「DXの思考法」西山氏、KADOKAWA各務氏が語る、競争力を高めるDXの実践とは/前編【BOXIL EXPO】
本記事は、2021年9月に開催したオンライン展示会「BOXIL EXPO 第2回 財務・経理・総務・法務展」の基調講演「その変革はデジタル時代を生き残れるか 競争力を高める真のDXへの手引き」をまとめたものです。
【登壇者プロフィール】
西山圭太氏 東京大学未来ビジョン研究センター 客員教授
1963年、東京都生まれ。 1985年、東京大学法学部卒業後、通商産業省入省。 1992年、オックスフォード大学哲学・政治学・経済学コース修了。株式会社産業革新機構専務執行役員、東京電力経営財務調査タスクフォース事務局長、経済産業省大臣官房審議官(経済産業政策局担当)、東京電力ホールディングス株式会社取締役、経済産業省商務情報政策局長などを歴任。日本の経済・産業システムの第一線で活躍したのち、2020年夏に退官。現在、株式会社経営共創基盤シニア・エグゼクティブ・フェローを兼務。 著書に「DXの思考法」(文藝春秋)。
各務茂雄氏 株式会社KADOKAWA Connected 代表取締役社長
KADOKAWAの戦略子会社として設立されたKADOKAWA Connected社長。情報経営イノベーション専門職大学准教授。 Microsoft Corporationにてモビリティ&クラウド技術部部長、アマゾン ウェブ サービス ジャパンでProfessional Service 本部長を経た後、 2017年 1月にドワンゴ入社、 ICTサービス本部本部長などを歴任。 18年 6月、カドカワ(現 KADOKAWA)のグループ CIOに着任。 KADOKAWA、ドワンゴを含むグループ全体の IT戦略を担当。19年 4月より現職。KADOKAWAグループで運営するサービスのインフラ開発・運用や ICTコンサルティング、働き方改革支援を手がけ、その実績を活かしたデジタルトランスフォーメーション(DX)アドバイザリーサービスも提供。
生き残れる企業のデジタル戦略とは
多くのメディアに取り沙汰され、頻繁に目にする「DX」という言葉。これほどまでに多くの注目を集めながらも、真にDXを進められている日本企業はそれほど多くない。
なぜDXは進まないのだろうか。そもそも、DXの本質はどこにあるのだろうか。登壇した西山氏、各務氏の両者とも「デジタルツールを導入するだけは、DXは果たせない」と語る理由とは。
「デジタル×ビジネス」の領域で活躍する両氏が、経営視点でバックオフィス領域の変革からDXを実現に導くために必要な思考や仕組みを語った。
デジタル時代を生き残るための4つのポイント
西山氏:私はDXを推進するためには次の4つのポイントがあると考えています。
ポイント1. 経営者の理解
西山氏:まず「経営者がDXについて自分ごととして理解しているか」というのが重要なポイントです。DXについて毎日のようにメディアに取り沙汰されているなかで、特に言われているのがこのことですね。
ただ、経営者自身がDXのプロでない限り、DXを細かな部分まで理解するというのはなかなか難しいものです。では、経営者がDXを理解するためにどうしたらいいのか、まずは基本的な発想や思考を見つけるのがとても重要だと考えています。
なぜかといえば、日本のビジネスパーソンが慣れ親しんできた発想や思考法とは異なる発想・思考がDXには求められるからです。
ごく簡単に説明すると、これまでの縦割りの思想ではなく横で考える必要があるということです。
ポイント2. システムと経営、双方向での改革
西山氏:2つ目のポイントとしては、DXを進める際にはシステムと経営の双方向で改革を進めていかなければならない点が挙げられます。
単なる経営改革は、30年、40年前からすでにいわれてきていたことです。DXの場合、経営だけ、システムだけに焦点を当てて改革するのではなく、双方を見直すのと同時に、「システムを使いこなして経営をする」ということを意識しなければなりません。「経営がアルゴリズムで動く」という視点、経営からシステムの方に近づく意識が重要なのです。
ポイント3. 縦割りからレイヤー構造に
西山氏:システムと経営が互いに近づくことで、どこかで出会う部分、共通点が出てきます。詳しくは後述しますが、このときに出会うポイントはレイヤー構造になっているという言い方を私はします。
デジタルの仕組みの構造はレイヤー構造、つまり横のつながりを重視する構造なので、経営がビジネスに近づくと自然とビジネスの形もレイヤー構造に変化して、従来の縦割り型組織が打破されていくのです。
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