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eラーニングのメリット・デメリット - 受講者と製作者にわけて紹介

最終更新日:(記事の情報は現在から32日前のものです)
eラーニングは受講者と製作者の両者にとってメリットの大きなシステムです。それぞれどのようなメリットやデメリットが存在するのか、また利用目的、費用なども解説します。

eラーニングとは

eラーニング(e-Learning)とは、簡単にわかりやすくいうとインターネットを利用し、パソコンやスマートフォンなどを使って行う教育・学習形態のことです。「オンライン学習」と呼ばれることもあります。eラーニングの「e」とは、「電子の」「インターネットの」を意味する英語「electronic」の略です。

eラーニングはインターネット経由で、パソコンやスマートフォンなどを使ってどこでも学習が可能です。そのため会社の社内研修や資格取得、個人のスキルアップを目的とした学習など、さまざまな場面で活用されています。

類似する言葉として「通信教育」がありますが、通信教育は自宅に届く紙の教材で学習するのが大きな違いです。eラーニングは電子版通信教育とも言えるでしょう。

eラーニングのメリット・効果(製作者)

製作者がeラーニングによって得られる効果は、時間と場所の制約がなくなることと、教材の再利用ができることです。工数の限られている研修において、担当者が教材の改善に時間を割けるようになるのは大きなメリットといえるでしょう。集合研修と比べた際の特徴は次のとおりです。

オフラインでの集合研修 eラーニングでの研修
スケジュール調整 必要。該当社員全員のスケジュール確保が必須 不要。好きなタイミングに受講
教材の配布と更新 現地での配布。修正内容はメールにて連絡 公開のみで配布。修正も教材を編集して通知するのみ
教材の再利用 不可能。必要に応じて都度講義をする 可能。教材の共有のみで完了
コスト 講義のたびにさまざまな費用がかかる 費用を抑えて質の高いコンテンツを提供

スケジュール調整が不要

eラーニングのメリットの1つは、スケジュール調整が不要となる点です。

集合研修では、受講者全員のスケジュールと収容するための会場をおさえる必要がありました。それに対しeラーニングは、教材を作成して配布することに集中できるのが強みです。

教材の配布と更新が容易

eラーニングの強みには、教材を配布しやすく更新しやすい点があります。集合研修では、都度講師が印刷や配布をしなくてはなりませんでした。

eラーニングならWeb上で作成し配信まで完結します。さらに更新もオンラインで行い、即座に反映されるためスピーディーに情報共有ができ、情報の周知徹底も行えます。

教材の再利用が可能

eラーニングの便利な要素として、再利用可能な点があげられます。

集合研修では定期的に時間を割いて講師が直接教えますが、eラーニングでは一度作成したドキュメントや動画を編集して公開するだけで、何度でも利用が可能です。

受講者の管理を効率化できる

eラーニングは、学習の進捗状況やテスト結果、出席状況などをすべてオンライン上から把握できるため管理を効率化できます。たとえば、進捗が進んでいない受講者の情報を抽出し、メールを送って学習を促すといったように、従来の方法よりも工数を削減して管理が行えます。

また情報を一元管理できるため、データ分析も容易です。受講者を適正に評価し、教材や企業としての課題なども把握可能です。

コスト削減

もちろんどのようなサービスを利用するかにもよりますが、eラーニングは集合研修よりもコストを抑えられる可能性があります。集合研修では会場代や講師への依頼料、交通費、宿泊費などが毎回かかります。

しかしeラーニングは、これらの費用を抑えたうえで質の高いコンテンツが提供可能です。eラーニングシステムの費用相場に関しては、後ほど詳しく紹介します。

eラーニングのメリット・効果(受講者)

受講者におけるeラーニングの効果は、スマートフォンでの受講が可能な点・自由に講座を選べる点にあります。集合研修と違い、画一的な方法での研修から開放された点はかなり大きいといえるでしょう。集合研修と比べた際の特徴は次のとおりです。

