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Clubhouseで注目の音声サービス市場、今後は? ポッドキャストの広告効果も期待高まる

最終更新日:(記事の情報は現在から1333日前のものです)
Clubhouseブームや“巣ごもり消費”需要から「音声サービス」が注目されています。古くからあるポッドキャストのユーザーも急増しており、高い広告効果が期待されています。急成長が見込まれる音声広告市場、どういったサービスが注目されているのでしょうか。

Clubhouseが見せた、音声サービスの可能性

2021年になって突如注目された「Clubhouse(クラブハウス)」。

Clubhouseは、「ルーム」と呼ばれる配信コーナーを自由に聴取できる音声配信アプリです。ルーム内で発言できるユーザーはルーム管理者の指名した人に限られ、勝手には発言できません。そのため、音声討論会のような管理されたオンラインミーティングを開催しやすい、という特徴があります。さらにラジオ的な性格があると同時に、単なる一方通行の音声配信でなく、リアルタイムにやり取りできます。

既存ユーザーからの紹介がないとユーザーになれなかったり、iPhoneからしか使えなかったりという希少性や、SNSなどで活躍中のインフルエンサーがこぞって飛びついたことなども、人気を高めた要因でしょう。

どの程度の注目度があるのかについては認知度が1つの指標になります。LINEの調査によると、Clubhouseを「知らない」人は34%と少数派でした。

Clubhouse認知の上昇は緩やかに。利用者が興味のあるルームジャンルは「知識・教養・教育」 出典:LINE / 「Clubhouse」認知の上昇は緩やかに。利用者が興味のあるルームジャンルは「知識・教養・教育」

女子大学生と女子高校生を対象にアンケート調査したRooMooNの報告では、「知らない」はわずか1.6%です。流行に敏感とされる若年層女性の認知度から、Clubhouseがいかに注目されているサービスなのか、よくわかります。

もっとも日本でのブームは去ったとの声もありますが、米国では依然多くのユーザーがおり、音声サービス市場への期待値は依然として高いままです。

ポッドキャストも人気継続

注目されている音声メディアといえば、2000年代半ばに誕生し、少し前から人気の高まっているポッドキャストを忘れてはなりません。

米国では継続ユーザーが4割弱

米国の12歳以上を対象にしたエジソンリサーチの調査「the infinite dial 2020」によると、2020年時点でポッドキャストの認知度は75%あり、前年の70%から高まっています。

毎月ポッドキャストを聴いている継続的なユーザーは37%で、こちらも前年の32%から増えました。男女別の継続ユーザーは、男性が39%、女性が36%と大きな差はありません。

こうしたデータから、米国ではポッドキャストが当たり前のメディアになった、とみなせます。

1億人以上がユーザーに

もう1つ米国の調査を確認しましょう。イーマーケターは「Spotify podcast listener numbers will surpass Apple’s this year」で、米国で1カ月に1回はポッドキャストを聴くという月間リスナー数について、2021年には前年比10.1%増の1億1780万人になると予測しました。

音楽を含めた何らかのデジタル音声サービスを利用している月間リスナー全体のうち、ポッドキャスト利用者は53.9%と過半数になる見通しです。そして、ポッドキャストの利用者は今後も増え、2024年には60.9%に達するとみています。

国内でも利用者が増加

国内の状況はどうでしょうか。朝日新聞社とオトナルの調査「ポッドキャスト国内利用実態調査2020」によると、1カ月に1回以上ポッドキャストを聴いているユーザーは14.2%にとどまり、米国と比べると利用率は低い状況です。ただし、利用頻度が「ほぼ毎日」(3.0%)、「週3~4回」(2.6%)、「週1・2回」(4.4%)といった具合で、習慣化しているユーザーが少なくありません。

ポッドキャストの利用開始時期は、「1ヶ月未満」が10.5%、「1ヶ月以上~半年未満」が15.0%、「半年以上~1年未満」が21.6%と、最近1年以内に聴き始めた人が半数近くいました。つまり、日本ではここに来てポッドキャスト利用者が増えているのです。

ポッドキャスト国内利用実態調査2020 出典:朝日新聞社、オトナル / ポッドキャスト国内利用実態調査2020

音声サービス一番人気はradiko

デジタル音声サービスは、ポッドキャスト以外にも数多く存在します。

国内の20代から30代を対象として実施したトレンダーズの調査「音声メディアに関する利用実態調査」では、日常的に音声サービスを利用している人は全体の31.6%いました。そのなかでは、ラジオ放送のサイマルストリーミング配信サービスである「radiko(ラジコ)」の利用者が目立って多い状況です。

