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OEMとは?メリット・デメリット、ODM、PBとの違い

最終更新日:(記事の情報は現在から1478日前のものです)
OEM(オーイーエム)とは、他社メーカーで製造されたものを自社ブランドとして提供する仕組みのことです。似た言葉であるODM(オーディーエム)・PB(プライベートブランド)との違いや、メリット・デメリットを解説します。実際に活用されている事例も紹介します。

街中の自動車で「メーカーは違うのに車のデザインが一緒じゃないか」と思ったこと、ありませんか。「おそらくマネをしたのだろう」と考えるかもしれませんが、それはOEMで製造された自動車の可能性があります。

本記事では、一見難しく見えるビジネス手法「OEM」について解説します。

OEM(オーイーエム)とは

OEMとは他社メーカーで製造されたものを自社ブランドとして売り込むビジネス手法です。「Original Equipment Manufacturing」の略称で、「委託者ブランド名製造」「委託者商標による受託製造」などと訳されますが、単に「OEM」と呼ばれることもあります。

OEMがもっとも進んでいるのは自動車業界ですが、その他にもアパレル・化粧品・食品などでも普及している方法でもあります。

ODM(オーディーエム)との違い

ODMとは「Original Design Manufacturing」の略称であり、委託者(他社ブランド)の製品を設計・製造すること、または設計・製造する人や会社を意味します。

OEMは委託者が受託者に設計から技術指導まで行うこともあります。対して、ODMは受託者が企画から設計・製造、場合によってはマーケティングまでも行うこともあります。こういった形態は、半導体メーカーで多く見られます。

PB(プライベートブランド)との違い

OEM・ODMに関連して、PBも似た言葉としてあげられます。

PBは、プライベートブランド(Private Brand)の略称です。手法はOEM・ODMとほぼ同様です。異なる点は、OEM・ODMが受託者側が使用する言葉であり、「委託者側が使用する言葉」であるPBといえます。

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OEMの種類

完成品や半完成品を相手先のブランド名で製造

よくあるOEMのやりかたは、生産者の開発品を相手先のブランド名で製造・販売する方法です。

生産者側はブランド名を得て商品を販売できるので、自社で販売するよりも高い売上が期待でき、ブランドを所有する企業は商品開発のコストを省けるメリットがあります。

自社ブランド製品の製造を委託する

もうひとつのパターンは、自社ブランド製品の製造を他企業に依頼する方法です。

この場合、依頼する企業は受託企業と契約を交わし、資材・原料なども提供します。場合によっては、技術指導を行うこともあります。

OEMのメリット

OEMのメリットを「委託者」と「受託者」に分けて解説します。

簡単にまとめると以下の表のとおりです。

委託者 受託者
導入期 自社ブランドの知名度向上 技術力向上
成長期 供給不足をカバー 生産量の増大
成熟期 新製品の開発に専念 一定の生産量を確保

委託者側

市場導入期

OEMは、すでに人気の類似品を打ち出すため、一定販売数の見込みが立ちます。よって、自社ブランドの知名度が向上します。

市場成長期

追いつかなくなる供給をカバーできます。

市場成熟期

製品製作の体制を維持しつつ、新商品の開発に専念できます。

受託者側

市場導入期

持てあましている生産力を活かし、技術向上が期待できます。

市場成長期

製品販売が、好調なほど生産量も増すので、成長期の恩恵を受けられます。

市場成熟期

製品販売が落ち着いてからも、ある程度の生産量を期待できます。

OEMのデメリット

デメリットも「委託者」と「受託者」にわけて解説します。

簡単にまとめると以下の表のとおりです。

委託者 受託者
収益率の低下 自社ブランドが未浸透
下請けが競合化 価格決定が困難
委託者への技術流出

委託者側

製造を外部に委託するため新製品開発に専念できるメリットはありますが、やはり生産における収益を得られなくなるのは事実です。

OEMでは委託者が受託者に技術支援を行うことも多く、下請けが将来的に競合になりやすいです。相対的に、自社の技術がぜい弱化するデメリットもあります。

受託者側

製品自体は他社が販売するため、自社ブランドの浸透が進みません。

価格の支配権も委託者側に取られやすく「できるだけ安く」と要求されます。安いために、収益率が低下します。高い技術を有している場合、委託者に類似製品を開発されてしまうデメリットもあります。

OEMの活用事例 5選

デメリットが存在しながらも、広く活用されているのは、デメリットを上回るメリットがあるからです。OEMをうまく活用すれば、合理的でスマートなビジネスを実現できます。OEMの活用事例を、業種別に紹介します。

コンビニエンスストア

近年のコンビニエンスストアではPBが商品棚によく並びます。セブン-イレブンの「セブンプレミアム」がその一例です。コンビニのPBは、OEMによるPBの代表的なものです。

セブンプレミアムは種類も豊富なので、受託企業もさまざまです。たとえば、シュークリームはシェフォーレが製造を受託しているようです。

自動車

自動車でもOEMは盛んですが、そのほとんどは軽自動車です。数多くの国内メーカーが相互にOEMを行っています。

これは、軽自動車のマーケットが無視できない大きさになったこと、トヨタ・日産などのメーカーが軽自動車製造のノウハウを持ち合わせていなかったことが要因として考えられます。実際に、ダイハツ「ウェイク」がトヨタ「ピクシスメガ」として販売されています。

化粧品

ニーズに応じて多種多様な製品を取り扱う化粧品でもOEMは盛んです。

化粧品業界では、製造工場を持たずに企画・販売・流通を行うブランドが多くあります。少数ロットから受託を行う、セントラル・コーポレーション、コスメティック・ジャパン、サティス製薬といったOEMメーカーが多数存在しています。

携帯電話

キャリアごとにさまざまな機種が用意されていた携帯電話でも、古くからOEMが行われていました。

スマートフォンが主流になった現在でもそれは変わりません。台湾のフォックスコンや中国のレノボなどがOEMメーカーとして世界的に知られています。あなたが持っているApple iPhoneも自社で生産を行わないOEM製品です。

家電製品

テレビパネルに代表されるように、家電製品もOEMが盛んな業界です。大型家電販売店のPBも多数存在しています。従来は、国内の大型メーカーがOEMを受託していました。

しかし現在は、小ロットでコストを抑える、グローウィル、IZUMIなどのOEM受託メーカーが多くあります。国内の大型メーカーは、機能面での差別化が難しくなったので、企画力で勝負する傾向にあります。

OEMで合理化・多様化に対応

OEMが活用される背景には、ビジネスの合理化で、利益を最大化するねらいがあります。また、カスタマーの嗜好が多様化する市場経済に対応した結果ともいえます。

合理化と多様化のために、高品質を維持しながら小ロットでOEMを行う企業は増加傾向にあります。これからはさらに多様化していくので、この流れは加速していきます。

OEMやODMをどのように活用するかではなく、活用を前提とした、製品企画力の強化が重要になってくるでしょう。

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