ウェルビーイング経営とは?メリットや方法、企業事例3選を紹介
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ウェルビーイング経営とは?
ウェルビーイングとは、well(良い)とbeing(状況・状態)を掛け合わせた言葉で、英語ではWell-beingと表記されます。
世界保健機関(WHO)憲章では、「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあることをいいます。」と定義されています。
ウェルビーイング経営とは、このような概念を経営に取り入れた考え方で、自社の利益だけでなく、経営に関係するすべての人間の幸せを追求する経営方法です。社員の肉体面だけでなく、精神面や社会的な面においても満たされるように環境を整えるのが特徴です。
似た経営方法に健康経営がありますが、現在では健康改善の取り組みだけでは不十分とされています。そのため、社員の幸せに焦点を当てたウェルビーイング経営は多くの企業から注目されています。
※出典:日本WHO協会「世界保健機関(WHO)憲章とは」(2024年9月25日閲覧)
ウェルビーイング経営が注目される背景
ウェルビーイング経営は、厚生労働省の「雇用政策研究会報告書」と経済産業省の「人材版伊藤レポート」をきっかけに注目されるようになりました。
厚生労働省は、ウェルビーイングの向上と生産性の向上を提案し、経済産業省は中長期的な企業価値の向上につなげるためにウェルビーイングの考え方と実現に向けた方法を提言しました。
ウェルビーイング経営が浸透することで、従業員のウェルビーイングにつながるとともに、企業価値の向上や日本経済の成長が期待されています。
健康経営とウェルビーイング経営の違い
健康経営とウェルビーイング経営の明確な違いは、どの視点に立っているかです。健康経営は企業や経営者の目線からの考え方で、ウェルビーイング経営は従業員目線での考え方です。
健康経営は従業員が心身ともに健康でいられるような取り組みを行うことで、企業価値向上を目指します。そのため、健康経営は経営者からのトップダウンで施策が行われるのが一般的です。
一方で、ウェルビーイング経営は従業員の心と身体の健康だけでなく、社会的に充実するような取り組みも行います。従業員の目線に立って施策が行われるため、現場からのボトムアップが多いのが特徴です。
ウェルビーイング経営の要素
ウェルビーイング経営において、「PERMAモデル」と「Gallup社のモデル」が提唱されています。
PERMAモデルでは、「人々が幸せを感じるための要素」として次の項目を挙げています。
項目 | 意味 |
---|---|
Positive Emotion | ポジティブな感情であること |
Engagement | あらゆる事象に対して積極的であること |
Relationship | 他の従業員や関係者と良い関係性が築けること |
Meaning | 人生に意味や意義を見出すこと |
Accomplishment | 達成感を得ていること |
Gallup社の提唱する「国や地域、宗教を問わず、幸せを感じる要素」は次のとおりです。
項目 | 意味 |
---|---|
Career Wellbeing | 仕事やキャリアによる幸福 |
Social Wellbeing | 人間関係による幸福 |
Community Wellbeing | コミュニティに所属することによる幸福 |
Physical Wellbeing | 身体的な幸福 |
Financial Wellbeing | 経済的な幸福 |
このような要素を満たすのがウェルビーイング経営といえます。
※出典:Gallup「The Five Essential Elements of Well-Being」(2024年9月25日閲覧)
ウェルビーイング経営のメリット
ウェルビーイング経営のメリットは次のとおりです。
- 従業員の満足度が向上する
- 生産性が上がる
- 企業価値やブランドイメージが良くなる
それぞれ詳しく解説します。
従業員の満足度が向上する
ウェルビーイング経営によって働きやすい環境が整うと、従業員満足度の向上につながります。従業員の健康や幸福感向上のために労働環境を改善することで、業務の効率化やプライベートの充実が可能です。
このような労働環境を実現することで従業員は働きやすいと感じ、ストレスの軽減や満足度の向上につながります。
生産性が上がる
