Win7狙う脅威が急増 「使えているから十分」は駄目!サポート終了まで1か月切る
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持ち直しているPC市場、国内出荷は約7割増加
スマートフォンに押されるなどして不振の続いていたPC市場だが、このところ持ち直している。2019年第3四半期の世界出荷台数は、カナリスが7,090万台(前年同期比4.7%増)、IDCが7,040万台(同3%増)としており、好調らしい。IDC Japanによると、国内市場は前年同期から69.7%も多い480万台が出荷されたという。
具体的な数字は調査会社によって違うものの、いずれも2020年1月の「Windows 7」サポート終了による「Windows 10」移行を好調の理由として挙げていた。サポートが打ち切られたWindows 7は、使えなくなるのだろうか。そのまま使い続けると、何か問題が発生するのだろうか。
Windows 7サポート終了は2020年1月14日
日本マイクロソフトは、2020年1月14日にWindows 7のサポートを終了させる。どのような影響があるのか、同社の情報で確認しよう。
セキュリティ更新の対象外に
1月14日が過ぎると、Windows 7に対してセキュリティ更新プログラムが提供されなくなる。つまり、サイバー攻撃に悪用される脆弱(ぜいじゃく)性が発見されても、Windows 7は弱点が放置されたままになってしまう。「Windows Update」を起動しても、 当然ソフトウェア更新は受けられない。
Windows 7上のセキュリティ対策ソフトウェア「Microsoft Security Essentials」もサポート対象外となり、保護能力を期待できないだろう。そのため、Windows 7が以前にも増してセキュリティ被害に遭いやすくなる。
テクニカルサポートも受けられない
マイクロソフトは、無償、有償を問わずテクニカルサポートの提供もやめる。その結果、カスタマーサービス経由で仕様変更や新機能をリクエストしたり、技術的な相談に対応してもらったりできない。Windows 7で問題が発生しても、マイクロソフトには頼れなくなるのだ。
Windows 7上で使えなくなるものも
Windows 7向けに提供されているマイクロソフトの関連サービスも、順次廃止される。
サードパーティ製のWindows 7用デバイスやソフトウェア、サービスについては、ベンダーによって対応が異なる。しかし、期限の切れたOS向けに新製品が出ることはないし、既存製品のサポートも提供されなくなるはずだ。
Windows 7は使い続けられるが
サポートが終了するといっても、いきなりWindows 7が起動しなくなるわけではない。PCの電源を入れれば、それまで通り機能する。ただし、その状態でWindows 7を使い続けることは、極めて危険だ。
急上昇する危険性
Windows 7などのサポート終了を受け、情報処理推進機構(IPA)が具体的なデータを示して注意喚起している。
IPAは、2019年1月から6月に登録されたWindows 7の脆弱性、合計158件を危険性「レベルI(注意)」「レベルII(警告)」「レベルIII(危険)」の3段階に分類した。すると、レベルIは15件、レベルIIは48件、レベルIIIは87件で、もっとも深刻な脆弱性が全体の55%を占めていた。
また、ウェブルートの調査では、2019年上半期にWindows 7の脆弱性が75%増えたそうだ。Windows 7搭載PCを狙うマルウェアも71%増加していて、危険性は高まっている。この状態でセキュリティ更新プログラムが提供されなくなると、感染リスクは間違いなく急上昇する。
約3割が依然Windows 7マシン
サポート終了後の危険性が指摘されるWindows 7だが、どの程度使われているのだろうか。
2019年11月時点のOS使用シェアを確認したところ、NetApplications.comによると33.37%、StatCounterによると27.45%と、3割程度あることが分かった。どちらのデータでもWindows 7のシェアは徐々に下がって来ているが、減少ペースは遅い。
この分だと、サポート終了時点でも相当数のWindows 7マシンが使われていそうだ。
最善の対策はWindows 10への移行
それでは、Windows 7ユーザーはどんな対応をすべきなのか。最善の対策は、Windows 7からWindows 10へ移行することだろう。
比較的新しく、性能の十分なPCならば、Windows 10を購入してアップグレードすればよい。Windows 7が登場した2009年から使い続けてきたようなハードウェアだと、Windows 10に対応していない可能性がある。それに、CPUの処理能力や搭載メモリー量が不十分で、Windows 10がインストールできても実用的な速度では動かせないかもしれない。その場合は、新たなPCに移行した方が快適になる。
どうしてもWindows 10移行が難しいユーザーは、Windows 7向けの有料延長サポート「Windows 7 Extended Security Update(ESU)」を検討する手もある。契約すれば、3年間、つまり2023年までサポートが受けられる。
ただし、契約利用可能なユーザーは法人に限られ、対象となるWindows 7のエディションも「Enterprise」「Professional」だけだ。さらに、サポート対象のPCごとにサポート料金を支払う必要がある。素直にWindows 10へ移行した方が、さまざまな点でメリットが大きくなると思われる。
なお、Windows 7と同じ1月14日には「Windows Server 2008」「Windows Server 2008R2」、10月13日には「Office 2010」もサポート終了を迎える。これをよい機会と受け止め、2020年はPC環境の見直しに取り組もう。
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