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40%ルールとは?赤字SaaS企業の投資基準・陥りやすい理由

最終更新日:(記事の情報は現在から1651日前のものです)
40%ルールとは、ベンチャーキャピタルが赤字のSaaS企業へ投資するかを決める一つの指標です。アメリカでは、この40%ルールが一つの投資基準となっています。その40%ルールについて紹介します。

40%ルールを理解することで、企業の将来性を判断できるようになるかもしれません。今回は、40%ルールについて紹介します。

40%ルールとは

40%ルールとは、アメリカのベンチャーキャピタルなどの投資家が、ベンチャー企業へ投資を検討する際の一つの基準です。40%ルールは、赤字のSaaS企業やB2B企業を判断するうえで、重要な指標とも言われています。

40%ルールの具体例

40%ルールは、「企業の売上高の成長率」+「営業利益率」の値が40%を超えるかどうかという考え方です。

  • 企業の売上高の成長率が100%・・・営業利益率が(-)60%までは許容範囲内
  • 企業の売上高の成長率が40% ・・・営業利益率が0%以上である必要あり
  • 企業の売上高の成長率が20% ・・・営業利益率が20%以上である必要あり

このように、売上高が伸びていれば、営業利益率が低くても成長が進んでいるため問題ないという考え方です。

ちなみに、売上高の成長率は、MRR(Monthly Recurring Revenue)を用います。

SaaS企業のMRRとは

SaaS企業は、一部の企業を除いて、月額課金でユーザーにサービスを提供していることが多いです。
そのため、企業の成長率を判断する重要な指標としてMRRを用いることが多く、基本的な収益の単位となっています。

また、MMRは「新規に有料プランに登録したユーザー」「一段階高いプランに変えたユーザー」「解約したユーザー」など、すべての有料プランユーザーからの収益を合わせたものです。

SaaS企業の利益率とは

SaaS企業の利益率として、Gross Margin を用いています。Gross Margin は、売上総利益率、わかりやすくいうと生産コストを差し引いたあとの企業の利益率のことです。製品の競争力を表す重要な指標となります。

SaaS企業が赤字に陥りやすい理由

ここでは、なぜSaaS企業が赤字に陥りやすいかという理由について紹介します。

SaaSとは

SaaSとはSoftware as a Serviceの略称です。従来、ソフトウェアはパソコンにインストールして利用していました。

しかし、インターネットが発達した今、ネットワークを通じてソフトウェアのサービスを受けることが可能になり、SaaSという形態が根付いたのです。詳しくは、以下のページをご覧ください。

SaaSとは?PaaS・IaaSとの違いや意味 | 主要クラウドサービス
【解説動画あり】SaaS(Software as a Service = サース)とは、従来パッケージとして提供さ...
詳細を見る

SaaSの例としては、Google AppsやDropboxなどがあります。

赤字の理由1. 供給資金が豊富

SaaS企業には、ベンチャー企業などから多額の資金が流れ込むことがあります。これにより当面赤字でも、企業の経営には問題がありません。

赤字の理由2. 成長スピード最優先

初期の頃は、利益を優先して企業経営を進めるより、将来のためにサービスの機能強化などを優先して進めることもあります。そのため、売り上げが伸びず、赤字になることもあります。

赤字の理由3. マーケットシェア重視

SaaS企業は、一般的に創業した当初は赤字に陥りやすい理由として、サービスを世の中で知ってもらうためにマーケティング費用がかかることもあります。その分の費用が負担となり、赤字になるのです。

40%ルールはIPO投資に有効なのか

しかし、SaaS企業の多くが赤字を抱えることを前提に、IPO投資すべてに40%ルールが有効なのでしょうか。ここでは、その検証をしてみたいと思います。

アメリカでの認識

アメリカでは、SaaS企業に対して、創業6年以降に40%ルールを適用して判断をするのが最適という考え方があるようです。その結果は、米VC RedpointのTomaz Tunguzが作ったグラフにも表れています。

出典:The Data Behind the Rule of 40%

これを見ると、40%ルールを適用する分かれ目は、創業して6、7年ということがわかります。

日本での認識

ただ、先ほど紹介した結果は、あくまで北米のSaaS企業を調査した結果です。北米のSaaS企業は競争が激しく、マーケティングコストやオフィスの賃料なども高額です。そのため、会社の利益を圧迫してしまう傾向があるのです。

日本では、40%ルールを適用するにはサンプル数が少なく、その有効性を示すのが難しいのが現状です。

日本では40%ルール以外の判断も必要

40%ルールが適用される理由の一つに、マーケティングを積極的に展開するため、コストがかかってしまうというものがありました。

しかし、マーケティングも、先に行えば良いというものではありません。
例として挙げられるのが、ピザの宅配サービスなどです。ピザのチェーン店が、「デリバリーでお届けします」と宣伝すると、消費者は宣伝した企業ではない他の企業に注文をするということがあります。先行してピザのサービスをマーケティングしたにもかかわらず、後発企業に市場を取られてしまうのです。

そのため、日本においても40%ルールを適用するのが良いのか一概には言えません。他の指標も合わせて判断する必要があります。

日本での40%ルール適用は、状況を見て慎重に判断する

ここまで、SaaS企業における40%ルールの適用についてお伝えしました。
IPOをする企業でも、赤字になっているSaaS企業があるのが日本の実情ですが、40%ルールは企業や市場の状況を見て適用を検討することが求められます。

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