ダイレクトリクルーティングの市場規模や利用率は？市場の拡大背景を解説

ダイレクトリクルーティングの市場規模

株式会社矢野経済研究所の調査^※によると、2023年度のダイレクトリクルーティングの市場規模は1,074億円でした。これは、前年度比23.2％の増加です。

ダイレクトリクルーティングサービスの市場規模は年々増加しており、2024年度は1,275億円の見込みです。

※出典：矢野経済研究所「ダイレクトリクルーティングサービス市場に関する調査を実施（2024年）」（2024年10月30日閲覧）

近年では人手不足による人材獲得競争の激化により、求人情報サイトに掲載する、人材紹介サービスを利用するといった、従来の「待ち」の採用活動とは異なる「攻め」の採用手法としてダイレクトリクルーティングが確立されています。

また、求職者側にとってもプロフィールを登録してオファーを待つだけであるため、手軽であることがメリットです。さらに知り得なかった企業との出会いや直接オファーを受けているため、面接に進みやすいといったメリットがあります。そのため、求職者も増加傾向にあります。

ダイレクトリクルーティングの企業利用率

また、マイナビの調査^※によると、ダイレクトリクルーティングの企業利用率は次のとおりです。

年度	利用率
2023年	35.1％
2022年	34.1％
2021年	26.9％

利用されたサービスの中で6位、応募者が出たサービス・手法の中でも6位、採用につながったサービス・手法の中では5位となります。

さらに、ダイレクトリクルーティングに割かれる予算は年々増加しているのが特徴です。

年度	予算	実績
2023年	226.6万円	178.9万円
2022年	201.5万円	150.2万円
2021年	163.2万円	145.8万円

※出典：マイナビ「中途採用状況調査2024年版（2023年実績）」（2024年10月30日閲覧）

求人情報サイトの利用や人材紹介サービスと比べると、まだ、利用率で上回ってはいないものの、採用手法のひとつとして主流になりつつあります。

ダイレクトリクルーティングの増加はデジタルツールの進化が要因のひとつです。SNSや専用の人材データベースを利用して簡単かつ効率的に候補者を見つけられるようになりました。ダイレクトリクルーティングは今後、さらに重要な役割を担うようになるでしょう。

ダイレクトリクルーティングの市場が拡大する背景

ダイレクトリクルーティングの市場が拡大する背景は、少子高齢化に伴う人手不足が挙げられます。人手不足によって人材獲得競争が激しくなり、求職者が企業を選ぶ時代となりました。

そのため、企業は選ばれるためにさまざまな施策を打つ必要に迫られています。その施策のひとつとしてダイレクトリクルーティングを導入する企業が増えています。

また、従来の採用情報を転職サイトや求人情報ページなどに掲載して応募を待つ方法では、年収や労働環境、企業の知名度といった要因で格差が生まれていました。しかし、ダイレクトリクルーティングは格差に関係なく、求職者に知ってもらえる手法として導入する企業が増えています。

ダイレクトリクルーティングのメリット

ダイレクトリクルーティングのメリットは次のとおりです。

• 採用コストを抑えられる場合がある
• 潜在層にもアプローチできる
• 採用のノウハウが蓄積される

それぞれ解説します。

採用コストを抑えられる場合がある

ダイレクトリクルーティングは、利用する媒体によっては採用コストを抑えられる場合があります。

人材紹介サービスを利用した場合、費用は転職成功者の年収をもとに計算されるため、高くなる場合があります。しかし、たとえばSNSを介したダイレクトリクルーティングの場合、みずから求職者にアプローチするため、仲介費用が発生しません。

また、想定外のコストがかかったりコストをかけたのに人材を獲得できなかったりといったこともないため、採用コストを抑えやすい傾向にあります。

潜在層にもアプローチできる

ダイレクトリクルーティングサービスに登録している求職者の中には、「とりあえず登録だけして情報収集をしておこう」といった方がいます。そのような転職潜在層にアプローチできるのがメリットです。

転職潜在層は顕在層と比べて優秀な人材が他社にまだ見つかっていないケースが多いため、競争率が低い傾向にあります。そのため、まだどこにも声をかけられていない優秀な人材を見つけやすいといったメリットがあります。

採用のノウハウが蓄積される

ダイレクトリクルーティングは企業側から積極的に動く採用手法であるため、採用のノウハウが蓄積されるのがメリットです。

ダイレクトリクルーティングは、自社で活躍する人材がどのような要素をもっていなければならないかといった分析能力が必要です。また、人材を見つけたとしても、興味を持ってもらうためにどのようにアピールしたらよいのかを考え実行する必要があります。

