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KPIの意味とは?目標達成するポイントやSMART・設定方法を解説

最終更新日:(記事の情報は現在から14日前のものです)
マーケティングにおいて目標を達成するために欠かせない数値が「KPI(重要業績評価指数)」です。今回は、ビジネスの目標を達成するためのKPI設定のポイントや設定方法、KGIとの違いなどを徹底的に解説します!

KPIとは

KPIはKey Performance Indicatorの略で、日本語では「重要業績評価指数」と訳されます。KPIはビジネスにおける最終的な目標に至る、各プロセスでの達成度合いを確認するための指標です。簡単にいえば、最終目標の間に設定する中間目標のようなものです。

例としては、営業部門で年間売上1億円を目標とした場合、これを達成するために掲げる「アポイント獲得率60%」や、「成約率40%」などがKPIに該当します。段階的な評価指標を設けることで最終目標までの進捗が可視化でき、KPIを達成できなかった場合にも、原因を特定して早めに軌道修正や対策を行えるため、最終目標も達成しやすくなります。

KPIとKGIの違い

KPIと類似の用語としてKGIがあります。KPIとKGIの違いは、KPIが「過程」を測定するための中間目標であるのに対し、KGIは「結果」を測定するための最終目標であることです。

KGIとは、Key Goal Indicatorの略で、「重要目標達成指数」と訳されます。たとえば先ほど例として挙げた「年間売上1億円」や「年間売上30%上昇」のように、部門・企業全体で達成すべき大きな目標が該当するでしょう。KPIはKGIを達成するため、計画的にプロセスを管理するためのものであり、KPIはKGIから逆算して設定を行います。

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KPIとKSFの違い

KSFとはKey Success Factorの略で、「重要成功要因」と訳されます。KSFはKGIを達成するために重要な要因のことであり、他社との競争環境といった外部環境と、自社の強み・弱みといった内部環境の2方面で分析を行い、導き出します。

KPIとの違いは、KPIが定量的、つまり具体的な数値で表すものであるのに対し、KSFは基本的に定性的に表すものであると言えるでしょう。例としては「新規顧客獲得」や「デジタルマーケティングの強化」などが挙げられ、これをもとに「アポイント獲得率60%」や「CVR30%上昇」といった、KPIの設定を行います。

KPIとOKRの違い

OKRとはObjectives and Key Resultsの略で、「目的と主な成果」と訳されます。企業が設定した全体目標に対し、これを達成するために個人・チームで成果指標を設定し、評価・管理するマネジメント手法のことです。KPIと似た言葉であり、併用されることもあります。

KPIとの違いは、KPIが現実的な数値を目標とするのに対し、OKRはやや難しい目標を設定することが挙げられます。KPIでは通常達成率100%を目指しますが、OKRは60~70%の達成率を目指すのが一般的であり、難しい目標を掲げることで従業員の意欲を高め、成長を促すのが目的です。

職種・業界別のKPI具体例

設定するKPIは職種や業界によっても大きく異なるため、それぞれよくKPIとして利用される具体的な指標をいくつか紹介します。ただし、これはあくまで一例であり、企業やチームといった組織が設定するKGIやKSFに則って設定するのが重要です。

職種別のKPI具体例

職種 具体例
営業 アポイント獲得率・商談転換率・受注率・成約率・平均受注単価・解約率・リピート率・クレーム数・代金回収率 など
マーケティング メルマガ開封率・メルマガ配信解除率・リード獲得数・CV(コンバージョン)数・PV(ページビュー)数・広告CTR(クリック率)・Webサイト会員増加率・資料請求数 など
人事 インターン参加者数・応募者数・採用者数・内定辞退率・採用コスト・研修コスト・有給休暇取得率・離職率・従業員満足度 など
カスタマーサポート 平均対応時間・応答率・解決率・顧客満足度 など
経理・財務 ROE(自己資本利益率)・ROA(総資産利益率)・当座比率・固定比率・負債比率・棚卸資産回転率・売上高営業利益率 など

業界別のKPI具体例

業界 具体例
製造 生産量・ライン稼働率・歩留まり率・廃棄率・原価率・不良品数・クレーム件数・労働生産性・事故発生件数 など
物流 積載率・棚卸差異・保管効率・物流コスト・実働率・誤出荷率・汚破損率・クレーム件数・人時生産性・実車率 など
飲食 予約数・リピート率・平均顧客単価・回転率・原価率・顧客満足度 など
小売 来店者数・来店率・購買率・商品回転率・平均顧客単価・来店頻度・購入件数 など
SaaS(IT) 解約率・CAC(顧客獲得単価)・LTV(顧客生涯価値)・平均継続月数・MRR(月次経常収益)・ARR(年間定額収益) など
不動産 チラシ・パンフレット配信枚数・モデルハウス来場者数・平均仲介手数料金額・自社管理物件の契約率・家賃回収率・販売棟数・火災保険契約率 など

