中途採用の面接対策は?事前準備と質問に対する回答のポイント
近年、転職市場が活況を呈しており、ここ数年の求人倍率は平均で2~2.5倍と右肩上がりに増加している状況です。バブル期並みの売り手市場と報告している調査もあり、中小企業を中心に、多くの企業が優秀な人材の獲得に積極的に取り組んでいることがわかります。
一方、転職を希望する側も、自分の理想のキャリアを築いていくために、本格的に転職活動に乗り出す人が増えているようです。
そんななか、はじめて転職活動をする方は、転職活動で最も重要な面接をどう乗り切ればいいのか不安になっているのではないでしょうか。
そこで、中途採用のプロセスでもっとも重要な面接対策について、事前準備と人事担当者がよくする質問に対する回答のポイントを解説していきます。
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- 中途採用の現状
- 求人倍率の高い業種・職種は「IT・通信」
- 即戦力を求める企業が多い
- 中途採用面接に必要な事前準備
- これまでのキャリア・経歴の整理
- 相手企業のビジネスモデルなどを確認
- 応募書類の内容を確認
- 自分の強みや実績をまとめる
- 面接で想定される質問の準備
- 前職までの不満点の解消について
- 中途採用面接の流れ
- 自己紹介
- 今の仕事について
- 転職理由
- 志望動機
- 募集の概要説明
- 条件確認
- 質疑応答
- 面接官が注目するポイント
- 態度・しぐさ
- 話し方
- 表情
- 身だしなみ
- 目線や声のトーン
- 頻繁にされる質問と回答のポイント
- 質問例:仕事でのやりがいは何ですか?
- 質問例:入社後にしたいことは何ですか。
- 質問例:なぜ同業他社ではなく当社を希望するのですか。
- 質問例:あなたの強みや長所は何ですか。
- 中途採用面接のポイントを理解し、転職を成功させる
- BOXILとは
中途採用の現状
2017年の転職市場における求人倍率は約2.3~2.8倍程度と高い水準を示しており、転職市場全体では、2018年以降も売り手市場が続くとみられています。一方、転職希望者数はここ数年横ばい状態であるため、今現在転職活動をしている方や、これから転職に臨む方にとってはチャンスといえるでしょう。
求人倍率の高い業種・職種は「IT・通信」
転職市場のなかでも、特に求人倍率が高いのはIT・通信分野であり、これまでの慢性的な人手不足もあって、新卒・中途採用のいずれの求人倍率も高くなっています。
特に中途採用では、中小企業を中心に求人数が転職希望者数を大きく上回り、5倍以上の倍率となっています。メディカル分野やサービス分野でも2.8~4倍程度と高い水準が続いており、業界全体の人手不足が顕著になっているようです。
即戦力を求める企業が多い
こういった専門技能が必要とされる業界では、新卒の段階ではこなすことのできない業務が多く、そのため即戦力となる中途採用に力を入れる傾向が強くなります。
慢性的な人手不足に加え、アベノミクスによる緩やかな景気回復の影響などにより、多くの企業ではスタッフ1人あたりの業務量が増加しており、新規顧客の開拓などに手が回らなくなってきているのが現状です。
そこで人手不足に悩む企業は、即戦力となる中途採用者の確保に積極的に取り組み、欠員の穴埋めや、事業拡大の担い手として活躍できる人材を求めているわけです。
中途採用面接に必要な事前準備
採用に積極的な中途採用市場全体は、ここ数年、高い求人倍率となっていますから、これから転職活動をしようと考えている方にとっては追い風の状況です。
ただし、どんな人材でも簡単に希望の職場に転職できるかといえばそうではなく、多くは高倍率の面接を潜り抜けて採用を勝ち取らなければなりません。採用プロセスでもっとも重要となるのが面接ですから、事前準備を徹底しておく必要があります。
中途採用の面接では、事前に以下の点をしっかりとチェックしておきましょう。
これまでのキャリア・経歴の整理
自分のこれまでの経歴は、転職面接で必ず説明しなければならないポイントです。要点をうまく伝えられるように、事前に自分のキャリアの整理をしましょう。
