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エンゲージメントサーベイとは?メリット・無駄にしないための注意点

最終更新日:(記事の情報は現在から65日前のものです)
エンゲージメントサーベイは、従業員の会社や仕事への思いや貢献意欲を測る調査手法です。本記事では、エンゲージメントサーベイの特徴や実施するメリットのほか、サーベイを無駄にしないための注意点を解説します。

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エンゲージメントサーベイとは?

エンゲージメントサーベイとは、従業員の会社や仕事に対する思いや意欲を測定するために行うアンケート調査です。従業員が会社にどれだけ愛着を持ち、仕事にやりがいを感じているかを数値化して把握できます。

エンゲージメントサーベイを実施することで、従業員の離職防止や生産性向上、顧客満足度の向上など、さまざまな効果が期待できます。

エンゲージメントサーベイには、大きく分けて「センサスサーベイ」と「パルスサーベイ」の2種類があります。

パルスサーベイとセンサスサーベイ

パルスサーベイとセンサスサーベイは、実施頻度や調査の深さが異なり、組織の状況や目的に応じて正しく選択することが大切です。

パルスサーベイは、短い間隔で定期的に行う簡易的な調査です。一般的には、月1回や週1回など高い頻度で実施され、質問数も少なめに設定されています。従業員の負担が少なく、組織の状態をリアルタイムで把握できるのが特徴で、急な変化や問題をすぐに察知できる点がメリットです。

一方、センサスサーベイは年に1〜2回程度実施する大規模な調査のことです。質問数が多く、より詳細な分析が可能なため、組織の課題を深く掘り下げて理解したい場合や、長期的な傾向を把握したい場合に適しています。ただし、準備や分析に時間がかかるため、即時の調査には向いていません。

どちらを選ぶかは、組織の規模や課題、目的によって異なりますが、両者を組み合わせて使用することで、短期的な変化と長期的な傾向の両方を捉えられます。

従業員満足度調査との違い

エンゲージメントサーベイと従業員満足度調査は、どちらも従業員の声を聞く取り組みですが、目的や内容には違いがあります。

従業員満足度調査は、従業員が現在の職場環境や待遇にどれだけ満足しているかを測定する調査です。たとえば、給与や福利厚生、職場の雰囲気などについての満足度を調べます。

一方、エンゲージメントサーベイは、従業員が会社や仕事にどれだけ愛着や熱意を持っているかを測定するものです。エンゲージメントサーベイでは、従業員の仕事への意欲や会社への貢献意識、成長意欲などを調査します。

両者を組み合わせることで、より包括的な従業員の状態把握が可能です。

エンゲージメントサーベイの目的

エンゲージメントサーベイを行う主な目的は次のとおりです。

  • 現状を把握し、組織や個人の課題やギャップを洗い出す
  • 調査・改善のサイクルを回し、定点観測する
  • データマネジメントを行う

それぞれ詳しく解説します。

現状を把握し、組織や個人の課題やギャップを洗い出す

エンゲージメントサーベイの主な目的の1つは、組織の現状を正確に把握して、課題やギャップを明らかにすることです。これは、組織改善の第一歩です。

エンゲージメントサーベイを通じて、従業員の会社や仕事に対する思いを数値化することで、経営陣や人事部門が気づいていない問題点を発見できる可能性があります。たとえば、部署ごとのモチベーションの差や、上司と部下の認識のずれなどが明らかになるかもしれません。

また、従業員と企業との間にあるギャップを把握することも重要です。従業員が何に期待し、何に不満を感じているのかを知ることで、優先的に取り組むべき課題が見えてきます。

調査・改善のサイクルを回し、定点観測する

目的の2つ目は、定期的に調査を行い、改善のサイクルを回すことです。一度きりの調査では、一時的な状況しか把握できません。しかし、定期的に調査を行うことで、時間の経過とともに組織がどのように変化しているかを観察できます。

実施した施策の効果を測定したり、新たな課題を早期に発見したりできるほか、定点観測を行うことで、組織の長期的な傾向や季節変動なども把握できます。定点観測は、組織の健康状態を継続的にモニタリングし、必要に応じて適切な対策を講じるために重要です。

データマネジメントを行う

エンゲージメントサーベイの目的の1つが、データマネジメントです。サーベイを通じて収集されたデータは、組織の現状を理解し、改善策を立てるうえで貴重な情報源となります。

サーベイで得られたデータを適切に分析することで、組織の強みや弱みを客観的に把握できます。たとえば、部署ごとや年齢層ごとのエンゲージメント度の違いを見ることで、特定のグループで課題が生じていないかを確認可能です。

さらに、エンゲージメントデータを人事施策に活用することで、より効果的な組織改善が可能です。エンゲージメントサーベイを通じたデータマネジメントは、組織の現状把握から改善策の立案、効果測定まで、一連の組織改善プロセスを支える重要な役割を果たします。