ウェルビーイング経営の導入によって心身が健康な状態で働ける環境になれば、仕事に対して高いモチベーションを保ちやすくなります。このような労働環境を実現することで、仕事のパフォーマンス向上や欠勤・休職・離職率の低下が期待できます。
その結果、生産性向上をはじめ、人件費の抑制や健康維持による医療費の削減などのメリットも見込めます。
企業価値やブランドイメージが良くなる
前述のとおり、ウェルビーイング経営は、経営に関わるすべての人の幸せを追求する経営手法です。ウェルビーイング経営を推進することで、社会にとって健全な企業であるという評価につながり、企業価値やブランドイメージが向上するでしょう。
ブランドイメージが良くなることで、利益率の向上や優秀な人材の確保と定着などが期待できます。
ウェルビーイング経営を行う企業の取り組み事例3選
ウェルビーイング経営を推進する企業の取り組み内容を紹介します。
A社(ソフトウェア関連)
A社は、ウェルビーイング推進の施策として、フルテレワークやテレワーク導入のための手当の支給や、スーパーフレックス制の導入などを行ってきました。
2022年にはウェルビーイング経営をさらに推進するための責任者ポジションを新設。ウェルビーイング活動の一環として、避暑地にあるオフィスで、チーム単位でアクティビティを行う取り組みをしています。
こうした取り組みにより、新しい視点を取り入れたり、チームの絆が強くなったりといった効果が生まれています。
C社(小売)
C社では、健康管理にとどまらず、従業員が幸せを感じられる働き方の実現を目指しています。
具体的な施策には、セルフケア教育やレジリエンスプログラムの実施、女性向け健康相談窓口の設置、健康管理委員制度の新設、社外の専門家の視点を取り入れた健康データ解析などがあります。
C社はウェルビーイング経営の取り組みが評価され、「健康経営銘柄」に選ばれています。
D社(ECサイト)
D社は、従業員のウェルビーイングを高めてイノベーションを生み出すことを目指し、心と体の健康維持・向上に向けた取り組みを行っています。
具体的な取り組みは、オンライン上での健康セミナー開催、社内でのストレッチの実施などです。コロナ禍における在宅勤務の増加を受け、オンラインを活用した取り組みが拡大しました。
今後は、ウェルネスを企業文化として根づかせ、健康的な生き方・働き方をすることが当たり前となるよう、さらなる活動を展開していく方針です。
ウェルビーイング経営推進のステップ
ウェルビーイング経営を推進するためには、次のようなステップを踏む必要があります。
- 経営層がコミットメントする
- 現状を分析して課題を把握する
- 施策を実行する
- 効果を検証し、改善サイクルを回す
それぞれ解説します。
1. 経営層がコミットメントする
まずは、経営層のコミットメントが必要です。たとえば、部下からの提案で在宅ワークやフレックスタイム制度を導入したとしても、上司が否定的であれば、部下は活用しにくいでしょう。
そのため、社長をはじめ経営陣が先頭に立ってウェルビーイング経営を推進する必要があります。ウェルビーイング経営を始めるには、経営層や管理職が取り組みの重要性を理解していることが欠かせません。
2. 現状を分析して課題を把握する
ウェルビーイング経営の具体的な施策を行う前に、現状を分析して課題を把握しましょう。健康診断や生活習慣、残業時間、ストレスチェックといったデータを一元化することで、自社の抱える課題が見えてきます。
たとえば、従業員アンケートを行い、勤怠や健康診断結果と照らし合わせることで課題を把握します。また、直近のデータだけでなく、過去のデータと照らし合わせて経年変化の推移を可視化することも効果的です。
データ分析で課題を把握したうえで、具体的な施策を練ることが成功のポイントです。
3. 施策を実行する
浮き彫りになった課題に対して具体的な施策を検討し、実行します。たとえば、頻繁に残業をしている従業員が多くいるのであれば労働環境や業務効率の改善、ストレスチェックで高ストレスの従業員が多いのであればメンタルヘルスケアの施策といった方法が考えられます。
4. 効果を検証し、改善サイクルを回す
施策を実行したあとは、成果を検証し、改善サイクルを回しましょう。施策実行前に行った従業員アンケートを再び行うことで、社員の意識や健康状態がどのように変化したかを検証できます。
アンケートの結果、どの施策が効果的であったかを確認し、継続する施策と中止する施策を決めて再び実行します。このように改善サイクルを回すことで、より効果的なウェルビーイングの推進が可能です。
ウェルビーイング経営の注意点
ウェルビーイング経営の注意点は次のとおりです。
