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2018-01-25

ゲームチェンジャーとは | 市場のルールを覆す企業と異業種競争

それまでの市場競争のルールを覆す存在であるゲームチェンジャーについて、それが注目されるきっかけとなった内田和成氏の著書「ゲーム・チェンジャーの競争戦略」の解説を通して、できるだけ詳しく説明していきます。
経営企画・マーケティング
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早稲田大学のビジネススクール教授である内田和成氏が異業種競争における勝者の法則をまとめた「ゲーム・チェンジャーの競争戦略」を発売したことで、あらためて「ゲームチェンジャー」という言葉が注目されるようになっています。

そこで今回は、この著書の内容を紹介しながら、市場におけるゲームチェンジャーの特徴やその対策について解説していきます。

ゲームチェンジャーとは

ゲームチェンジャーとは、もともとは野球などのスポーツにおいて、試合の流れを一気に変えてしまう選手のことをいいました。
しかしビジネスの分野では、これが転じて市場の状況やルールを急激に変えてしまう製品や企業のことを指します。

異業種競争戦略

これまでビジネスにおける競合といえば、通常は自社と同じビジネスを展開している他社のことを指すのが一般的でした。

しかし近年はその様相が変わり、本来はまったく違う業界の企業が競合他社として現れるケースが増えてきています。

たとえば、デジタルカメラの市場は高性能なカメラ機能のついたスマートフォンが台頭することによって競合関係となりました。
電子辞書やカーナビの市場でも、スマートフォンやタブレットの専用アプリが登場することによって、売上が減少してしまったのは有名な話です。

異業種間競争をけん引するゲームチェンジャー

こういった業種を超えた企業間競争は今では当たり前に存在し、多くの企業がこれまで異常に激しい競争を勝ち抜かなくてはならなくなっています。

内田教授は、このような状況を「異業種競争戦略」で体系化し、新しいビジネスのルールを確立するための手法を提示しました。

それが今回のゲームチェンジャーというコンセプトにつながっています。

ゲーム・チェンジャーの競争戦略

「ゲーム・チェンジャーの競争戦略」では、主に異業種競争における勝者の法則がまとめられています。

特にこれまでの競争のルールを破壊してしまう企業をゲームチェンジャーとして定義し、そういった革新的なプレイヤーのもつ特徴や戦い方について分析を試みています。

特に日本をはじめとした先進国の市場では、多種多様な製品やサービスが溢れていると同時に、同じ市場に多数の競合がひしめき合っている状況です。
そうなると、多くの企業は異なる分野の市場に活路を見出そうとするため、結果として、業界の垣根を越えた異業種間競争が展開されることになります。

ゲームチェンジャーがルールを破壊する

ゲームチェンジャーとなる企業は、そのなかでも特に既存の競争ルールを破壊し、圧倒的な成果を上げる存在として登場します。

彼らによって新しい視点や戦い方が市場に持ち込まれることにより、既存企業の勝ちパターンは無力化されてしまい、それまで当たり前だった状況が覆されるようになります。

また、その市場におけるコミュニティや、それに関わる一人ひとりの顧客に新しい価値観をもたらし、それ自体が次世代の基準となっていきます。

既存企業にとっても有益な情報を得られる

ゲームチェンジャーとなった企業は新しい競争ルールのもとで新しい勝ちパターンを築き上げ、さらに新規事業やイノベーションのための視点をもつことができます。
逆に既存企業にとっては、彼らがどのような競争を仕掛けてくるのかを理解し、しっかりとした対抗策をとらなければ、大きな損失を被ってしまう可能性が高くなります。

同書では、ゲームチェンジャーとして市場に参入する立場だけでなく、攻められる側の既存プレーヤーの戦い方にも注目しているので、多くの企業にとって有益な知見を得ることができます。

ゲームチェンジャーの4類型

「ゲーム・チェンジャーの競争戦略」では、異業種から攻撃をしかけるゲームチェンジャーを以下の4つの類型に分類しています。

  • 秩序破壊型(Breaker)
  • 市場創造型(Creator)
  • ビジネス創造型(Developer)
  • プロセス改革型(Arranger)

以下ではそれぞれについて概要・特徴・例を解説していきます。

秩序破壊型(Breaker)

「秩序破壊型(Breaker)」は、既存の製品やサービスを新しい仕組みによって提供することによって競争のルールを変える方法です。

たとえ顧客に提供する製品やサービスが同じだったとしても、新しい儲けの仕組みを導入することによって、市場に新しい価値を提供できるようになります。

秩序破壊型の特徴

秩序破壊型のゲームチェンジャーが参入してくると、彼らの新しい儲けの仕組みが既存企業にとって真似したくても真似できない参入障壁になります。

これは顧客にとっては歓迎すべきことですが、既存企業にとっては、これまでの勝ちパターンや競争ルールが壊されてしまいます。
また、対抗策をとることによって自らの儲けのルールを壊さなくてはならなくなるため、難しい舵取りを迫られることになります。

