Spotify、radiko、ポッドキャストに見るデジタル音声広告 前年比20%超成長のワケ/前編【BOXIL EXPO】
今、音声広告とその効果に多くの企業が興味を示しています。なぜ今デジタル音声広告なのか、「音」をユーザーに届けるスポティファイジャパンとradiko、音声広告事業を展開するオトナルの3社がその実情を語り合いました。
本記事は、2021年10月に開催したオンライン展示会「BOXIL EXPO 第3回 営業・マーケティング展」の特別講演「Spotify、radikoと考える、これからのデジタル音声広告」をまとめたものです。
【登壇者プロフィール】
藤井 哲尚氏 スポティファイジャパン株式会社 広告営業事業統括
1999年 株式会社博報堂入社 プロモーションデザイン局・ブランドデザイン局で顧客体験を基軸とした統合コミュニケーション開発に従事。 海外留学を経て、デジタル統合マーケティング領域のビジネスプロデューサー、海外M&A、事業開発など。2017年より現職。趣味は登山・釣り・開墾。
小平 誠氏 株式会社radiko 業務推進室 次長
2008年にWeb制作会社に入社。 システム開発や、Webサイトコーディング、デザインを経験後、Webディレクターを経験。 2017年に広告会社に入社、デジタル広告のプランニングとバイイングを担当。 2018年9月より、「株式会社radiko」に参画。 radikoオーディオアドの開発・運用、セールスに関する業務を担当。
八木 太亮氏 株式会社オトナル 代表取締役
2013年ウェブメディアを運営する株式会社オトナルを創業。ウェブメディア事業を事業売却ののち、音声コンテンツと音声広告領域に特化し、アドテクノロジーを活用した広告出稿とクリエイティブ制作をトータルサポートできる”音声広告カンパニー”としてデジタル音声広告事業を展開。そのほかラジオ局や新聞社など大手パブリッシャー向けの音声コンテンツの配信支援事業とデータ運用支援も行っている。 著書:『いちばんやさしい音声配信ビジネスの教本 人気講師が教える新しいメディアの基礎』(インプレス)
「音」にかかわる3社が見据えるデジタル音声広告
各種アプリやSNSで音声コンテンツが盛り上がりを見せている。スマートフォンさえあればさまざまな音声コンテンツを楽しめ、年齢にかかわらず多くのユーザーが音声コンテンツに触れている。
そんななか、注目を集めているのがデジタル音声広告だ。ユーザーの耳に直接届かせる広告は、動画広告よりも完全聴取率が高く、また実際にユーザーの心を動かしているデータもある。各種広告を出稿している企業からも熱視線を浴びている。
急成長するこの市場で、ユーザーに音声コンテンツを提供する「スポティファイジャパン」の藤井氏、「radiko(ラジコ)」の小平氏、音声広告領域で企業をサポートする「オトナル」の八木氏が、自社サービスを通してデジタル音声広告の今とこれからについて語った。
急拡大するデジタル音声広告市場
2021年1月に日本に上陸し、多くのユーザーを取り込んだ「Clubhouse」、Twitterのスペース機能実装など、飛ぶ鳥を落とす勢いで拡大しつつある音声メディア・音声コンテンツ市場。それにあわせて、デジタル音声広告市場も急拡大している。
株式会社デジタルインファクトは、国内のデジタル音声広告市場は2025年に420億円に達する見込みとした(※)。2020年時点でも前年比229%の16億円を見込むとし、多くのユーザーが音声コンテンツを利用するようになったことがうかがえる。
(※)出典:株式会社デジタルインファクト「デジタル音声広告の市場規模は2020年に16億円、2025年には420億円に」
この流れは国内だけでなく海外も同様で、アメリカでは毎年約20%の成長率を誇っており、デジタル音声広告の市場規模はすでに3,300億円に達しているという。
その背景には、「ワイヤレスイヤホンやヒアラブルデバイスの市場拡大が関係している」と八木氏は語る。
音声コンテンツに触れる時間が増えた
八木:デジタル音声広告は、世界的に市場が成長している広告メディアです。アメリカの市場規模は、マスメディアである日本の地上波ラジオ広告市場の3倍とされています。日本でもデジタル音声広告市場が拡大しており、2021年には50億円ほどになると推計されています。
デジタル音声広告市場の拡大には、ワイヤレスイヤホンやヒアラブルデバイスの普及が関係しているといわれています。2010年から2018年までの間に毎年17%から30%の成長している状況です。
ワイヤレスイヤホンの登場によって、オーディオの敷居が一気に下がったんですね。ハードウェア自体の市場が成長することで、音声コンテンツに触れるユーザーや時間も増えているというのが背景にあると考えられます。また、最近では在宅需要も音声コンテンツの市場拡大を後押ししているといわれています。
音声チャットや音楽配信サービス、オーディオブック、最近では一般の方が配信できるポッドキャストのような音声配信プラットフォームもありますし、SNSにも音声チャット・音声配信機能が付与されはじめていますよね。
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