アクティブラーニングとは?目的・種類・定義 - 能動的学修がもたらす影響

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- アクティブラーニングとは
- アクティブラーニングの目的
- アクティブラーニングの方法
- アクティブラーニングの種類
- アクティブラーニングの始まり
- アクティブラーニングのメリット
- 個別の知識・技能(何を知っているか、何ができるか)
- 思考力・判断力・表現力(知っていること・できることをどう使うか)
- 学びに向かう力・人間性(どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか)
- アクティブラーニングの実践方法
- ケースメソッド
- フィールドメソッド
- 実践のポイント
- アクティブラーニングの実践例
- 産業能率大学
- 埼玉県立越ヶ谷高等学校
- アクティブラーニングを実践できるeラーニングシステム
- TOP-ESL ONLINE
- Clica
- C-Learning
- アクティブラーニングが新しい価値を生み出す可能性
- BOXILとは
アクティブラーニングとは
アクティブラーニングとは、講義や授業を受けるという受動的学習に対し、生徒が積極的に講義や授業に参加する能動的「学修」を意味し、「育成すべき資質・能力を育むための、課題の発見・解決に向けた主体的・協同的な学び」と定義されています。
アクティブラーニングの目的
アクティブラーニングは、簡単に説明すると何を学ぶかだけでなく「どのように学ぶか」を重視した学修方法です。
高度な情報化を遂げ、世界中が競合相手となるグローバル化が進んだ現在、「課題の発見・解決を主体的・協働的」が必要とされはじめています。そこで従来の日本の教育方針である、大学入試突破を目指した知識量重視の教育を脱却し、「学びの質と深まり」を重視することが重要となってきました。
一方的に押し付けられる教育ではなく、自身で体験して主体的に学び取り、学習意欲を高め、知識の定着することを目的としてアクティブラーニングは実践されます。倫理的・社会的能力や教養・知識・経験といった汎用的能力の向上や育成も期待できます。
アクティブラーニングの方法
アクティブラーニングの方法を大きなくくりで分けると、次の3つになります。
- 発見・問題解決・体験・調査学習
- グループディスカッション
- ディベート
自分だけではなく、他者と一緒に考える過程があるのがアクティブラーニングの特徴です。
アクティブラーニングの種類
アクティブラーニングの代表的な種類には、次の5つがあります。それぞれを詳しく解説します。
PBL(Project Based Learning)
PBL(Project Based Learning = 問題に基づく学習)とは、問題解決型学習と呼ばれており、自ら発見した問題に対する解決方法を考え、その過程で知識や経験を養う学習方法です。
医療の分野をはじめ、現場での問題解決能力が重視される教育過程で実施されていたものが、アクティブラーニングの方法として採用されました。
課題に対して仮説を立て、検証していく「チュートリアル型」と、課題を実社会の中に設定し、民間企業と協力しながら問題を検証していく「実践体験型」です。
ジグソー法
ジグソー法とは、学習に参加する生徒同士で協力し、互いに教えあうことで理解を促進する学習方法です。
グループ内で集まったのち、各メンバーが学習する内容を決め、各グループから同じ内容を学習すると決めたメンバーでグループで集まり、学習します。
その後、最初のグループに戻って各グループで課題に取り組む方法が一般的なジグソー法のやり方です。
KP(紙芝居プレゼンテーション)法
KP(紙芝居プレゼンテーション)法とは、事前に紙に授業の要点をまとめておき、進行に合わせて黒板やホワイトボードに貼り付けながら説明していく手法です。
従来のプレゼンと違って要点が残り続けること、授業全体のまとまりを意識できることで理解力を高める効果があります。
ピア・インストラクション
ピア・インストラクションとは、ハーバード大学発祥の大人数向けアクティブラーニングの方法です。
講義内容に関する質問を出し、生徒はクリッカーと呼ばれる機械で投票します。集計した結果を参考にしつつ生徒同士がディスカッションして再投票を行い、同じ内容に関して再投票する、という形式を取ります。
アクティブラーニングの始まり
2012年8月に中央教育審議会が「大学教育において、学生の受動的受講から能動的学修への転換が必要」という「質的転換答申」を行ったことにより、大学でのアクティブラーニング実践が始まりました。
さらに2014年11月、文部科学大臣が「初等中等教育における教育課程の基準などの在り方について」を中央教育審議会へ意見を求めるにいたり、小・中・高校におけるアクティブラーニング実施が検討されることになりました。これが2020年問題のひとつとされている、大学入試変革を含んだ教育改革へとつながっていくのです。
