男性も「育児しやすさ」で職場を評価する時代へ 子育て世帯の働き方を考える
改正育児・介護休業法、施行迫る
育児休業する男性を増やそうと、2021年6月に育児・介護休業法が改正され、2022年4月1日より段階的に施行されます。企業は、育児休業しやすい環境の整備が求められています。
朝早くからオフィスへ出勤し、毎日のように残業する生活をしていたら、子どもとじっくり向き合う時間の確保は難しいでしょう。帰宅しても、家事に追われて気が休まりません。男女問わずワークライフバランスを改善し、余裕を持って子育てできる働き方の実現が必要です。
日本では、突然の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックでテレワークが広まり、在宅勤務する人が急増しました。もちろん、自宅にいても仕事中は子どもの相手などできません。しかし、通勤に費やしていた時間が不要になり、時間配分の自由度が増えます。子どもの送り迎え、通院の付き添い、災害時の対応などは行いやすくなり、メリットが大きいはずです。
企業としても、テレワークが可能になると、育休や産休している従業員に多少なりとも働いてもらったり、情報共有してもらったりできて、職場の柔軟性や冗長性を高められるでしょう。
育児とテレワークの両立、実際にどうだった?
テレワークは、育児や家事をする必要のある人にとって、好ましい働き方のように思えます。実際はどうなのでしょうか。調査レポートで確認していきます。
女性の育児負担はむしろ増加
LASSICは、テレワーク経験者を対象として、育児とテレワークに関する調査(※1)を実施しました。テレワーク後の育児時間について尋ねたところ、増えても減ってもいないと答えた人は男性が44.6%、女性が46.2%で、半数近くの人が変化していません。
ただ、男性に「減った」という回答が多く、女性に「増えた」という回答が多い状況でした。たとえば、1日に増えた時間が「1時間未満」は男性12.5%、女性14.1%、「1~3時間」は男性16.5%、女性19.2%、「3~6時間」は男性2.7%、女性5.1%といった具合です。
※1 LASSIC『【テレワークにおける『仕事と育児の両立』に関するアンケート】女性の約4割、男性の約3割がテレワークによって育児時間が増えたと回答!』
家事負担も女性へ偏りがち
LASSICは、家事とテレワークの関係も調査(※2)しています。テレワーク後の家事に費やす時間は、育児と同じく「変わらない」が男性44.7%、女性42.8%ともっとも多くなりました。
「減った」という回答が男性に多く、「増えた」という回答が女性に多い、という傾向も育児と同様です。特に「1日の家事時間が1~3時間増えた」男性は26.3%なのに対し、女性は32.1%と差が大きく、家事も負担は女性に偏りやすい、との結果が得られました。
ほかのデータも、この傾向を裏付けています。テレワークによって減った通勤時間を何に活用しているか、という質問において、「家事」と答えた男性は21.68%、女性は40.46%と約2倍もの違いが生じたのです。
※2 LASSIC『【テレワークにおける『仕事と家事の両立』に関するアンケート】男性の67%、女性の76%が「両立出来ている」もしくは「どちらかと言えば、両立出来ている」という結果に。』
ワークライフバランスに関するLASSICの別の調査(※3)にも、注目すべきデータがあります。
テレワークで良かった点を質問したところ、男性の18.82%と女性の28.52%が「家事や育児、介護など、家の用事に時間が作れるようになった」を挙げました。ここにも、家事や育児の負担が女性に偏る傾向が現れたのです。
※3 LASSIC『【テレワークにおける『ワークライフバランスの実現』に関するアンケート】テレワークは本当にワークライフバランスを実現しやすい働き方?カギは ”時間のメリハリ"。』
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