エンゲージメントサーベイを実施するメリット

エンゲージメントサーベイを実施するメリットは次のとおりです。

  • 生産性の向上に寄与する
  • 離職防止・定着率向上につながる
  • トラブルを未然に防止できる

それぞれ詳しく解説します。

生産性の向上に寄与する

エンゲージメントサーベイを実施するメリットの1つが、従業員の生産性向上につながることです。従業員が会社や仕事に対してポジティブな感情を持っていると、自発的に業務改善や効率化に取り組むようになります。

たとえば、「指示されたから仕事をする」といった受動的な姿勢から、「自己成長のためにもやってみたい」といった能動的な姿勢に変わることで、仕事の質が向上します。

このような意識の変化は、企業と個人の結びつきが強い、つまり従業員エンゲージメントが高い状態だからこそ生まれるものです。エンゲージメントサーベイを通じて従業員の意識を把握し、適切な施策を講じることで、組織全体の生産性向上につながる好循環を生み出せます。

離職防止・定着率向上につながる

エンゲージメントサーベイの実施は、従業員の離職防止と定着率向上につながります。サーベイを通じて従業員の不満や課題を早期に発見でき、適切な対策を講じられるためです。

たとえば、「仕事が合わない」といった理由で退職する従業員がいる場合、背景にはさまざまな要因が隠れている可能性があります。上司からのサポートが不足していたり、仕事の意義や目的が理解できていなかったり、内部での情報連携が不十分だったりする場合があります。

エンゲージメントサーベイでは、潜在的な課題を細かく診断でき、適切な施策を講じることで、表面的な理由ではなく根本的な原因に対処可能です。従業員の声に耳を傾け、働きやすい環境を整備することで、従業員の会社への愛着が高まるほか、離職率の低下や定着率の向上につながります。

トラブルを未然に防止できる

エンゲージメントサーベイを実施するメリットは、職場でのトラブルを未然に防げることです。

たとえば、サーベイを通じてコミュニケーションの問題が浮き彫りになった場合、上司と部下のコミュニケーションを活性化させるワークショップを開催したり、部門間の情報共有を促進するシステムを導入したりすることで、潜在的な問題が大きなトラブルに発展するのを防止できます。

質問内容を調整することで、パワハラやセクハラなどのハラスメントも早期発見できます。トラブルに関する調査をする場合には、匿名性を確保し、従業員が回答しやすいようにすることが重要です。

エンゲージメントサーベイを無駄にしないための注意点

エンゲージメントサーベイを無駄にしないための注意点は次のとおりです。

  • 目的を明確にし、従業員に周知する
  • 人事や評価に影響しないことを丁寧に伝える
  • 従業員へのフィードバックや改善施策までを必ず行う

それぞれ詳しく解説します。

目的を明確にし、従業員に周知する

エンゲージメントサーベイを無駄にしないためには、目的を明確にして従業員に丁寧に伝えることが重要です。なぜサーベイを行うのか、どのように結果を活用するのかを明確にすることで、従業員の協力を得やすくなります。

たとえば、「より良い職場環境を作るため」「従業員の声を経営に反映させるため」といった具体的な目的を示すことで、従業員の理解と協力を得やすくなります。また、サーベイの結果がどのように活用されるのか、どのようなフィードバックが行われるのかも事前に説明しておくと良いでしょう。

目的が不明確だと、従業員は「なぜこんなことをするのか」と疑問を抱き、積極的に参加してもらえない恐れがあります。

人事や評価に影響しないことを丁寧に伝える

エンゲージメントサーベイを実施する際は、従業員が率直に回答できる環境を整えるために、回答内容が人事評価や処遇に影響しないことを従業員に丁寧に伝えることが重要です。

サーベイの回答が自身の評価や昇進、給与などに影響すると従業員が考えてしまうと、本音で回答することを躊躇する恐れがあり、実際よりも良い評価をつけてしまうかもしれません。

これでは、組織の課題を正確に把握することが不可能です。従業員が安心して率直な意見を表明できる環境を整えることが、エンゲージメントサーベイを成功させる鍵となります。

従業員へのフィードバックや改善施策までを必ず行う

エンゲージメントサーベイを実施した後は、従業員へのフィードバックと具体的な改善施策を実行しましょう。サーベイを実施して終わりではなく、結果を活用して実際に組織を改善することが重要です。

サーベイの結果は従業員に共有するほか、結果を踏まえた具体的な改善策を伝えましょう。たとえば、コミュニケーションの問題が浮き彫りになった場合は、定期的な1on1ミーティングの導入や、部門間交流の機会を増やすなどの施策を提案できます。

重要なことは、施策を確実に実行し、効果を継続的に測定することです。サーベイをやって終わりでは、従業員の信頼を失い、次回のサーベイへの協力が得られなくなる可能性があります。

