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プライベートブランドとは?例・ナショナルブランドとの違い・メリット・デメリット

最終更新日:(記事の情報は現在から176日前のものです)
近年、多くの企業が取り組み始めている商品のプライベートブランド化について、ナショナルブランドとの違いを解説し、そのメリットやデメリットを考えると同時に、具体的なブランド例とその特徴を紹介します。

プライベートブランド(PB)とは

プライベートブランド(PB)とは、わかりやすくいえば流通業者やスーパー・コンビニといった小売業者が独自に企画し、顧客に直接販売されるブランド製品のことです。日本語では「自主企画商品」と訳されます。

販売店の名が製品名に使われているケースもあり、「ストアブランド」とも呼ばれて親しまれています。直接顧客に商品を販売する企業が企画・開発に携わるため、ニーズや要望をブランドの特性に活かしやすく、競合との差別化をしやすいのが特徴です。

また「この店舗でしか買えない」や「この地域限定」といった希少性を売りにしやすく、それだけで顧客の目を惹き付けられる強みもあります。そのため近年では食品だけでなく、洗剤といった日用品から家電までプライベートブランドの商品が増えています。

プライベートブランドとナショナルブランド、OMEの違い

プライベートブランドには、類似する言葉としてナショナルブランドやOMEといったものがあります。次に、これらの言葉の違いについて紹介します。

プライベートブランドとナショナルブランドの違い

プライベートブランドに対して、メーカー自身によるブランドをナショナルブランドと呼びます。プレイベートブランドの略語である「PB」に対して、ナショナルブランドは「NB」と表記されることもあります。

こちらは、昔ながらのブランドイメージが強く、専門性の高い技術をもつ企業(メーカー)が、製品の企画から実際の製造までを一貫して行うものです。顧客に対するプロモーションも、メーカー自身が行うのが一般的です。

これまでメーカーは、自社の強力なNBの力によって流通を押さえてきましたが、流通業者側もプライベートブランドを扱うことで、メーカーとの交渉を有利に進めてきた歴史があります。

とはいえ、プライベートブランドを扱う小売店でも、ナショナルブランドの商品を大々的に扱っている場合もあります。また品質に関してメーカー側が責任をもつナショナルブランドであっても、販売業者が処理するのが一般的です。

さらに場合によっては、メーカーと小売の「共同開発ブランド」が生み出されるケースもあります。

プライベートブランド(PB)・ナショナルブランド(NB)の例

ここまでの解説で、プライベートブランド・ナショナルブランドがどのようなものか、製品自体のイメージができたのではないでしょうか。

次にイメージをより具体的なものとするため、実際の例を紹介します。

プライベートブランドの例

もっとも身近で知られている例は、スーパーやコンビニなどで展開されているプライベートブランドといえるでしょう。

  • トップバリュ(イオングループ)
  • セブンプレミアム(セブン&アイグループ)
  • CO・OP(生協)
  • グレートバリュー(西友)

いずれも食料品や日用品が多く、コストパフォーマンスに優れているのが特徴です。また顧客から高い信頼を得ていることが共通点です。

ナショナルブランドの例

これに対し、まさに多種多様な展開がされているのがナショナルブランドです。

  • バンホーテンココア(明治)
  • コアラのマーチ(ロッテ)
  • スライスチーズ(雪印メグミルク)
  • シャウエッセン(日本ハム)

これらはプライベートブランドでも展開されているような、有名なナショナルブランドです。
いずれも、顧客から高い信頼を得ているのはもちろん、個別製品の認知度が高いのが特徴といえます。

プライベートブランドとOMEの違い

OMEは「Original Equipment Manufacturing」を略したもので、他社ブランドの製品を製造することを指します。OMEは食品や家電、自動車といった幅広いジャンルで行われる製造手法です。流通業者や小売事業者のほとんどは自社工場をもたないため、このOMEでプライベートブランド商品の製造を委託しています。