KPIを設定する意義

マーケティングや営業において、重要なのはPDCA(Plan-Do-Check-Action)のサイクルです。

PDCAサイクルでは、最初の段階でPlan、つまり計画を立てます。しかし、営業チーム全体として短期的な目標がないと、このPlanの部分で営業マンごとにズレが生じます。このズレはやがてチーム全体のズレを生み出すでしょう。

このズレが生じることを防止し、チームの全員が同じ方向に向くことを促すのが、目標とする数値すなわちKPIです。

KPIの設定・運用の流れ

KPIを設定・運用する場合には次のような手順で行います。

  1. KGIを設定
  2. KSFを設定
  3. KPIを設定
  4. 定期的な進捗管理
  5. 結果の検証
  6. 改善施策の検討

ではそれぞれ詳しく紹介します。

1. KGIを設定

KPIは最終目標を達成するために立てる中間目標のようなものであるため、まずはじめにKGIを設定する必要があります。KGIは売上高や利益率、成約件数などを設定するのが一般的です。

KGIもKPIと同様具体的な数値で設定し、客観的に把握でき達成できたかわかりやすくするのが重要です。また現状で業務を進めた場合の数値とKGIの数値を比較し、ギャップがどの程度あるかを確認しましょう。これを埋めるためにどうすればいいかを考えることで、KSFやKPIを設定しやすくなります。

2. KSFを設定

KGIの次はKSFを明確化させます。KGIを達成するために必要なプロセスを洗い出し、プロセスのなかで目標達成に足りていない要素・さらに伸ばしたい要素を書き出し、優先順位をつけることでSKFを設定しやすくなるでしょう。たとえば、KSFの例としては次のようなものが挙げられます。

  • 顧客満足度を高める
  • 顧客単価を増加させる
  • 営業活動を効率化させる

目標達成に足りていない要素・さらに伸ばしたい要素を明らかにするには、「SWOT」と呼ばれる分析手法利用するのがおすすめです。SWOTは「Strength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)」の略です。自社の強み・弱みや、市場の変化(機会)、競合他社の動向(脅威)など外部環境・内部環境の両面から多角的に分析できます。

3. KPIを設定

最後にKSFにあわせてKPIの設定を行います。KSFの内容を具体的な数字として落とし込むことで、KPIの設定が可能です。KPIを設定するコツについては、次の章でも詳しく紹介しているため、そちらもチェックしましょう。

KPIが設定できたら、実際に運用を始めます。具体的なアクションを行う場合は、KPIを達成するためには何が必要か、KPIを細分化して落とし込んでいきましょう。

4. 定期的な進捗管理

KPIの運用を開始したあとも、1か月ごとや四半期ごとなど事前に決めた頻度で、定期的に進捗状況を測定するのが重要です。どの程度目標を達成できているかが可視化できるうえ、進捗が思わしくなかった場合には、柔軟に目標の変更や軌道修正が行えます。

またなぜ進捗が思わしくないのか原因を分析し、対策を行うことで目標達成に近づきやすくなります。直接従業員と面談を行えば、モチベーションの維持も行いやすいでしょう。

5. 結果の検証

KPIで設定した期間やプロセスが完了したタイミングで、すべての結果をまとめてグラフや一覧表にし、内容を検証しましょう。このとき具体的な取り組み内容も含めて書き出しておくと、検証がしやすくなります。

数値の変化や発生した課題、効果を発揮した取り組みなどについて洗い出しを行うことで、今後さらに取り組みの精度を高められます。検証を行う際は、数値のみを確認するのではなく、KPIの全体を俯瞰し、各数値が互いにどのような影響を与えたかまで理解するのが重要です。

6. 改善施策の検討

最後に、検証を行った結果出た課題について、改善策の検討を行います。これはKPIの達成度合いに関係なく行うものです。この改善策を実施し効果のあったものをまとめて資料にすることで、今後さらに高度なKPIの運用ができるようになるでしょう。

KPI設定のポイント

KPIを設定するにあたっては、いくつかのポイントがあります。それぞれのポイントの頭文字をとって、SMARTと呼ばれます。

SMARTとは

SMARTとは、KPIを設定するうえで注意すべき点をまとめた法則です。SMARTは、次の5つで構成されています。

S(Specific):明確性、誰にでもわかりやすく具体的な表現で設定する
M(Measurable):計量性、達成度合いを正確に測定できるよう数字で設定する
A(Achievable):達成可能性、現実的に達成ができそうな目標を設定する
R(Relevant):関連性、部署や組織の目標(KGI・KSF)に関連した目標を設定する
T(Time-bound):期限、いつまでに目標を達成すべきか明確に期限を定める

この法則に則ったKPIを設定することで、従業員がアクションを起こしやすくなり、必要に応じて軌道修正もできるようになるため、目標を達成しやすくなるでしょう。

SMARTをもとにして、注意するポイントを解説します。

最終的な目標に則したものにする

KPIを設定する際、まず気をつけなければならないのが、「最終目標に到達する過程として正しいものである」ことです。

これは単純なように思えますが、KPIの目標を達成し続けていても、経営上の最終的な目標を達成できないときは、最終目標とKPIにズレが生じている可能性もあります。

現実的な数値的目標にする

あまりにも高すぎる非現実的なKPI、もしくは達成するのが容易すぎるKPIは、現場の人間のモチベーション低下につながります。

現実的で、かつ努力をすれば達成できるKPIを設定することによって、モチベーション低下を防げます。

KPI数の項目数を多くしすぎない

ありがちなミスとして、KPIを多く設定しすぎることがあります。KPI数が多いことは、課題が多いことと一緒です。どの課題からこなしていいのかもわかりにくく、現場の混乱を生みます。

