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2020年問題とは?不動産・雇用・介護・教育で表面化する深刻なリスクを解説

最終更新日:(記事の情報は現在から1319日前のものです)
2020年問題とは、団塊ジュニア世代の高齢化と少子高齢化に伴う人口分布の歪みによって発生する諸問題です。東京五輪もこれらの問題に深く関わっています。2020年に起こる不動産、介護、教育などの業界や雇用に関して起こる問題を解説します。

2020年問題とは

2020年問題とは、少子高齢化に伴って人口分布が歪むことにより発生する諸問題のことです。不動産、雇用、介護、教育など多くの業界・業務に影響を及ぼすと考えられており、2020年に予定されていた東京五輪も、2020年問題における原因の一つとして挙げられていました。

2020年にはバブル・団塊ジュニア世代が50代に突入、そして団塊の世代は後期高齢者に該当しはじめます。急激な少子化が進み、人口構造は逆三角形のピラミッド型になるため、2020年を発端に

不動産業界における2020年問題

不動産業界における代表的な2020年問題は、現在高騰している都心部の不動産価値が、2020年以降に暴落すると予測されていることです。

東京の不動産価値は、2011年のリーマン・ショック以降、上昇し続けています。アベノミクスのゼロ金利政策や増税前に不動産購入者が増えたこと、2020年の東京五輪に向けて多数のマンションが建設され、不動産価値の高騰を後押ししました。

この状況下にも関わらず、2020年以降に不動産価値暴落につながる原因を解説し、その他の2020年問題についても解説します。

東京五輪後に不動産暴落が起こる

東京五輪の開催が予定されていた2020年が不動産価値のピークとなり、以降はマンションの売却が始まるため価値が下落が起こると考えられています。

そもそも東京五輪開催の決定により、五輪関連施設の建築やインフラ整備のため、莫大な資金と人が東京に流入しました。これに目をつけた国内外の投資家が不動産価値の上昇を見込み、投資目的でマンションを購入したようです。

このようにピークを迎える2020年以降は、不動産を購入する人が減るため価値の暴落が始まると予測されます。

省エネ基準の義務化により価値が激減

2020年には新築住宅を対象とした、省エネ基準が義務化されます。省エネ基準とは、冷暖房や照明などに使用される一次エネルギー消費の削減を目的に、住宅の断熱性能を基準化したものです。

2020年以降に建設された新築住宅には省エネ基準が義務付けられているため、省エネ基準に合致していないマンションを含む住宅は、相対的に価値が下がるでしょう。

人口減少による空き家増加

東京五輪の影響により、東京の人口は穏やかな増加傾向となっています。ただし、2020年以降は人口が減っていき、空き家が増加すると考えられています。東京五輪のために都心部へ移住した労働者たちが、五輪後は地方へ流出する可能性があるからです。

五輪後の人口減少が原因で、マンションの空き家が増加するため不動産価格の暴落が予測されています。

エレベーターの部品供給停止による競争激化

不動産価値の暴落が起きる一方で、エレベーター業界の競争激化も2020年問題として取り上げられます。

エレベーターの耐用年数は20〜25年程度であり、1990年代に多く新設されたマンションに設置してあるエレベーターの交換時期が2020年付近になることが、競争激化の原因です。

エレベーター製造の市場シェアの9割を占める三菱、日立、東芝、日本オーチス、フジテックの5社が2020年から数年間の間で部品供給を停止することもあり、競争激化は避けられないでしょう。

雇用における2020年問題

2020年問題には、バブル・団塊ジュニアの50歳代突入によりポスト不足も挙げられ、雇用においても諸問題が発生すると考えられています。

他にも、IT技術の発展やAIによる仕事の代替は、雇用に大きな変化をもたらすでしょう。東京五輪後の労働需要の低下も見逃せません。

バブル・団塊ジュニア世代のポスト不足

2020年にバブル期入社である団塊ジュニア世代の、管理職ポストが不足する問題が起きます。

少子高齢化に伴い、労働人口における団塊ジュニア世代の割合は全体の25%になります。このように数の多い団塊ジュニア世代全員が管理職になるには、ポストの数が不足しているのは明白です。

