DDoS攻撃対策ツール比較!導入メリット・選び方・おすすめサービス
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- DDoS攻撃対策ツールとは
- WAFとは
- WAFとDDoS攻撃対策ツールの違いと役割比較
- DDoS攻撃の種類
- ボリュームベース攻撃
- プロトコルベース攻撃
- アプリケーション層攻撃
- 増幅攻撃(リフレクション攻撃)
- DDoS攻撃対策ツールの種類
- クラウド型DDoS攻撃対策サービス
- オンプレミス型DDoS攻撃対策アプライアンス
- DDoS攻撃対策ツールの導入メリット
- 攻撃の早期検知と自動的な防御
- 新たな攻撃手法への柔軟な対応
- 24時間365日の監視体制
- セキュリティ運用コストの最適化
- サービスの信頼性と企業価値の向上
- DDoS攻撃対策ツールの選び方
- 自社の脅威と要件の分析をする
- 自社のニーズに合った機能を明確にする
- 導入と運用コストを考慮する
- 実績やサポート体制を確認する
- おすすめのDDoS攻撃対策ツール比較4選
- 攻撃遮断くん
- BLUE Sphere
- DDoS Owl
- secuWAF
- DDoS攻撃対策ツールの導入手順
- システム環境の準備
- 導入と設定
- 運用と監視
- DDoS攻撃対策ツールを導入してサービスを守ろう
DDoS攻撃対策ツールとは
DDoS攻撃とは、「Distributed Denial of Service(分散型サービス拒否)」攻撃の略で、標的となるサーバーやネットワークに対して大量のトラフィックを一斉に送りつけ、サービスを過負荷状態に陥らせて正常な利用を妨げるサイバー攻撃です。
DDoS攻撃では、攻撃者が不正に乗っ取った多数のコンピューター(ボット)を使って、分散的に一つの標的にアクセスを集中させます。これにより、標的のシステムは処理能力を超えた要求に対応できず、正常に動作しなくなります。
このDDoS攻撃からWebサイトやサービスを守るためには、専門的な攻撃検知と防御機能を備えたDDoS攻撃対策ツールが不可欠です。DDoS攻撃対策ツールは、DDoS攻撃の兆候を検知し、不正なトラフィックを自動的にブロックすることでサービスの可用性を確保します。
WAFとは
DDoS攻撃対策ツールと組み合わせて使われるセキュリティ対策に、WAF(ワフ)があります。
WAFとは、「Web Application Firewall」の略で、Webアプリケーションのぜい弱性を狙ったサイバー攻撃からWebサイトを保護するセキュリティ対策です。
WAFは、DDoS対策ツールだけでは防げない、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)といった、Webアプリケーションへの攻撃を防御するツールです。ECサイトやログインフォーム、検索ボックスなど、ユーザーがデータを送信する仕組みのあるWebサイトでは、WAFが不正な入力や攻撃の兆候をブロックします。
DDoS攻撃でトラフィックが殺到するのを防ぎつつ、WAFで悪意あるリクエストをフィルタリングするといった形で、両方を組み合わせて使うケースが一般的です。
WAFとDDoS攻撃対策ツールの違いと役割比較
| 項目 | DDoS攻撃対策ツール | WAF(Web Application Firewall) |
|---|---|---|
| 主な目的 | 大量トラフィックによるサービス停止を防止 | Webアプリケーションへの不正リクエストをブロック |
| 防御対象の階層 | ネットワーク層~アプリケーション層 | アプリケーション層(HTTP/HTTPS) |
| 主な防御内容 | UDPフラッド、SYNフラッド、HTTPフラッドなど | SQLインジェクション、XSS、パスワード総当たり攻撃など |
| 処理対象 | トラフィック全体を解析・遮断 | リクエスト単位の内容を精査 |
| 脅威の見分け方 | トラフィック量や接続元、通信パターンの異常検知 | リクエストの中身のパターンに基づく |