教育以外にも2020年問題には、多くのリスクが含まれています。気になる方はぜひ以下の記事も参考にご覧ください。

アクティブラーニングのメリット
2020年の教育改革で実施される学習指導要領では、学校教育法第30条第2項に示される、以下の3点が育成すべき資質・能力である、とされています。
個別の知識・技能(何を知っているか、何ができるか)
身体的・芸術表現を含んだ技能、基礎的な知識を着実に身に付けながら「知識・技能との関連付け・組み合わせを行う」ことで、社会全体で活用できる知識・技能として体系化する。
思考力・判断力・表現力(知っていること・できることをどう使うか)
問題発見・解決を行う能力、それを他者と協力しながら行う能力であり、具体的には以下の3つの能力です。
- 問題発見・解決に必要な情報の収集・新規獲得の実行と、それを活用して解決に導く思考力
- 情報の取捨選択を行い、結論に導く判断力
- 相手や状況に応じた表現力
学びに向かう力・人間性(どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか)
- 「 主体的に学習する態度・感情や行動を統制する能力・自身の思考を客観的に捉える能力」などの学びに向かう力
- 「多様性を尊重する態度・協働する力・優しさや思いやり」などの人間性にかかわる力。
これら三つの柱の要素は、知識として教えられるだけで身に付くものではなく、問題発見・解決を主体的・協働的に行うことによって初めて定着するものだといわれています。
能動的学修方法であるアクティブラーニングは「育成すべき資質・能力である三つの柱」に大きな効果があると期待されており、実施するうえでの最大のメリットといえます。
アクティブラーニングの実践方法
それでは、能動的学修方法であるアクティブラーニングには、どのような実践方法があるのでしょうか。
すでに、発見・問題解決・体験・調査学習や、グループディスカッション、ディベートなどの方法があることは紹介しました。代表的なアクティブラーニングの手法としてケースメソッドとフィールドメソッドを紹介します。
ケースメソッド
ケースメソッドは、グループディスカッション型のアクティブラーニングといえます。
架空の人物が抱える問題をケースとして想定したうえで、ケースメソッドの参加者は架空の人物の立場に立ち、どのように行動していくか考え、判断し、全体の中で問題解決のための方法を発言していくという、主体性を養うトレーニングです。
ここでは、参加者が課題であるケースの事前予習を行い、グループごとに議論することで、自分とは違った他者の視点や考え方に気付くことに繋がります。
そのため、アクティブラーニングを実践する多くの教育現場で、このケースメソッドが採用されています。
フィールドメソッド
フィールドメソッドは、発見・体験型のアクティブラーニングといえます。
フィールドメソッドでは、実際の現場を訪れ、対象となる人物などを観察・調査することを講義の一部としています。
アメリカの高校生は大学に進学するにあたって、卒業までの間にビジネスに関するフィールドメソッドを行うことが必須となる場合がほとんどです。
そのため、多くの高校生がフィールドメソッドの対象となる人物を探し、ボランティアを行い、調査報告するということを主体的に行っており、そこで得られる観察眼や、問題発見能力などが大学入試の際に大きく重視されています。
実践のポイント
アクティブラーニングの目的は、参加者の能動的な「自学自習」を促進することであり、参加者の主体的な「アウトプット」を導きだすことです。
そのため、ケースメソッドでは「正解のない」架空の人物の問題というケースを想定し、参加者がケースにフォーカスした予習が可能なように、最低限の情報が開示されるのです。
また、正解のないケースメソッドでは、教員の役割は講師ではなく、ファシリテーターとして議論の進行を行うことであり、参加者のアウトプットを促すことにあります。
導きだしたアウトプットは、次回の議論へのヒントとするためにも、フィードバックを行うこともポイントといえるでしょう。
アクティブラーニングの実践例
リクルートマーケティングパートナーズの「高校教育改革に関する調査2018『アクティブラーニング型授業』編」によると、90.4%の高校がアクティブラーニングをを導入していると回答しており、アクティブラーニングは教育現場に浸透してきているといえるでしょう。
アクティブラーニングの目的である主体性と学習意欲の向上を実感している声もあり、今後ますますアクティブラーニングを取り入れた授業は増えていくと考えられます。
(出典:リクルートマーケティングパートナーズ 高校教育改革に関する調査2018 「アクティブラーニング型授業」編)
アクティブラーニングを実践している大学や高校の例を一部紹介します。
産業能率大学
