個人事業主とは?フリーランス・会社員・法人との違い - メリット・設立の流れ
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個人事業主とは
個人事業主とは、個人で事業を行っている人のことです。個人事業主の例として、会社組織属さない商店やレストランを経営している方や、個人でコンサルタントをしている方が挙げられます。個人事業主は、必ずしも一人で事業を運営するのではなく、従業員を雇うこともあります。
個人事業主とフリーランスの違い
個人事業主とフリーランスの違いは、税務署に開業届けを提出したかどうかです。個人事業主は税務署に開業届けを提出し、税務上の所得区分で法人を設立せずに個人で事業を営みます。
フリーランスとは、特定の企業や団体と雇用契約を結ばず、独立してプロジェクトや仕事を請け負う人のことです。そのため、複数の会社と雇用契約ではなく請負契約やサービス契約を結びます。
フリーランスの仕事にはカメラマンやライターといったクリエイティブな仕事、コンサルタントやアドバイザー、IT技術者といった高い専門性が必要とされるものがあります。時間の融通が利きやすいのが特徴です。
個人事業主として開業届を提出するメリット
開業届を提出するメリットは、屋号で銀行口座が開設できることや、家族に支払った給与も経費に計上できることが挙げられるでしょう。屋号とは個人事業の名前のことで、これにより社会的信用を得られやすくなります。
個人事業主と会社員の違い
個人事業主と会社員の一番大きな違いは、企業と雇用契約を結んでいるかどうかです。個人事業主と会社員の違いをさらに詳しく解説します。
個人事業主に給与の概念はない
個人事業主は事業で得た収入を、事業に関わる経費やプライベートで使うお金に使います。このプライベートで使うお金は「事業主貸」に分類されます。
事業主貸とは、事業に無関係な支出を表します。個人事業主は、事業の収支計算を行って、利益を計算して確定申告をする義務があるので注意しましょう。その際に、事業主貸という勘定科目に生活費で使った金額を申請します。
一方、会社員は労働することで雇用先から給与が支払われ、確定申告や納税は会社が行ってくれます。
個人事業主は青色申告控除を受けられる
個人事業主になる場合は、税務署に開業届を出さなければなりません。またその際に、青色申告にする場合は青色申告承認申請書を提出しておく必要があります。
開業届は個人事業を開業した日から1か月以内、青色申告承認申請書は毎年3月15日まで、または開業した日から2か月以内が提出期限です。
個人事業主に有給はない
有給休暇とは、6か月以上継続して8割以上勤務した社員に対して10日間付与される労働者の権利です。個人事業主は、労働基準法上の労働者ではありません。
しかし、有給休暇がない個人事業主であっても、休みを自分で調整できる点は魅力があります。
個人事業主と法人の起業による違い
画像引用:ボクシル編集部にて作成
個人事業主と法人の起業による違いは何があるのでしょうか。また起業する場合、個人事業主の方が良いのでしょうか。法人を設立した方が良いのか、設立手続きや会計、税金の観点から説明します。
設立手続き
事業設立は、個人事業主では税務署に開業届を出すだけで良く、手続きは無料です。法人の場合は、会社設立には登記手続きが必要で、設立代行会社への報酬も含めた費用として、25万円から30万円ほどかかります。
また、法人の場合は解散するときにも費用がかかります。
会計
会計処理は、個人事業主では青色申告の場合は複式帳簿をつけなければならないので、基本的な簿記の知識が必要です。自分で勉強すれば、できないことはありません。
法人では、財務会計と税務会計の知識も必要で、税理士に頼むことになります。そして法人の方が給与を含めて経費として計上できる科目が増える点を覚えておきましょう。
個人事業主は、事業の収益が事業主の所得です。法人の場合は、経営者に報酬を払ってそれを経費として計上できるので、節税になるでしょう。
家族に給与を払う場合も、法人では役員報酬として払うことで経費にできます。
税金
個人事業主は、所得税を青色申告または白色申告で確定申告します。法人では、法人税を法人申告する必要があることを覚えておきましょう。
所得税は累進課税で、所得額に応じて税率は5~40%の間で6段階で変化します。法人税は、所得が800万円以下であれば15%、800万円以上は25.5%と2段階という点に注意です。
個人事業主は、税務署に開業届を提出する際に「青色申告承認申請書」を提出することで、青色申告の節税を受けられます。青色申告をする場合は、家計簿のような簡素な単式簿記ではなく、複式簿記で帳簿をつける必要があります。
個人事業主の税金や確定申告についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。ぜひチェックしてみてください。
個人事業主と法人の違いまとめ
個人事業主は、屋号を使えますが○○会社や○○法人という言葉は使えません。
また法人では、社会保険の雇用者負担の義務がありますが、個人事業主は従業員が5人未満であれば、一部の職種を除いて任意となります。
個人事業主の場合はすべての資産に相続税がかかりますが、法人では会社の資産に相続税はかかりません。
また負債といった事業の責任は、個人事業主は自らがすべて負います。法人では、法人格なので代表取締役であっても、個人として責任を負うことはありません。
個人事業主 | 法人 | |