オフラインでの集合研修 eラーニングでの研修
時間と場所 参加者全員で一致させる 各人が好きな場所と時間でOK
学習内容 全員一律。ないし個別指導 習熟度に応じて選択
受講方法 指定の会場へ集合 パソコンやスマートフォンから閲覧
教育の質 講師によってバラつきあり 共通の教材で均一化
反復性 講師の話は一度きり 繰り返し復習OK

時間と場所が制約なし

特定の時間と場所に向けて調整しなくてよい点がeラーニングメリットの一つです。集合研修では、指定された会場へ決められた時刻に集まる義務が発生します。対してeラーニングでは、都合のつくタイミングでWebサイトにログインし、学習を進められます。

習熟度に合わせて受講可能

eラーニングであれば、習熟度に合わせ自分のペースで学習ができます。集合研修では、ひとまとめに進められるため、習熟度にかかわらず一律の内容を受講します。

しかしeラーニングであれば知っている内容は倍速で飛ばしたり講座自体をスキップしたりできるため、必要な学習に注力できるでしょう。

スマートフォンでの受講が可能

eラーニングを受講するにあたって、スマートフォンやアプリだけで受講が可能となった点は強みです。以前のパソコンを使用していた講習では、受講できる人に限りがありました。それに対しスマートフォンやアプリで受講できるeラーニングなら、社員でなくとも気軽にアクセスでき習得も容易です。

教育の質を均一化できる

eラーニングの場合、利用される教材は基本的に統一されているため質の均一化が可能です。集合研修のような対面型学習の場合、担当する講師はそれぞれ考え方が異なるため、どうしても質に差が生まれます。

一方でeラーニングは教材に登場する講師は全員同じであるため、同じ教材を使う限り均一な教育を受けられます。

何度も繰り返し学習できる

eラーニングは、過去に受講した講座でも教材を見れば再度学習が可能です。集合研修の場合、研修後も教材は残りますが、講師の話を聞けるのは一度きり、再度受講するにはさらに費用がかかります。

一方でeラーニングは気軽に復習ができるため、習熟度を高めて知識を自分のものにできるでしょう。

eラーニングのデメリット・課題(製作者)

製作者側の問題点としては、eラーニングの構築や体制を整えるための負担が大きい点が挙げられます。では次の項目で詳しく解説します。

ある程度のIT知識は必要

後ほど詳しく紹介しますが、eラーニングには管理用のシステムが不可欠であるため、これを扱うための知識は必要です。操作やエラーに対応できる人材がいれば問題ありませんが、人材が不足している場合は苦手な従業員でも扱えるよう、ITリテラシーの底上げが必要になるでしょう。

またeラーニングは受講者からシステムに関する質問が来ることも考えられるため、事前に対応を考えなければなりません。ただし、ベンダーのサポートが受けられる場合もあるため、こちらも事前に確認してください。

コンテンツの作成に時間がかかる

eラーニングは教材となるコンテンツが不可欠で、これを内製すると手間や時間がかかります。もちろん市販の教材を購入しても問題ありません。システムに教材が付属していることや、ライブラリを定額で利用できるサービスもあります。しかし内容によっては独自の教材が必要な場合もあり、作成を迫られる場合もあるでしょう。

一方でeラーニングのシステムには、コンテンツ制作ができるツール機能を搭載したものもあります。オリジナル教材が必要な場合は、このツール機能があるシステムを選び、なるべく効率的にコンテンツを制作しましょう。

eラーニングのデメリット・課題(受講者)

受講者の問題点には、遠隔であるがゆえに実際に習得できているのか測りにくい側面があげられます。ただし、日々のテクノロジーの進化により改善されている部分もあります。

モチベーションの維持が難しい

eラーニングのデメリットには、受講者のやる気がわかりにくく、モチベーション維持の難しい点があげられます。

eラーニングでは、それぞれの様子を伺いづらく、受講生の雰囲気をつかむのがどうしても難しくなります。こうした欠点を補うために、チャット機能やランキング機能などが導入されているシステムもあるため、受講者のモチベーション維持のためにも活用してみましょう。

