銀行業界向けAI-OCRおすすめ5選！解決できる課題と事例

銀行業界で活用できるAI-OCRの機能

AI-OCRは、定型帳票や非定型帳票の読み取りに対応し、活字はもちろん、手書きの文字も高精度にデータ化できます。

銀行業界では、顧客が用紙に記入した申込書といった書類を素早く電子化する際に、AI-OCRが活用されています。

AI-OCRの機能としては、向きや傾きの自動補正、データ突合、他システムと連携したデータ転記などがあります。RPAと連携して、データ入力と単純作業を自動化している企業も多いです。

銀行業界における業務の課題

銀行業界でどのような課題が発生するのか詳しく紹介します。

書類の手書き文化が根強い

銀行業界の課題の一つは、DXが推進されつつも、いまもなお書類の手書き文化が残っていることです。

顧客が記入する契約書や申込書はいまも手書きで行われていて、それらをデータ化・転記する際のリソースやコストが発生しています。しかし、顧客の年齢層やニーズが幅広いため、一定の手間が発生するのは避けられないでしょう。

一方で、手書き書類を手動でデータ化するのは手間がかかるのはもちろん、ヒューマンエラーが発生しやすいため、可能な限りエラーを排除する仕組みが必要です。

データの二重管理の問題

銀行業界では、過去の資料を用紙のまま保存しているケースが多い傾向にあります。一方、新しく生成される資料はデジタル化されているため、一元的な管理が可能です。

管理するべきデータや資料が、紙ベースとデジタルベースの2種類存在している場合があります。保管している重要な資料も、一元的に管理できなければ、効率的に情報にアクセスするのは難しいでしょう。

事務処理の負担

銀行業界では、請求書や口座開設書類、融資申込書、各種帳票の処理など、日々大量の書類を処理しなければなりません。手書きで書かれた文書を手打ち入力してデータ化する業務もあり、従業員の時間と労力を大量に要します。

生産性や業界での競争力を高めるためには、繰り返し作業の効率化を進め、従業員がコア業務に集中できる環境を構築することが求められています。

銀行業界の課題をAI-OCRで解決できる理由

銀行業界では紙ベースの文書の処理や管理やデータの二重管理が必要なほか、事務処理の負担といった課題を抱えていますが、AI-OCRを活用すればそれらの課題を解決できる可能性があります。

銀行業界における紙の文書に関する業務の課題を解決できる理由を、AI-OCRの機能や詳細とともに解説します。

紙ベースの文書を高速で処理できる

銀行で発生する紙ベース文書は、AI-OCRを導入すれば高速で処理できるようになります。

AI-OCRは、大量の紙文書を高速で読み取りデータ化できます。紙ベースの文書をデジタルフォーマットに変換できるため、データの効率的な管理が可能です。

また、顧客からの手書きの申込書といった書面でも、AI-OCRなら高速かつ正確に読み取れます。手書きの情報を簡単にデジタル化できるため、これまでかかっていた処理時間を大幅に短縮できるでしょう。

手書き書類や活字書類を即座にデータ化できる

AI-OCRは、スキャナーやスマートフォンでの撮影によって、活字や手書き文字を高い精度でデータ化できます。傾きや向きが多少ズレていても、自動的に補正します。

サービスによっては、読み取ったデータに間違いがないかをシステムが自動的に突合したり、オペレーターが目視で確認したりします。

これにより、ヒューマンエラーのリスクを極力排除しながら、素早いデータ化が可能です。

事務処理にかかる負担を軽減できる

AI-OCRは文字をスキャンや撮影で簡単にデータ化できるため、書類の事務処理にかかっていた負担を大幅に軽減できます。たとえば、次のような業務の負担を削減できます。

• 口座開設書類、融資申込書などの各種書類の読み取り
• 請求書、領収書などの帳票の読み取り
• データベースへの登録
• エラーチェック

AI-OCRの導入によって単純な業務を自動化できることで、人的リソースをより重要で付加価値の高い業務に集中させられるメリットがあります。

さらに、RPAと連動させることで、読み取ったデータから書類を作成したり、メールを送信したりとルーティング業務を自動化できるでしょう。

銀行業界におけるAI-OCRの導入事例

銀行業界でAI-OCRを導入している企業の事例を、業務改善例とともに紹介します。

スルガ銀行

手書きで記入された「お客様情報確認書」のデータ化作業に課題を抱えていたスルガ銀行。

同社は、業務センターのリソース課題や手作業によるデータ化の負担を解消するため、手書きの読み取りに対応し、データの確認・承認ができるワークフロー機能を搭載した「invoiceAgent AI OCR」を導入しました。