特定の技能やスキルが応募資格になっている場合は、面接官が客観的な判断ができるように、これまでの仕事内容と織り交ぜて具体的に説明できるようにしておく必要があります。
相手企業のビジネスモデルなどを確認
面接を受けるうえでは、必ず相手先企業の特徴やビジネスモデルについて確認しておき、関連する質問に答えられるようにしておきましょう。どれぐらい自社について勉強してきたかを確認する面接官は少なくありません。
これまで働いてきた業界とは違った分野に転職する場合は、その業界に関する知識や常識とされる事柄についても質問される可能性があるので、確実に予習しておきましょう。
その企業の情報だけでなく、競合他社の情報なども仕入れておくと説得力のある受け答えができるようになります。
応募書類の内容を確認
事前に提出した応募書類の内容をしっかりと確認しておき、面接で答える内容と整合性をもたせるようにしましょう。複数の企業の面接を受ける場合は、各企業ごとにどういう内容のものを提出したのかを特に把握しておく必要があります。
万が一、面接で応募した内容と違ったことを答えてしまうと、面接官は本当のことを答えてくれているのか、本当に自社に転職したいと考えているのか不安になってしまいます。少なくとも一度は、面接の前に見直しておくようにしておきましょう。
自分の強みや実績をまとめる
自分の強みや、それを活かしてどういう実績を積んできたのかを自分なりに整理し、具体的に説明できるようにしておきましょう。面接では自分の強みについて聞かれることが多く、それを転職後にどう活かし、どんな結果を出してくれるのかを知りたがります。
特に日本人は、自分の強みや弱みを客観視する機会が少ないといわれています。一度時間をかけて、自分自身の強みと、これまでの仕事にどう活かしてきたのかを振り返ってみましょう。
面接で想定される質問の準備
以下では面接で頻繁にされる質問についていくつか取り上げますが、どういう質問をされる可能性が高いのか、あらかじめ情報収集しておきましょう。そして自分なりにどう答えるのかをシミュレーションしておく必要があります。
特に中途採用では即戦力が求められることがほとんどであり、質問の受け答えによって、自社で使える人材かどうかを判断される傾向が強くなります。新卒採用のときよりも、何倍も厳しく判断されると考えておくべきしょう。
前職までの不満点の解消について
転職を望む場合、たいてい現在の仕事や職場になんらかの不満があることがほとんどで、それが少なからず転職の動機に影響を与えています。当然、多くの転職希望者を面接してきた人事担当者もそのことを承知していますが、実際の面接で今の職場の不満点ばかり説明されては印象がよくありません。
転職することで現状の不満がどう解消されるのかとその理由についても説明できるようにしておく必要があります。それが解消されることで転職先の企業にどういう貢献ができるのかを説明できるようにしておきましょう。
中途採用面接の流れ
続いて、一般的な中途採用面接の流れについて説明するとともに、それぞれのプロセスで重要なポイントを解説します。はじめて転職面接を受ける方は、ぜひ全体の流れを把握して、どこに力点を置けばよいかを確認しておきましょう。
当然、細かい進行や質問事項については企業や選考段階などによって違ってくるため、必ず以下の流れで行われるというわけではありませんが、あらかじめ注意するポイントを把握しておくことで、実際の面接で慌てずに済むようになります。
自己紹介
中途採用の面接の冒頭に、面接官から自己紹介を求められるケースは非常に多くあります。
自己紹介では、氏名や年齢などの基本情報から、これまで従事してきた仕事の内容や得意分野、そして転職にいたった理由などを説明することが多いです。ただ、詳しい内容は後に質問されることになりますから、自己紹介の段階では簡単に説明するに留めます。
どちらかといえば、その後のやりとりをスムーズにするため、そして面接官がそれに続いて質問しやすくするためのきっかけ作りといった意味合いが強いでしょう。
今の仕事について
自己紹介が終わると、続いて前職の仕事内容や、これまでの職歴についての質問がされるケースが多いです。
