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土地売買契約書とは?ひな形付きで記載事項を解説

最終更新日:(記事の情報は現在から17日前のものです)
土地の売買などの契約は、口頭で約束しただけでも有効に成立すると民法は定めています。しかし、高額商品であり世界で1点ものの不動産の取引では、揉めごとが起こると損害額が大きくなるため「宅地建物取引業法(宅建業法)」では当事者へ売買契約書を必ず交付するよう義務付けています。 本記事では、土地売買契約書の概要と売却時に必要な理由および売買契約書に記載されている条項の意図や内容について解説しています。また、記事の最後ではすぐに使える土地売買契約書のひな形(テンプレート)がダウンロードできます。

土地売買契約書とは

土地売買契約書とは、土地の売買取引時に売主と買主とで交わす、取引内容や注意事項などを記載した契約書のことです。

売買契約書は土地などの不動産取引に限らず、多くの取引で作成されます。売買取引では、取引の目的物を特定するだけでなく、取引の目的物をいつまでにどうやって引き渡して、その対価(金銭など)をいつまでにどのように支払うかも大切です。万が一の揉めごとや土地に欠陥があった場合の解決方法、契約違反事項や犯してしまった際のペナルティなどは、行為の善し悪しや罰則を明記する意味だけでなく、そうならないための予防策としても重要になります。

契約書は、売主用と買主用の原本2通を作成して、土地の売買価格に応じた額の収入印紙(印紙税)を双方に貼付するのが一般的です。そして、お互いが直筆で署名および実印で押印し、手元の控えとして1通ずつを保有します。

土地売買契約の内容は複雑であり、記載内容の重要性や影響力はとても大きくなります。そのため、売買契約書の作成は個人でも作成できるものの、売主と買主の権利や義務を守って思いがけない被害を発生させないためにも、基本的には不動産取引の専門家である不動産会社に任せます。また、購入資金を銀行のローンで調達する場合には、個人が作成した売買契約書では融資審査に通らない可能性が高いため、不動産会社に任せるとよいでしょう。

土地売買契約書はなぜ必要?

どの契約も「当事者同士が口頭で合意すれば法律的に有効に成立する」と、民法で以下のように規定されています。

第522条(契約の成立と方式)
(1)契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示に対して、相手方が承諾をしたときに成立する
(2)契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、売買契約書などの書面の作成を必要としない

たとえば、コンビニで商品を購入する際には「双方の意思の合致を口頭で確認する売買契約」が交わされています。このような取引は、金額が少額で損失の可能性や影響が小さく取引スピードが早いため、売買契約書などの書面を交わしません。

一方で、不動産売買では、宅地建物取引業法37条に「不動産会社は、契約成立後すぐに売買契約書や付属書類を、宅地建物取引士に記名押印させたうえで交付する」と義務付けています。「言った・言わない」のトラブルや甚大な被害の予防のためには、専門家が作成した書面の交付が当事者双方のリスク回避にとって何よりも重要だからです。

土地売買契約書の主な記載事項

土地売買契約書の主な記載事項とその内容について解説します。

物件情報

土地の所在や面積などを下記のように記載して、売買対象の土地を特定します。この場合の所在とは一般的に使用されている「住居表示」ではなく「地番」です。なお、土地の所在、地番、地目、地積は、登記事項証明書(登記簿謄本)の表記を省略せずにそのまま書き写します。

土地の表示

  • 所在:〇〇県〇〇市〇〇町〇〇丁目
  • 地番:〇〇番〇〇
  • 地目:宅地(ほかに田、山林、雑種地など)
  • 地積:〇〇.〇〇㎡
  • 売買代金

土地の売買代金を記載しますが、土地は建物とは異なり常に非課税です。なお、土地の売買方法には下記のように「公簿取引」「実測取引」の2つがあります。

公簿取引

公簿取引とは、面積の差分を精算しない売買方法です。公簿取引の場合、下記のように記載します。

(1)土地の売買の前に測量をしない
(2)測量して公簿(登記事項証明書もしくは登記簿謄本)と異なる面積だったとしても、公簿どおりの面積として、金額を調整せずに取引する

