「辞めるか、染まるか、変えるか」組織の病に立ち向かう方法-ONE JAPAN 濱松誠
背中を押し、失敗を許容する場
組織が大きくなればなるほど、メンバー内でも熱量の差や行動量の差が出てくることもある。しかし濱松さんは、ONE JAPANはあくまでも有志の団体であり、アウトプットだけが目標ではないという。
ONE JAPANは、場を作り、人をつなぎ、背中を押し、失敗を許容する場所です。想いや悩みを共有し、ここで元気になって帰っていく。得たものを持ち帰り、自分の組織がより良くなることをする。それが土壌を作ると思うんです。
ONE JAPANから企業間のオープンイノベーションや、省庁を巻き込む動きも生まれています。アウトプットは非常に重要ですが、絶対ではありません。製造業などは少人数でちょっと話したくらいではアウトプットをすぐに出せるものではないんです。でも、異業種の人と話をする中で、普段出ないアイディアや気づきがあります。(濱松さん)
彼らが生み出すイノベーションは、商品だけではない。どうすれば上司に納得してもらえるか、どうすれば社内のキーマンを巻き込めるか、新規事業の生み出し方や仲間集めの方法など。50社50団体、1,700人のノウハウやアイディアがそこにはある。
どうせ言っても無駄と、諦める人たちをたくさん見てきたんです。でも、ちょっと背中押してあげれば笑顔になれる。ちょっと頑張れば元気になれる。そんな経験もたくさんしてきました。だから、諦めてほしくないんです。(濱松さん)
組織でモヤモヤを抱える人たちに、具体的な一歩の踏み出し方を共有する。ONE JAPANがやり続ければ、大企業の空気は本当に変わるかもしれない。
ONE JAPAN、濱松誠が目指す道
濱松さんは2018年末にパナソニックを退社し、妻と日本一周の旅へ。そして2019年6月からは、世界一周にチャレンジしている。ONE JAPANの活動は、リモートで参加しながら続けていくという濱松さん。これからのONE JAPAN、そして濱松さん自身はどうなっていくのか。
2025年、2030年はまさに終身雇用や新卒一括採用、副業兼業、出戻り採用など、働き方はもっと変わっているはずです。令和の時代になり、昭和・平成に当たり前だった在り方は変わらざるを得ない。その変化を緩やかに進めていく、ONE JAPANはその先兵でありたいんです。背中を押す存在でありたいと思います。(濱松さん)
また個人としては、ONE JAPANに外側から新しい知を入れるのが自分の役割であると、濱松さんは語っている。
今でもさまざまな連携はありますが、ONE JAPANは良くも悪くも大企業限定のコミュニティです。個人の使命として、これからはさらに、グローバル、ベンチャー、中小企業、ソーシャルセクター、アカデミアなど、もっと広くつなげていきたいですね。
「成果を出せ」「結果を出せ」「組織としてどうなのか」とか、いろいろ言われることもあります。でも、そんなのどこにでもある話なんですよ。だから、「希望の灯」は絶やしたくない。弱火でもいいから、この炎は燃やし続けたいです。(濱松さん)
本当の意味で「ひとつの日本」として誰もがいきいきと働ける社会を作るべく、ONE JAPANは動き続ける。どこにでもある組織の病。日々仕事がつまらない、モヤモヤしている、諦めている人たちの背中を押すために。