スマホの音声機能使ってる?検索、Siri&Alexa……“声”のコミュニケーションに再注目
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変わるコミュニケーション手段
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策で外出を控えることになり、経済活動や生活のスタイルが変化しています。消費行動の面では「内食・中食」「ゲーム・書籍・コミック」「動画・音楽の配信サービス」への支出が増え、オンライン通販(EC)利用者が増加しました。
家族や親戚、友人などとのコミュニケーション手段も、少しずつ変容しているようです。
携帯電話とスマホの割合は?
現代のコミュニケーションシーンでは、フィーチャーフォンとスマートフォンが大きな役割を担っています。その利用動向をみれば、時代の変化が浮き彫りになるでしょう。
NTTドコモのモバイル社会研究所が公表した「データで読み解くモバイル利用トレンド2020-2021」から、これまでの推移や現在の利用状況を確認します。
大半がスマホ利用者に
「携帯電話の所有・利用状況」によると、2010年時点で携帯電話(フィーチャーフォンとスマートフォンの両方を指す)ユーザーのスマートフォン所有率はわずか4.4%でした。その割合は順調に高まり、2020年には88.9%となっています。
15歳から79歳までの年代別でみると、スマートフォン所有率は若年層が高く年代が上がるに従い低くなりました。ただ、「45~49歳」までは男女とも90%を超えており、「70~79歳」で男性が66.4%、女性が69.5%あるなど、モバイル・コミュニケーションできる人の大半がスマートフォン利用者と考えて構わないでしょう。
子どもにもスマホが普及
子どものあいだでもスマートフォンの利用が増えています。
NTTドコモが小学1年生から中学3年生までの携帯電話ユーザーの状況を調べたところ、所有率は小学1年生の14%から中学3年生の76%まで学年が上がるにつれ上昇していました。また、小学6年生で50%だったものが、中学1年生で69%に急上昇していて、中学生になった機会に保護者が与えているようです。
フィーチャーフォンとスマートフォンの比率は、小学生はフィーチャーフォンが全体的に多く、中学生はスマートフォンが圧倒的に多い、という状況でした。
具体的には以下のとおりで、中学3年生になると、73%がスマートフォンを使い、携帯電話ユーザーは3%しかいません。
学年 | スマートフォン | 携帯電話 | 未所有 |
---|---|---|---|
小学1年生 | 3% | 11% | 86% |
小学2年生 | 8% | 14% | 78% |
小学3年生 | 8% | 23% | 69% |
小学4年生 | 14% | 25% | 60% |
小学5年生 | 16% | 26% | 58% |
小学6年生 | 27% | 23% | 50% |
中学1年生 | 60% | 8% | 31% |
中学2年生 | 60% | 5% | 35% |
中学3年生 | 73% | 3% | 24% |
※NTTドコモ「『データで読み解くモバイル利用トレンド 2020-2021 ―モバイル社会白書―』を出版」を元に作成
モバイル・コミュニケーションの手段は?