ここでも自己紹介同様に、手短に要点をまとめて話すことが重要となります。要領を得ない説明や、自分をアピールする必要から、つい話が冗長になってしまうのはよくないことですので、注意しましょう。面接官の印象が悪くなってしまう可能性もあります。話す内容はしっかりと取捨選択しなければなりません。
仕事や職歴の概要を説明するとともに、それを転職先でどう活かすことができるかを簡潔に説明するようにしましょう。
転職理由
転職を希望するにいたった理由は必ず聞かれることになります。
人によって理由は千差万別ですが、ネガティブな理由ばかりを説明してしまうと、印象が悪くなってしまいます。現状の不満に対してどう考え、転職先でそれがどう解消されるのかをしっかりと説明しましょう。
転職理由の説明については、以下も参考にしてください。
志望動機
志望動機はどんな面接であっても必ずされる質問です。転職希望先の企業にアピールするもっとも重要な回答となりますから、その企業のどこに魅力を感じ、自分の知識やこれまで培ってきたスキルがどう活かせるのかを具体的に説明できるようにしておく必要があります。
志望動機については、以下の記事も参考にしてください。
募集の概要説明
転職理由や志望動機などの質問が終わると、面接官から転職後の仕事内容に関する概要の説明があるケースが多いです。そこで本当に希望する職種かどうか、仕事内容に認識の違いはないかどうかを確認することになります。
面接官の方から何か疑問点があれば質問してほしいといわれることがありますから、不明な点や確認しておきたいことがある場合は、積極的に質問して構いません。
条件確認
続いて、具体的な報酬・給与体系・福利厚生などの条件の確認がされることが多いようです。自分の希望する労働条件に合っているか確認しつつ、こちらの希望を伝えていくことになります。
これも募集の説明同様に、不明な点や曖昧なところがあれば質問しておきましょう。ただし、報酬面だけにフォーカスして希望を伝えるのはマイナスの印象を与えてしまう可能性が高いですから、あくまでも企業側の希望とすり合わせる姿勢を前面に出す方が無難でしょう。
質疑応答
最後に、面接全体を通しての質疑応答の時間が設けられることが多いです。面接官が「これで面接を終了しますが、最後になにか不明な点はありますか?」といった投げかけをすることがよくあります。
特に疑問点や不明点がなければ何もなしで構いませんが、この機会を利用して自分をアピールすることも不可能ではありません。執拗にやりすぎるとマイナスとなりますが、うまくやる気をアピールすることもできるので、ぜひ積極的に質問してみましょう。
面接官が注目するポイント
面接の大まかな流れについて説明したところで、次に面接において特に人事担当者が注目しているポイントついて説明します。面接での質問の回答や話の内容が重視されることはもちろんですが、服装や身だしなみ、そして態度や話し方といった部分もしっかりチェックされていることを忘れてはいけません。
基本的な内容に感じられるかもしれませんが、これは多くの面接官を対象にアンケート形式で質問した調査結果を反映したものです。ぜひこれを参考に基本的な面接マナーを重視するようにしてください。
態度・しぐさ
中途採用面に限りませんが、入退室の仕方や面接中の態度やしぐさに関しては、面接される側が思っている以上に観察されているものです。
事実、採用担当者が重視するもっとも大きなポイントとして面接中の態度が挙げられており、これは実際に面接室に入る前の受付の時点からチェックされていることもあります。特に挨拶などの社会人としての基本的なことができていないと、たとえ面接での受け答えの内容がよかったとしても採用にいたらないことは少なくありません。
話し方
新卒とは違い、中途採用では何年も社会人経験を積んでいる希望者が面接を受けるため、言葉遣いが非常識であることはそれほどないでしょう。
しかし、話し方にクセがあったり、その状況に合った適切な敬語や丁寧語を話せない方も少なくないようです。ぎこちない敬語なども、普段使い慣れていないのではないかと思われてしまいますから、新卒の頃に戻ったつもりで、もう一度基本的な話し方のマナーを見直してみる必要があります。
表情
表情が暗いと、たとえ話の内容がよくても説得力を感じられないことが多いです。
顧客と直に顔を合わせる機会が多い職種ならば、笑顔を作ることは難しくないかもしれません。しかし普段会社の仲間同士以外との接触がないような職種の場合は要注意です。