さらに、2020年には団塊ジュニア世代が賃金のピークともいえる46〜55歳となり、人件費の高騰による企業業績の悪化が懸念されます。

そのため、団塊ジュニア世代のポスト不足、賃金ピークによる人件費の高騰が企業の大きな問題になるでしょう。

東京五輪後に起こる雇用数減少

2020年以降は、就職氷河期が到来する可能性があります。2020年までは、東京五輪開催のためのインフラ整備やインバウンド需要の経済効果により、雇用数も増加し続けました。

しかし、五輪終了後は人材の需要が冷え込むことが予測されています。

IT業界の需要増加に伴う人材不足

IT業界は今後も発展することが予測されており、需要が高まる一方で、開発を担うエンジニアの人材不足が懸念されていることも2020年問題の一部です。

人材不足の原因としてエンジニアの待遇がそれほど高くないことが挙げられます。これによりエンジニアを目指す若い人が減少したと考えられ、少子高齢化もあわせて働き手の減少がIT業界にとって大きな問題になるでしょう。

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AIによってなくなる仕事がある

2020年問題では、現在人間が行っている仕事のうち、ルーティンワークだけでない専門職まで、AIやロボットに置き換わる可能性が示唆されていました。

AIの開発が進むことによってなくなる仕事としては、通訳、会計、接客、士業、プログラマーなどが挙げられます。2020年8月現在ではどれもまだまだ現役ですが、いずれ完全ではないものの置き換わっていく可能性があるため、注視しておきましょう。

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医療・介護業界における2020年問題

2020年には少子高齢化に伴い、医療や介護業界にも大きな問題が発生します。

後期高齢者になった団塊の世代の平均寿命は、医療水準の向上により伸びます。一方で、介護業界に就職する若者の数は減少しているため、高齢者の数に対して介護者の数が足りず、人手不足が深刻化するでしょう。

医療業界の2025年問題とは

2025年に医療費が総額54兆円となり、2015年に比較すると12兆円以上増える見通しです。その他にも、病院や医師の不足が深刻化するため、対策が必要になります。

そこで、在宅医療が注目されています。在宅医療を受けている患者の数は年々増加しており、厚生労働省も在宅医療に関する政策を進めているので、今後の医療環境の変化に期待しましょう。

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教育業界における2020年問題

2020年には教育業界で教育改革が起き、指導方法や学力向上の変革が予測されます。

教育改革では英語教育の改革、大学入試制度の変更、小学生からのアクティブ・ラーニングやプログラミング教育の必修化が含まれ、戦後最大規模の教育改革になるでしょう。

教育改革の実施には、グローバル人材の育成や少子高齢化による児童減少が背景にあります。

英語の教育改革

英語の教育改革では、高校卒業時に「身近な範囲の日常会話ができる」CEFR A2レベル以上を目標としています。グローバル化が進み競争が激化した21世紀を生き抜くためには、英語力が必須だからです。

従来の読み書きに加え、ヒアリング・スピーキングを重視した変革が計画されており、小学3/4年生での「外国語活動」5/6年生での「教科英語」の導入が予定されています。

英語の授業は英語で行い、高校生にはディスカッション・ディベート・スピーチ・プレゼンテーションなどの実践に即した授業形態になります。大学入試では、英語の民間資格や検定試験を活用することも検討されているそうです。

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大学入試制度の変更

大学入試も従来のセンター試験が廃止され、別の方法で学力を測るようになります。教育改革によって、求められる教育に変革が起こるため、変革に沿った基準で教育レベルを判断する必要が生じるからです。

2020年度を最後にセンター試験が廃止され、同年度から「高等学校基礎学力テスト(仮称)」と「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」に置き換わります。

2020年度のセンター試験は、浪人生を対象にする措置であり、高校生の大学入試制度は全面的に刷新される予定です。

プログラミング教育必修化

2020年から小学校におけるプログラミング教育の必須化が決定しました。これには、将来的に就く職業にかかわらず、普遍的に求められる「プログラミング的思考」を育成する目的があります。

具体的には、アクティブ・ラーニングを活用した授業の実施、プログラミング的思考を育成するためのコンピューター利用が検討されています。

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その他の2020年問題

2020年問題には、他にもさまざまな問題があります。その中で、特に知っておくべきポイントをまとめました。

BCP(事業継続計画)

