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販売委託契約書とは?ひな形付きで記載事項を解説

最終更新日:(記事の情報は現在から192日前のものです)
販売委託契約とは、商品の製造者などが販売業務を第三者に委託する契約であり「業務委託契約」の一種にあたります。販売委託契約書を適切に作成して締結するためには、商品の製造者が販売業務だけを委託するようになった経緯や販売委託契約の法的な特徴などを知っておくことが大切です。販売委託契約の概要および販売委託契約書の主な記載事項について解説します。記事の最後では、すぐに使える「販売委託契約書」のひな形がダウンロード可能です。

販売委託契約書とは

販売委託契約書は、ある企業または個人(委託者)が、自社の商品を別の企業や個人(受託者)に販売してもらうための契約を文書化したものです。販売後のアフターサービスを含むすべての販売業務を委託する場合もあれば、販売業務だけに的を絞って委託することもあります。

販売委託契約は受託者が商品を直接買い取るわけではなく、売上に応じて報酬を受け取る形態です。そのため、受託者は在庫リスクを負う必要がありません。また、商品の製造元である委託者は販売プロセスを専門に扱う別の当事者に任せられるため、市場をより広範囲に拡大できるメリットがあります。

メーカーだけの設備や拠点、および人員だけで販売活動を行うには限界があります。しかし、販売委託契約により販売効率が向上し、メーカーは商品の企画・開発・製造ならびに保証やアフターサービスに専念できるようになります。

販売委託契約書はなぜ必要か

販売委託契約書が必要な理由は、委託者と受託者の間で生じる可能性のある誤解やトラブルを未然に防ぎ、双方の利益を守るためです。

販売委託契約書には、商品の取り扱い方法や販売価格の設定権限など、販売活動に関連するさまざまな項目が明記されます。他にも、売上目標や販売促進活動、報酬の支払い条件など、双方が合意した詳細な条項が含まれていることが重要です。そして、受託者の販売努力が具体的に報酬に反映され、委託者は販売網の拡大という目標を達成できます。

なお、販売委託契約は売買契約や雇用契約のような民法で規定された「典型契約」ではないため、契約内容は当事者の状況に応じてある程度自由に決められます。しかし、商品の取り扱いや成果報酬および不具合品の返品や禁止事項など、当事者間のトラブルを予防するルールは必ず決めておかなければなりません。

販売委託契約書の主な記載事項

販売委託契約書に記載する内容は、商品の取り扱いや販売方法および報酬規定など販売や報酬に直結する事項と、商品や企業間の秘密保持や契約解除に関わる禁止事項などがあります。

主な記載事項を解説します。

  • 業務内容
  • 販売価格
  • 手数料
  • 代金の支払い
  • 商品管理
  • 瑕疵担保責任
  • 売上報告

業務内容

販売委託業務として何をどの範囲でどの程度担うのかを、下記の例のように契約書で明確に決めておきましょう。いずれも、販売委託契約書に記載すべき大切な要素です。

業務内容の例

  • 顧客への商品説明と販売手続きおよび代金受領
  • 商品購入者からのクレームの1次対応と甲への連携
  • ツールの配布や掲示などによる広告および販売促進業務
  • イベント開催(見本品やノベルティの配布およびキャンペーンなど)
  • 商品の発注・納品および返品処理・搬出
  • 受託者の社屋や拠点にある倉庫での在庫保管および品質管理
  • 販売売上や商品管理その他の活動データや市場情報の提供

販売価格

受託者は、業務委託契約の販売目的を達成するために商品の広告販売活動と販売代金の回収をしますが、その際の重要項目として販売価格の決定や変更があります。

販売価格は、商品の売れ行きやブランドイメージを左右するだけでなく、インセンティブ制の報酬規定であれば受託者の報酬にも影響します。そのため、販売価格の決定権者や決定方法および見直し時期を決めることが大切です。加えて、条件付きで行える受託者側の値引き幅の裁量などを設定しておくと、販売時の委託者受託者間の確認作業が減って、販売量の調整や獲得報酬の予測もスムーズにできるでしょう。

手数料

手数料が純粋な販売活動の労務に対する対価という意味なら、商品の販売数を労務量と見なして販売数に応じた固定報酬を何段階かに設定する場合があります。ただし、手数料などの報酬の算出方法は、販売商品を受託者側が買い取るかどうか、販売価格を誰が決めるか、インセンティブ制を導入するかなど、契約によってさまざまです。

たとえば、受託者側が販売商品を買い取って受託者側が販売価格を決定する場合には、販売価格と仕入れ原価の差が報酬になる場合があります。また、販売価格やキャンペーン価格は委託者側が決めるものの、報酬は販売個数や売上金額に応じたインセンティブ制を導入する場合もあります。さらに、固定費用+インセンティブというハイブリッドの報酬規定もあるでしょう。

受託者が頑張った分だけ報酬が増えるというインセンティブ制では、受託社側が報酬を増やすために自然と販売数が増えるため、委託者にとってもメリットが大きいといえます。しかし、販売方法が強引になって消費者のクレームに発展する場合があるため、委託者が介入した一定の管理監督が必要になるでしょう。

代金の支払い

どのような計算や締めのサイクルで商品代金の精算をするのか、いつまでにどのような方法で販売労務の対価やインセンティブ報酬を計算して支払うのかなど、代金およびそれに付随する下記の内容を決めます。

  • 納品した商品代金の精算方法
  • 商品代金や報酬の明細の取り扱い
  • 販売業務の報酬の締めと計算方法および支払方法
  • 双方の金銭債権を相殺するかどうか
  • 銀行振込その他の支払方法と振込手数料負担

商品管理

在庫数の管理や品質保持に関するルールを決めておきます。そもそも受託者が商品を買い取って商品の所有権が受託者へ移転するなら、不具合品の返品や過剰在庫の処理方法についても決めておくべきです。

他方、商品の品質保持や運搬および販売時の取り扱い方法など、ブランドイメージに影響する商品の状態は、この条項もしくは別添資料などで委託者から受託者へ詳細な指示を出すとよいでしょう。

瑕疵担保責任

製造および運搬時や保管過程で生じた欠陥(=瑕疵:かし)があった場合に、原因を究明する調査方法や委託者受託者間の責任の所在および精算方法などを決めておくことは大変重要です。不具合品を販売してしまった場合の対消費者への対応や補償問題および委託者への通知などもあらかじめ決めて、万が一の事態でも即時対応できるように準備しておきましょう。

不具合が発生した時期、原因に故意や過失責任がある場合、不具合の度合いなどに応じた補償や精算の方法として「危険負担」や「返品」などの条項を別途設けて詳しく規定するのもおすすめです。

売上報告

売上報告は、商品の追加発注や報酬の計算および市場分析などで利用する重要な情報であり、日々の売上情報が委託者と受託者でリアルタイムに共有できているのが理想です。

また、日締め・週締め・月締め・4半期締めなどの区切りで売上報告をするのは、在庫数の管理や棚卸しに役立ちます。市場動向の把握やトレンドの察知および地域の特性を分析するのにも大いに役立ち、販売網が広範囲にある場合には他の販売拠点へも水平展開ができます。

販売委託契約書のひな形(テンプレート)

販売委託契約書を検討している場合に利用できるテンプレートを用意しています。販売委託契約書を作成する際にはぜひご利用ください。

販売委託契約書のひな形(テンプレート) 販売委託契約書のひな形(テンプレート)

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