- 継続的な取り組みが必要となる
- 取り組んだ成果を数値化する
それぞれ解説します。
継続的な取り組みが必要となる
ウェルビーイング経営では、継続的な取り組みを行う必要があります。ウェルビーイングは自社だけでなく、組織に関わるすべての人の幸せを追求する経営であるため、短期的な視点でみると享受できるメリットが少なくなります。
たとえば、従業員が心身ともに健康を維持できるようにワークプレイスを新設したり、福利厚生を充実したりすると、その分の費用がかかります。短期的な視点で見ると支出が多くなり、利益は低下する可能性もあります。
しかし、ウェルビーイング経営は従業員の生産性やブランドイメージの向上などのメリットがあるため、中長期的な視点で見ると利益向上につながるといえます。
取り組んだ成果を数値化する
ウェルビーイング経営導入の際は取り組んだ成果の数値化が必要です。数値化せずに基準をあいまいにしたままウェルビーイング経営を導入すると、成功・失敗の判断があいまいになる恐れがあります。
このような場合、表面上だけのウェルビーイング経営となってしまい、ブランドイメージの低下につながるリスクも考えられます。
具体的には、離職率や残業時間、有給取得率といったデータをウェルビーイング経営の導入前後で調べることで、どのように変わったのか数値で可視化できます。また、ストレスチェックを定期的に行い、ストレスを数値化するのも有効です。
データの分析や可視化によって課題の把握や効果的な対策の立案につながり、ウェルビーイング経営の推進に役立ちます。
各種データの収集、一元管理には健康管理システムの活用がおすすめです。
ウェルビーイング経営をサポート!健康管理システムおすすめ5選
ウェルビーイング経営に役立つ健康管理システムを紹介します。それぞれの特徴をまとめているので、システム選びの参考にしてください。
ハピネスパートナーズ - エムスリーヘルスデザイン株式会社
ハピネスパートナーズは、従業員の健康データを一元化できる健康管理システムです。容易に操作でき、カスタマイズ性が高いのが特徴です。特殊健診管理機能を標準で備えており、管理が複雑な業務内容を簡単に把握でき、再受診が必要な従業員をピックアップできます。
健康管理システムHealthCore - 株式会社ヒューマネージ
健康管理システムHealthCoreは、フィジカル、ソーシャル、メンタルの3つの健康を満たすための健康管理システムです。健康診断やストレスチェック、長時間の残業データといった多様な情報を一元管理できます。診断結果から不調リスクのある従業員をピックアップする機能を搭載しています。
健診DXサポート - 株式会社エス・エム・エス
健診DXサポートは、ストレスチェックや健診データを活用して健康を推進する健康管理システムです。紙の健診結果をデータ化したり、健診結果から健康課題の分析や対策を実施したりできるほか、看護職サポート付きシステム操作や受診勧告などの健康管理機能を搭載しています。
Growbase - ウェルネス・コミュニケーションズ株式会社
Growbaseは、健康データの一元化を可能とし、健康管理業務を効率化するためのシステムです。就業判定機能を利用することで、長時間残業をしている従業員をピックアップできます。また、健康管理台帳の出力や労基報告書の作成が可能です。面談内容の記録やストレスチェックの機能も搭載しています。
WELSAは、データの一元管理や、健康課題の解決支援、リスクの分析・予測ができる健康管理システムです。健康診断やストレスチェックなどのデータを一元管理できるだけでなく、再検診が必要な従業員のピックアップも容易に行えます。また、健康リスクの高い従業員に対して改善プログラムを提案してくれます。
継続的なウェルビーイング経営を目指しましょう
ウェルビーイング経営とは、自社の利益だけでなく、組織に関わるすべての人の幸せを追求する経営方法です。ウェルビーイング経営には、従業員の満足度向上や生産性の向上、企業のイメージアップなどのメリットがあります。
導入の際は、短期的に成果を求めるのではなく、長期的な視点を持って取り組んでいくことが重要です。また、取り組んだ成果を数値化することで適切な施策を打ち出せます。
ウェルビーイング経営に役立つ健康管理システムの導入を検討する際には、自社のニーズや規模感に合わせて、複数のサービスを比較することが大切です。BOXILでは健康管理システムの資料をまとめてダウンロードできるので、ぜひ活用してください。
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