| 適したシナリオ | 大量アクセスによるサービス停止のリスクがあるサイト | フォームやログインページがあるWebアプリケーション |
| 補完関係 | WAFでは対応困難な大量トラフィックへの防御を補完 | DDoS対策では対応できないアプリ層攻撃を補完 |
DDoS攻撃の種類
DDoS攻撃には、次のようなさまざまなタイプがあります
ボリュームベース攻撃
大量のトラフィックを標的に送り込み、ネットワーク帯域幅やリソースを飽和させることを目的とするDDoS攻撃です。
- UDPフラッド攻撃:大量のUDP(User Datagram Protocol)パケットを無差別に送信し、ターゲットのネットワーク帯域やリソースを消費させる攻撃
- ICMPフラッド攻撃:ICMP(インターネット制御メッセージプロトコル)エコーリクエスト(ping)を大量に送信し、ネットワーク帯域やサーバーの処理能力を圧迫する攻撃
プロトコルベース攻撃
TCP/IPプロトコルの設計上の弱点を突き、サーバーやネットワーク機器のリソースを枯渇させたり、システムをクラッシュさせたりする攻撃です。
- SYNフラッド攻撃:TCP接続の初期段階であるSYNパケットを大量に送信し、サーバーの接続待ちリストを溢れさせる攻撃
- スマーフ攻撃(Smurf攻撃):ICMPリクエストをネットワークのブロードキャストアドレスに送信し、複数の端末から標的にICMPレスポンスを返させることで攻撃を増幅する手法。「増幅攻撃」に含める場合もある
アプリケーション層攻撃
アプリケーション層を標的にし、Webアプリケーションサーバーの処理能力を過負荷にするDDoS攻撃です。少量のトラフィックでも効果を発揮し、正規のリクエストと見わけにくいのが特徴です。
- HTTPフラッド攻撃:Webサーバーに対して大量のHTTPリクエストを送信し、サーバーのリソースを消費させ、サービスを低下または停止させる攻撃
- Slowloris攻撃:HTTPヘッダーを非常に遅い速度で送信し、サーバーとの接続を長時間維持することで、同時接続数を枯渇させる攻撃
増幅攻撃(リフレクション攻撃)
攻撃対象のマシンになりすまして、他のサーバーにリクエストを送信し、返答を攻撃対象に集中させることでトラフィックを増幅させる攻撃です。攻撃者が少ないリソースで大規模な攻撃を仕掛けられます。
- DNSアンプ攻撃:DNSサーバーを悪用し、小さなリクエストで大きなレスポンスを生成させ、ターゲットに転送することで帯域を圧迫する攻撃
- NTP増幅攻撃:ネットワークタイムプロトコル(NTP)サーバーの機能を悪用して、ターゲットのトラフィック量を増幅させる攻撃
- SSDP攻撃:プリンタやモデム、監視カメラなどのネットワーク上のデバイスを検出するためのプロトコルのSSDPを使用し、ぜい弱な機器からのレスポンスを攻撃対象に転送することで、トラフィックを増幅させる攻撃
DDoS攻撃は、攻撃者がボットネットと呼ばれる多数の端末を操縦して実行されることが多く、従来のファイアウォールといったセキュリティ対策では防ぎきれない場合があります。
DDoS攻撃対策ツールの種類
DDoS攻撃対策ツールには、主に次の種類があります。
クラウド型DDoS攻撃対策サービス
クラウドサービスとして提供されるDDoS対策ツールです。攻撃トラフィックを浄化する「スクラビングセンター」を経由することで、正規の通信のみを通過させる仕組みが一般的です。
クラウド型DDoS攻撃対策サービスは、導入や運用が簡単で、初期費用が抑えられるメリットがあります。また、攻撃規模の拡大にも柔軟に対応できる特徴もあります。
オンプレミス型DDoS攻撃対策アプライアンス
オンプレミス型DDoS攻撃対策アプライアンスは、社内に専用ハードウェア(アプライアンス)を設置するため、高度なDDoS攻撃対策が可能です。また、使用量に応じた従量課金が発生せず、ネットワークのレイテンシ(遅延)が少ないメリットがあります。