秩序破壊型プレイヤーの例

これまでゲーム業界ではニンテンドーDSやPSPといったハードを購入しなければゲームを遊ぶことができないのが普通でした。それがスマートフォンやiPadといったデバイスが登場したことにより、だれでも簡単にゲームをプレイすることが可能になったわけです。

もともとゲーム業界はハードではなくソフトで利益を上げていたので、ソフトを開発し、あとはネットで配信するだけのアプリゲームの登場で、大幅に利益が下がってしまうことになりました。

市場創造型(Creator)

市場創造型(Creator)は、儲けの仕組みはこれまでと同じである一方、これまでにない新しい製品・サービスを市場に提供することにより新しい市場を創造するタイプです。

既存市場には触れることなく、まったく新しい市場を作り上げるため、既存市場のプレイヤーにとってはそこまで脅威とはなりません。
ただし、新市場が既存市場に代替するようになってくると、必然的に競合相手ということになります。

市場創造型の特徴

市場創造型のゲームチェンジャーは、これまでと同じような製品やサービスを扱っているようでも、実は顧客が既存製品に対してもっていた不満を改善したり、潜在的なニーズを満たして新しい市場を作り出したりしています。

場合によっては、顧客自身も気づいていなかったニーズを具現化することで競争のルールを変えてしまいます。
そのため、既存市場のプレイヤーが知らないうちに、まったく新しい市場ができ上がってしまっていることも少なくありません。

市場創造型プレイヤーの例

「ゲーム・チェンジャーの競争戦略」では、市場創造型プレイヤーの例として「JINSのパソコン用メガネ」を挙げています。

それまでの眼鏡市場で当たり前だった「視力を矯正する」という目的ではなく、パソコン作業中の目の疲れを軽減するという機能を前面に売り出したことで、発売後約2年で300万本を売るほどの大ヒットを実現しました。

ビジネス創造型(Developer)

「ビジネス創造型(Developer)」は、これまで存在しなかった新しい製品・サービスをまったく新しい儲けのシステムで提供します。

ビジネスは何から何まで計画的に行えることはなく、顧客のニーズがはっきりわからないなかで、まったく新しい製品・サービスを新しいビジネスモデルのもとで提供することは困難を極めます。

しかし、ビジネスのなかには、起業家の思いつきや情熱が原動力となって、その後から儲けの仕組みができ上がる場合もあります。
ビジネス創造型はそういったタイプのビジネスに多く、思いもよらないところから業界のルールを変えるような画期的な製品やサービスが登場してくることもあります。

ビジネス創造型の特徴

起業家のもつ独自の技術や仕組みと、それを活用できる市場が発見されることで顧客や既存市場のプレイヤーが思いもよらなかったビジネスが創造されます。

ビジネスモデルもユニークであることが多く、既存市場に驚きをもって迎えられることになります。

ビジネス創造型プレイヤーの例

カカクコムが運営する「価格.com」は、顧客が自ら行って調べるしか方法がなかったさまざまな店舗の価格情報を自宅で簡単に調べることができる人気サイトです。

主な収入源は各小売店舗からの広告収入および価格.comから各小売店舗のサイトに顧客が移動した際の手数料収入です。

現在では実店舗で購入予定の商品を調べたうえで、同サイトでもっとも安い店舗を検索し、そこから購入する流れもできています。

小売店にとっては熾烈な価格競争に晒されるという意味で脅威的な存在ともいえるでしょう。

プロセス改革型(Arranger)

「プロセス改革型(Arranger)」は、提供する製品・サービスも儲けの仕組みも既存のものを提供するプレイヤーです。
しかし、製品を提供する際の流れやバリューチェーンを改革することで、顧客に対して新しい価値を提供する戦略をとります。

プロセス改革型の特徴

これまで顧客の負担になっていた購買に関するプロセスを省略したり、提供するスピードを上げたりすることで顧客ロイヤルティを高める施策をとるケースが多いようです。

多くのビジネスでは、バリューチェーンに何らかの問題を抱えていることがありますが、それを徹底的に改善することによって、顧客に新しい付加価値を提供するわけです。

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プロセス改革型プレイヤーの例

プロセス改革型プレイヤーの代表例がアマゾンです。
扱っている商品自体は他の店舗でも買えるものばかりであり、また、それをそのまま顧客に提供することで売上とするのもこれまでの小売店のモデルと同じです。