---|---|---|
事業開始 | 開業届のみ(無料) | 登記手続きが必要(25~30万円) |
設立届出 | 開業から1か月以内 | 設立から2か月以内 |
事業年度 | 1月1日~12月31日 | 自由に決められる |
税金 | 収入から経費を引いた金額に対して課税 | 収入から経費と経営者の給与を引いた金額に対して課税 |
税率 | 所得額に応じて5~45% | 年間所得800万円以下は15%、以上は25.5% |
屋号 | 可だが「○○会社」は不可 | 可 |
赤字繰越 | 3年(青色申告の場合) | 9年(ただし、赤字でも毎年法人住民税は支払う) |
申告 | 自分で確定申告できる | 税理士に決算書の作成を頼む必要あり |
相続税 | すべての資産を対象に課税 | 会社の資産には課税されない |
社会保険 | 従業員5人未満は任意 | 加入義務付け |
個人事業主になるメリット・デメリット
では個人事業主のメリットとデメリットを、まとめまてみましょう。個人事業主と法人の違いという視点から、メリットとデメリットを整理します。
個人事業主のメリット
個人事業主になるメリットを3つ紹介します。
開業が簡単
個人事業主は、開業届を出すだけで事業を始められる点がメリットです。法人には「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」といった種類があり、手続き方法も違います。
法人では、設立手続きに会社設立代行業者を使うと通常25万円以上かかります。また株式会社の場合、資本金は1円でも可能ですが、取引先の企業規模などを考慮して平均300万円が相場となっています。
運営に手間とコストがかからない
会社設立の際の登記手続きから始まって毎月の社会保険の手続きなど、個人事業主は法人よりも事務処理が簡素となります。また税金の申告も、個人事業主は基本的な簿記の知識は必要なものの、青色申告ソフトを使えば自分で行えます。
事業運営にあたっての手間とコストは、個人事業主の方がずっと少ないといえます。
所得が少ない場合は納税額が低くなる
所得が330万円以下であれば、個人事業主の所得税は10%です。会社員における800万円以下の税率は一律15%なので、所得が低ければ法人税よりも安くなります。
個人事業主は青色申告をすると、複式簿記をつける必要はありますが、最大65万円まで控除できるなどの節税のメリットがあります。フリーランスとして起業する場合は、いきなり法人を設立するのではなく、まず個人事業主から始めるのがおすすめです。
個人事業主のデメリット
一方、個人事業主になるデメリットは何があるのでしょうか。
信用や融資が受けにくい
個人事業主は、信用が得られにくい傾向にあります。
個人事業主は、単価が安い場合が多く、法人より仕事を受注しやすい場合もあります。
しかし、法人としか取引しないという企業もあり、信用面で不利になります。
また金融機関からの融資も、法人の方が受けやすくなります。個人事業主の技業職は、第三者保証を要求される場合もあります。法人であれば、株式の発行で資金を調達できますが、個人事業主では株式発行による資金調達を行えません。
事業の責任を事業主が負わなければならない
個人事業主は、事業が倒産した場合に債権者に対して負債を全額弁済するという「無限責任」を負います。つまり、事業の資産を処分しても負債が払えなかった場合は、個人の財産を弁済に使わなければなりません。
法人は「有限責任」なので、倒産しても経営者個人に返済義務は発生せず、株主も自分の出資金額までしか責任を負いません。
融資を受ける際に、経営者が連帯責任を負う場合は、経営者にも返済義務が生じます。
所得が多いと納税額が増える
個人事業主の所得税は累進課税となるので、所得900万円以上で33%、1,800万円以上は40%、4000万円以上では45%です。一方、法人税は年間所得800万円以下は15%、800万円以上でも一律25.5%です。
そのため、個人事業主は所得が増えるほど、納税額が法人税よりも高くなります。
また、個人事業主は法人のように、給与が役員報酬として控除できません。
個人事業主になるには
個人事業主になるには、税務署に書類の提出が必要です。では、どのような手続きを踏めば個人事業主になれるのでしょうか。
個人事業の開業・廃業等届出書の提出
個人事業主になるには、個人事業の開業・廃業等届出書のみです。これは、新たに事業を開始したときや、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき、または事業を廃止したときに提出するものです。
個人事業の開業・廃業等届出書を税務署に提出すると個人事業主になれますが、青色申告承認申請書も出すことで青色申告特別控除を受けられます。
個人事業主への適性を判断し、自分らしい働き方をしよう
今までの説明を踏まえて、起業する際に個人事業主が良いのか、それとも法人にすべきなのか、また会社員として働くのか悩む方もいるのではないでしょうか。
一般的に、自己管理能力が高く、他人とのコミュニケーション能力が高い方は個人事業主に向いていると言われます。また、仕事に対して夢中になり、積極的に課題解決にアプローチできる方が成功する傾向にあります。
自分自身がどのように働きたいのか、何がしたいのかといった要素も考えて、自分にあう道を選択しましょう。
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