一方、オンプレミス型DDoS攻撃対策アプライアンスは、導入や運用が複雑で、初期費用がかかるデメリットがあります。また、拡張性に劣る点にも注意が必要です。
DDoS攻撃対策ツールの導入メリット
DDoS攻撃対策ツール・サービスを導入するメリットを詳しく解説します。
攻撃の早期検知と自動的な防御
DDoS攻撃対策ツールを導入する最大のメリットは、DDoS攻撃の兆候を早期に察知し、自動的に対処できる点です。DDoS攻撃対策ツールは通常、リアルタイムでネットワークトラフィックを監視し、異常を検知した場合は自動的に不正な通信を遮断します。
人的対応に頼らずとも迅速に防御体制を整えられ、サービスの停止や遅延といった被害を最小限に抑制可能です。
新たな攻撃手法への柔軟な対応
DDoS攻撃は常に進化を続けており、従来の防御策では通用しないケースも増えています。DDoS対策ツールは、高度なアルゴリズムやAI(人工知能)技術を活用しており、既知の攻撃だけでなく、新種の攻撃に対しても適応的に対応する機能を備えています。こうした柔軟性により、企業は未知の脅威に対してもセキュリティを強化可能です。
24時間365日の監視体制
多くのDDoS対策サービスでは、24時間365日体制での監視が提供されています。これにより、夜間や休日でも安心してサービスを運用できる環境が整います。社内に常時セキュリティ担当者を置くことが難しい場合でも、外部の監視体制により高い安全性を維持可能です。
セキュリティ運用コストの最適化
専任のセキュリティチームを設けるには、人的リソースやコストが大きくなりがちですが、DDoS対策ツールを導入することで、こうした運用コストを抑えられます。とくにクラウド型DDoS対策サービスであれば、初期費用や保守の手間も軽減できるため、限られたリソースで効率的なセキュリティ体制を実現できます。
サービスの信頼性と企業価値の向上
DDoS攻撃によるサービス停止やパフォーマンス低下は、顧客からの信頼を損ない、ブランドイメージにも悪影響を及ぼします。DDoS対策ツールを導入することで、こうしたリスクを軽減し、安定したサービス提供が可能になります。結果として、顧客満足度の向上や企業価値の維持・向上にもつながるでしょう。
DDoS攻撃対策ツールの選び方
適切なDDoS攻撃対策ツールを選ぶためのポイントを解説します。
自社の脅威と要件の分析をする
まずは、自社が受ける可能性のあるDDoS攻撃の種類や規模を分析する必要があります。過去の被害状況やDDoS攻撃の傾向などを踏まえ、具体的な脅威を特定するように努めましょう。
また、自社のインフラにどのような脅威が存在するのか、どのレベルの保護が必要かを正確に分析することが重要です。これにより、過剰な投資を避け、最も効果的なツールを選定できます。
自社のニーズに合った機能を明確にする
脅威分析の結果から、必要となる機能要件を検討します。ボリューム対策に重きを置くのか、アプリケーション層の防御に特化するのかなど、優先順位をつけましょう。
リアルタイム監視、異常検知、レポート出力機能など、実務運用に不可欠な機能も合わせて確認しておくとよいでしょう。
導入と運用コストを考慮する
DDoS攻撃対策ツールは、クラウドサービスの場合はサブスクリプション料金が、オンプレミスの場合は保守費用が発生することが一般的です。
クラウドサービスならサブスクリプション費用、オンプレミスならアプライアンス調達費など、5年程度のTCO(Total Cost of Ownership)を試算し、予算内に収まるかを確認する必要があります。
実績やサポート体制を確認する
ベンダーの実績や顧客からの評価、サポート体制の充実度も重要な選定基準です。DDoS攻撃は予測が難しく、突発的に発生することが多いため、24時間365日の監視体制や緊急対応のスピード、過去の実績などをチェックしておくと安心です。
おすすめのDDoS攻撃対策ツール比較4選
おすすめのDDoS攻撃対策サービスを紹介します。
攻撃遮断くんは、WebサーバーやWebサイトへのサイバー攻撃を遮断するクラウド型WAFです。情報漏えい、Web改ざん、サーバーダウンを狙ったDDoS攻撃の脅威から企業とユーザーを守ります
