングで、アカウントの発行や削除作業が必要です。しかし、Excelを使い手入力で管理をしていると、利用しているSaaSやアカウント数が増えるごとに担当者の業務量や管理の煩雑さも増していきます。
SaaS管理ツールの導入すればアカウントを一元化し、情報を把握しやすくなるほか、入退社や人事異動に応じて自動で発行・削除を行ってくれる場合もあるため、管理を大きく効率化できるようになります。
SaaS管理ツールのデメリット
SaaS管理ツールには多くのメリットがありますが、導入前に知っておくべき注意点も存在します。SaaS管理ツールの代表的なデメリットを紹介します。
導入・運用コストがかかる
SaaS管理ツールは有料のサービスが多く、初期費用や月額料金が発生します。とくに中小企業や利用サービス数が少ない場合は、コストに見合わないと感じるケースもあります。
費用対効果を高めるには、管理対象となるSaaSの数や運用負荷を事前に確認することが大切です。無料トライアルやスモールスタートに対応したツールを選ぶと、費用リスクを抑えやすいです。
社内ルールとの整合性が求められる
SaaS管理ツールは独自の操作フローや管理方法があるため、既存の業務フローとの調整が必要です。とくにIT統制や情報セキュリティのポリシーと合わない場合、運用上の齟齬が生じることもあります。
導入時は社内の運用ルールと照らし合わせながら、設定や権限設計を丁寧に進めましょう。必要に応じてツール側のカスタマイズ機能や、外部コンサルの活用もおすすめです。
初期作業の負担が大きい
SaaS管理ツールを導入する際には、既存アカウントやサービスの情報を一括で登録する必要があります。この作業に時間と労力がかかり、導入直後は一時的に業務負荷が増すでしょう。
負担を抑えるには、CSVインポート機能や自動連携機能が充実したツールを選ぶと効果的です。事前に管理対象を整理し、段階的に導入することでスムーズな移行が可能です。
SaaS管理ツールがおすすめの企業
SaaS管理ツールはすべての企業に必要なわけではありませんが、導入効果がとくに大きいケースも存在します。導入を積極的に検討すべき企業の特徴を紹介します。
多くのSaaSを導入している企業
営業や人事、経理、マーケティングなど、部門ごとに複数のSaaSを導入している企業は、管理が煩雑になりがちです。とくに従業員数が100人を超える中堅・大企業では、どの部署でどのツールを使っているのか把握しきれないこともあるでしょう。
このような企業では、SaaS管理ツールを導入することで利用状況を可視化し、アカウントの棚卸しやコスト管理がしやすくなります。結果として、無駄な契約の見直しや、セキュリティリスクの軽減にもつながります。
情報セキュリティを強化したい企業
社内で複数のSaaSを利用していると、誰がどのサービスにアクセスできるか把握しきれず、不正利用や情報漏えいのリスクが高まります。また、退職者のアカウント削除漏れも、よくあるトラブルのひとつです。
SaaS管理ツールを使えば、ユーザーごとのアクセス状況を一元管理でき、不要なアカウントの早期発見にも役立ちます。セキュリティ対策の一環として、ツールの導入は効果的です。
管理部門の負担を軽減したい企業
SaaSの導入数が増えるほど、情シスや総務部門にはアカウント発行や権限設定といった細かな作業が集中します。とくに専任担当者が少ない中小企業では、これが大きな負担になるでしょう。
SaaS管理ツールを導入すれば、アカウント発行の自動化や、権限の一括管理が可能になります。日常業務の効率化が図れるため、少ない人員でも安定した運用が実現します。
SaaS管理ツールの選び方
SaaS管理ツールを選び方のポイントを解説します。SaaS管理ツールを選ぶ際には、対応しているSaaSの種類(サービス数)には最低限注目しておきましょう。
さらに、次の点を導入前に確認することが必要です。
どの程度の効率化が可能か
SaaS管理ツールは、社内で利用している各SaaSの運用コストを削減する目的で、導入する企業が多いはずです。まずは必要な機能が網羅されているかをチェックし、どの程度の効率化が実現できるかを判断しましょう。
