SWOT分析とは?事業の競争力をチェックする10のポイント - 分析事例・具体例
自社の競争力をSWOT分析して、と言われたらまず何をする?
「まずSWOT分析してみてくれる?」
会社全体、あるいは事業部門での企画スタッフになった場合に言われる定番のひとこと。SWOT分析は、世の中の戦略立案を担当する人間の中では、基本中の基本のフレームワークといわれています。
本記事では、ポピュラーな分析手法であるSWOT分析の基本と、使い方の事例を解説していきます。ここで基本的な知識をおさえておきましょう。
目次を閉じる
- 自社の競争力をSWOT分析して、と言われたらまず何をする?
- そもそもSWOT分析とは?
- 事業の競争力をチェックする10のポイント
- ポイント1:そもそもSWOT分析とはどういうものか理解する
- ポイント2:外部環境とは何を指す?
- ポイント3:内部環境とは何を指す?
- SWOT分析の活用方法
- ポイント4:まず外部環境分析を行おう
- ポイント5:次に内部環境分析
- ポイント6:SWOTをそれぞれを概観して自社の競争力を判断する
- 事業分析をしてみようー具体例紹介
- ポイント7:外部環境分析(機会)
- ポイント8:外部環境分析(脅威)
- ポイント9:内部環境分析(強み・弱み)
- ポイント10:戦略を立てる
- その他のフレームワークまとめ
- SWOT分析を使って事業をチェック!
- BOXILとは
そもそもSWOT分析とは?
事業戦略や経営戦略を立てるうえで、その会社や自部門の経営環境をできるだけ客観的に分析することが前提として必須です。
そのための手法として考え出された代表的な手法がSWOT分析です。以下の10個のポイントを通して理解していきましょう。
事業の競争力をチェックする10のポイント
ポイント1:そもそもSWOT分析とはどういうものか理解する
SWOT分析とは、1960年代から70年代にスタンフォード大学で開発された分析のフレームワークのことです。
目標を達成するために意思決定を必要としている組織(=会社や事業部門)が、自社または自部門の事業戦略をできる限り客観的な尺度で分析し、その経営戦略または事業戦略を立てるためのベースに活用することを目的としています。
SWOT分析のSWOTとは、以下のことを指しています。
- S:強み(Strengths)
- W:弱み(Weaknesses)
- O:機会(Opportunity)
- T:脅威(Threat)
この強みと弱みという内部環境と、機会と脅威という外部環境を、「漏れることなく」分析すれば、経営判断を間違えない、客観的な自社または自部門の競争力の分析ができ、正しい戦略が立てられるというわけです。
ポイント2:外部環境とは何を指す?
外部環境とは、政治動向の変化、規制緩和や逆に強化、経済・景気の動向、消費者の購買意欲などの社会動向、大学の研究開発などによる技術動向、業界環境の変化や自社または自部門の扱う商品、サービスに対する顧客ニーズの変化など、自社または自部門の努力で変えられない要因を指します。
そのうちの、自社または自部門にとっての「追い風」になるような事象=「機会」であり、一方で「逆風」になる事象=「脅威」としてカテゴライズします。
ポイント3:内部環境とは何を指す?
これに対して内部環境とは、自社でコントロールできる要素のことです。
たとえば、他社に比べて営業力がある、他社にない技術を持っている、特許などの参入障壁を持っている、豊富な資金力がある(またはない)、ブランド力がある(ない)、人材が豊富である、などのヒト、モノ、カネに関する経営資源を指します。
このうちの、競争力にとってプラスになるものが「強み」であり、競争力にとってマイナスのものが「弱み」に分類します。
SWOT分析の活用方法
それでは、SWOT分析のフレーワークを用いて、どのように自社や自部門の分析をし、経営戦略、事業戦略を立てるベースにしたらよいのかを説明します。
基本は、SWOT分析を元にして以下の4点を軸にして考えていきます。
- どのように強みを活かすか?
- どのように弱みを克服するか?
- どのように機会を利用するか?
- どのように脅威を取り除き、脅威から身を守るか?
ポイント4:まず外部環境分析を行おう
まずSWOT分析では、機会と脅威の外部環境分析から始めます。そのためには、以下を念頭に進めることが大切です。
- 市場や自社をとりまく環境に変化はあるか?
- もし変化があれば、それはどのようなものか?
- その変化に対して他社はどのように対応しているのか、もしくは対応しようとしているのか?
