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オフショア開発とは?課題・メリット・現状 - 失敗するワケと注意点

最終更新日:(記事の情報は現在から1132日前のものです)
オフショア開発とは、アプリケーションやソフトウェアなどの開発業務を海外委託・発注する手法です。そのメリットからアジア諸国を中心に活用が拡大する現状がある反面、克服の難しい課題から失敗する例もある、オフショア開発の今を解説します。

オフショア開発とは

オフショア開発とは、海外の開発会社や海外の子会社へ、情報システムやソフトウェア、Webシステムの開発業務などを委託・発注する開発手法です。オフショア(Offshore)には、岸(Shore)から離れた(Off)が転じて「海外」という意味があります。

オフショア開発が注目される背景

ではなぜオフショア開発に注目が集まっているのでしょうか。近年グローバル化やクラウドビジネスなどの増加・拡大により、IT技術者への需要が高まっています。オフショア開発が注目されている背景に、日本でIT技術者が不足していること、人件費高騰があります。

オフショア開発は情報システムやソフトウェア、Webシステムの開発業務などを海外の開発会社や海外の子会社で行うことで、大きなコスト削減を見込める手法です。こうした背景から、オフショア開発の市場規模は年々高まりをみせています。

IT人材が不足する日本の現状

情報化とグローバル化が急速に進展する現代では、それに伴ったソフトウェア開発に多くの優秀な人材を必要としており、日本国内だけではその需要増に供給が追いつかない状況です。

この人材不足は、2030年に40万人以上の規模になると見られており、対策が急務になっています。これを解決すべくオフショア開発が注目されています。

グローバル展開とダイバーシティ

従来の海外進出は大規模な投資を要するものであり、大企業でなければ難しい一面がありましたが、インターネットが発展したことによって物理的な障壁が低くなり、中小企業でもグローバル展開が現実的になりました。

こうした要因に、多様な人材を受け入れるダイバーシティという考え方が加わり、オフショア開発に目が向けられるようになったといえます。

日本がオフショア開発で進出している国

日本が進出しているオフショア開発先には、どんな国があるのでしょうか。現在、オフショア開発で人気の国は次の4か国が挙げられます。

  • 中国
  • インド
  • ベトナム
  • インドネシア

IT大国として優秀な技術者の多いインド、オフショア開発の長い歴史がある中国は、依然として大きな需要がありますが、近年、人気を集めているのはベトナムです。これにはインド、中国に比べて人件費が安い、親日で真面目な国民性などの要因が大きいと思われます。

上記以外にもフィリピン、タイ、ミャンマー、エチオピア、カンボジア、マレーシア、台湾といった国々に依頼する場合もあります。

また、英語での対応が可能なインドネシアはオフショア人気の高まっている国のひとつであり、今後の動向が注目されます。

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オフショア開発の目的

このような国をターゲットとし、オフショア開発を拡大する日本企業の目的、メリットはコスト削減リソースの確保です。

ソフトウェア開発では、グローバル市場での展開を見据えるケースが増えており、競争力確保のため、開発コスト削減は至上命題です。

グローバル市場ではコストメリットだけでなく、同時に高いクオリティが求められるため、開発リソースの確保も急務となっています。

オフショア開発の業務事例

オフショア開発で委託・発注する業務の事例としては、スマホアプリやFacebookアプリ、ソーシャルゲームなどの開発からテスティング、データ入力、サポート業務など多岐に渡ります。

AI開発や機械学習、VR開発といった最新のテクノロジーに対応した開発の委託をすることもあるようです。

ニアショア開発との違い

オフショア開発とニアショア開発の違いは、外注先の距離です。東京と比較して、家賃や人件費が安い北海道や沖縄などの国内に、開発委託をするのがニアショア開発です。

オフショア開発のメリット3つ

スピードとIT化が必須になってきた近年、企業にとってソフトウェア・Web開発などIT化に関わる新しく生まれたコストがあります。オフショア開発にはこれを解決する「コスト削減」「優秀なエンジニアの確保」「短納期」などのメリットがあります。

