製造業界向けAI-OCRおすすめ5選！解決できる課題と事例

製造業界で活用できるAI-OCRとは？

AI-OCRとは、光学文字認識（OCR、Optical Character Recognition）と人工知能（AI）を組み合わせて文字情報を読み取る技術です。従来のOCR技術と人工知能の融合により、文字を認識する精度やレイアウトを解析する精度が大幅に向上したことで、さまざまな分野での業務の改善が期待されています。

製造業界では、伝票や請求書、作業証明書など大量の手書き帳票・印刷帳票をデータ化する工数・時間の削減が期待できます。

また、手書き・印刷文字を読み取りCSVデータとして出力できるシステムもあり、帳票データをスピーディーにほか業務と連携できるでしょう。

製造業界における手書き帳票の課題

製造業界では帳票の手書きやFAXによる紙文化が根強く残っています。また、企業によって帳票の様式が異なるため、さまざまな課題が発生します。

どのような課題が発生するのか詳しく紹介します。

紙の帳票をデータ化するのに時間がかかる

紙の帳票に記載された内容を集計するためには、手作業でのデータ化が必要です。

さらに、事業規模によっては発行される帳票の数が膨大になり、データ化に多くの時間と工数がかかります。

また、取引先によって帳票の様式が異なるため、集計する様式に合わせて変換しなければならないといった手間が発生するケースもあります。

データ化する際にミスが発生する

紙の帳票に記載された内容を担当者が目視で確認して手入力でデータ転記するため、ミスが発生しがちです。

ミスが発生した場合には、ミスした箇所を特定する作業も目視によって行われるため、問題を解決するためにリソースと時間が必要になります。

他のツールと連携できない

手入力で集計された帳票データの多くは、Excelのような表計算ソフトで作成されます。しかし、社内で使用されている他のシステムと自動的に連携できないケースがほとんどです。

データを加工したり、連携用データを作成したりとさらに手間がかかるため、データを転用・活用に時間がかかっている企業も少なくないでしょう。

書類の紛失リスクが伴う

何らかの確認のために帳票が必要になる場合、紙の帳票で管理していると、帳票を紛失したり、所在がわからなくなったりするリスクがあります。

とくに、帳票は一定期間保存しておかなければならないことも多いため、保管スペースを確保しなければなりません。後に過去の帳票が必要になった場合、膨大な資料から特定の帳票を見つけ出すのは労力を要します。

製造業界の課題をAI-OCRで解決できる理由

製造業界では、紙の帳票をデータ化するのに時間や工数がかかったり、データ化する際に人為的なミスが発生したりするなどの課題がありますが、AI-OCRを使用すればこれらの課題をスムーズに解決できます。

製造業界の手書き帳票の課題を解決できる理由を、AI-OCRの機能や詳細とともに解説します。

手入力を省略できる

AI-OCRは手書き文章やFAXの文章を読み取る精度が高く、用紙を読み取るだけでそのまま文字情報をデータ化できます。これにより、データ入力を省略できるため、集計作業にかかる工数や時間を大幅に削減できるのがメリットです。

サービスによっては、専門用語を学習させて対応できるタイプもあるため、業界用語や専門用語の読み取りもツールに任せられます。

ツール同士の連携が可能になる

AI-OCRとRPAを併用すれば、AI-OCRで読み取ったデータを抽出したり、データを転記したりする業務を自動化できます。

RPAとは、手作業で行うコンピュータ上の繰り返し作業を自動化する技術です。AI-OCRとともに導入すれば、これまでの業務をさらに効率化でき、人的リソースを他の業務に割けるでしょう。

AI-OCRとRPAについては、次の記事で詳しく紹介しています。

ペーパーレス化を実現できる

AI-OCRを導入すれば、手書きや印刷帳票をスムーズにデータ化でき、データの管理も容易になります。手書き帳票をいつまでも保管する必要がなくなるため、企業が扱う書類のペーパーレス化も実現可能です。

また、データによる保管で検索性が高まり、必要なタイミングで特定の帳票や書類をすぐに見つけられます。

製造業界におけるAI-OCRの導入事例

製造業界でAI-OCRを導入している企業の事例を紹介します。

神戸製鋼所

鉄鋼メーカーの神戸製鋼所では、AI-OCRのDX Suiteを導入することによって、書類の入力作業時間を大幅に削減できました。

多くの拠点で納品書や作業証明書などの手書き書類をデータ入力していました。特に手書きの社内アンケートのデータ入力作業には、年間1,200時間もかかっていたとのこと。これらのデータ入力作業が負担となり、本来の業務に充てる時間が減少したり、入力ミスが発生したりするなどの課題を抱えていました。