ロジックツリーを作成する

ロジックツリーは、ものごとを段階ごとに分解していく際に役立つ図であり、KPIの設定に利用される場合はKPIツリーとも呼ばれます。KGIを達成するために必要な要因を分解していき、樹形図のような形で枝わかれをさせて関係性を見える化することにより、必要なKPIがわかりやすくなります。またロジックツリーはKPIを設定するときはもちろん、KPIにもとづいたアクションを見定めるときにも利用可能です。

上の段階にあるものごとに対して、「どのように達成すればいいのか」と問い続けることによって、ロジックツリーは完成します。ロジックツリーにもとづいて進めることでKPIの達成も促進されるでしょう。

KPI管理におすすめのツール

KPIひいてはKGIを達成するためには定期的に進捗状況を確認し、結果を検証して次のKPI運用に生かす工程が非常に重要です。しかしExcelのようなアナログなツールを使った管理方法では、情報の収集に時間がかかるため従業員の負担が増加し、分析の精度を高めるのも難しいでしょう。

そのため進捗確認や結果の検証、改善施策の検討を行う場合には、次のようなITツールやシステムを利用するのがおすすめです。

  • 目標管理ツール
  • CRM
  • SFA
  • タレントマネジメントシステム
  • BIツール

これらのツール・システムは関連する業務の大幅な効率化も可能であるため、ぜひ活用を検討しましょう。

目標管理ツール

目標管理ツールは名前のとおり、目標に達成するまでの進捗状況を可視化するためのツールです。目標に対して従業員がどのように取り組んでいるかがわかるのはもちろん、従業員自身どの業務をいつまでに終えればいいか判断できるため、自主的に行動できるようになります。

目標に対する進捗管理はExcelでも行えますが、従業員が提出するまで状況が確認できず回収に手間がかかります。しかし目標管理ツールはログインするだけで進捗状況が一目で把握できるため、より細かく軌道修正やアドバイスを行いやすくなるでしょう。

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CRM

CRMはCustomer Relationship Managementの略で、「顧客関係管理」と訳されます。幅広い顧客情報を蓄積・分析するためのシステムで、顧客との良好な関係構築をサポートします。蓄積する情報や顧客の年齢・性別といった情報のほか、問い合わせ・クレームの履歴や購入履歴・頻度、Webサイトでの行動履歴なども確認可能です。

そのためこれらの情報を収集することにより、営業・マーケティング・カスタマーサポートのKPI進捗状況を把握し、達成できなかった場合の分析にも役立つでしょう。また企業全体の顧客の傾向やニーズなども分析できるため、SWOT分析にも適しています。

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SFA

SFAはSales Force Automationの略で、「営業活動支援システム」と訳されます。名前のとおり営業活動をサポートするためのシステムで、顧客の問い合わせ履歴や商談のスケジュール管理、案件の進捗管理といった営業活動を効率化するための機能が充実しています。

営業に関するさまざまな情報が蓄積されるため、営業部門におけるKPIの測定や分析に最適なシステムと言えるでしょう。また各従業員の活動状況がすべて可視化されるため、必要に応じてアドバイスも行いやすくなります。

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タレントマネジメントシステム

タレントマネジメントシステムとは、従業員に関するさまざまな情報を一元管理でき、人事業務を戦略的に行えるシステムのことです。従業員のもつスキルや経歴、人事評価情報などが蓄積されるため、これを生かして人材配置・人事評価・教育の最適化が行えます。

従業員全体の情報を詳しく分析もできるため、有給取得率や平均残業時間などKPIの定期的な測定にも役立ちます。またタレントマネジメントシステム自体に目標管理機能がついているケースも多々あり、従業員全体で効率的にKPIの測定や結果の検証を行えるでしょう。

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BIツール

BIツールとは、企業がもつさまざまな情報を分析し、さまざまな業務・経営に役立つデータ活用を支援するためのツールです。企業に関するさまざまな情報を蓄積し、分析・加工して可視化することにより、企業の置かれている現状を直感的に把握できるでしょう。

経営・財務に関連したKPIの測定・分析に最適なツールと言えます。ただし、BIツールは非常に多機能なツールであるため扱いが難しく、操作できる人材がいなければ使い方や分析方法を習得するのに時間がかかる可能性もあるため注意が必要です。

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いいKPIの設定はいい結果を生む

KPIはチームや個人が進むべき道を明らかにする道標のようなものです。KPIの設定が根拠にもとづいたものであれば、やるべきこともおのずと見えてきます。KPIを達成して、さらに上のKGI達成を目指しましょう。

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