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デロイトトーマツが2700社の有価証券報告書を分析、DXの記載率トップの業界は?

記事の情報は2021-10-18時点のものです。
有価証券報告書は経営者が今何を考え、何に取り組もうとしているのかを映す鏡です。上場企業約2700社の報告書を分析したデロイトトーマツグループの担当者に、DXへの取り組みの現状とその背景を解説してもらいました。

厳しい市場競争を勝ち抜くために、多くの企業がDXによる経営変革に着手しつつあります。こうしたなか、デロイトトーマツ グループは9月、上場企業2,752社を対象に有価証券報告書をテキストマイニングで分析したレポート「テキストマイニングによる有価証券報告書の開示動向調査」を発表しました。

海外と比較すると、日本企業のDXまだまだ遅れていると言われています。前編では、DXへの取り組みの現状や、業種や企業規模ごとの概要、今回の調査を担当されたデロイト トーマツ グループのマネジャー・宮村祐一氏と公認会計士の岸純也氏に解説していただきました。

【分析の手法】
金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム(EDINET)より有価証券報告書のデータを取得します。取得したデータの文書構造解析を行うことで、有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」などの項目のテキストデータを抽出します。抽出したテキストデータに対して、形態素解析などのテキストマイニング手法を用いることで、テキスト中に出現するワードの頻度や、その増加傾向などを集計・分析します。

【デロイトトーマツ グループマネジャー 宮村祐一氏】
有限責任監査法人トーマツ デロイトアナリティクスR&D所属。自然言語処理技術の研究開発、および、自然言語処理技術、機械学習技術等を活用したコンサルティング業務に従事。知財、ニュース、業務文書などのテキストマイニングの経験を有する。


【公認会計士 岸純也氏】
有限責任監査法人トーマツ デロイトアナリティクスR&D所属。プライバシーを保護したまま機械学習・データ分析を行う技術であるプライバシー強化技術の研究開発に従事。暗号資産取引分析システムの開発、上場企業の会計監査業務の経験を有する。


新型コロナウイルスの感染拡大が追い風に

――今回の調査目的を教えていただけますか。

宮村:昨年は新型コロナウイルスの感染拡大に直面したこともあり、感染症関連のさまざまな記載が有価証券報告書にありました。あの時はまだ、出始めで得体の知れない感があったと思います。あれから1年が経過し、各社にどのような影響が出て来るのか、どのような対策をしなければいけないのかなどが徐々に見えて来ました。

企業が何を考えているのかを開示する方法として、有価証券報告書があります。そもそも、有価証券報告書は法定開示書類であり、一定の基準を満たした企業は必ず作成するものです。

有価証券報告書では財務データ・財務情報が開示されますが、それに加えて最近では“非財務”と呼ばれている情報、例えば事業やサスティナビリティ、DXに対する取り組みを開示する企業が増加傾向にあります。特に大企業を中心に積極的な開示が進んでおり、有価証券報告書という媒体を使って、このタイミングで各社がどう考えているのかを見てみることにしました。

もともとは、DXに限定しているわけではなく、全般的に何が見えるのかということで取り組みました。その結果として、DXやESG(環境、社会、ガバナンス)、パーパスなどさまざまなキーワードが見えてきました。

DXは急上昇ワードに

――経営方針、経営環境及び対処すべき課題等における急上昇ワードとして、DXが前年比4.6倍も延びました。その要因を解説していただけますか。

宮村:特定の業種だけが伸びているのではなくて、さまざまな業種でDXが伸びていることが指摘できます。だからこそ、全体での集計で大幅な伸びが出てきていると言えます。

経営方針、経営環境及び対処すべき課題等における急上昇ワード/デロイトトーマツグループ「テキストマイニングによる有価証券報告書の開示動向調査」

具体的な取り組みについて、各社さまざまな記載をしています。特に多いのは、新型コロナウイルスの感染拡大によって働き方が大きく変わったということです。例えば、営業の現場などの顧客接点では、お客様に直接会うことが難しくなり、デジタルを活用して変化に対応しなければいけないという状況にあります。そういう点も、DXを取り上げている一因であると思います。

それ以外の記載では、生産性を上げたいという理由でDXを使っていこうという企業もあります。特に生産性という点では、日本は少子高齢化の流れのなかで労働人口が減っており、もっと効率を高めなくてはいけないとDXが進められていました。このDX推進の動きが、新型コロナウイルスの感染拡大によってさらに加速したのではないでしょうか。

投資家の意識も要因

岸:企業は外的な要因によっても変革を迫られます。例えば、新型コロナウイルスの感染症が拡大し、従来と同じような対面での営業が継続できなくなったことが原因で売上高や利益などが落ち込むと、何かしらを変えなければいけないという意識が経営者の中に生まれてきます。

業務プロセス一つひとつをIT化することは従来から行われてきました。昨今は急激な事業環境の変化を踏まえて、全社的に業務をデジタル化によって大きく変革していくという意味で、ただの業務のIT化を超えてDXが出てきていると思います。

投資家も、自分の投資先がどのように社会環境の変化に適応していくのかを注視しています。そうしたこともあって、有価証券報告書を含めたIR書類の中で、どのようにDXを進め、企業を変えていくのかを開示することが増えたのではないかと思います。つまり、DXの記載率が伸びた要因として、経営者の意識の高まりだけでなく、ステークホルダー側の意識の高まりも大きかったと判断しています。

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