実測取引

実測取引とは、面積の差分を精算する売買方法です。実測取引の場合、下記のように記載します。

(1)公簿に基づいた契約後に測量した差分の金額を調整する
(2)先に測量をした面積をもとに金額を決めてから契約する

支払条件

支払条件とは、支払の時期や支払名目、支払方法などについて下記のように記載し、指定します。

買主は売主に対し、手付金を差し引いた残代金〇〇円を、〇〇〇〇年〇〇月〇〇日までに以下の口座へ振込の方法によって支払う。なお、振込手数料は買主の負担とする。
<振込口座>
金融機関:〇〇銀行
取扱支店:〇〇支店
口座種別:普通預金
口座番号:〇〇〇〇〇〇
口座名義:契約一郎
フリガナ:ケイヤクイチロウ

所有移転時期

土地の所有権移転日(残金決済日)と引き渡し期日を下記のように明記します。諸事情により残金決済日よりも土地の引き渡し日が後日になる場合は、その理由まで明記します。

(1)本土地の所有権は、売主が買主から第〇条に定める売買代金の全額の支払いを受けたときに、売主から買主へ移転する。
(2)売主は、本土地の所有権移転登記手続きに必要な一切の書類を買主に交付し、買主の確認を得るとともに、双方ともに協力して所有権移転登記を完了させるものとする。

契約不適合責任

契約不適合責任とは、引き渡された土地の現状が契約書に記載された数量・形状・品質などの内容に適合しない場合の売主の責任です。買主はこのとき、損害賠償、修補請求、代金減額請求、契約解除を、対象物の状態によって請求することができます。

そのため、隠れている不具合の可能性を契約書に詳細に記載しておき、買主の了承を得て売買契約を締結することが重要です。そのようにすることで、引き渡し後の土地に不具合が見つかっても、売買契約書に記載されている不具合と同じものであれば、原則として契約不適合責任は問われません。

土地の不具合とは、法令上の建築制限や土地の不具合(土壌汚染、地盤沈下、地中の埋設物の可能性など)などを指します。

危険負担

危険負担とは、不可抗力による損害の回復への負担や契約の存続などの切り分けです。例えば、台風や大雨などの水害もしくは地震による地割れや沈下や崩落などが引き渡し前後に起きた場合には、どちらがお金を出して復旧させるのかという問題に対処する、下記のような記載内容です。なお、損害の状況によっては契約の目的が達成されない場合があるため、契約解除や手付金返還になることもあります。

第〇条による本土地の天災地変による滅失・毀損で生じた損害の回復は、引き渡し前に起こった場合には売主が負担し、引き渡し後においては買主が負担する。

費用負担

土地の売買契約書に貼付する収入印紙代や、所有権移転登記申請の登録免許税および司法書士報酬などの負担について、下記のように記載します。

(1)本契約書に貼付する収入印紙代は、売主と買主それぞれが平等に負担する。
(2)本件土地の所有権移転登記完了までに発生する諸費用のうち、登録免許税および司法書士報酬は買主の負担とし、それ以外の諸費用は売主の負担とする。

土地売買契約に必要な書類

土地の売買契約の締結時には、主に下記の書類などが必要です。

手付金 買主から売主への金銭、売買代金の一部の前払い
本人確認書類 免許証やパスポート、マイナンバーカードなど写真付き公的証明書
署名捺印の印鑑 ローンを組んで購入する場合には、できる限り実印が望ましい
仲介手数料 売買契約時に半分、残金決済時に残りの半分を仲介会社へ支払う
登記識別情報※ 土地売主は必要、権利証ともいう
土地測量図※ 土地売主は場合により必要
境界確認書※ 土地売主は場合により必要、確定測量図の場合あり

土地売買契約書のひな形(テンプレート)

土地売買契約書のひな形としてこちらにテンプレートを用意しているので、土地売買契約書を作成する際にはぜひご利用ください。

土地売買契約書のひな形(テンプレート) 土地売買契約書のひな形(テンプレート)


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