最短翌営業日から導入が可能で、専任の技術者もメンテナンスも必要なく、月額4万円(税抜)からの低価格で、24時間365日のサポートを受けられます。保守・運用に一切の手間を必要としないセキュリティサービスです。
BLUE Sphereは、セキュリティ対策とサイバーセキュリティ保険をひとつにまとめ、Webサイトを包括的に守る総合セキュリティ型クラウドWAFサービスです。
WAFでサイバー攻撃がWebサイトに届く前にシャットアウトしながら、DDoS防御・改ざん検知・DNS監視により、サーバーダウンやデータの盗難などのリスクに対応します。また、損害賠償や費用損害を補償するサイバーセキュリティ保険も付帯しているため、万が一の場合も安心です。
DDoS Owl - 株式会社アイロバ
DDoS Owl(ディードスアウル)は、大規模かつ広範囲なDDoS攻撃に対応したクラウド型DDoS防御サービスです。世界規模のDDoS攻撃や、トランスポート層、アプリケーション層を狙った広範囲の攻撃などに対し、大規模な処理基盤による分散処理で攻撃を防御します。
全プロトコルに適応し、システムの設定変更が不要なので、専任のエンジニアがいなくても導入可能。155Tbps以上のトラフィック量の攻撃に対応しています。
secuWAF - 株式会社セキュアイノベーション
secuWAFは、強力なセキュリティ機能と自動アップデートにより、常に最新の脅威に対応するクラウド型Webセキュリティサービスです。
WAF冗長構成やIPブラックリストなど、一般的なクラウドWAFではオプションとなっているような機能もデフォルトで利用できます。また、WAF以外のセキュリティ対策も選定プランや機能によっては設定可能なため、Webサイトのセキュリティをより磐石なものにします。
DDoS攻撃対策ツールの導入手順
DDoS攻撃対策ツールを導入する際には、次の手順で行う必要があります。
- 1. システム環境の準備
- 2. 導入と設定
- 3. 運用と監視
システム環境の準備
DDoS攻撃対策ツールを導入するシステム環境を準備する必要があります。具体的には、次の作業が必要です。
- 必要なハードウェア・ソフトウェアの調達:DDoS攻撃対策ツールの種類によっては、専用のハードウェアやソフトウェアが必要
- ネットワークの設定::DDoS攻撃対策ツールをネットワークに接続するために、ネットワークの設定変更が必要
導入と設定
製品の導入とセットアップを行います。ベンダーによるインストール支援サービスを利用すると、スムーズに作業が進められます。
設定項目は次のとおりです。
- 攻撃検知ルール/ポリシーの設計
- 検知時のアクション設定(ブロック、TCPリセット、モニタリングなど)
- 正常トラフィックの認証方法
- システム間の連携設定
- 管理者アカウントの設定
テスト運用を経て、本番環境への適用を行います。
運用と監視
導入後は、適切な運用と監視体制を整える必要があります。
- 攻撃検知ログの常時監視
- セキュリティパッチの適用
- ポリシー/ルールの定期見直し
- 他のセキュリティ対策との連携監視
ベンダーのマネージドサービスを活用すれば、専門のセキュリティ運用センターに監視を委託できます。
DDoS攻撃対策ツールを導入してサービスを守ろう
DDoS攻撃は、さまざまな手法で行われる分散型サービス拒否攻撃です。Webサイトやシステムの可用性を守り、事業やサービスの中断を防ぐためには、適切なDDoS攻撃対策ツールの導入が不可欠です。
DDoS攻撃対策ツールの選定においては、自社の脅威や要件を正しく分析し、機能面と費用面から総合的に検討する必要があります。クラウドとオンプレミスの2つの種類があり、それぞれメリット・デメリットがあります。
導入後は正しい設定と適切な運用・監視体制を整備し、総合的なセキュリティ対策の一環として取り組むことが大切です。DDoS攻撃からサービスを守るため、DDoS攻撃対策ツールの活用をおすすめします。