政府は2020年までに企業の「BCP策定率」を大企業ではほぼ100%、中小企業では50%の目標を掲げています。

自然災害やテロ攻撃といった緊急事態が発生した場合、その影響は企業だけにとどまらず、各地域の雇用や経済にも大きな打撃を与えるため、BCPの策定が求められています。

内閣府による事業継続ガイドラインはこちらから。

ITセキュリティ

ITの普及に伴いITセキュリティを強固にする必要があるなか、2020年にはWindows 7のセキュリティサポートが終了することが決まっています。そのため、情報漏えいのリスクが高まり、企業は別の手段でITセキュリティを高めなければいけません。

他にも、東京五輪を狙ったサイバー攻撃の増加が懸念されています。企業がセキュリティを破られた場合には、経営がダメージを受けるだけでなく社会的信用を失いかねません。万全な準備をしましょう。

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ガラケーやコンピュータのエラー

ガラケーのなかに、時計やカレンダー機能が2020年以降に対応していない機種があるそうです。2020年1月1日以降に、時計が0時0分で止まる、カレンダーが2000年に戻った、という症状が発生しました。これは製品仕様によるものだと報告されています。

コンピュータでも同様のエラーが発生しており、下2桁が「00〜19」の場合は「2000年〜2019年」として扱い、そうでない場合は年数を西暦の下2桁でのみで処理しているため「19XX年」として扱うことが原因です。

クレジットカードのIC化

クレジットカードの不正利用被害額が増加し、IC化によるセキュリティ対策を行うためのクレジットカードのIC化が進んでいます。

カード情報を磁気ストライプではなく、ICチップに暗号化して格納することで、セキュリティーを高められます。クレジットカードのIC化は、世界的に広がっており日本は取り残されている状態です。

そこで、2020年にクレジットカードIC化を徹底し、セキュリティ対策を施そうとしています。

2020年以降の年問題

2020年には、深刻かつ大量の問題に直面します。それでは、2020年以降にはどのような問題が予測されているのでしょうか。

2025年問題

2025年問題とは、団塊の世代が2025年頃までに後期高齢者(75歳以上)に達する事により、介護・医療費などの社会保障費の急増が懸念されている問題です。

「超高齢化社会」になり、これまで国を支えてきた団塊の世代が給付を受ける側に回るため、医療費、社会保障費やその他の課題にどう取り組んでいくかが大きな問題となることが指摘されています。

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2030年問題

2030年問題とは、さらなる人口減少と超高齢社会によって引き起こされる、社会保障問題や日本経済の鈍化が懸念されている問題です。

日本人口の3分の1が65歳以上の高齢者という状況は労働力の圧倒的な不足を表しており、必要な社会保障費は膨大な一方で、それが捻出できなくなります。

労働人口の減少は日本のGDPを低下させ、消費の先細りにもつながります。GDPの低下と消費の減少によって、日本経済の鈍化に拍車がかかると予測されています。

2040年問題

2040年問題とは、さらなる高齢化が進み社会保障費の負担が1.5人で1人分を負担する状態になることが懸念されている問題です。高齢者自体の数も減り始めると言われてはいますが、労働人口は圧倒的に不足しており、介護や医療の問題もより顕著になります。

2045年問題

2045年問題とは、AI技術の発展により人間の知性を超えるシンギュラリティ(技術的特異点)が発生すると言われている問題のことです。このシンギュラリティは2029年に早まっているとも言われており、AIが地球上の全人類の知性を超える日もそう遠くはないかもしれません。

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2020年問題の現状はどうなっている?

2020年を迎えてから、現在2020年問題はどのようになっているのでしょうか。

コロナウイルスの影響によって東京五輪が延期となったため、不動産価値の暴落といった現象は起きていません。ただ、コロナウイルスによる雇用減少やオフィス契約解消といった、思わぬ側面からの影響を受けています。また、団塊ジュニア世代のポスト不足は解消されておらず、企業の対応が注目されます。

東京五輪の延期により浮き彫りにならなかった諸問題も、今後五輪開催後には大きな問題になることが予測されます。2020年問題以降は、2025年問題、2030年問題と多くの問題が立ちはだかってきます。どうすれば諸問題を解決できるか、今のうちから考えておきましょう。

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