産業能率大学経営学部では、意思決定を組織で行う社会人に学生を適応させるため、アクティブラーニングによるグループ活動を重視したカリキュラムを行っています。
その実践方法は、授業の各科目にアクティブラーニングを取り入れた「基本プログラム」と、講義型で知識・理論を学ぶ「バックアッププログラム」を同列に配置するもので、相互に補完関係を持つ形になっていることが特徴です。
たとえば、マーケティング情報コースでは、「マーケティング実践」がバックアップとしての講義科目、「マーケティング情報演習」が基本のアクティブラーニング科目となっており、学生はビジネスゲームによる定量的評価の実践を行っています。
埼玉県立越ヶ谷高等学校
埼玉県立越ヶ谷高等学校では、小林先生の担当する「物理I」「物理II」で、グループワークを中心にしたアクティブラーニングの授業を年間を通して行っています。その授業構成は、以下のようなものになっています。
- 学習内容の説明(15分)
- 問題演習(35分)
- 振り返り(15分)
座席もグループも自由な中で、生徒同士の学び合い・教え合いを重視した問題演習を行っています。さらに、振り返りでは問題演習と同じ「確認テスト」を実行します。
なぜ解答までいたったか、という学び合い・教え合いを通じて、解答の導き方を定着させる取り組みも行っています。
アクティブラーニングを実践できるeラーニングシステム
アクティブラーニングは、高校や大学といった教育現場だけでなく、eラーニングシステムでも実践できます。
アクティブラーニングを実践可能なeラーニングシステムの一部を紹介します。
TOP-ESL ONLINE
- 法人・教育機関向けオンライン英会話授業配信
- コミュニカティブ・メソッドを採用
- リーズナブルな導入価格
TOP-ESL ONLINEは、フィリピン最大の語学学校「IDEA Education」の開発・慣習による、法人・教育機関専門のオンライン英会話授業配信を行っています。論理的話法である「PREP」と、アクティブリスニングである「RRR」を活用したコミュニカティブ・メソッドを採用、中高校生・大学生向けの英会話から、ビジネス英会話の授業まで幅広く対応しています。
Skype、Wherebyなどの豊富な通話アプリに対応した手軽さと、1コマ25分の授業が311円〜という、リーズナブルな価格も魅力です。
Clica
- クラウドベースのアクティブラーニング支援アプリ
- 多彩なスマートデバイスで利用可能
- アンケートや意見の投稿で双方向授業を実現
Clicaは、株式会社デジタル・ナレッジが提供する、講師と学生の双方向コミュニケーションによって、アクティブラーニングの実現を支援するクラウドベースのスマートデバイス用アプリです。
授業中のアンケート実施・収集や、意見の投稿がリアルタイムで行えるため、フレキシブルな授業を行うことが可能となり、学生のやる気や集中力アップが期待できます。iPhone・iPad・Androidなどの多彩なスマートデバイスに対応し、無料での利用が可能です。
C-Learning
- スマホ用アクティブラーニング支援アプリ
- ファイル共有によるグループワーク機能
- 出席管理を含む学生管理機能
C-Learningは、スマートフォン用のアクティブラーニング支援アプリです。学生側はスマートフォンだけでなく、タブレットやPCにも対応しているため、全体での導入ハードルが低いことが特徴です。
アンケートやコメント機能はもちろん、小テスト実施やレポート提出、グループワークのためのファイル共有まで多彩な機能を持ち、プライバシー保護を確立した上で、出席管理を含んだ学生管理までが可能となっています。
アクティブラーニングが新しい価値を生み出す可能性
学校で得た知識よりも「能動的」に読んだ本の内容や、知りたいと思った情報は身に付きやすく、忘れにくいものです。
これらの情報は経験の一部となり、それを組み合わせていくことによって、さまざまな問題に対処できる思考力や対応力が生まれます。能動的に学修することの意味はここにあるといえるでしょう。
しかし、経験を元に思考力や対応力を養うには時間がかかり、社会の即戦力として活躍するには充分な方法とはいえません。
2020年から、小中高校に導入されるアクティブラーニングは、即戦力の社会人を育成するのに役立つだけでなく、それによって、新たな価値を生み出すことのできる人材を育成してくれるかもしれません。
ニュージーランドでは幼児教育の段階からアクティブラーニングを取り入れているため、日本でも今後
BOXILとは
BOXIL(ボクシル)は企業のDXを支援する法人向けプラットフォームです。SaaS比較サイト「BOXIL SaaS」、ビジネスメディア「BOXIL Magazine」、YouTubeチャンネル「BOXIL CHANNEL」、Q&Aサイト「BOXIL SaaS質問箱」を通じて、ビジネスに役立つ情報を発信しています。
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