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プロダクトライフサイクルとは?各段階のマーケティング戦略

最終更新日:(記事の情報は現在から2632日前のものです)
企業のマーケティング戦略の基本となる考え方として知られるプロダクトライフサイクル(PLC)理論について説明します。加えて、この理論に必ずしも当てはまらない商品などについても簡単に解説を入れています。

企業活動の目的は商品やサービスを生産・販売して利益を上げ続けることにあります。顧客のニーズに応じて適切な商品を市場に提供するマーケティング活動は、企業にとって必要不可欠です。

そういった企業のマーケティング活動において重要なのが、市場に提供するモノのライフサイクルについて理解し、それぞれの段階に応じて適切な施策を打ち出すことです。このプロダクトライフサイクルという考え方について、概要を説明していきます。

プロダクトライフサイクルとは?

プロダクトライフサイクル(PLC)とは、企業の取り扱う製品が市場に売り出されてから顧客の支持を得て売上を増やし、そこから月日を追うごとに段々と売上が落ちていき、最後には市場から消えていくまでのプロセスを表した考え方です。

市場に投入される生産物を生き物のライフサイクルに例えることによって、それらがどのように市場を席巻し、やがて衰退していくのかを分かりやすく説明しています。この考え方を適用することによって、自社の製品が顧客や市場に対して、どういった位置づけにあるのかを知ることができるようになります。

プロダクトライフサイクルの段階

プロダクトライフサイクルには、大きく分けて「導入期」「成長期・成熟期」「飽和期」「衰退期」の4つのプロセスがあります。経営学およびマーケティングの書籍や、実際に取り扱う製品の性質によっては「成長期」と「成熟期」を分けて考えたり、成長期をさらに「成長前期」「成長後期」と細分化して考える場合もあります。

それでは、それぞれのプロセスについて簡単に説明します。

導入期

「導入期」は市場に新製品が投入されたばかりであり、認知度が低い段階です。
提供企業以外はその製品がどんなものかを知らなかったり、それを利用することによるメリットについて詳しく知らない状態といえます。顧客はその製品が自らのニーズを満たしてくれるものかどうかが分かりません。

そういう状態から製品の認知度を上げるためのプロモーションを行い、営業マンがターゲット顧客に対して売り込みをかけたりしていくことになります。そのため、たいてい多額の資金が必要になったり、製品の仕様が頻繁に変更されたりします。当然、利益も少なく、場合によっては全く利益に繋がらないこともあります。

成長期・成熟期

成長期

市場に製品が認知されることによって、それが勢いよく普及していく段階です。
直線的に市場に認知され始めるというよりは、あるときを境に爆発的に市場に広がっていくようになります。いわゆるティッピング・ポイントと呼ばれる転換点です。

製品のメリットが市場に認知され、どんどん売上が伸びていきます。製品の提供企業は生産設備を増大させたり、さらに販路を拡大しなければ、増加する製品需要に追いつけなくなってきます。競合他社が増えてくるのも成長期の特徴です。

成熟期

そして多くの競合の登場によって、徐々に市場が成熟しはじめます。
同じような製品が市場に並び、価格も徐々に下落していきます。提供企業は競合他社との違いを示すために、製品の種類を増やしたり、一部の顧客に特化した製品を開発したりして差別化を図ろうとします。いわゆる製品の「ブランド化」が進むのもこの段階です。

飽和期

製品全体の需要が停滞し、売上が伸び悩む段階です。市場規模自体が頭打ちになっているので、当該製品を新規で購入しようとする顧客はほとんどおらず、買い替えなどのリピート購入がメインとなります。製品自体もバージョンアップが重ねられたり、モデルチェンジされているのが一般的です。

市場規模が増えない反面、競合他社との競争はさらに熾烈になります。低価格製品が市場を席巻し、広告効果も徐々になくなってきてしまいます。市場のレッドオーシャンと呼ばれる状態の多くはこの段階を指します。

衰退期

製品そのものの需要が減少し、売上と利益がどんどん減っていく段階です。その製品を使用することによってもたらされるメリットや、製品の価値を代替する別の製品が登場してきます。あるいは新しい技術革新によって別のニーズが登場するなどして、当該製品の市場自体が縮小していきます。

