コホート分析とは | Googleアナリティクスでの機能活用方法・維持率

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- コホート分析とは
- コホート分析によってわかること
- コホート分析と「顧客維持率」の関係
- コホート分析のメリット
- ユーザーニーズを細かく把握できる
- リピーターに焦点を当てられる
- トレンド分析や需要予測にも役立つ
- 社内リソースの最適化につながる
- コホート分析をする際の注意点
- ユーザーが少ないと精度が低くなる
- 基準となる時間軸を決める必要がある
- コホート分析の活用方法
- ユーザーやページビュー減少時の対策を打つ
- 離脱傾向を分析して新規獲得の目標を立てる
- キャンペーンの効果検証を行う
- 顧客リストの見直しができる
- コホート分析の3つの手法
- 回顧的情報分析
- 標準コーホート表
- ベイズ型コホートモデル
- コホート分析に活用できるツール
- Google Analytics
- Excel
- 顧客維持率の向上や販売促進のためにもコホート分析を活用しよう
- BOXILとは
コホート分析とは
コホート分析とは、特定の条件に基づいてユーザーをグループ(コホート)に分け、時間の経過とともに行動がどのように変化するかを分析する手法です。もともとは疫学や人口統計学で使われていましたが、現在ではWebマーケティングやプロダクト分析にも広く活用されています。
WebサイトやECサイト、アプリケーションのユーザーを属性や条件といった「コホート」に分けることで、ユーザーの行動を把握し、顧客満足の維持や商品やサービスの利用継続に役立てます。
コホート分析によってわかること
Webマーケティングにおけるコホート分析では、次のようなことがわかります。
- 一定期間中にページビュー数が増える(減る)タイミング
- コホートごとのページ滞在時間の違い
- 閲覧のみで離脱してしまったユーザーの傾向
- ECカートに商品を入れたものの購買しなかったユーザーの傾向
ユーザーをコホートに分類することで、ページビューや滞在時間、購買につながらなかったユーザーなどさまざまな情報を収集でき、コホートによる傾向を掴めます。
コホート分析と「顧客維持率」の関係
コホート分析を進めるうえで大切なのが、「顧客維持率」です。顧客維持率(リテンションレート)とは、一定期間後にどれだけのユーザーが引き続き商品やサービスを利用しているかを示す指標です。リテンション率が高いほど、顧客は継続してサービスを利用しているといえます。
高い満足を感じているユーザーは、商品やサービスを中長期的に購入してくれる可能性が高いです。初めてコホート分析を行う際は、「顧客維持率」をベースにすると効果がわかりやすいでしょう。
コホート分析のメリット
コホート分析を行うことには次のようなメリットがあります。
- ユーザーニーズを細かく把握できる
- リピーターに焦点を当てられる
- トレンド分析や需要予測にも役立つ
- 社内リソースの最適化につながる
ユーザーニーズを細かく把握できる
コホート分析では、特定グループの行動を追跡するため、ユーザーニーズを細かく把握できます。たとえば、キャンペーン期間中に「A商品」を購入したユーザーのグループを追跡するとします。そのグループが関連商品である「B商品」も同時に購入している場合、B商品にニーズがあると判断可能です。
コホートの傾向を掴むことで、ユーザーが何を求めているのかが可視化され、商品やサービスの販促施策につなげられます。
リピーターに焦点を当てられる
新規顧客よりもリピーターに焦点を当てられるのも、コホート分析の大きなメリットです。たとえば、一度商品を購入したことのある顧客を特定の条件でグループに分け、購買頻度や離脱率などを調べます。
分析結果をもとに、「2度目の購入につなげるには何をすべきか」「顧客を定着させるために何の施策が必要か」を検討可能です。企業や店舗にとって、購買頻度の高いリピーターは重要な存在といえます。コホート分析によって顧客のニーズを察知し、いかにリピートしてもらうかを考えることが大切です。
トレンド分析や需要予測にも役立つ
コホート分析では、特定の期間におけるグループの行動傾向を掴めます。「3〜5月には〇〇の傾向があった」「年末年始は〇〇の商品がよく売れる」などがわかるため、トレンドの分析が可能です。
毎年分析を行えば年単位での顧客ニーズを掴めるため、需要予測にも役立ちます。「誰に何が売れるのか」を予測できれば、それに備えて在庫を準備できたり、キャッシュフローを調整しやすくなったりします。
社内リソースの最適化につながる
社内リソースの最適化につながるのもコホート分析の大きなメリットです。顧客維持率を高めるためには、最適な施策を見つけ、効果検証を繰り返す必要があります。しかし、効率的にPDCAサイクルを回すためには、担当者の稼働や人件費といった社内リソースが必要です。
また、リソースに余裕がない状態だと、短期的なキャッシュを稼ぐための施策が優先され、リピート戦略は後回しになりがちです。コホート分析を実施すれば、顧客のニーズや行動を正確に掴めるため、限られた人材や資金でもリピーターを増やすための戦略を立てられます。
コホート分析をする際の注意点
コホート分析には多くのメリットがある反面、注意点もあります。とくに注意したい点は次のとおりです。
- ユーザーが少ないと精度が低くなる
- 基準となる時間軸を決める必要がある
ユーザーが少ないと精度が低くなる
コホート分析では、特定の要件に合ったユーザーをグループ化し、行動を分析します。その際ユーザー数が少ないと分析精度も下がってしまうため注意が必要です。グループに2〜3人しかいないと行動の傾向も掴みにくいため、適切な施策を打てません。
一方でグループが数百人や1,000人の場合は、数名のユーザーに特殊な行動が見られても全体の数字には影響しにくいです。コホート分析の精度を高めるためにも、まずはユーザー数を増やす必要があります。
