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石角友愛氏が語るDXトレンド 「モデル中心からデータ中心へ」の真意とは

記事の情報は2022-05-25時点のものです。
AI開発や導入、DX支援を行うシリコンバレー企業のCEOであり、書籍「いまこそ知りたいDX戦略 自社のコアを再定義し、デジタル化する」の著者である石角友愛さん。このコロナ禍における企業の変化、近年注目するDXトレンドについて語っていただきました。

石角さんは、シリコンバレーを拠点に100社以上の日本企業にAI開発及び導入やDXの支援を行う企業・パロアルトインサイトを率いる若きCEOです。さらに、書籍「いまこそ知りたいDX戦略 自社のコアを再定義し、デジタル化する」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など多数の著書も出され、AIの専門家として活躍されています。ビジネスの最前線にいる立場から、近年注目するDXトレンドをたっぷりと語っていただきました。

【インタビュー】
石角友愛(いしずみ・ともえ)氏 パロアルトインサイトCEO/AIビジネスデザイナー、順天堂大学大学院データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)

ハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、グーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをリード。その後、HRテック・流通系AIベンチャーを経てシリコンバレーでパロアルトインサイトを起業。データサイエンティストネットワークを構築し、日本企業に対して最先端AIの戦略提案から開発まで一貫したDX支援を提供。AI人材育成にも意欲的で、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)や、東京大学工学部アドバイザリー・ボードを務めるなど幅広く活動している。
毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。著書に『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)など多数。

レガシー企業もDXに活路を見出す

―日本における2021年のDXトレンドをどうご覧になられますか

2021年は、日本においてDX元年と位置付けても良いかもしれません。意識を植え、話題が交わされ、デジタル庁もできました。「DXとはこうなのだ」という認識が芽生え、共通基盤・共通認識になってきた年でした。

企業の中で共通認識や課題認識ができたので、「来年度は予算を確保しようということになった」という連絡が寄せられています。その結果、具体的にプロジェクトを進めていこうと策定中の企業が増えています。こういった動きは、特に大企業で顕著です。そのため、2022年は本当に色々なプロジェクトが動き出すと思います。

コロナ禍で消費行動が変化

― 最も注目すべきDXトピックスは

パロアルトインサイトで手掛けた事例でもあるのですが、レガシー企業のDXが特徴的だったと思います。例えばリンガーハットや不二家との事例です。リンガーハットとは、コロナ禍で変化した消費者需要の予測、さらに飲食業界が抱える人手不足や食品ロスの解決を目指し、緊急事態等に対応する需要予測システムを共同開発しました。不二家のケースでは、生菓子の出荷量予測AIをご提案し、開発、運用に至っています。

特にリンガーハットは、コロナ禍を受け発令された緊急事態宣言により、店舗の営業時間が大幅に変更されたことに加えて、お客様自体もUber Eats (ウーバーイーツ)に流れ、行動様式が180度変わったりしたことで、今まで使っていた需要予測モデルが使えなくなってしまいました。

需要予測モデルは、店舗ごとに今後1~3カ月でどれくらいのお客様が来店されるかを予測します。そして、店舗スタッフはモデルの予測結果に基づき発注を掛けたり、スタッフの配置を考えたりするため、意思決定の上流工程にある非常に重要な仕組みです。

従来までは、「ヒストリカルデータ」と呼ばれる過去数年間の実績に基づいて予測数値を算出していたのですが、緊急事態宣言の発令によるデータの変化が非常に大きく、従来のモデルで算出した予測数値と実際の需要が大きく違ってきてしまいました。

このように、環境が変わると売り上げ情報等の入ってくるデータが変わり、データが変わると必要なAIも変わります。そこで、弊社との共同開発により、緊急事態発生時における需要予測の仕組みに柔軟性を持たせたのが、リンガーハット社との取り組みです。このように、コロナ禍で当初は大きな影響を受けたものの、窮地をプラスに捉え、AIを活用してDXを推進することで新しい道を見出す企業が増えています。

こういった事例をはじめ、非IT企業であるレガシー企業がアジャイルなAI活用やDXの組織基盤づくりに取り組み、成果も出始めています。これは、コロナ禍の後押しがあったにせよ、2021年の大きな特徴だと思っています。

リンガーハットの需要予測モデルとは

リンガーハット社の事例のような緊急事態宣言対応型需要予測モデルは、今後ニーズが増えると思います。緊急事態はコロナだけではありません。地震や台風といった自然災害にも同様のことが言えるからです。また、ウクライナ情勢を踏まえ、サプライチェーンリスクやエネルギー価格の高騰、インフレなど予期せぬ事態が起きています。たくさんの企業がこのような外的要因に常に影響を受けながら意思決定をしなければいけません。

そういう状況が起きたらどうしようとただ怯えているのではなく、次に同じ事が起きた時にはこう対応すれば良いと、強靭な精神で逞しくAI導入やDXを推進するというマインドに感銘を受けました。同時に、今後もこのようなニーズを抱える企業が増えると考えています。

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