トラッキングとは - 方法やリスク | 許可した場合としなかった場合の違い
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- トラッキングとは
- トラッキングの活用事例
- トラッキングの方法
- 1st party Cookie(ファーストパーティCookie)
- 3rd party Cookie(サードパーティCookie)
- ブラウザーフィンガープリント
- スマートフォンにおけるトラッキングの方法
- 広告識別子(広告ID)
- Sensor ID
- トラッキングのセキュリティリスク
- セッションハイジャックとは
- トラッキングを許可した場合と許可しなかった場合
- トラッキングを許可した場合
- トラッキングを許可しない場合
- トラッキング設定を確認・変更する方法
- トラッキングはWebマーケティングに必要不可欠
- アイトラッキングや音声記録
- 他分野での「トラッキング」
- トラッキング分析をサイト改善に活かそう
- BOXILとは
トラッキングとは
トラッキングとは、Webサイト内でユーザーの行動を追跡したり分析したりするアクセス解析の手法です。「トラッキングコード」を付与することで、ユーザーがどこから来て、どこを経由して、最終的にどうしたか(離脱した/申し込んだ/購入したなど)を分析します。
トラッキングの活用事例
トラッキングの活用事例には、流入経路別のコンバージョン計測があげられます。
たとえば、メルマガとリスティング広告にそれぞれトラッキングコードを付与してみましょう。この場合、「メルマガ経由で○人」「リスティング広告経由で●人」商品購入に至ったかがわかります。また、購入までに訪れたページ遷移も把握できます。
トラッキングの方法
トラッキングの仕組みは複数あります。そのなかでも代表的なのが「Cookie」です。Cookieとは、ブラウザ上にWebページの閲覧データなどを記録するテキストファイルのことです。
トラッキングが行われる仕組みには、次の2種類のCookieとブラウザフィンガープリントと呼ばれる方法があります。
- 1st party Cookie(ファーストパーティCookie)
- 3rd party Cookie(サードパーティCookie)
- ブラウザーフィンガープリント
1st party Cookie(ファーストパーティCookie)
ファーストパーティCookieは、ユーザーが訪問したWebサイトから発行されるCookieです。アクセス解析に活用されるほか、Webサイトへのログイン情報やECサイトのカート情報を保存する目的で用いられます。
たとえば、ECサイトでユーザーがカートに商品を入れたままサイトを離れても、「再訪問時にID・パスワードの入力なしでログインできる」「カートに入れた商品が表示される」といったものがファーストパーティCookieの機能です。
ファーストパーティCookieは、ドメインを横断したトラッキングができないものの、ユーザーからブロックされづらくアクセス解析しやすいのが特徴といえます。
3rd party Cookie(サードパーティCookie)
サードパーティCookieは、Webサイトの運営者以外から発行されるCookieです。ドメインを横断してトラッキングし、追跡型の広告を表示するために利用されます。
たとえば、AというWebサイトを閲覧した後にBのサイトを訪問した際に、Aのサイトに関連する商品やサービスの広告が表示されるのは、サードパーティCookieの活用によるものです。
Webサイト運営者や広告主にとっては、広告の効果測定に活用でき有用な仕組みですが、行動履歴を追跡され広告が表示されることに嫌悪感を抱くユーザーもいるでしょう。そのため、プライバシー保護の観点から、近年ではブラウザでサードパーティCookieの規制や廃止が進んでいます。
ブラウザーフィンガープリント
ブラウザーフィンガープリントとは、ブラウザを介してWebサイトの運営者が取得できる、ユーザーのコンピューターやブラウザ環境に関するデータのことです。
たとえば、ブラウザフィンガープリントには、IPアドレス・使用言語・タイムゾーン・ユーザーエージェントといった情報が含まれます。上記のような情報をもとにブラウザを識別し、ユーザーを特定する目的で使用されるものです。
ブラウザーフィンガープリントは、銀行などのWebサイトで第三者のなりすましによる不正アクセス防止に用いられるほか、サードパーティCookieのように、Webサイトの行動履歴を取得し追跡型広告の表示に利用されています。そのため、サードパーティCookieのように、プライバシー保護の観点から規制が強化されつつあります。
スマートフォンにおけるトラッキングの方法
スマートフォンにおけるトラッキングのには、次の2つがあります。
- 広告識別子
- Sensor ID
広告識別子(広告ID)
広告識別子は、広告配信のために端末へ付与される固有のIDのことです。モバイルアプリでユーザーごとの行動履歴や閲覧履歴を収集する目的で利用されます。
広告識別子には、iOS端末で利用する「IDFA」とAndroid端末で利用する「AAID」の2種類があります。それぞれ、IDを付与してユーザーの履歴データを収集することで、ターゲティング広告や広告の効果計測に活用可能です。
Cookieと似た機能がありますが、Cookieはブラウザ単位、広告識別子は端末単位でトラッキングを行う点で異なります。そのため、Cookieと比べ細かいセグメントの広告分析が可能になるものの、近年は規制が強化されつつあり、IDFAの利用にはオプトイン(ユーザーの許可)が必須となります。
Sensor ID