利用中の音声メディア 利用者の割合
radiko 68.1%
Spotifyポッドキャスト 18.1%
ポッドキャスト
(AppleまたはGoogle)
13.3%
Discord 12.7%
ラジオクラウド 4.2%

今後使ってみたいサービスは、radikoなど既知のサービスのほか、Clubhouseや音声ライブ配信サービス「Spoon」といった新興サービスの名前が挙がりました。

使ってみたい音声メディア 希望者の割合
radiko 28.9%
Spotifyポッドキャスト 12.2%
ポッドキャスト
(AppleまたはGoogle)
11.6%
Clubhouse 8.6%
Spoon 5.7%

音声サービスの広告効果は?

ポッドキャストやClubhouseなどの利用者が増え、音声サービス全体に対する注目が高まっています。その結果、音声サービスは広告媒体として期待されるようにもなりました。

2025年には420億円規模へ

デジタルインファクトは「デジタル音声広告の市場調査」の中で、国内のデジタル音声広告市場が急拡大するとの見通しを公表しました。

具体的には、2020年に16億円(前年比229%)だった市場規模が、2021年には50億円(同313%)へと大きく増えるといいます。その後、拡大ペースは鈍化するものの毎年2倍以上となり、2025年に420億円規模へ成長するとしました。

デジタル音声広告の市場規模は2020年に16億円、2025年には420億円に 出典:デジタルインファクト / デジタル音声広告の市場規模は2020年に16億円、2025年には420億円に

また、イーマーケターは、2021年におけるポッドキャスト広告支出額を前年比41.0%増の12億8,000万ドル(約1,390億円)と予測しました。これは、デジタル音声広告向け支出全体の24.0%に相当するそうです。

効果が期待できるポッドキャスト広告

音声サービスのなかでも、ポッドキャストが持つ広告効果については、朝日新聞社とオトナルの調査レポートで述べられています。

1カ月に1回以上ポッドキャストを聴いているユーザーにポッドキャスト聴取後の行動を質問したところ、約3分の2に検索をした経験がありました。

検索経験 割合
度々ある 18.2%
たまにある 48.5%
ほとんどない 18.8%
全くない 14.5%

検索されたとしても、商品やサービスの売り上げにつながらないと広告効果は高くありません。ポッドキャスト聴取後の購買経験は以下のとおりで、およそ3分の1の人が購入へ至っていました。

購入経験 割合
度々ある 8.2%
たまにある 27.6%
ほとんどない 27.1%
全くない 37.0%

ポッドキャストで聴いた情報の検索経験と購入経験 出典:朝日新聞社、オトナル / ポッドキャスト国内利用実態調査2020

ポッドキャストで配信される音声広告にはそれなりの効果があるようです。さらに、耳にしたポッドキャスト音声広告に良い印象を抱いている人も大勢いました。

感じること 割合
商品・サービス名が
記憶に残りやすいと感じる
31.4%
商品・サービスについて
検索したくなる
30.3%
商品・サービスに好意を持つ 26.4%
音声広告はついつい聴いてしまう、
頭に入ってきやすい
22.4%
商品・サービスを
購入・利用したくなる
17.9%
信頼できる広告が
多いと感じる
16.7%
その他 7.2%

ポッドキャスト音声広告への印象 出典:朝日新聞社、オトナル / ポッドキャスト国内利用実態調査2020

音声サービスは大転換期に入った?

このように、音声サービスは広告や商品販売の手段として有望視されています。もちろん、サービスを提供する事業者も、魅力を高めようとサービスを強化中です。

たとえば、Clubhouseは配信者支援プログラム「Clubhouse Creator First」を開始し、Android用アプリも用意しています。ツイッターは、Clubhouse対抗サービスの「Spaces」を試験提供し始めました。

アップル、グーグルやスポティファイも手をこまねいているだけではありません。それぞれ強化策を推進しています。最近では、マイクロソフトが音声チャットサービス「Discord」を買収検討中、との報道も流れました。

加熱しつつある音声サービス市場は、大転換期に入ったのかもしれません。しばらくは目が離せないでしょう。

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