モバイル機器は重要なコミュニケーション手段ですが、実際にはどのように利用されているのでしょうか。NTTドコモの調査レポートから、「モバイルコミュニケーション」の部分をみていきます。
主要ツールはメールからLINEへ
もっとも多く使う日常会話のコミュニケーション手段は、相手が同居家族なのか別居家族・親族なのかによって傾向が異なります。
同居家族に対する場合、2020年時点では「直接会って伝える」が47.5%で最多でした。以下「LINEでのメッセージ」(25.6%)、「携帯電話での通話」(12.0%)、「固定電話での通話」(7.6%)、「携帯電話でのメール」(6.2%)という結果です。
世の中のオンライン化が進んでいるにもかかわらず、「直接会って伝える」の割合に大きな変化はありません。「携帯電話での通話」と「固定電話での通話」は徐々に少なくなっています。また、文字コミュニケーションの「LINEでのメッセージ」と「携帯電話でのメール」を合わせた割合はおおむね横ばいで、そのなかで携帯電話メールからLINEメッセージへの移行が進みました。
別居している家族や親族との日常会話は、やはり「LINEでのメッセージ」と「携帯電話でのメール」の合計が増加傾向にあります。特に最近はLINEメッセージが急増し、2020年時点で40.5%を占めるようになりました。「携帯電話での通話」と「固定電話での通話」は少なくなっています。
ソーシャルメディア利用率は年代でさまざま
今やソーシャルメディアも忘れてはならないコミュニケーション手段であり、情報収集ツールです。生活のさまざまな場面で話題になりますし、スマートフォン所有者のほとんどが何らかの形で利用しているでしょう。
NTTドコモの調査によると、ソーシャルメディア利用率の上位は「LINE」(72.6%)、「Twitter」(36.4%)、「Instagram」(28.3%)、「Facebook」(26.3%)となりました。話題の「TikTok」は3.9%しかありません。
利用率を年代別でみると、ソーシャルメディアによって異なる傾向が現れました。「LINE」は10代が93.6%、70代が46.2%で、高齢になるほど利用率は下がるものの、すべての年代で他を大きく引き離し、圧倒的なトップです。「Twitter」と「Instagram」も同様で、年齢が上がるほど利用率が下がりました。「Facebook」は、10代が18.1%と低いのに対し、20代で33.2%へ急増しています。
全年代平均の利用率は3.9%と低い「TikTok」ですが、10代に限ると20.8%あり、「Facebook」を上回っています。ただし、20代以上で利用率がガクンと下がり、10代以外にはあまり使われていません。
ソーシャルメディアをマーケティングに活用する場合は、こうした特性を考慮する必要があるでしょう。
>インフルエンサーマーケティングとは?期待できる効果と成果を上げるコツ
音声機能の利用が広まる
NTTドコモは、この調査の一環で、音声を使うコミュニケーションとサービスの利用状況も調べました。スマートフォンの進歩にともない、音声機能の利用も広まっているようです。
LINE通話利用率6年で3倍に
前述したように音声通話の利用は減少傾向にありますが、音声通話に絞ってどのような手段が使われているか確認したところ、興味深い傾向が浮かび上がりました。
携帯電話の通話機能や、ソーシャルメディアで提供されている音声通話、「Skype」の音声通話の利用率は2014年以降あまり変化していません。ところが、「LINEでの音声通話」は2014年の23.2%から増え続け、2020年には64.6%となり、携帯電話の通話に迫る勢いです。
文字コミュニケーションでLINEが多用されるようになったのと同様、音声通話でもLINEの存在感が増しています。
通話以外の音声機能は?
音声が通話以外にも利用できると、多くの人に知られるようになってきました。「コンテンツとメディア」の「音声認識機能の認知率の年次推移」によると、2015年当時20%強から30%強だった「Google音声検索」「Apple Siri」の認知率は、2020年に前者が71.5%、後者が59.4%まで高まっています。また、「Amazon Alexa」の認知率も40.0%あります。
音声機能の認知率はこのように上昇した一方、利用率は低迷したままです。2020年時点で、「Google音声検索」は11.5%、「Apple Siri」は7.1%、「Amazon Alexa」は2.8%にとどまっています。
音声機能の成長余地は大きい
音声機能は、認知率が高い割に利用率が低い状況です。これは、音声を使ったコミュニケーションやコンテンツに成長の余地があることの表れではないでしょうか。
たとえば、2000年代半ばから存在しているポッドキャストがここに来て注目され始め、ポッドキャスト広告市場の拡大といった現象につながっています。ポッドキャストに限らず音声広告に対する期待は高く、先日発表されたアップルの新型スマートスピーカー「HomePod mini」が市場をさらに大きくするかもしれません。
イヤホン型のウェアラブルデバイスである「ヒアラブル」に対する需要も高まっています。IDCによると、2020年第1四半期の出荷台数は前年同期比14.1%増と好調です。
音声活用を育む土壌は整っているので、何かをきっかけにして急拡大する可能性があります。