Sensor IDは、スマートフォンのセンサーのデータを分析して行うトラッキングの仕組みです。トラッキングの中でも新しい仕組みで、ケンブリッジ大学によって発表されました。
スマートフォンに搭載されている「ジャイロセンサー」や「磁気センサー」「加速度センサー」といったセンサーのデータを分析することで端末を特定し、トラッキングが可能になります。Sensor IDの技術により、異なるサイトやアプリでもユーザーの行動を把握でき、インターネットの利便性を上げるための高度な分析が可能です。
トラッキングのセキュリティリスク
サイトを運営する企業にとっては、コンバージョン率や広告の費用対効果を上げるといったメリットを得られますが、トラッキングを行うことで、ユーザー側にはリスクも生じます。
代表的なのが「セッションハイジャック」と呼ばれるものです。
セッションハイジャックとは
セッションハイジャックとは、セッションIDを窃盗し、第三者(攻撃者)が通信を乗っ取るサイバー攻撃の一種です。セッションとは、コンピューター間で行われる一連の通信をいいます。たとえば、ECサイトにログインしてからログアウトするまでの通信のことです。
攻撃者は、「セッションID」と呼ばれるWebサーバーがセッションを識別するための識別子を不正な手段で窃盗します。そして、セッションでやり取りされている情報を入手し、ユーザーになりすまして不正アクセスを行う攻撃がセッションハイジャックです。
セッションハイジャックにより、ユーザーは個人情報の盗まれる可能性があります。防御のために、サイト運営者はセッションIDを漏えいさせない管理が必要です。
トラッキングを許可した場合と許可しなかった場合
ユーザー側でトラッキングを許可、もしくは許可しなかった場合にはどうなるのか。それぞれのケースごとにユーザーに与える影響について解説します。
- トラッキングを許可した場合
- トラッキングを許可しない場合
- トラッキング設定を確認・変更する方法
トラッキングを許可した場合
トラッキングを許可すると、以前ECサイトをはじめとしたWebサイトで検索した商品が関連広告に表示されます。また、位置情報を許可する場合は、位置情報をもとに地域に関連する情報や広告が表示されるようになります。
そのためトラッキングを許可する場合は、ユーザーにとって興味や関心のある広告が多く表示される点はメリットです。
トラッキングを許可しない場合
トラッキングを許可しない場合には、Webサイトなどの閲覧履歴が取得されなくなります。そのため、ユーザーの端末上には興味のない広告が表示されなくなります。興味のない広告が増えてしまう反面、プライバシーの保護されているともいえるでしょう。
トラッキングをするべきか迷ったときにはプライバシー保護を優先するか、利便性を高めたいかで判断するとよいでしょう。
トラッキング設定を確認・変更する方法
トラッキングの許可・拒否は端末の設定で変更可能です。Cookieによるトラッキングをやめたい場合には、SafariやGoogle Chromeなどのブラウザ設定で無効にできます。
またiPhoneでは、「設定」から操作すると一括でアプリのトラッキングを拒否できます。もし、トラッキングを無効にしたけれど再度有効にしたい場合も、同様の操作で変更可能です。
トラッキングはWebマーケティングに必要不可欠
インターネット上でのマーケティングでは、トラッキングによって詳細な分析が可能です。
実店舗の場合、看板や新聞広告、折込チラシなどを使ってもどれがどのくらい売上に貢献したかわからず、勘で広告運用するしかありませんでした。しかし、インターネット上のマーケティングであれば、トラッキングすることでそれぞれの効果を詳細に把握できます。
特に、Web上の広告を複数運用している場合には、売上につながっている広告/つながっていない広告を明らかにすることで、「広告の無駄打ち」を減らし、広告活動の費用対効果を高められます。効果のない広告の予算を減らし、売上につながる部分に注力したほうが、全体的な売上をアップさせられるでしょう。
このようにトラッキング分析は、マーケティングの費用対効果を分析するためには、不可欠な過程です。
アイトラッキングや音声記録
マーケティングにおけるトラッキング分析は、より詳細な手法が開発されています。それは「アイトラッキング分析」。ユーザーの視線を分析する手法で、実際にサイトを見ているお客さんが、画面のどこに注目したかを時系列で記録します。
ユーザーテスティングの一環で、操作時の疑問を発話してもらい、それを音声記録することもあります。クリックデータではわからない、実際の操作性やユーザー心理の把握が可能です。
また、スマートフォンのトラッキングも可能になり、画面や指の操作を録画して同様にユーザーの状況を把握します。
他分野での「トラッキング」
マーケティングのトラッキングについて解説していますが、他の分野でも使われている用語です。
たとえば、ワープロやDTPソフトなどで、文字間隔を調整する機能を「トラッキング」といいます。また、ソフトウェアのバクについての情報を利用者・開発者の双方が共有して、発見から修正までを記録し興行するシステムのことを「バグトラッキング」といいます。
トラッキング分析をサイト改善に活かそう
トラッキングコードを使った分析や、アイトラッキングでの行動分析など、ユーザーの行動を可視化することでサイトの現状や問題点がはっきりします。サイトの目的は、企業が伝えたいことを伝えるのではなく、ユーザーの知りたい情報を網羅し、使いやすいコンテンツを提供すること。このすり合わせがうまく行いば、ホームページからの集客や売上が大幅に改善します。
アクセス解析に役立つツールは次の記事で紹介しているので、参考にしてください。
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