SaaS管理ツールでは、各種SaaSの使用率をレポート化して判断できるものが多いので、部署ごとや個人ごとなど、どのような区分で管理したいのかを決めておきましょう。
SaaSへの不要な支出を減らすためにも、管理側が利用状況を一目で判断できるツールがおすすめです。不要なツールの契約を解除したり、新しいSaaSに乗り換えたりするのに役立ちます。
管理画面のわかりやすさ
管理画面がわかりやすく、アクセスしやすいツールかどうかも重要です。SaaS管理ツールは管理者だけでなく、一般社員も利用するため誰でも使いやすい画面構成で操作性に優れている必要があるでしょう。
とくに近年は、SaaS管理ツールのダッシュボード上で全SaaSを管理・運用できるシステムも登場しはじめています。そうなると、管理画面が複雑になりがちなので、できるだけ直感的に運用しやすい画面構成でなければいけません。
セキュリティに問題はないか
アクセス制限やアカウント管理、利用状況の確認機能など、セキュリティに関する機能が充実しているかも、重要な選定ポイントとなります。
さまざまなSaaSを一元管理する性質上、管理ツール自体がセキュリティに優れていなければ、逆に統合管理することでセキュリティリスクを生じさせてしまう可能性があります。
- 二要素認証
- IP制限
- アカウントロック
- セキュリティルール設定
など、導入するツールが具体的にどういったセキュリティ機能を備えているかチェックし、運用体制に鑑みて、セキュリティ上の問題が生じないか確認することが大事です。
対応できるSaaSの範囲
SaaS管理ツールでは、ツールごとにどのようなSaaSと連携できるかが異なるので、管理したいSaaSが対象であるかどうか確認しましょう。
管理対象でなければ一元管理ができなくなるため、ツールを選定する際には、導入済みのSaaSや今後導入を検討しているSaaSが管理対象かどうか、あらかじめ確認が必要です。
ただし、SaaS管理ツールのなかには連携サービスを追加し拡充させているケースが多いため、現時点では対象でなかったとしても、将来的には対応できる可能性もあります。そのため、ベンダーに対応状況を問い合わせたり、対応の要望を出したりするとよいでしょう。
おすすめのSaaS管理ツール
次の記事では、おすすめのSaaS管理ツールやサービスの具体的な選び方について紹介しています。サービス導入を検討している方は、記事で紹介している選択ポイントを意識しながら、自社に合ったツールかどうかを判断しましょう。
近年では国産SaaS管理サービスが次々登場しており、言語を気にせず利用できるでしょう。気になるツールがあれば、積極的に資料請求や問い合わせをしてみてください。

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柔軟な働き方へ対応するために
2020年以降、生活のさまざまな場面で人々の行動が変化せざるを得ないことが増えました。直接対面して会う機会を減らす必要が生じたため、教育の現場ではオンライン授業が行われるようになりました。
また、職場においてもリモートワークを活用した在宅勤務やインターネット経由のウェブ会議が多用されています。
リモートワークが広まった影響で、ムダな通勤や移動をする必要がなく、場所を問わず働けることのメリットを実感する人が増えました。トヨタ自動車のように、働き方の柔軟性をさらに高め、全国で在宅勤務できる制度を導入する企業も現れています。
柔軟な働き方へ対応するためにはSaaS導入が欠かせません。いまや業界・業種にかかわらず、すべての企業がなんらかのSaaSを利用しているといっても過言ではないでしょう。
導入しているSaaS、これから導入するSaaS、必要な管理機能といった条件に合ったサービスを選び、利用効率向上やコスト削減を図りましょう。不正利用やムダなサービスの導入を防いで、最適なSaaS利用環境を構築できるはずです。