プライベートブランドのメリット・デメリット

プライベートブランドのメリット・デメリットを「消費者」「メーカー」「小売」それぞれの立場から簡単に説明します。

プライベートブランドのメリット

まずはプライベートブランド開発のメリットについて、消費者・メーカー・小売り、それぞれの視点で紹介します。プライベートブランドの開発はそれぞれにメリットがあり、そこにプライベートブランドを作る理由や売れる理由が詰まっています。

消費者にとってのメリット

消費者にとってのプライベートブランドのメリットは、ナショナルブランドと同じような高品質の商品をより低価格で手に入れられることです。とくに、大手小売店のプライベートブランドの商品は、ナショナルブランドでは実現できないような品質をもつ製品も少なくありません。

近年はプライベートブランド商品でも値上げが行われていますが、それでもナショナルブランドよりは安く、美味しい商品や品質のいい商品が手に入ります。また流通・小売業者ならではのコンセプトをもつ商品も多くあるのが魅力です。

製造メーカーにとってのメリット

メーカー主導の製品では、どうしても販売量に波が出やすく売上が伸び悩む時期があります。

しかし小売主導のプライベートブランドの場合、一定の販売が確定していることが多いため、効率的な製造が可能になり、コスト削減にもつながります。

小売にとってのメリット

小売のメリットは顧客の潜在的ニーズを汲み取り、商品にダイレクトに反映できることです。このニーズを汲み取ることでオリジナリティや付加価値もつけやすく、商品をより魅力的にできます。そしてこれらの商品を自社の店舗だけで独占販売できるため、ブランディングによる顧客の囲い込みにも期待できるでしょう。

ナショナルブランドよりもかかるコストを削減できるのも魅力です。プライベートブランドは、ナショナルブランドのように商社や代理店を通さず、工場から直接店舗に送られるため、流通経路を短縮し流通の合理化を図れます。また、プライベートブランドは来店した顧客に向けてアプローチを行うため、宣伝やプロモーションにかかる費用も削減可能です。

くわえてメーカー主導のナショナルブランドよりも仕様変更が容易であるため、総合的にみて利益率は非常に高くしやすいのです。とくに販売価格を自由に設定できるのは、小売側にとって大きな魅力と言えるでしょう。

プライベートブランドのデメリット

続いて、プライベートブランド開発にあたって発生しやすい問題について考えます。

消費者にとってのデメリット

ナショナルブランド商品は、製造メーカーが明確であるのに加えて、商品に不具合があった場合は返品や交換に応じてくれます。

しかし、プライベートブランドの場合、製造元が必ずしも表示されるわけではないため、こだわりのある消費者にとっては商品を購入する際の不安要素となります。
また、ナショナルブランドのようにメーカー主導ではないため、品質が価格に引っ張られて、割高になる可能性も考えられるでしょう。

製造メーカーにとってのデメリット

小売側がプライベートブランドに注力すると、自社のナショナルブランド製品の売上が減少する可能性があり、提供する製品の幅が狭められる事態になりかねません。

また、販売側が材料の選定や製品仕様などを主導するため、製造した製品が販売者のイメージにそぐわなければ受け入れてもらえない可能性もあります。
それによって大量の在庫を抱える危険もあり、販売側との関係維持は慎重に行う必要があります。

小売にとってのデメリット

プライベートブランドでは一度製造側から製品を受け入れてしまうと、販売側に責任が移ります。仮に売れ残りが出ても返品できず、自社ブランドのため転売も難しいでしょう。このように、プライベートブランドは常に在庫リスクを考えなければなりません。

また使用感といった品質を担保し、顧客からのクレームといったアフターサービスについても相応の対応ができる体制を構築する必要があります。

プライベートブランドを成功させるポイント

プライベートブランドを成功させるためには、徹底したマーケティング調査・分析や、それをもとにしたブランド戦略を行うことが重要です。ブランディングを行えば、認知度を高め消費者へのアピールもしやすくなります。また商品や購入意欲も高められるため、顧客ロイヤルティも向上できるでしょう。

ブランディングでは、自社や競合他社のニーズや売り出し方を調査・分析し、どうすれば他社と差別化を図れるか計画を立てます。ブランド名やロゴ、パッケージ、プロモーション戦略、価格帯などの要素からブランドの醸成を図りましょう。