実技の研修をしにくい

eラーニングを運用するうえで、実技の研修をしにくいのも大きな欠点といえるでしょう。

対面の研修では、人数によっては実技の研修を実施でき、フィードバックもしやすい環境でした。一方eラーニングでは、Web会議にて類似の動作をしてもらったり、逆に現場でスマートフォンを使って受講し、すぐに実践したりといった工夫がなされています。

インターネット環境が必要

eラーニングの受講には、安定したインターネット環境が必要です。

インターネット環境がない方はeラーニングのシステムにアクセスできず受講が不可能です。しかし、近年はモバイルWi-Fiやスマートフォンの普及によって、インターネットがインフラとして定着しているため、そこまで障害とはなりえないでしょう。

コミュニケーションがとれない

eラーニングは自己学習が基本でコミュニケーションがとれないため、学習中に疑問が生まれてもすぐにそれを解決できません。そのため、教材の内容がeラーニングだけで完結できるかどうかは、事前にチェックが必要です。

また受講者同士でコミュニケーションができないことも懸念点です。集合研修の魅力の1つとして、社外の方との交流や情報交換が挙げられますが、チャット機能やライブ授業機能などがない場合eラーニングでこれを行うのは難しいでしょう。交流の場は、また別に機会を設ける必要があります。

eラーニングの市場規模

矢野経済研究所の調査によれば、2021年度の国内eラーニング市場規模は、前年度比13.4%の約3,309億を見込んでいます。法人向け(BtoB)、個人向け(BtoC)共に規模は拡大傾向です。

法人向けeラーニング市場は、コロナ禍以降集合研修や対面教育などがオンラインに切り替わった影響で需要が高まっており、2021年度も同様の状況です。また需要の高まりに伴いサービスの価格下落が起こっているため、コンテンツ制作の依頼やシステム導入はしやすい環境になっていると言えるでしょう。

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※出典:矢野経済研究所「eラーニング市場に関する調査を実施(2022年)」(2023年4月27日閲覧)

eラーニングの目的

企業がeラーニングを行う目的としては、学習機会を拡大し人材育成やキャリアアップを支援することが挙げられます。とくにキャリアチェンジをされた方や新入社員などは、知識が不足していることも多いため、これをフォローする研修として利用されます。

また業務を行いながら学習の機会をつくるのは簡単ではありませんが、eラーニングを利用すればすきま時間を活用した学習が可能です。従業員としても業務に役立つ知識が得られるため、手軽にスキルアップやキャリアアップが目指せるでしょう。

eラーニングの歴史

eラーニングはIT技術の進化とともに誕生し、形を変えています。そこで次に、eラーニングが歩んできた歴史について簡単に紹介します。

eラーニングの誕生以前

eラーニングが誕生する以前は、オフラインでの集合研修や、テレビ・ビデオを教材とした学習が行われていました。しかし集合研修は時間や場所に制限があり、ひとまとめに進行が行われるため習得に差が出ます。

またビデオ教材は好きな時間に、映像でわかりやすく学習ができますが、一方向に情報を送られるため、受講者からアクションを起こせないことが課題でした。そこでコンピューターを使って学習する方法が模索されました。

CD-ROMによる学習

1990年代の後半には家庭にパソコンが普及しはじめ、CD-ROMが標準装備されていたことから、CD-ROMを使った学習方法が生まれます。CD-ROMを使うことで、マルチメディアを活用した対話型の学習が可能となりました。

しかしCD-ROMはコストがかかるため一部の大企業しか導入できず、一度配布すると修正できない点も課題でした。

オンラインシステムの導入

2000年代になると、一般家庭・企業でも手軽に高速・大容量のインターネットサービスが利用できるようになり、システムによるWeb配信型の学習が普及しました。

企業はコンテンツの配布にかかるコストを大幅に減らし、教材の修正も手軽にできるようになります。またスマートフォン・タブレットが普及したことで、さらに利便性が向上。受講者はいつでもどこでも、インターネットを使って学習ができるようになりました。

これからのeラーニング

今後のeラーニングとしては、AIやBIなどの活用が考えられます。AIに関しては、個人それぞれの学習プランの作成や、学習方法の提案といった可能性が考えられるでしょう。