基準となる時間軸を決める必要がある
コホート分析では、一定の期間内でグループがどういった行動をするのかを分析するため、前提となる「時間軸」の設定が重要です。たとえば、1か月単位で行うのか、2週間単位で行うのかなど、基準となる時間軸が明確でなければ、分析の粒度も高まりません。
一般的には1か月や1週間単位で分析することが多いですが、目的によっては四半期や1日単位で分析した方が効果の見える場合もあります。
コホート分析の活用方法
コホート分析では、得られたデータをどのように捉えて、適切な施策を打てるかが重要です。コホート分析の具体的な活用方法として次の4つがあげられます。
- ユーザーやページビュー減少時の対策を打つ
- 離脱傾向を分析して新規獲得の目標を立てる
- キャンペーンの効果検証を行う
- 顧客リストの見直しができる
ユーザーやページビュー減少時の対策を打つ
コホート分析では、ユーザーやページビューが減少するタイミングを把握できます。ユーザーの獲得やページビューの増加から何日後に減少に転じるかわかれば、減少する直前に適切なアプローチが可能です。たとえば、新しいコンテンツを投稿する、投稿頻度を増やすなどの対策があげられます。
Webサイトのインターフェースを整えたり、内部リンクを設置したりといった内部対策を行えば、検索順位の向上も狙えるでしょう。
離脱傾向を分析して新規獲得の目標を立てる
コホート分析では、ユーザーの離脱傾向を可視化できます。「どのタイミングで何人程度のユーザーが離脱するか」がわかれば、その分をカバーするために必要な新規ユーザー数も算出可能です。
この方法は、離脱だけでなく「増加」にも役立てられます。ユーザーの増加が見込まれる時期には、新規の獲得施策ではなく離脱対策を行うといった工夫もできるでしょう。
キャンペーンの効果検証を行う
コホート分析は、商品やサービスにおけるキャンペーンの効果検証にも役立ちます。たとえば、キャンペーン期間に初めて商品を購入したユーザーをグループ化するとします。そこで、グループ内における「サイト訪問日」や「2回目の購入率」を分析することで、収益率や定着率の算出が可能です。したがって、本当にキャンペーンに効果があったのかがわかります。
顧客リストの見直しができる
コホート分析によって、グループごとの行動傾向をはじめ、ニーズ、ロイヤルティなどが見える化されます。グループの傾向は個人の傾向にも紐づくため、顧客リストのアップデートが可能です。顧客リストが精密になれば、より正確なターゲティングやセグメントができるでしょう。
コホート分析の3つの手法
コホート分析には、次の3つの手法があります。
- 回顧的情報分析
- 標準コーホート表
- ベイズ型コホートモデル
回顧的情報分析
回顧的情報分析とは、対象者の過去の行動や意識などのデータから、その原因や結果を調べる手法です。対象者自身が過去と比べて現在がどのように変化したのか、「聞き取り」で調査します。行動や言葉、感情など、数値化の難しい情報を扱う「定性調査」に近いため、統計的にデータを取るのが難しいのが特徴です。
標準コーホート表
標準コーホート表とは、データを「年齢」と「時系列」ごとに整理し、個々のグループがどのように変化するかを分析する表です。「年齢効果(同年齢の人々の影響)」「時代効果(特定の時代がもたらす影響)」「コホート効果(同じ世代に共通する影響)」の3つの視点から分析を行います。
ベイズ型コホートモデル
ベイズ型コホートモデルは、ベイズ統計学の手法を用いたコホート分析の一種であり、時代や年齢、世代による影響を確率的に推定するアプローチです。このモデルでは、標準コーホート表のデータを活用しつつ、確率分布に基づいて将来の傾向を予測することが可能です。
コホート分析に活用できるツール
続いて、コホート分析に活用できるツールを紹介します。
Google Analytics
Google Analyticsは、Googleが提供するアクセス解析ツールです。ユーザーの「属性データ」と「行動データ」を分析することで、Webサイトの解析に役立てられます。Google Analyticsでは、管理画面から「コホート分析」を選択可能です。
選択すると、「コホートの種類」「コホートのサイズ」「指標」「期間」の項目が表示され、それぞれ適切な内容を設定します。また、キャンペーンを経由したユーザーのリピート率も測定可能です。
Excel
Excelは、Microsoftが提供する表計算ソフトです。なかでも「ピボットテーブル」の機能を使うことで、コホート分析ができます。ユーザーの登録日や離脱日、顧客ナンバーといったデータを用意し、縦軸や横軸を設定すれば、コホート分析の表を作成可能です。ピボットテーブルのスキルは必要ですが、すでに社内でExcelを使っている場合は無料で利用できます。
顧客維持率の向上や販売促進のためにもコホート分析を活用しよう
心理学や社会学で用いられるコホート分析ですが、最近ではWebマーケティング領域でも広く使われています。Webサイトにおける「顧客維持率」と密接に関わっており、コホート分析を行うことで、顧客のニーズを満たしているか、満足を与えられているかを判断可能です。
コホート分析は、新規顧客の獲得はもちろん、リピート施策にも役立ちます。ほかにもトレンド分析や需要予測、社内リソースの最適化など多くのメリットを享受可能です。Google AnalyticsやExcelといったツールを使いながら、適切なコホート分析を行い、顧客維持率の向上や販売促進につなげましょう。
BOXILとは
BOXIL(ボクシル)は企業のDXを支援する法人向けプラットフォームです。SaaS比較サイト「BOXIL SaaS」、ビジネスメディア「BOXIL Magazine」、YouTubeチャンネル「BOXIL CHANNEL」を通じて、ビジネスに役立つ情報を発信しています。
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