テレワーク・時差出勤広がる、新型肺炎対応で - 3つの対策観点
目次を閉じる
新型コロナウイルスの影響が現れ始めた
新型コロナウイルスの感染が世界各地で広まっている影響で、2月24日から27日にかけてスペインのバルセロナで開催される予定だった世界的な通信機器見本市「Mobile World Congress(MWC)2020」が中止された。日本でも、横浜で同じころ予定されていた映像機器の展示会「CP+(シーピープラス)2020」の開催中止が決まった。
こうしたイベントの中止は、製品発表の場が失われて企業の広報活動が十分には行えなくなり、製品発売の延期や見送りといった事態へ繋がる可能性がある。調査会社のカナリスは、新型コロナウイルスの感染拡大が、スマートフォンやPCの市場に悪影響を及ぼしかねない、と指摘した。
特に日本は、感染経路の不明な感染者が見つかっていて、海外への渡航歴がなかったり、海外からの帰国者と接触したりしていなくても、感染する可能性がある。そこで、感染しないように、各自の自己防衛が今まで以上に重要となった。
企業の対策で多いのは?3つの観点
経済活動への影響を抑えるため、GMOインターネットやメルカリ、オトバンク、楽天、クックパッドなど、実に多くの企業が新型コロナウイルス対策を打ち出している。
各企業が公表している対策のうち、多く見られた観点を3つにまとめた。
テレワーク・時差出勤で「人混みを避ける」
具体的な対策で目立つのは、在宅勤務の推進だ。これまで一部の従業員しか対象としていなかった在宅勤務やテレワーク、リモートオフィスの利用を、妊婦や持病のある人へ適用拡大したり、全従業員に認めたりする企業が増えた。
また、鉄道やバスなど混雑する交通機関で通勤する必要のある従業員に対して、時差通勤や混雑するルートの回避、土日出社といった方法で、通勤ラッシュを避けられるようにした企業もある。なかには、自転車や自家用車、タクシーの利用を認めるところもあった。
これは、人混みに巻き込まれることを回避することで、感染リスクを下げる狙いがある。
ミーティングはオンラインで
在宅勤務などと合わせ、対面会議を原則禁止にして、Web・テレビ会議の活用を推奨した企業も多い。社内の会議だけでなく、社外関係者との会議や採用面接も可能な限りオンライン化しようとしている例もあった。
インターネット接続されたカメラ付きPCやスマートフォンが普及しているので、比較的簡単に実行可能な対策だ。
出張やイベント参加の禁止
交通機関の利用を回避する目的で、国内外への出張を禁じた企業もある。また、各種会合や会合、イベントなどへの参加を自粛するよう求めたり、主催イベントのオンライン化や中止を決めたりしたところもある。
少し特殊な事例だが、化粧品メーカーのコーセーは、店頭で顧客の肌に直接触れる作業を自粛するという。
新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)の流行が沈静化するまで、多くの展示会や見本市、発表会、就活イベント、株主総会などが影響を受けるだろう。
COVID-19を正しく知れる政府のサイト
企業の新型コロナウイルス対策は、合理的で妥当なのだろうか。日本政府の公表している情報をみてみよう。
大切なのは手洗いと咳エチケット
情報がコンパクトに整理されていて読みやすいのは、内閣官房内閣広報室の「新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~」だ。
COVID-19の特徴、個人でできる感染症対策、感染が疑われる人を対象とした相談窓口など、基本的な情報がまとめられている。感染ルートは現時点で飛沫感染と接触感染の2つと考えられており、手洗いと咳エチケットの徹底が効果的だ。なおうがいの必要性には触れられていない。
厚労省はLINEアカウントを開設
マスク着用については、厚生労働省のQ&Aページで「咳やくしゃみ等の症状のある人は積極的にマスクをつけましょう」とされている。ただし、予防用にマスクを着用することは、「……屋外などでは、相当混み合っていない限り、マスクを着用することによる効果はあまり認められていません」とある。
厚労省のページには一般市民向けのFAQが掲載されており、このページに目を通せば疑問のほとんどが解消されるだろう。
さらに詳しい情報や、最新状況を知りたい場合は、同じく厚労省の「新型コロナウイルス感染症について」を参照するとよい。厚労省が運営している公式LINEアカウント「新型コロナウイルス感染症情報」も役立つ。
テレワークが一気に普及か
東京都は、2020年夏までに企業のテレワーク導入率を35%まで高めようとしているが、今のところ目標達成は難しそうだ。しかし、突如発生した新型コロナウイルス感染の問題により在宅勤務を迫られ、急きょテレワークを利用したり検討したりした企業は多いだろう。
従業員の大多数が在宅勤務で差し支えなく仕事を進められると実証できれば、テレワーク導入や多拠点リモートワークが一気に普及するかもしれない。出社することなく業務を遂行できる体制が整うと、自然災害発生時でも事業を続けるためのBCP(事業継続計画)策定も進めやすくなる。
在宅勤務に欠かせないリモートワーク用ツールやプロジェクト管理ツールなどは、多数存在する。さらに、こうしたツールを提供しているベンダーのなかには、認知度を高めようと無料の試用サービスや初期設定料の無料サービスを提供中のところもある。ピンチをチャンスと捉え、いろいろ試してみよう。
関連記事
BCP(事業継続計画)とは | 非常時に備えた対策・リスクマネジメントに使えるサービス
テレビ会議・Web会議システム、何が違う?メリットとデメリット