内発的動機づけで「やる気」アップ ビジネスモチベーションの高め方
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「やる気」を引き出す内発的動機づけとは
ビジネスシーンにおいて、モチベーションアップは業績アップにもつながる重要な課題の一つです。自身のモチベーションコントロールはもちろん、部下の「やる気」アップに悩んでいる人も多いでしょう。
「やる気」を考えるうえで、内発的動機づけが大きなヒントとなります。内発的動機付けとは、「自分はこうなりたい」「この仕事はこう進めるべきだ」など心の内側から沸き起こる意欲や目的・関心を原動力としたモチベーションを指します。
内発的動機づけの対語に位置する外発的動機付けは「同僚にほめられたい」「上司に叱られたくない」などの外的要因に対して行動するモチベーションを指します。
内発的動機づけはモチベーションの維持がしやすく、また芯を持った強固なやる気となることが特徴です。
モチベーションをあげる「承認」の力
内発的動機づけは、承認欲求や有能感を満たすことで強く引き出せるとされています。
次に承認がいかに内発的動機づけを引き出せるのか、また強いモチベーションと確かな結果を導き出せるのかについて、調査をもとに紹介します。
働くモチベーションにつながるのは「達成感」と「給与」
日経BP総研が、ビジネスパーソン873人を対象に“働きがい”について尋ねるアンケート調査を実施、働くモチベーションアップにつながるものを尋ねたところ、トップには「仕事から達成感を得られる」「給与があがる」が同率で並び、「自分のやりたい仕事ができる」が続きました。
仕事の成功から得られる達成感は、大きな内発的動機づけ要因の一つです。また給与は、内発的動機づけとは対の「外発的動機づけ」に関連する要因であるものの、自身の能力を表す指標であり、給与が上がることで有能感を満たすことにつながるでしょう。
内発的動機づけが働くモチベーションアップに影響していることがみてとれます。
若手は「感謝」と「がんばったね」でやる気アップ
一方、ソニー生命保険は若手1,000名を対象に「社会人1年目と2年目の意識調査」を実施。「落ち込んでいるとき(仕事上で失敗したとき)に、先輩社会人に言われたら、やる気に火がつくセリフ」と、反対にやる気を奪われるセリフを尋ねました。
やる気がアップした言葉の1位は、約半数もの回答があった「君がいて助かった、ありがとう」でした。自分の仕事が認められているという承認が、モチベーションアップにつながっていることが伺えます。
またやる気が奪われたセリフは、「この仕事向いてないんじゃない?」「やる気ある?」などの言葉でした。自分の能力や仕事ぶりを否定されることは有能感や、承認欲求を著しく妨げ、結果モチベーションが低下してしまいうることがわかります。
このように、承認されることが内発的動機づけに結びつき、モチベーションアップに大きく貢献することがみてとれます。
内発的動機づけと外発的動機づけの違いを比較実験からみる
内発的動機づけとあわせて知っておきたい言葉が「外発的動機づけ」です。内発的動機づけの対語で、内発的動機づけがやる気や承認など精神的な要因がモチベーションにつながっているのに対し、外発的動機づけは「報酬」や「合格」、あるいは「怒られたくない」といった外的要因によるモチベーションです。
内発的動機づけと外発的動機づけの違いがわかる比較実験を元に、それぞれの違いを説明していきます。
外発的動機づけとは
外発的動機づけが内発的動機づけと大きく違うところは「ゴールが存在する」ことです。たとえば、年収を50万円あげたいと思ったとき、実際に50万円上がることまでが目標となり、到達してしまうとゴールがなくなりモチベーションの維持が難しくなってしまいます。
給与の例だけでもわかるように、内発的動機づけの場合は給与が上がることに有能感を得てさらに上を目指し続けるのに対し、外発的動機づけはゴールを超えてしまうと、目指すものがなくなってしまいます。
外発的動機づけはゴール設定がしやすく簡単に定められますが、一方で、長期的なモチベーションの維持が難しくなってしまうのです。
内発的動機づけを裏付ける比較実験
内発的動機づけを証明する実験もあります。
心理学者のエドワード・L・デシはパズル好きな大学生を集め、ある実験を行いました。大学生を2つのグループにわけ、片方のグループにどれだけの時間をかけて解くかを自分たちで決めさせ、もう片方のグループには何も指示をせずただパズルを解かせました。その結果、前者の自分たちで解く時間を考えさせたグループの方が休憩時間を割いてでも熱心にパズルを解くという事実が判明しました。
再度グループをわけなおしたデシは、片方のグループにパズルが解けるたび1ドルの報酬を与え、もう片方には何も報酬を与えないようにしました。
すると報酬をもらったグループは休憩時間にパズルにはほとんど触れませんでした。一方の報酬をもらわなかったグループは休憩時間でもパズルに夢中に取り組みました。
この結果から「いかに自分たちで決めた時間内にパズルを解くか」という自律性や「パズルを解きたい」という有能性からくる内発的動機づけをメインとしたグループは、モチベーションを高く維持できたことが伺えます。
反対に「パズルを解くと報酬が発生する」という外発的動機づけをメインとしたグループは、パズルは報酬を得るための手段にすぎなくなり最低限のモチベーションしか発揮することがありませんでした。
外発的動機づけは意欲を阻害する?
デシの実験結果から、もともと「パズルを解きたい」という内発的動機づけを持った学生たちが、報酬を与えられたことにより内発的動機づけが弱まってしまっていることがわかります。さらに外発的動機づけが与えられたことで、やらされている感”が強まってしまい、報酬を与えられないとやる気が起こらなくなってしまいました。
自律的な目標達成を持っていたにもかかわらず、外部より報酬や評価が加わったことにより、結果的に意欲を失う阻害要因となってしまうこともあり得るのです。
現在社会は、報酬や評価が目標のベースとなってしまうことが多く、このような外発的動機づけは、実は意欲を低減させてしまうことが多いと考えられます。今後は有能性や自立性を持たせ、内発的動機づけによってモチベーションを持たせることが重要だといえるでしょう。
内発的動機づけにつながる3つの要因
エドワード・L・デシは内発的動機づけと外発的動機づけとの関連性の実験結果から、内発的動機づけを引き起こす3つの要因が存在することを発見しました。それぞれの要因を理解することによって内発的動機づけを引き起こしやすくなると考えられます。
自律性
自分の意志で自分のことを決定する自己決定感や、自分でやると決めたことによる責任感を持つことにより自律性を高められます。他者ではなく、自分で物事を決め責任を持つことが自律性と大きく関わってきます。
有能性
自分で決めたことによる結果により自分が役立っている、自分はできるという認識が有能性を高めます。自信からステップアップしようとする心を持つことにより意欲を高められます。
他者との関係性
グループで他者との連帯感を築くことにより、関係性を高められます。個人で仕事を進めるよりもグループで進めることで他者との関係性を得られます。誰かと結びつきたいという欲求を大切にすることで、高い内発的動機づけへとつながります。
内発的動機づけでモチベーションアップ
内発的動機づけはモチベーションを長く高く維持でき、自身や部下へのモチベーション管理に大きく貢献すると考えられます。自律性や有能性をうまく引き出すことで得られる内発的動機づけによるやる気で、仕事もスムーズに進められるでしょう。
報酬といった外的要因によって動機づける外発的動機づけは、設定するのは簡単ですが、一時的になモチベーションは引き出せても継続的なモチベーションとはならず、報酬なしでは維持もできなくなってしまいます。
内発的動機づけを引き出す3要素「自律性」「重要性」「他社との関係性」を意識しながらモチベーションを引き出し、有意義で生産性の高い時間を過ごしましょう。
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