やっぱりビデオ会議の連続はストレス、10分の休憩でリラックス&集中度アップ?
目次を開く
連続するビデオ会議はストレスのもと
マイクロソフトは、在宅勤務で多くなりがちなビデオ会議がテーマの調査を行い、詰め込まれるビデオ会議の弊害と休憩の大切さをレポート「Research Proves Your Brain Needs Breaks」で示しました。
脳を「リセット」する休憩の効果
この調査では、ビデオ会議に参加する被験者の脳波(EGG)を測定し、会議中と休憩中にどの程度のストレスを感じているか調べています。
14人の被験者には、(1)議題の異なる30分間の会議に4回連続で参加する、(2)議題の異なる30分間の会議4回に各10分間の休憩を挟んで参加する、という行動をしてもらいました。(2)のパターンでは、被験者は休憩中にマイクロソフトのアプリを使って瞑想をしたそうです。
脳波の変化から感じているストレス度を数値化したところ、休憩なしでビデオ会議に参加した人はストレスの多い状態が続き、ストレスが蓄積されていました。一方、休憩しながら参加した人は、瞑想によってストレスが和らげられています。さらに、ストレスの少ない状態で安定しており、会議に4回参加してもストレスは蓄積されませんでした。
このことから、会議と会議のあいだに休憩すると脳が「リセット」され、次の会議にもリラックスした状態で臨めると考えられます。逆に、休憩なしで会議を続けなければならない状況だと、「会議が終わりに近づくと、すぐに次の会議が始まることがわかっているので、ギアを入れ替え、頭を使って別のことを必死で考えなくてはならない」ため、余計にストレスレベルが強まるようです。
複数の会議に参加する場合は、会議と会議のあいだに短くても休憩をとることが重要なのでしょう。
休憩は集中力も高める
マイクロソフトは、会議中の集中度についても調べています。それによると、休憩なしで会議を続けた人は集中力などが低下し、会議中に離脱状態へ陥っていました。対して休憩した人は、会議へ積極的に参加できていました。
休憩はヘルスケアやウェルビーイングの面で効果があるだけでなく、仕事の効率向上にもつながりそうです。
休みなしのビデオ会議を避ける
オフィスで対面の会議に参加する場合は、別の会議室へ移動したり、飲み物や食べ物を補充したり、トイレへ行ったり気分転換ができていました。ストレッチや瞑想なども行えて、休憩がとれます。ところが、在宅勤務でビデオ会議が連続すると、PCの前から動く暇がありません。
そこでマイクロソフトは、会議を詰め込まず、休憩時間を確保できる機能を「Microsoft Outlook」に追加しました。この機能を利用すると、「Microsoft Teams」で設定した会議の時間をたとえば5分短くしたうえで、Outlookへ反映させられます。つまり、会議の設定時間を削ることで、自動的に休憩時間を確保する仕組みです。
デジタルオーバーロードを防ぎ、意識的に休憩を
仕事において生産性の高い状態を維持するためには、休憩が欠かせません。このことは、以前から感覚的には理解されていました。作業を25分したら必ず5分休む、というサイクルを繰り返すポモドーロテクニックは、そうした経験則を活用した生産性向上方法です。マイクロソフトが行った今回の調査によって、そうした経験則が数値化されました。
ICTの発達により、いつでもどこでも仕事ができるようになりました。各自が適切な場所で適切な時間作業して成果を出す、という働き方が可能になったのも、ICTのお陰です。ただし、時間や場所に制限されず作業できる環境は、過剰に仕事をするデジタルオーバーロードを招きかねません。休憩なしで会議し続ける行為も、デジタルオーバーロードの一種です。
在宅勤務では、仕事と家庭の境界が曖昧になってしまいます。自宅ばかりで働くのではなく、ときどきはカフェやコワーキングスペース、サテライトオフィスなどを活用してはどうでしょうか。マイクロソフトは仕事を終えてプライベートな時間へ切り替えられるよう、「バーチャル通勤(virtual commute)」という機能を提供しようとしています。
「まん防」で働き方は変わった?
さて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大は一向に止まらず、引き続きテレワーク(リモートワーク)を活用した在宅勤務で人手を抑えるよう求められています。
まん延防止等重点措置の適用後に実施された、日本生産性本部の調査レポート「第5回 働く人の意識調査(2021年4月22日公表)」によると、テレワーク実施率は19.2%でした。1月実施の第4回調査では22.0%、以前紹介した2020年10月実施の第3回調査では18.9%、7月実施の第2回調査では20.2%と、2割程度で落ち着いたようです。
第4回調査は2回目の緊急事態宣言後に行われ、今回の調査はまん延防止等重点措置中でしたが、いずれもテレワークを増やす効果は見られません。最初の緊急事態宣言で31.5%あったテレワーク実施率は低下したままです。
1週間当たりの出勤日数は、今回の第5回調査で「0日」が18.5%、「1~2日」が32.7%、「3~4日」が28.4%、「5日以上」が20.4%と、2020年7月以降大きな変化はありません。
“在宅勤務スキル”は向上している?
テレワーク実施率が低いままな一方、在宅勤務に対する評価は悪くなく、むしろ好意的に受け止める人の割合が増えています。期間をこなしたことでうまく付き合えるようになり、“スキル”が向上したといえるかもしれません。
調査では、「自宅での勤務で効率が上がったか」「自宅での勤務に満足しているか」という質問に対しては、以下に示す結果が得られました。いずれも、高評価の回答が1年弱前の第1回調査から増加しています。
自宅での勤務で効率が上がったか | 割合 |
---|---|
効率が上がった | 15.5% |
やや上がった | 43.6% |
やや下がった | 32.6% |
効率は下がった | 8.3% |
自宅での勤務に満足しているか | 割合 |
---|---|
満足している | 27.1% |
どちらかと言えば満足している | 48.6% |
どちらかと言えば満足していない | 17.7% |
満足していない | 6.6% |
在宅勤務のメリットを実感する人が増えつつあっても、テレワーク実施率は高まりません。在宅勤務やテレワークだとスムーズに作業できない業務もあれば、つい働き過ぎてしまう問題があるのかもしれません。
そうはいってもテレワーク実施水準がコロナ以前に戻るとも考えづらく、休憩を意識的にとることがワークライフバランスの確保やウェルビーイングに必要です。