大幅なコスト削減

オフショア開発では、日本と比べて人件費や事業コストの安い海外の企業・人材を活用することで開発コストを大幅に削減できます。

また、エンジニアのスキルは日本と変わらないにもかかわらず、オフショア開発先の外国では人件費が安くなるケースが多くあります。特にベトナムオフショア開発は、中国やインドと比較してエンジニアの人月単価が安い傾向にあります。

優秀なエンジニアの確保

日本は現在、IT技術者(エンジニア)が不足しており、オフショア開発先の海外では大量に実力のあるエンジニアを確保できる点も大きなメリットとなっています。また、大規模の開発にも対応できる開発会社もあります。

短納期

特にスピードが求められるようになった近年、オフショア開発ならば低コストの人件費で大量に優秀な人材を確保することで短い納期で納品可能です。また、海外市場を視野に入れた開発や開発スキームの確立も期待できます。

オフショア開発の課題・デメリット

オフショア開発には大きなメリットがある一方で、習慣も文化も異なる相手と協働する、海外ならではの難しさも存在します。

そのため、日本国内でアウトソーシングするつもりでオフショア開発に進出し、失敗してしまった例も少なくありません。

その要因にはどのようなものがあるのか、課題として考えられることを挙げてみましょう。

物理的な距離、時差、言葉の違いを考える

オフショア開発で必ず課題となるのが、言葉の問題、地理的な距離があることでの打ち合わせ不足、進捗状況の管理に時間がかかる、品質や仕様の相互理解が難しいなどが挙げられます。

これをそのまま放置してしまえば、コミュニケーションが取れないまま、事態は悪化する一方であり、結果的にプロジェクトは満足のいかないものになるでしょう。

しかし、言葉の問題を除けば、こうしたコミュニケーション不足に起因する問題は国内でも起こり得ることであり、業務委託の方法自体に問題があるともいえます。時間を決めてSkype会議を行うといった、こうした問題を大前提とした取り組みが必要になるでしょう。

ベトナムは日本との距離が比較的近いため、時差をあまり考えずにコミュニケーションが取りやすい傾向があります。

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文化や国民性による認識の違いを考える

日本と海外では、それぞれに価値観や文化の違いがあります。オフショア開発で委託すると、業務に対する認識の違いが生まれ、日本のやり方を押し付けてしまうため、業務を円滑に行うチームが作れなくなるケースもあります。

たとえば、日本ではプログラマーの業務範囲が曖昧になっている場合が多いといえますが、海外ではそうはいかず、元々契約した業務以外を行わせるのは困難です。

日本と委託先の国それぞれに理解が深く、発注したい案件に精通した、豊富な実績を持つ橋渡し役のブリッジ人材の選定も重要です。

しかし、ブリッジ人材のみに依存しすぎるのも危険であり、複数のコンタクト先を確保しておく必要があるでしょう。

要件仕様の理解不足を防ぐ

要求仕様の理解不足は、プログラム品質の低下や作り直しによるコスト増大・納期遅延につながります。

そのため、日本国内での「伝える」コミュニケーションよりも、明確に「伝わる」内容に気をつけたコミュニケーションを行う必要があります。

文化や国民性でも触れましたが、プログラミングだけというように、限定的な委託にとどめるのもひとつの手段であり、委託側がしっかりとコントロールしていく気構えが不可欠でしょう。

小さな案件ではコストが上回ってしまう

小さな案件の場合、オフショア開発を実施すると、コストが上回ってしまう場合もあります。開発エンジニアの人件費のほかに、ブリッジSEやコミュニケーターが必要になるため、オフショア開発ではさまざまな費用が掛かります。

コストの内訳をよく確認し、利益がでる案件かよくシミュレーションしておきましょう。

オフショア開発の現状

このような課題や失敗がありながらも、試行錯誤による効率化によって、日本でのオフショア開発は規模を拡大しており、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の調べでは、日本企業の約45.6%が導入している、またはなんらかの形でオフショア開発に関与しているデータもあります。

その規模は636億円とされた2005年から、わずか5年で3倍になったともいわれており、すでに市場として確立されているといえるでしょう。

オフショア開発は、コスト削減よりも人材不足への対応や、品質の確保といった使われ方をされていく方向にシフトしそうです。

ラボ契約と受託契約、どっちがおすすめ?