これにより、手書き書類のデータ化がスムーズになり、CRMシステムと連携して顧客データを一元管理しています。

月間で420時間、年間にすると5,000時間の作業コストを削減でき、大幅な効率化が実現しました。

※出典：ウイングアーク1st「継続的顧客管理を効率化するワークフローを構築 AI OCRの活用で年間5,000時間分の業務負担を削減」（2024年4月19日閲覧）

名古屋銀行

名古屋銀行では、デジタル化されたデータの後続処理の自動化は実現していたものの、紙媒体をベースにした事務フローでは自動化ができず、書類の内容を確認しながら間違えないように手入力する業務を行う必要がありました。

紙媒体の書類のデータ化に時間がかかっていたところ、導入企業からの評判が良く、トライアルを低価で利用できるといった理由から、「DX Suite」の導入を決定しました。

システム導入後、AI-OCRとExcelのマクロを組み合わせて、手書きの住宅ローン申込書のデジタル化、住宅ローンのチェックシートの自動作成に成功。

住宅ローンに関連する業務を年間1,000時間削減できる見通しです。同時に過去データをデジタル化して一元管理が可能になりました。

※出典：AI inside「年1,000時間以上の削減見込み。AI-OCR活用がデジタル化の鍵」（2024年4月19日閲覧）

銀行業界向けAI-OCRおすすめ5選

DX Suiteは、高精度の文字認識機能を搭載したAI-OCRです。手書き文字やPDF、活字、FAX、写真として撮影された書類など、さまざまな書類をデジタルデータに変換可能です。また、画像やPDFの字文字情報を読み取るだけではなく内容を読み取り、指定したExcelの項目へ転記もできます。定型の帳票に限らず、注文書や請求書、見積書など、さまざまな帳票に対応しているため、紙媒体の文書のデータ化を大幅に効率化できます。住信SBIネット銀行や名古屋銀行、足利銀行、JCB、三菱UFJニコスなど、銀行・金融業界で多くの導入実績があります。

SmartReadは、手書き文字の読み取りだけではなく、データの自動仕分けが可能なAI-OCRです。文書や画像を電子化するだけでなく、仕分けの手間まで省けるため、文書のデータ化業務を効率化できるのが特徴です。タスク管理機能を使えば、一度設定した内容を簡単に再利用できるのもポイント。読み取り結果は、ExcelやCSVファイルなど、さまざまな形式で出力できます。銀行業界では、仙台銀行での導入実績があります。

DynaEyeは、高度な文字認識システムが搭載され、北國銀行でも導入されたAI-OCRです。手書き文字や活字、バーコードまで読み取り可能で、さまざまな文書を効率的にデータ化できます。2つの異なるOCRエンジンを使用し、認識結果を自動突合するため、人の目による確認作業にかかる時間も削減可能。料金は定額方式かつ利用枚数に制限がないため、業務を拡張する場合や、繁忙期で処理量が増える場合でも対応しやすいでしょう。オンプレミスタイプで、セキュリティ面が不安な場合でも利用しやすいツールといえます。

invoiceAgent AI OCR - ウイングアーク1st株式会社

invoiceAgent AI OCRは、5つのOCRエンジンから目的に応じて最適なOCRを設定できるのが特徴のAI-OCRです。定型帳票に合わせたデータ化ができるほか、非定型帳票のデータ化にも対応しているため、さまざまな種類の文書をデータ化できます。また、同一項目に対して複数のOCRを設定することで、結果を自動比較し確認作業の自動化を図れます。スルガ銀行やソニー銀行など、銀行や金融業界、保険業界でも多く導入されています。

AI Read – アライズイノベーション株式会社

AI Readは、みずほ銀行や山梨中央銀行などで導入されたAI-OCRです。回転や傾き補正、チェックマーク、丸囲みの読み取りなどAIを活用した画像処理により、活字や手書き文字を、定型・非定型問わず幅広くデータ化できます。また帳票の選別、仕分け、CSVデータでの抽出が可能。クラウド型・オンプレミス型が提供されているため、希望に合ったツールを選択しやすいのもポイントです。

銀行業界向けAI-OCRで文書のデータ化を効率化しよう

AI-OCRには、高精度の文字認識機能に加えて、手書き文字の認識機能や書式にとらわれない文字データのデジタル化、図表も認識するレイアウト分析機能などが搭載されており、紙ベースの文書の高速処理や自動化が可能です。

業務効率化が実現し、担当者の業務負担やコストを大幅に減らすことが期待できます。

銀行業界向けAI-OCRを導入する際は、非定型帳票の読み取りに対応しているかを確認したうえで、銀行や金融業界で導入実績があるシステムを選択しましょう。

AI-OCRは次の記事でも詳しく紹介しています。