これらを分析するには客観的な指標を用いましょう。
人口動態推移分析、企業の運営しているトレンド研究のレポート、国が出す経済指標、一般紙や業界紙の記事などですが、もっと詳細の分析をしたい場合は、独自調査を行う場合もあります。
ポイント5:次に内部環境分析
内部環境分析では、競合の変化の対応に対する自社の強みと弱みを洗い出します。
ただしこの分析は、外部環境分析以上に客観的な指標で行うことが重要です。
どうしても自社には甘くなるのが常なので、「うちはやはり商品力は強いよね」というような安易な判断はしないように気をつけましょう。
そのためには競合企業との相対評価ができる、財務諸表のようなデータを用いることと、できれば社外の第3者の意見を聞いて分析するのがよいでしょう。
ポイント6:SWOTをそれぞれを概観して自社の競争力を判断する
ここまでで、自社、自部門を取り巻く環境と、それに対する自社、自部門の「戦闘力」を客観的に把握できました。
あとはその内容を使って、以下のような質問に答えられるように、分析をしていくというのがSWOT分析の大まかな流れです。
- 自社、自部門は市場の変化に対応できる強みを持っているか
- 変化に対応できない弱みはどのように克服するか
- 他社は変化にどのように対応すると予測できるか
- それに対抗した策をどのように打つか
- 市場の変化を先読みしてどのような戦略を立てるか
事業分析をしてみようー具体例紹介
ここからSWOT分析の具体例として、「某中堅規模の、通信販売をメインチャネルとした化粧品メーカー」の事業分析を説明します。化粧品市場は現在2兆円ほどありますが、その中でこの会社は50億円程度の売り上げの想定です。
ポイント7:外部環境分析(機会)
まず化粧品市場と自社を取り巻く環境として、機会になるのは以下のようなものです。
化粧人口は増加している。すなわち化粧年齢(最初に化粧をする年齢)は低年齢化している。同時に、高齢の女性もいつまでも美しくありたい、という層が増えている。
消費者の化粧への知識は増えており、その結果、大手メーカーの化粧品にこだわらず、きちんと効果の期待できる化粧品なら、躊躇せずに使う傾向が出ている。
購入方法のひとつして、中間マージンがないため安く購入できる通信販売のチャネルは伸長している。
ポイント8:外部環境分析(脅威)
一方で市場変化による脅威は以下のようになります。
日本の人口自体は低減を続けているため、総数としての市場規模は小さくなっている。
通信販売チャネルが伸長していることから、化粧品他社、あるいは異業種からの参入が増え、競争は激化している。
日本経済のデフレ傾向を受け、経済自体は不活性化しており、化粧品に使う平均支出は減っている。
消費者の化粧品知識、美容知識は増えており、商品選択時の選別は厳しくなっている。
ポイント9:内部環境分析(強み・弱み)
SWOT分析から自社、自部門の強みと弱みを分析してみましょう。
<強み>
- 通信販売における宣伝広告ノウハウは先行してきた分多く蓄積されている
- 自社ブランドを信頼している固定客層があり、リピート購入率が高いため、売上基盤が安定している
- 通信販売化粧品の売上利益率は高く、そのためある程度の累積利益が積み上げられており、投資余力がある
<弱み>
- 50億という規模は化粧品会社としては零細で、まだまだ市場認知度は低い
- 自社に研究所を持っておらず、商品開発力は低い
- 就職、転職市場でも認知がなく、優秀な人材が不足している
ポイント10:戦略を立てる
以上のようにSWOT分析をしたうえで、たとえば以下のような戦略を立てられます。
- 人口動態の推移から、低迷していく日本の化粧品市場にこだわらずに、海外市場を開拓する
- ノウハウが積みあがっている通信販売チャネルで海外展開を行う
- 国内市場は、今後伸長する可能性の高いシニア層(60歳以上)にターゲットを合わせる
- 資金力を生かして研究所を持つ中規模化粧品会社をM&Aし、商品開発力を上げる
- それらを機に、大規模なブランド認知広告を打ち、消費市場、労働市場での認知を上げる
一つひとつ分析することで、根拠が明確で具体的な戦略を立案できました。以上のような流れに沿って自社の分析に取り掛かってみてください。
その他のフレームワークまとめ
ボクシルで紹介しているその他のフレームワークをまとめました。
さまざまな分析方法を試してみたい方は、ぜひ最適な分析方法を見つけてみてください。
SWOT分析を使って事業をチェック!
SWOT分析を用いた市場と自社の分析、および戦略の立て方の基本を具体例を用いて解説してきました。
もちろん、事業分析の手法はSWOT分析以外にも、さまざまなものがあります。
しかし、大切なのは、事業分析と戦略を立てるための得意技をひとつ身につけ、、それを使って戦略を立ててみることです。そしてその時には、自分の主観をできるだけ入れずに、客観的な視点を持つことが非常に重要です。
戦略を立てるためには、アイデアも勇気も必要ですが、そのベースになる分析はあくまで冷戦沈着に行いましょう。
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