拡大を続けるオフショア開発進出を検討する企業も多いと思われますが、実際に業務契約を結ぶ場合「ラボ契約」か「受託契約」のどちらを選択するか、決定しなければなりません。

内部にリソースを持つことの多い日本企業では、開発プロジェクトが進められる過程で、オフショア開発を選択するかどうかが検討され、通常はプロジェクトごとに「受託契約」を結ぶケースが多いと思われます。

これとは異なる契約方法として用意されているのが「ラボ契約」です。

ラボ契約とは

オフショア開発のラボ契約とは、一定の期間を定めて契約し、委託先の企業のために専属チームを作ることです。これによって、次のようなメリットが生まれます。

  • 急なプロジェクトにも契約期間内なら臨機応変に対応可能
  • 優秀な人材を契約期間は確保できる
  • 固定メンバーのためノウハウの蓄積が進む
  • 仕様変更や追加が生じても見積する必要がない

反面、プロジェクトが一段落して開発がない場合でも、契約期間は費用が発生するため、継続した業務委託ができるかどうか、コストメリットとのバランスで検討が必要でしょう。

オフショア開発企業のおすすめ

スムーズかつ効果的なオフショア開発の実行するのは、自社単独では難しいかもしれません。そんなときにはオフショア開発を専門とする企業へ依頼してみるのも一つの選択肢として挙げられるでしょう。

オフショア開発から、定期的な運用が可能なラボ型開発までを手がけるおすすめのサービスを紹介します。

また、今回紹介したオフショア開発企業のさらなる詳細はこちらからご覧になれます。

Eastgate Software - 株式会社Eastgate Software Japan

  • 要件分析から設計、開発、保守までニーズに応じて対応
  • 開発プロセスの各段階で品質保証やソフトウェアテストを実施
  • 日本、シンガポール、オーストラリアなどに拠点

Eastgate Softwareは、製造や物流、金融やDXなど幅広い分野で実績をもつソフトウェア開発企業です。ラボ型開発と請負型開発に対応し、開発チームの管理は、一部委託にも直接管理にも対応しています。

コンサルティングとプロジェクトマネジメントのための拠点を日本にもっているため、時差なく日本語でやり取りできるほか、日本の法的枠組みにもとづく契約が可能です。

Varealのオフショア開発 - Vareal株式会社

  • Webシステム全般やリプレイスなど要望に応じたソフトウェア開発に対応
  • 日本とベトナムで細かくタスクを分け担当を明確化させ管理
  • 最終チェックは日本側で対応し品質を担保

Varealのオフショア開発は、ベトナムに100%小会社のオフショア拠点をもつソフトウェア開発企業です。日本語によるやり取りのほか、英語で直接ベトナム人エンジニアとやり取りも可能です。

タスクを細かく分け、誰が何を担当するかを明確化させて管理し、日本側での二段階チェックで品質を担保しています。デザインやシステム構築、AI開発など、ニーズに応じて柔軟に対応してくれます。

インディビジュアルシステムズ株式会社のオフショア開発 - インディビジュアルシステムズ株式会社

  • 業務系システム開発、全般の開発実績が豊富
  • 特化分野の開発実績が豊富
  • 日本の開発パートナーと遜色のないサービスを実現

インディビジュアルシステムズ株式会社のオフショア開発は、ベトナムでのシステム開発から導入までワンストップで提供しているオフショア開発です。開発現場には日本人社員が常駐しているため、言葉や文化の違いによる認識齟齬を防ぐ体制を構築。あらゆる分野での開発実績(VB6からVB.Netへのマイグレーション、Intra-mart)などを持ち、経験豊富なメンバーが揃っているので、高品質なサービスを提供します。