しかし、アマゾンはネット上に店舗があるために、顧客はインターネット回線さえあればいつでも好きなタイミングで買い物をすることができます。
店舗の広さや在庫などに制限がなく、ユーザーは豊富な商品ラインナップから必要なものを検索することで、すぐに手に入れることができます。

購買プロセスの観点からいえば、店舗に出掛け、目当ての商品が並んでいる棚を探すというプロセスを省略しているわけです。
こういった利便性から、今では日本国内の書店で大きな売上をあげる企業となっています。

異業種競争

近年は、上記のゲームチェンジャーの4類系が異業種に参入することが多くなりました。
また、新しい視点をもったベンチャー企業の台頭によって、競争が激化している業界が増えています。

事実、ゲームチェンジャーの登場によって急激に変化した市場に対応できず、そのまま淘汰されてしまった企業もけっして少なくありません。

では、既存企業はいかにしてそれまでの事業を守り、激しい競争のなか生き残っていくべきなのでしょうか?

このことについて、内田和成教授の「異業種競争戦略」では、そこに業界全体の関連企業のより大きな見取り図を設定して、最終的に異業種競争で生き残るためのヒントを提示しています。

異業種競争と事業連鎖

1企業を超えた業界全体の事業の連鎖を「事業連鎖(ビジネス・チェーン)」といいます。

たとえば写真関連業界では、もともとフィルムメーカー、カメラ自体の製造メーカー、現像業者、写真を収めるアルバムメーカーといったように、きちんとした分業体制が成立していました。

しかし技術の進歩によって、フィルムメーカーとカメラメーカーが競合する状況となりました。
また個人で現像できるDPEショップなどの登場によって、現像業者が淘汰されるといった事態が起こるようになりました。

さらにデジカメの登場でフィルムメーカーが大きな打撃を受け、スマートフォンなどのカメラ機能によって、デジカメ市場も脅かされることになりました。
こういった業界全体の変遷を事業連鎖の視点で俯瞰してみることで、競争のルールや相手がどのように変わってきたかがわかるようになります。

技術の進歩によって次々とゲームチェンジャーが現れ、業界全体が様変わりしてきた様子がよくわかる例といえるでしょう。

異業種対策は?

このように、ゲームチェンジャーとなる企業が登場すると、そのたびにこれまでの競争環境が一変してしまいます。

消費者にとっては利便性が上がったり、価格が下がったりして歓迎すべきことではあります。
しかし、既存事業にとってはこれまでの戦略を変更せざるを得ない状況に追い込まれることになり、場合によってはそのまま市場から淘汰されることもあるのです。

そうならないためにも、既存企業は自社業界の現在の事業連鎖に注目しながら、こういったゲームチェンジャーへの対策を立てておく必要があります。

新しい勝ちパターンを模索する

とはいうものの、異業種間の競争では、相手がどんな方法で市場を狙ってくるかわからないものです。
知らないうちに競争のルールを変えられてしまえば、もはやそれまでの自社の戦略は通用しなくなってしまいます。

しかし、こちらから積極的に新しい勝ちパターンをつくりあげるという視点に立てば、そこから既存事業のイノベーションや新しい事業を興すためのきっかけをつくることができるでしょう。
特に今現在の事業領域を広げたいと考えている経営者ならば、市場の変化そのものをチャンスと捉えることもできます。

自らがゲームチェンジャーとなる

さらに自社の事業連鎖を詳細に把握し、ゲームチェンジャーの類型とそれぞれの戦略について理解することにより、既存プレイヤーが自らその業界でのゲームチェンジャーとなることも可能です。

現在の市場状況に安穏とせず、競争のルールを変えるため戦い方を学んで日々実践していくことで、これまでとまったく違ったアプローチで事業を変革するための戦略を構築できるようになるはずです。

自らがゲームチェンジャーとなることで競合の台頭を防ぎ、さらにこちらの思うままに市場を席巻することができるようになるでしょう。

既存事業を変革していきたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。

ゲームチェンジャーの特性を理解して異業種競争で勝ち残るために

本記事では、ゲームチェンジャーの登場による異業種競争について、書籍「ゲーム・チェンジャーの競争戦略」の内容を参考に説明してきました。

自社が新しい事業分野に打って出ようとするベンチャー企業でも、そういった新しい企業と戦う立場にある企業であっても、本書は非常に有用な知見を得ることができます。
少しでも興味をもたれた方は、ぜひ実際に手にとって読んでみてください。

ビジネスの現場で実際に起きた企業間の攻防をもとに、イノベーターとして必要な知識を身に着けることができるはずです。

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