そのため、PDCAサイクルを回す過程で採用ノウハウが蓄積されます。

ダイレクトリクルーティングの課題

ダイレクトリクルーティングの課題は次のとおりです。

• 担当者に負担がかかる
• 採用までに長期間かかることもある
• スカウトスキルが必要になる

それぞれ解説します。

担当者に負担がかかる

ダイレクトリクルーティングは候補者に合わせてスカウトメールを作成したり、入社意欲の喚起をしたりするなど、採用者に負担がかかります。候補者が多ければ多いほど人事担当者の業務が増えることが課題です。

しかし、負担を軽減するためにスカウトメールを使いまわしたり、メッセージのやり取りを減らしたりすると、採用条件に合った人材を獲得しづらくなるといったデメリットが発生します。

このように、希望の人材を獲得するために人事担当者の負担がかかることが、ダイレクトリクルーティングの課題です。

採用までに長期間かかることもある

ダイレクトリクルーティングは、候補者に積極的にアプローチをして興味を持ってもらうことから始めるため、採用まで時間がかかるケースがあります。

アプローチした人材が自社を初めて知った場合や、転職意思がなかった場合、最初のメッセージで応募してもらえることは稀です。したがって、候補者に興味、関心を持ってもらうためのやり取りが必要になります。

具体的にはターゲットの選定、アプローチ、信頼関係の構築、複数回の面談設定といった手順を踏む必要があります。そのため、採用までの期間が長くなりやすい点が課題です。

スカウトスキルが必要になる

スカウトスキルが必要になるのもダイレクトリクルーティングの課題のひとつです。転職意思がない、自社のことを知らない方に対して興味をもってもらう必要があるため、興味を引くスカウトメールの作成スキルや面談スキルが必要になります。

また、ダイレクトリクルーティングサービスに登録したすべての方が、細かく職歴や経歴を記入しているとは限りません。そのため、限られた情報の中から自社に合う人材かを見極める能力も必要です。

おすすめダイレクトリクルーティングサービス5選

優秀な人材の採用に役立つおすすめのダイレクトリクルーティングサービスを紹介します。それぞれの特徴をまとめているので、サービス選びの参考にしてください。

doda ダイレクトは、日本最大級の人材データベースを利用できるダイレクトリクルーティングサービスです。データベースに登録された転職希望者のスキルや居住地といった情報を確認して、直接スカウトメールを送信できます。また、プレミアムオファー機能を利用することで、開封率や応募率を高められます。

レバテックダイレクトは、ITエンジニアの採用に強いダイレクトリクルーティングサービスです。45万人以上^※のIT求職者が登録しているため、採用条件を満たした人材を見つけやすい特徴があります。また、「即戦力が欲しい」「長く活躍してくれる人材を求めている」など、企業の課題に合わせて提案をしてくれます。

※出典：レバテック「法人さまお問い合わせ | レバテック」（2024年10月30日閲覧）

リクルートダイレクトスカウトは、AIが求職者のデータを分析し、おすすめの人材を提案してくれるダイレクトリクルーティングサービスです。スキルや職歴の異なる人材が登録しているため、採用条件に合った人材に出会えます。さらに、初期費用が無料であるため、コストを抑えてサービスをはじめられます。

マイナビジョブ20'sスカウトは、20代の正社員採用に強みをもつダイレクトリクルーティングサービスです。検索と選択の2ステップでスカウトができるため、効率よく求職者にアプローチできます。また、キャリアアドバイザーから求職者を紹介もしてくれます。費用は完全報酬型であるため、月々にかかる固定コストはありません。

キャリオクは、欲しい人材を低コストで採用できるダイレクトリクルーティングサービスです。90万人以上^※が登録するデータベースを活用でき、スカウトメールの細かい設定が可能です。そのため、質の高い母集団形成ができます。また、専任のサポート担当者が付くため、操作方法がわからない、スカウトの文面が作成できない、検索条件の設定ができないといった不安を解消できます。

※出典：SBヒューマンキャピタル「意欲ある求職者にのみアプローチ ほしい人材を低コストで採用」（2024年10月30日閲覧）

ダイレクトリクルーティングを活用して効果的な採用活動を

ダイレクトリクルーティングの市場規模は、2023年度に1,074億円を記録し、2024年度も増加する見込みです。また、企業利用率も年々増加しており、採用活動の手法として認知されています。

ダイレクトリクルーティングは、採用コストを抑えられる場合がある、転職潜在層にもアプローチできる、採用ノウハウが蓄積できるなどがメリットです。うまく活用すれば採用活動を効果的にできます。

サービスを利用する際はサービスのタイプや登録者数、料金形態を確認してから選ぶようにしましょう。

ダイレクトリクルーティングサービスは、次の記事でも詳しく紹介しています。