「スマホでラジオ」が増加中、年配層もスマホで音声メディアを聴く時代に
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ラジオの聴取スタイルが多様化
マイボイスコムが、ラジオの聴取状況に関する調査結果を発表しました。
ラジオ番組は、音声だけで情報を得られるメディアなので、自動車の運転中や家で家事をしているときなどに「ながら利用」できる点が便利です。そのため、テレビやゲーム機、スマートフォンなど可処分時間を消費するデバイスとメディアの種類が増えた今でも、多く利用されています。
ただし、ラジオ受信機で放送局を選んで聴く従来の方法にとどまらず、現在は多種多様なスタイルで楽しまれているようです。
ラジオ、何で聴く?
マイボイスコムは、このラジオ聴取に関する調査を、3年に1回のペースで実施しています。ここでは、2021年5月に行われた最新調査の結果をみていきます。
地上波ラジオのネット聴取者が急増
この調査では、いわゆるラジオ放送だけでなく、「radiko」などを使ってインターネット経由で聴取するラジオ放送や、インターネットだけで配信されるラジオ番組やポッドキャスト番組も調査対象としています。そうした音声コンテンツをまとめると、全体の約55%が何らかの形で聴いていました。
聴いているメディアの種類と聴取方法を質問したところ、以下の結果が得られました。
聴取方法など | 割合 |
---|---|
地上波ラジオ局の放送を、 ラジオチューナーで受信 |
40.2% |
地上波ラジオ局の放送を、 インターネット経由で受信 |
21.8% |
インターネット専用のラジオ番組を、 オンデマンド配信や podcastで聞く |
5.9% |
その他 | 3.7% |
ラジオ番組を聞いたことはあるが、 現在は聞いていない |
32.1% |
ラジオは聞いたことがない | 13.3% |
全体としては、男性と高年代層で多い傾向だったそうです。逆に、10代から30代に限ると、聴いたことのない人が3割前後もいます。
聴取方法でみると、ラジオ聴取者の7割強が、ラジオチューナーで地上波ラジオ局の放送を聴いていました。この方法は減少傾向にあるものの、男性や高年代層では比率が高く、年代差が大きい状況です。一方、インターネット経由で地上波ラジオ局の放送を楽しむ人が、急速に増えています。
10代から30代はスマホで聴く
地上波ラジオ局の聴取者が使用しているデバイスをみると、スマートフォンの増加が目立ちます。10代から30代ではスマートフォン利用者が最多でした。
聴取方法など | 割合 |
---|---|
カーステレオ、カーナビ | 39.9% |
スマートフォン | 24.0% |
ラジカセ、CDラジオ | 22.6% |
パソコン | 18.8% |
携帯ラジオ ※ラジオ機能のみ | 13.8% |
ラジオチューナー付きコンポ、ステレオ、 ネットワークプレーヤーなど |
12.2% |
全体では、以前の調査に比べると少なくなったものの、「カーステレオ、カーナビ」が最多を維持しました。やはり、自動車の運転中に聴く機会が多いからと考えられます。
これに対し、「スマートフォン」は前回調査時から急速に増加しました。radikoやNHKの「らじる☆らじる」といったアプリを使うと、いつも手元にあるスマートフォンで聴ける手軽さが好まれたのでしょう。
そして、通常の放送エリア外でも聴取可能な「エリアフリー」や、聴き逃した放送を後から聴取できる「タイムフリー」といった今までのラジオ放送になかった機能が、ラジオ番組の魅力を高め、聴取者を増やした可能性があります。ちなみに、「タイムフリー・聞き逃し機能などで放送後に聞く」は20.2%いて、2018年に行った前回の調査から増えました。
「携帯ラジオ ※ラジオ機能のみ」という回答は、スマートフォンと反対に大きく減少しています。
コロナ禍で増えた聴取者
聴取する地上波ラジオ放送の番組は、「トークを聞く」「音楽を聞く」「ニュース・天気予報を聞く」が聴取者全体の5割前後です。また、「運転中、車の中」で聴取する人が36.8%と比較的多いためか、「交通情報を聞く」という回答が23.4%ありました。
男女別、年代別では、男性は「ニュース・天気予報を聞く」「スポーツ中継を聞く」、女性の10代と20代では「暇つぶし」、女性の60代と70代では「家事をしながら」、という回答の割合が高かったそうです。
この1年間に地上波ラジオ放送を聴く機会の増えた人は9.4%いました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策によって、自宅で過ごす時間や自動車で移動する時間が長くなった影響でしょうか。特に、10代と20代、主にインターネット経由で聴取する層で増えました。
「スマホでラジオ」世代広がる
ラジオと一口に言っても、聴き方や聴取デバイス、配信メディアは多彩になってきました。インターネットとスマートフォンの普及が関係していそうです。
高齢者層で高まるスマホ所有率
NTTドコモのモバイル社会研究所の調査によると、高齢者層でスマートフォンの所有率が上昇しています。
2021年1月時点で、60代の80%、70代の62%がスマートフォンを使っていました。以前紹介した2019年1月の調査では、60代が6割超、70代がやっと過半数という状況で、スマートフォンの普及度合いがよく分かります。
なお、スマートフォンも携帯電話も使っていない人は、60代だと3%、70代だと13%にとどまりました。
これからの音声メディアは?
このように、年齢の高い人がスマートフォンを使うようになれば、これまでラジオ受信機で聴いていたラジオ番組をスマートフォンのアプリで楽しむ人も増えるでしょう。タイムフリーやエリアフリーといった機能に触れれば、インターネット専用のラジオ番組を聴いたり、さまざまなポッドキャストを探したりする方向へも発展するはずです。
2021年初頭に注目された音声配信アプリの「Clubhouse(クラブハウス)」にも、先日Android版がリリースされ、今までになかった形態の音声コミュニケーションサービスが広まっていきます。
昔ながらラジオと、ポッドキャストなどのオンライン音声メディアは、今や境目がなくなりました。これからは、これまで以上に聴取者の年齢や性別などの属性を意識したコンテンツ提供が求められます。