スマラボ - 株式会社アイディーエス

  • 契約からサポートをすべて日本式で対応可能
  • ブリッジSEのオンサイト常駐
  • 設計フェーズから対応可能

スマラボは、IT人材不足の日本企業にとって、現実的な選択肢としてのオフショア開発を提供しています。

株式会社アイディーエスは、さまざまなオフショア開発に取り組んだ後、ベトナムに100%子会社を設立。ベトナム人エンジニアと深くコミュニケーションを取りながら、開発を行ってきました。経験に裏付けされたナレッジを活用し、ユーザーのニーズに応じた柔軟な開発体制を提案、高品質を担保しています。また、アカウント対応、コミュニケーション支援、開発計画の策定まで、すべてのサポートを日本人が行うことで「オフショア開発」を意識させない、日本企業にとって最適なソリューションを提供します。

プライムハイブリッド - 株式会社プライムスタイル

  • 低コストで高品質なプロダクト制作が可能
  • ハイレベルな現地エンジニアチームを確保
  • 失敗のリスクを抑える、日本人スタッフによる導入支援

プライムハイブリッドは、優秀な人材を一定期間、自社専用に確保することで、低コストで高品質な開発を可能にしたラボ型オフショア開発です。オフショア拠点のベトナムでは、トップレベルの大学情報工学専攻者のみを採用し、ハイレベルなエンジニアのみでチーム構成しています。プロジェクトをスムーズに遂行するために、オフショア開発のノウハウを持った日本人スタッフによる導入支援も行われます。失敗のリスクを徹底的に抑えるとともに、自社独自の試用への理解やノウハウの蓄積が可能なので、はじめてラボ型オフショア開発を導入する企業でも、安心して導入できます。

日商エレクトロニクスベトナム - Nissho Electronics Vietnam Company Limited

  • ネットワークサービス・オフショア開発サービスが主軸
  • プロジェクトマネージャーが日本語で対応
  • ベトナム語へのローカライゼーションによる市場参入が可能

日商エレクトロニクスベトナムは、日商エレクトロニクスが長年日本の金融業界で培ってきたソリューション開発のノウハウや経験を活かし、オフショア開発サービスを展開しています。
プロジェクトベースの開発に限らず、プロダクトマネジメントに関する作業もオフショアサイドで一貫してサポートします。

ProVisionのオフショア開発 - 株式会社ProVision

  • QA工程の導入で品質ファーストのオフショア開発
  • 日本人マネージャーによるコミュニケーションロスの解消
  • 低コストかつ高品質なオフショア開発

ProVisionのオフショア開発は、品質検証業務に特化し、さまざまな製品やサービスのテスト・検証を行ってきたProVisionが運営する、低コストかつ品質ファーストのオフショア開発支援サービスです。

日本人マネージャーがベトナムのオフショア拠点に駐在し、管理や進行しているため、オフショアの現場で起こりうる言語や文化の違いによるコミュニケーションロスを解消します。現地スタッフに日本人エンジニアが品質検証技術の教育を行うことで、高品質なプロジェクトをオフショアならではの低コストで実現します。


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オフショア開発を最大限活用しよう

ビジネスのグローバル化、IT化の促進により、日本と海外を結んだ業務の推進はこれからも活性化していきます。大手企業に多く見られたオフショア開発も、近年では中小企業でも導入が進んできています。

中でもベトナムは人気のオフショア開発先の一つで、日本語も通じ、スマホアプリやFacebookアプリ開発案件から小規模なシステム開発など、小型案件から対応しているのも特徴です。オフショア開発では、課題もある一方で、大幅なコスト削減がメリットとして利益拡大も期待できることから今後さらに注目されていくと思われます。

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