そこで、手書き文字の読取精度が高く、現場でも柔軟に設定可能であったDX Suiteを導入。導入後はエンジニアや事務職などさまざまな職種の従業員が、みずから帳票の設定を行い活用していて、当初150名ほどの利用を想定していたところ、約300名が利用するまで広がりました。

作業証明書の入力は約3.3時間／月、アンケートの入力も700～800時間ほどの短縮に至りました。導入後の現場からの評判も良いため、今後はさらに業務の効率化・自動化に向けてRPAの活用も視野に入れているようです。

※出典：AI inside「グループ展開で全国拠点に導入！約60%の業務時間削減に成功」（2024年3月18日閲覧）

トーモク

年間約60万件の段ボールを製造しているトーモクでは、受注の多くがFAXで行われていて、納期や数量、品目などの受注内容を手作業でデータ入力をしていました。

顧客の多くがFAXを使用し続けているため、データによる受領が難しいと判断し、入力画面の見やすさや機能の操作性を評価してスマートOCRの導入を決定しました。導入当初は、使い方のサポートはもちろん、テンプレート作成の支援も受けられてスムーズに運用をはじめられたようです。

FAX内容の自動読み取りにより処理時間は約50%削減でき、異なるフォーマットの注文書にも柔軟に対応しているため、入力ミスの減少にも至ったとのこと。

※出典：インフォディオ「作業時間を約50％削減！入力画面の見やすさや機能性が導入の決め手に」（2024年3月18日閲覧）

製造業界向けAI-OCRおすすめ5選

DX Suiteは、手入力で行っていた帳票のデジタル化を効率的に実現できるAI-OCRです。独自開発の文字認識AIにより、手書きや活字、傾いた文字など、さまざまな文字情報を高精度で読み取れます。請求書や図面、契約書など、さまざまな非定型帳票にも対応可能なほか、RPAやさまざまなシステムとの連携が可能。未来工業や神戸製鋼所などの製造業をはじめ、金融・建設・物流といったさまざまな業界や自治体にも導入されています。

DynaEyeは、帳票や申請書、アンケート、顧客管理書類など、さまざまな書類の自動読み込みが可能なAI-OCRです。製造業の購買部門での導入実績があります。2種類のOCRエンジンを搭載しているのが特徴で、認識結果を自動で突合するため、確認作業にかかる負担を軽減できます。癖の強い手書き文字や、枠からはみ出た文字も認識できるため、製造業で発生する帳票や資料などの読み込みにも問題なく対応できるでしょう。オンプレミス型のAI-OCRであるため、セキュリティやカスタマイズ性を求める企業におすすめです。

SmartReadは、あらゆる形式のドキュメントの読み取りや仕分け、書き出しができるAI-OCRです。手書き文字や活字を高精度で読み取れることに加え、さまざまな種類のドキュメントを自動で認識して仕分けられます。事前にフォーマットを登録すれば、複数のドキュメントをシステムが自動判別して仕分けるため、分類業務にかかる時間を削減可能です。データの出力や業務システムへの連携も可能なため、関連する業務の効率化も期待できます。製造業では、日本化学産業やファンケルで導入された実績があります。

スマートOCRは、さまざまなフォーマットの書類を読み取れるAI-OCRです。定型帳票・非定型帳票問わずに文字の自動読み取りが可能なほか、チェックボックスや丸チェックも読み取れます。写真で撮影したドキュメントも、自動補正により形状を整形してから読み取れるのが魅力です。様式の異なる帳票でも共通のテンプレートでデータ集計・管理ができるため、取引先が多い製造業者でも利用しやすいでしょう。食品や家電、紙器などさまざまな製造業の企業で導入されました。

LINE WORKS OCRは、高水準の読み取り精度を誇るAI-OCRです。手書き文字対応はもちろん、横書き・縦書き、湾曲文字や傾いた文字など、悪条件下での文字の読み取りも可能。伝票や公共料金の申し込み書、健康診断書、マイナンバーカードなどさまざまな書類に対応できるため、企業内のドキュメントのデータ化を進めやすいでしょう。

製造業界向けAI-OCRで業務効率化やペーパーレス化を実現しよう

手書きやFAXの帳票を取り扱うことが多い製造業界では、業務効率を改善できるケースは数多くあります。

その一つとしてAI-OCRを導入すれば、紙媒体の書類のデータ化を簡略化でき、集計や入力業務にかかる時間や工数を削減できます。幅広い書類の読み取りが可能なので、ペーパーレス化も実現しやすいでしょう。

製造業でAI-OCRを導入する場合は、自社が扱う書類の読み取りに対応しているAI-OCRを選ぶのがおすすめです。

AI-OCRは、次の記事でも詳しく紹介しています。