改善の取り組みの可視化と、定期的な進捗の報告によって、従業員の参加意欲を高め、組織全体のエンゲージメント向上につなげられます。

エンゲージメントサーベイの質問項目

エンゲージメントサーベイの質問項目には、主に4つの指標があります。

  • 会社・経営陣に対する指標
  • 業務に対する指標
  • 職場環境・人間関係に対する指標
  • その他の質問例

会社・経営陣に対する指標

会社・経営陣に対する質問では、会社の理念や経営方針への理解や共感を測定します。低評価の場合、組織の一体感が欠けているかもしれません。

質問の一例は次のとおりです。

  • 経営陣は明確なビジョンを持っていますが、あなたに対しても伝えていますか?
  • 会社の事業は社会的意義や将来性があると思いますか?
  • 会社の顧客基盤や財務状況は安定していると思いますか?

業務に対する指標

業務に対する質問では、現在の業務遂行や中期的・長期的な業務に関する問題を把握できます。低評価の場合は、業務の定義見直しや意味づけの周知が必要です。

質問の一例は次のとおりです。

  • あなた自身が組織内で求められている役割や成果はわかりやすいですか?
  • 業務を通じて成長を実感したり、達成感を得られたりしていますか?
  • 業務内容と評価・報酬のバランスに納得していますか?

職場環境・人間関係に対する指標

職場環境・人間関係に対する質問では、人材の定着度合いや退職の予兆などを把握できます。低評価の場合、配置転換や社内交流促進といった対策が必要です。

質問の一例は次のとおりです。

一緒に働いている同僚・上司・部下はあなたの働きぶりを認めていると思いますか?
一緒に働く仲間に魅力的な人間が多いですか?
チーム内で目的を共有して、一体感を持って仕事に取り組めていますか?

その他の質問例

その他の質問例としては、次のようなものがあります。

  • あなたは3年後もこの会社で働いていると思いますか?
  • あなたの親族・友人にこの会社への入社をおすすめできますか?
  • あなたの意見は尊重されていますか?また、会社にとって必要な存在だと思いますか?

エンゲージメントサーベイの分析方法

エンゲージメントサーベイの分析方法は、次のようなものがあります。

分析方法 内容
属性ごとの傾向分析 従業員の回答データを部門や役職、年齢、性別などの異なる属性ごとに細分化して特定のグループに独自のエンゲージメントの傾向や問題点がないかを探る方法
過去との比較分析(経年分析) エンゲージメントサーベイの結果を時間経過とともに比較する方法。サーベイデータの各項目のスコアを年ごとに比較して、改善項目や低下項目を明確にする
他データとの比較分析(相関分析) エンゲージメントサーベイの結果と他の関連するデータを組み合わせて分析する手法。たとえば、エンゲージメントサーベイの結果と勤怠データの比較で、エンゲージメントと労働時間の関係を確認可能

測定したいことに応じて、適切な分析方法を選択することが重要です。

エンゲージメントサーベイツールを活用する

エンゲージメントサーベイを効果的に実施したり、結果を最大限に活用したりするには、エンゲージメントサーベイツールの利用がおすすめです。

エンゲージメントサーベイツールは、アンケートの作成や配布、回答の収集、データ分析まで、一連のプロセスを自動化・効率化してくれます。

また、次のような基本機能が搭載されています。

  • カスタマイズ可能なアンケート作成機能
  • オンラインでの回答収集システム
  • リアルタイムでのデータ集計と分析
  • 部署や役職などの属性別の結果表示
  • 過去のデータとの比較機能
  • 結果のビジュアル化(グラフやチャートの自動生成)

エンゲージメントサーベイツールの使用によって、人事部門の作業負担の大幅な軽減が可能です。

紙のアンケートと比べて、データ入力の手間が省けたり、集計ミスのリスクも減らしたりできるほか、リアルタイムで回答状況を確認できるため、回答率が低い場合にすぐにリマインドを送れます。

さらに、高度な分析機能をもつツールでは、相関関係の分析やAIを活用した改善提案などを行えるものもあります。人事担当者や経営層、各部門のマネージャーが深い洞察を得られるため、効果的な改善策を立案できるでしょう。

エンゲージメントサーベイツールは次の記事で詳しく紹介しています。

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エンゲージメントサーベイを組織づくりに活用しよう

エンゲージメントサーベイを行えば、現状の把握や、組織や個人の課題・ギャップの洗い出しが可能です。適切に運用できれば、生産性や定着率の向上につながるほか、トラブルの防止や離職率の低下も期待できます。

エンゲージメントサーベイを組織づくりに活用していきましょう。

エンゲージメントサーベイを効率的かつ効果的に行うためには、専用のサーベイツールの利用がおすすめです。

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