需要の大幅な減少に伴って市場から撤退する企業が増え、保守的な顧客に対する製品メンテナンスなど最小限のサービスしか提供しなくなります。

プロダクトライフサイクルとマーケティング戦略

次に、プロダクトライフサイクルの各段階で行うべきマーケティング戦略について簡単に解説します。

導入期

導入期には、とにかく製品自体の認知度を高めなければいけません。製品デモを積極的に行ったり、試用品を提供するなどの販促活動に力を入れる必要があります。

どんな市場にも、イノベーターと呼ばれるような新しいコンセプトやテクノロジーに価値を見出す人々が存在します。まずはそういった顧客層をターゲットとして、積極的にプロモーションを行うようにします。

成長期・成熟期

この時期は、いわゆるアーリーアダプターと呼ばれる流行の先端を行こうとする人々や、それを追随しようとする人々(アーリーマジョリティ)に対して訴求することがポイントとなります。

ここではアーリーアダプターに対して提供した事例をまとめ、実績を重視する傾向にあるアーリーマジョリティに受け入れられるプロモーション活動に力を入れる必要があるでしょう。製品がうまく成熟期に入ることができるかどうかは、彼らに製品が受け入れられるかどうかにかかっているからです。

飽和期

この時期になると、単純に製品のプロモーションをすれば売れるという段階ではなくなってきます。積極的に販路を拡大するよりも、いらない機能や余計なサービスを排除しながら、製品を洗練させていくことが重要になります。それによって様々な顧客層に受け入れられるようになり、パッケージ化などの生存戦略にも対応できるようになります。

飽和期にはそういった工夫によって利益を出すことを重視しなければいけません。それまでの拡販路線からどれだけ上手くシフトさせられるかどうかが、その後の利益に直結する重要なポイントとなります。

衰退期

衰退期になると、継続して売上を上げ続けることが非常に困難になります。どのタイミングで市場から撤退するかを真剣に検討しなければなりません。

市場を維持しようとする場合でも、より専門分野に特化したり製品自体を細分化するなどして、継続的な利益に繋がるように舵取りをする必要があります。場合によっては、製品コンセプトを変えるなどして、別の市場に進出することも考えるべきでしょう。

プロダクトライフサイクルの限界

最後に、これまで説明してきたプロダクトライフサイクル理論の限界についても触れておきます。

プロダクトライフサイクル理論は、基本的にどんな分野の商品にも適用できる優れた理論であることは間違いないでしょう。ですが実際には、自社の扱う商品が上述のどの時期にあるのかを正確に把握するのは簡単ではありません。その特性によってサイクルに差が出てきますし、競合他社の技術や市場への参入状況にも大きな影響を受けるからです。

たとえば、多くの人々から定番だと思われている商品やサービスは、何年経っても全く同じ品質、同じやり方で提供され続けています。細かい仕様やデザインの変更などはあるにせよ、常に安定した売上を企業にもたらしてくれます。

あるいは季節モノの商品などのように、その時期に必ず一定の需要が約束されているようなものは、基本的にライフサイクルの影響を受け難いといえます。多くの顧客が「この商品(サービス)はこうあるべきだ」と考えているからです。

また、外部的な要因で爆発的に需要が生まれるようなモノもライフサイクルが予測しづらいでしょう。提供企業ですら、その原因を理解できていないケースもあります。

こういった例外的な商品もあることを念頭に置きながら、プロダクトライフサイクルについて理解を深めていってください。

プロダクトライフサイクルについて理解しよう!

企業のマーケティング戦略を構築する上で有用とされるプロダクトライフサイクル理論について、その概要を一通り説明してきました。

自社の提供する商品のライフサイクルを理解していなければ、いかにそれが優れていたとしても、実際に利用する顧客に対して適切なアプローチをとれなくなってしまうでしょう。それによって大きな機会損失を生み出してしまったり、大量の在庫を抱えてしまう可能性も皆無ではありません。

本記事を参考に、ぜひあなたの企業で提供している商品のライフサイクルについて考えてみてください。
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