また顔認証によるセキュリティの向上や、文字認識による語学の添削などはすでに実用化されており、今後さらなる進化が期待できます。

eラーニングのトレンド・活用例

eラーニングは時代とともに変化しています。本章では、現在のトレンドや新しい使い方を紹介します。

ブレンディッドラーニング

近年は、eラーニングと集合研修、2つの手法を組み合わせた「ブレンディッド・ラーニング」が話題になりつつあります。eラーニングでは基本的な知識の習得を行い、ディスカッションや質疑応答は集合研修で行うといった研修スタイルがブレンディッドラーニングです。

eラーニング単体で学習するには、受講者にとって「受講者同士の交流ができない」「直接質疑応答ができない」といったデメリットがあります。しかし、ブレンディッドラーニングを活用すれば、自身のペースで学習できるeラーニングのメリットを維持したまま、デメリットとなる点を解消し学習効果を高められます。

ゲーミフィケーション

ポイント加算によるレベルアップやスコア競争といった、ゲームの要素や手法をコンテンツに取り入れ、より学習を楽しめるようにする「ゲーミフィケーション」が普及しています。

ゲーミフィケーションは、ゲーム感覚で受講者が目標達成へと向かうモチベーションを高め、意欲的に学習に取り組むことを目的としたものです。

ゲーミフィケーションは、強制ではなく自発的に学習に取り組むことをサポートできるため、ビジネスでの成果や実践力を高めることにつながります。

eラーニングにはシステムが不可欠

eラーニングを行うには、学習管理システム(LMS)が不可欠です。システムはサーバー上に構築され、ここから教材を配信し、受講者の履歴といった情報が記録され、効率的に管理が行えます。

LMSは主に「オンプレミス型」「クラウド型」の2種類にわかれます。イントラネット型は自社サーバー内にシステムを構築し、社内ネットワークを通してアクセスするため、セキュリティレベルが高いことが特徴です。

クラウド型は、システムをレンタルする形態のことで、インターネットを介してシステムを利用します。初期費用が安く、導入しやすいのが特徴です。このように、システムは導入形態によっても特徴が違うため、事前によく検討したうえで導入を行ってください。

eラーニングの費用比較

学習管理システムの費用は、オンプレミス型かクラウド型によって大きく異なります。それぞれ初期費用と月額費用にわけて紹介するため、参考にしてください。なお、システムに教材が付属している場合は料金内に含まれているか、作成ツールがオプションでないかも確認しましょう。

初期費用 月額費用
クラウド型 5~20万円 従量課金タイプ:1ユーザー500~2,000円程度
月額固定タイプ:5~20万円程度
オンプレミス型 100~500万円程度 3~10万円程度

システムのなかには無料で利用できるものもありますが、基本的には人数・利用期間・コンテンツに制限がかけられています。セキュリティで考えても安全とは言えないため、有料のシステムがおすすめです。

システム・サービス導入で利用できる補助金

eラーニングに関連したシステムやサービスの導入は、補助金・助成金の対象です。システムは導入したいものの、資金面で不安を感じる方はぜひ利用を検討してください。

オンラインスキルアップ助成金

まず東京都の中小企業であれば、「オンラインスキルアップ助成金」が利用できます。これはeラーニングに特化した助成金で、コロナ禍にある企業を支援するためにつくられたものです。

受講料やeラーニングの運営にかかる費用が対象であるため、サービスによっては教材にかかる費用も対象にできます。助成額は2分の1~3分の2、上限額は20~27万円です。詳しくは公式サイトを確認してください。

IT導入補助金

IT導入補助金」は、全国の中小企業が新規のITツールを導入した場合に受けられる補助金です。eラーニングシステムももちろん対象ですが、認定事業者の商品やサービスから選ぶ必要があります。

通常枠から申請する場合、補助率は2分の1、上限額は30~450万円です。詳しくは公式サイトを確認してください。

eラーニングで社内研修を効率化

eラーニングによる研修にはいくつものメリットがあるので、ぜひとも活用して効率化を図りましょう。反対にいくつかのデメリットは、研修の実施方法によって対応するのが好ましいです。うまく利用して、製作者・受講者ともに満足した講習ができるよう調整しましょう。

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