NTT東日本が自治体のスマート化支援へ、AI‐OCRと総合行政ネットワーク連携でシステム入力時間削減
NTT東日本は2019年11月27日、同社が提供してきたAI-OCRサービス「AI よみと~る with AI inside」のノウハウを活かし、自治体の総合行政ネットワーク(Local Government Wide Area Network :LGWAN)環境で利用できる「AI よみと~る(LGWAN 接続タイプ)」を12月1日から提供すると発表した。
AI-OCRとは、手書き書類や帳票の文字を読み取りデータ化するAI技術を使ったOCRサービスのこと。AIが文字の特徴を学習し、これまでのOCRサービスより格段に識字率を高めており、紙の帳票処理業務の効率化に貢献するものとして近年注目が集まっている。
「AI よみと~る(LGWAN 接続タイプ)」には、グループ会社であるNTTデータの地方公共団体向け AI-OCRサービス「NaNaTsu™ AI-OCR with DX Suite」を活用。これまで「AI よみと~る with AI inside」の提供で構築したノウハウやサポート体制と、強固なセキュリティで自治体業務の効率化を支援する。
NTT東日本、NTTデータが業務提携しているAI inside社のAIを採用したOCRサービスの特徴は、高い識字率にある。2019年6月に実施されたMM総研 国内法人のAI-OCR 導入実態調査によれば、文字識字率は96%にのぼり、国内有力サービスとの比較ではトップだった。また、NTT東日本が2019年1月から行った4つの自治体とのトライアルにおいても、AI-OCRとRPAを組み合わせて作業短縮効果が確認できたという。
※トライアル実施期間:2019年1~7月 実施内容:AI inside社のAIを搭載した「DX suite」サーバとRPAツールを使用して、実装の業務環境でフィールドトライアルを実施
取り組みの背景にあるのは、膨大な量の「紙の申請書」を取り扱う自治体業務の課題だ。申請書をシステムへ入力する作業は膨大な時間と人件費を要するものの、民間企業のようにすべてをデジタル化するのは自治体の特性上難しいとされている。単純作業に忙殺され、職員が本来担うべき業務に集中できない現状に対し、2018年7月に総務省が発表した「自治体戦略 2040 構想研究会 第二次報告」の中でも、スマート自治体への転換の必要性がまとめられている。
労働力人口の減少により、生産性向上は日本の労働現場における大きな課題となっている。民間企業のみならず、改革が遅れている行政、教育など公的な分野での取り組みも間違いなく必要とされる。NTTグループの全国をつなぐネットワークで、自治体の改革が加速されることを期待したい。