知らず知らずのうちに、暗い表情になっていることや、無表情のままやりとりをしている可能性もありますから、面接の前には自分がどういう表情で話をしているのかをチェックしてみることをおすすめします。
身だしなみ
どんな面接であっても、服装がルーズだったり、清潔感がなかったりすると大きなマイナスとなります。特に中途採用では、これまでどういう働き方をしてきたのかもチェックされることになるので、服装がだらしないとそれだけで仕事ができない人だと思われてしまう可能性が高いです。
面接を受けるうえでは当たり前の話ですが、かなり細かい部分まで見られていると考えましょう。特にサービス業では、約3割の転職希望者が一目で不採用になっているという調査もあります。
目線や声のトーン
面接中の目の動きに注目している面接官は少なくないそうです。面接官と目線を合わせなかったり、挙動不審で目が泳いでいたりすると「大丈夫かな?」と思われてしまいます。
また、声のトーンや抑揚にも気を使う必要があります。高いトーンで早口で話すと落ち着きがなく、説得力も感じられないので、落ち着いてゆっくりと話すしましょう。特に話すスピードは癖になっている方が多いですので、注意が必要です。
頻繁にされる質問と回答のポイント
最後に、上述の転職理由や志望動機など、面接の核となる質問以外で頻繁にされる質問とその回答のポイントについて簡単に解説しておきます。
質問例:仕事でのやりがいは何ですか?
どんなことにやりがいを感じるのかを確認することによって、面接官は自社で活躍できそうな人材かどうかを見極めようとします。働くということに対して、何がモチベーションとなるのか、その志向性を判断するための質問といえます。
回答する際には、転職後の仕事でやりがいを感じられる可能性が高いことを、なるべく客観的な視点から伝えることです。そのためには、転職後の仕事が具体的にどういうもので、企業はどんな人材を求めているのかをよく確認しておく必要があります。
質問例:入社後にしたいことは何ですか。
入社後にしたいことについて聞かれる場合も多いです。転職後のキャリアプランや、どうやって組織に貢献していくのか、その具体的なイメージをもっているかどうかを知るための質問です。
転職後にどういうスキルを獲得してどんな挑戦をしていくのか、そして企業にどういう実績を残すのかを具体的に伝えましょう。
質問例:なぜ同業他社ではなく当社を希望するのですか。
なぜ他社ではなく自社を選んだのかという質問をする面接官は少なくありません。どんな企業にも競合他社というものが存在していますから「あなたのやりたいことは○○社でも可能なのではないか?」という質問の回答は用意しておくべきです。
その企業が業界内でどういった位置にいるか、他社とどういう差別化をしているか、競争優位にある部分はどこかといったことを事前に調べておきましょう。
質問例:あなたの強みや長所は何ですか。
自分の強みや弱みについてもよく聞かれます。
「強み」や「長所」といわれて、これまでの自分の経験やスキル、人によっては肩書きなどを説明してしまう方もいますが、重要なのは、その強みによって、その企業にどういう貢献ができるかです。
面接官はそこを知りたがっているわけですから、仕事の技術的な部分や人間的な部分など、さまざまな観点から自分の強みを分析し、説得力のある説明ができるようにしておく必要があります。
中途採用面接のポイントを理解し、転職を成功させる
中途採用の面接に関して、特に事前準備で注意すべき点や面接でよく聞かれる質問、その回答のポイントを解説していきました。
面接の場でされる質問は、額面どおりの意味だけでなく、面接官が特に知りたい情報を相手の回答から読み取ろうとする目的があります。ですから、面接官の質問の意図するところを読み解き、的確に回答していくことが効果的なアピールには必要不可欠といえます。
特に中途採用の面接では、その場での臨機応変な対応もチェックされていることが多いですので、事前準備をしっかりとして万全の状態で臨むようにしましょう。
BOXILとは
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