プライベートブランドの成功例

最後にブランド戦略の参考になるよう、いくつかのプライベートブランドの成功例を紹介します。

セブン&アイ・ホールディングス「セブンプレミアム」

「セブンイレブン」を中心に展開するセブン&アイ・ホールディングスでは、2007年からプライベートブランド「セブンプレミアム」をはじめました。現在は国内最大級の売上を誇り、日本のなかでも有名なプライベートブランドへと成長しています。

セブンプレミアムは飲料や菓子、総菜といった食品を中心に「高級志向」で売り出しているのが特徴です。とくに「金の~」で知られる「セブンゴールド」は、専門店並みの品質と価格帯を打ち出し、成功を収めています。

またセブンイレブンの店舗の多さにくわえ、オンラインショップでも購入ができるといったように、チャネルの数も豊富です。

ドン・キホーテ「情熱価格」

ドンキの愛称で知られるディスカウントストア「ドン・キホーテ」では、2009年からプライベートブランド「情熱価格」を展開しています。食品や日用品はもちろん、家電やファッション用品まで幅広く提供しています。

「セブンプレミアム」とは逆に格安を売りとしており、それにくわえドンキの持ち味である「アミューズメント性」を付加しているのが特徴です。また消費者のニーズを徹底的に反映するため、特設サイトを設けて「ダメ出し」を募集し、実際に開発部で議論・改善を行って新商品の発売に生かしています。

マツモトキヨシ「matsukiyo」

マツキヨの愛称で知られるドラッグストアの大手チェーン「マツモトキヨシ」では、プライベートブランド「matsukiyo」を展開しています。matsukiyoは消費者のニーズのなかから、NBが取りこぼしているものに対応した商品を開発しているのが特徴です。

ジャンルとしてはスキンケアや化粧品といった日用品が中心であり、とくにコスメ関連で多くのヒット商品を生み出しています。また低価格ながら品質や安全性にも配慮した商品設計が、消費者から支持されています。

イオングループ「トップバリュ」

イオングループが展開するプライベートブランド「トップバリュ」 は、日本のプライベートブランドの先駆け的存在です。ジャスコが開発したカップ麺が初のプライベートブランドであり、1994年に「トップバリュ」 へ統一されました。

現在は、消費者ニーズの拡大と多様化に合わせ、次の4つのブランドを展開しています。

  • トップバリュ…基本となるブランド、生活品質を向上させる商品を提供
  • トップバリュベストプライス…低価格ながら品質にもこだわった商品を展開するブランド
  • トップバリュグリーンアイ…健康や自然環境に配慮し、農薬や化学肥料などの使用を抑えた加工食品ブランド
  • トップバリュセレクト…こだわりぬいた高い品質の商品を提供するブランド

このように、4つの特色をもつブランドが展開されることで、幅広い消費者層に支持されています。

西友「みなさまのお墨付き」

大手スーパーマーケットチェーン「西友」では、2012年から食品を中心としたプライベートブランド「みなさまのお墨付き」を展開しています。名前のとおり、メインユーザーである主婦100名に試食してもらい、総合評価で80%以上が評価した商品だけが提供可能です。

80%以下になった商品は、改善や終売をすることで、徹底的に消費者ニーズに即した商品展開ができます。また市場のトレンドがいち早く取り入れられ、地域性のある商品を展開しやすい点も大きな魅力といえるでしょう。現在は1,000点以上の幅広い商品をラインナップしています。

メリット・デメリットを見極めてブランド化を検討しよう

近年注目されている、流通・小売業によるプライベートブランドについて、ナショナルブランドやOMEとの違い、メリット・デメリットなどについて説明してきました。プライベートブランドは広告費といった経費を削減しながらも顧客の注目を集められ、顧客のロイヤルティを高めることも可能です。

事実販売側だけでなく顧客、メーカー側にもメリットがあるため、現在では多くの企業がプライベートブランドの開発を行っています。しかし、在庫リスクやメーカー側・小売側との関係調整が難しくなるなどのデメリットも存在します。双方をよく見極めたうえで慎重に製品のブランド化を検討するようにしましょう。

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